240 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?
240、ルナとフレアとユージアと。
しおりを挟むこれはユージアの素なのか、3歳児ならではの反応なのか判別がつかなくて、困ってしまう。
見た目が10代のお兄ちゃんだからなぁ、見た目通りの年相応の言動や行動として見てしまいそうになってしまうのだけど、ユージアは3歳児、3歳児……と頭の中で言い聞かすように繰り返す。
……見た目通りのお兄ちゃんっぽい反応や会話も、面白いかもしれないけどね。
今は、年相応の反応を心がけていきたい。
だって、一緒にちゃんと成長していきたいから、背伸びさせる必要はないよね。
3歳児の時とは違う、強目のさらさらの髪を思う存分撫でていると、いきなり腹部に衝撃を受けた。
「やっぱり好き~」
「うぐっ……ちょっ…ユージアっ!く、くるしい!!」
相手は3歳児だ……にしても体格差が大きすぎるよね。
力一杯、ぎゅううっと抱きしめ…いや、締められてるっ!
息ができないよ。物理的に。
ぐおおおおっとつぶされないように必死に抵抗する。
潰されたら……おにぎりとかおにぎりとか…出ちゃうからねっ!?
「ずっと、一緒がいい……」
「くるしいからっ!!…ちょっと、やさしくしてっ!!!」
「あ…うん……ごめんなさい…って、セシリア…?」
「はぁ…くるしかった……」
ふぅ…。と大きくため息をつく。食事直後で苦しいんだからね?!
苦しさも落ち着いたので、私を抱き締めたままで不思議な顔をして固まっているユージアへと顔を上げる。
「で、なぁに?」
「お腹が……なんかここら辺が」
「うん?」
ここら辺。と言いながら、私のお腹をうにうにと押す。
ちょっと!苦しいからっ!
『ぽっこりしてるよね…いつもより』
「なんか、柔らかいはずなのに……ぽんぽん?ぱんぱん?」
ちょっと硬いんだよね…とか言いながら、不思議そうな顔をしているユージアと意地の悪そうな笑いを浮かべつつのルナとが、お腹を押してくる。
『食べ過ぎでしょ……セシリア…その姿で、どれだけ食べてたか覚えてる?大人と同じだけ食べてたでしょ……』
呆れた様子のフレアの言葉に、思わず自分の足と先ほど食べていたおにぎりとケーキとを……比べる。
うん、食べ過ぎだった。
……でも、美味しかったから後悔はしないっ!
あ、足の大きさってね、胃袋と大体同じ大きさなんだって!だから、ミルク卒業後の子供のご飯の適量がわからなかったら、足の大きさを参考にするんだって教えられてきた。
まぁ育児なんて、数年すれば全く違う教え方になってしまうから、今時のお母さん達には通じない話題かもしれないけれど。
という事で、セシリアの胃の中には適量と言われている自分の足の大きさの……3倍くらいのおにぎりが……!そりゃ苦しいわ。
ちなみに、お腹がぽんぽんになる程食べるってのは、どうみても……食べ過ぎです。
文字通り吐くまで食べる、みたいな状況なので…押されると吐くよ?
「可愛すぎ…!」
いい加減、お腹押すのやめてよね?!と、手を払っても、にやにや笑いのルナがしつこくお腹をつついてくるので、必死の攻防を繰り広げていたら、またユージアに抱きしめられてしまった。
ぎゅっと抱き寄せられて、頭に頬擦りをされている……。
それは良いんだけどね、うん、イヤじゃ無いし、落ち着くし、良いんだけどね。
「ユージア、はく。はいちゃう…おなか、おさないで……」
「うわっ!ごめんっ!!!」
******
そんなこんなで、一息ついたあと、ユージアに抱っこされたまま、みんなのいる部屋に戻った。
「落ち着いたか……?」
「たぶん…?」
ルークの声にほっとして……返事を返したのだけど、そこはかとなく視線が少し下に感じて……にやりと笑むのがわかった。
これは、キッチンでの会話、聞こえてたな?
まぁ良いや……ひとまず、今は部屋割りの話をしてたようだった。
この部屋はさすがと言うかなんと言うか、古代の魔道具なだけあって、可変式の部屋だそうで……よくよく見ると先ほどは大きなフロアだったのに、今は部屋の真ん中に大きな仕切りの壁が出来上がっていて、ベッドが増えていた。
先ほど部屋の中央に1台だけあった大きなベッドが仕切り壁を挟んで、左側に2台、右側に8台並べられ、それぞれの枕元付近には小さなチェストとサイドテーブルのセットも置かれている。
「それぞれ個室にしても良かったのだが……子供の数が多いから、警戒も兼ねて仕切る程度に抑えた」
「それで良いわ」
ルークの説明に『それにしてもどうなってるのかしらねこの部屋?』と言いながら、チェストを触ったり、壁の感触を確かめて『本物だわ』と面白がっているフィリー姉様。
どうやら、見る間見る間に壁が出来上がるわ、ベッドが姿を現すわと、おとぎ話に出てくる魔法のように、何も無い場所から家具や壁、内装から飾り棚までが、元からそこにあったかのようにすーっとセットされていったらしい。
「……そういえば、ハンス先生はここの出入りもですが、部屋の管理も王族では無いのに可能なんですね?」
「ああ、ここの使用権限は『王族の血筋』と『私』だからだ」
「それはどういう…?」
「正確には『中央公国の王家の血筋』と『私』だな」
「すみません、余計に訳が分からなくなりました……」
降参です。と肩を竦めて笑うヴィンセント兄様。
中央公国……シシリーが生きていた頃にあった王国で、それこそ魔導学院のあった場所の真上に王都がある。あった。
魔導学院が地下施設だったので、その真上、地上部分に建てられたのが中央公国だった。
(そうだよね、ルークは中央公国で騎士団に所属していたし、爵位を賜っていたのだもの。私の研究室の『王専』だって、中央公国の王族専門という意味だったのだし)
というか、シシリーが知っている限りでは、ルークがメアリローサの爵位を賜っていたという記憶はなくて、どこがどうなったら今、メアリローサ国の辺境伯なんて事になってるのか?とても不思議だったのよね。
これはきっとシシリーが死んだあとのお話だと思って、しっかり聞こうとルークの言葉を待った。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる