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はじまりはじまり。小さな冒険?
241、お部屋の持ち主は。
しおりを挟む「私は、この古代の魔道具の最初の持ち主の側近として、メアリローサ国にきた。そもそもこれは最初の持ち主の『嫁入り道具』だ」
「すごい嫁入り道具ね……というか先生まで嫁入り道具みたいだわ」
くすり。とフィリー姉様が笑う。
その腕の中には相変わらずカイルザークが抱かれていたわけですが……なんかものすごく遠い目をしてるんだけど。そろそろ解放してあげて…ください。
そして『嫁入り道具』で思い出した。
メアリローサ王国。
辺境なのにやたらと知識としての記憶が強かったのは……知っていたのは、そうだ、魔導学園があった国の……中央公国のお姫様の嫁ぎ先だったからだ。
転生に気づいた直後のあの寝ぼけた頭で、よく思い出せたよなと、不思議ではあったんだよね。
(シシリーと同じ闇の属性持ちのお姫様。……研究室の大のお得意様だったから、面識はあった。かなり突飛な提案ばかりするお姫様で、王専の依頼の窓口対応をしてくれていたカイが、どうしても苦手としていた人物でもあった)
私と同じとは言いつつ、彼女は『祝福の聖女』として一般的に言う『覚醒』をしていた。
そしてその力は『星詠み』というスキルとして発現した。
星を読むのではなくて詠む。
すると少し先の未来が見えてしまう。
まぁ色々と制約があったようで、未来をちょこちょこ確認して、自分に降りかかる難を逃れるように行動できちゃう!ってわけではなかったみたいだけど、詠んだ内容は必ず当たるのだと聞いた。
……懐かしいなぁ。
確かに『祝福の聖女』と言われるだけの力を有していた、闇属性持ちのお姫様。
シシリーもいつかは……と、言われ続けたけど結局、何も芽が出なかった私とは、違う。
違うけど……そうか、あのお姫様の血筋なら、セシリアにも何か芽が出るのかもしれないね。
「……管理者指定が『中央公国の王族と側近である私』だったのを、自身の懐妊を期に『王妃の血族と私』に変更された。それが今も続いているだけだ』
「なーんだ、つまんないっ。主従のロマンスでもあったかと期待したのに」
あからさまに残念そうなこえでフィリー姉様が大きなため息を吐いた。
主従のラブロマンス!……小説ではアリだけど、実際では無しだわ。
しかもメアリローサ国に来てからの話だったら、姫様…あ、王妃様の浮気相手って事になってしまう。
それ以前でも、婚約が決まってた時点で無しだけどさ。
「……そんな事があれば、私はメアリローサにいないだろう」
「そうかしら?ハンス先生みたいな人を、嫁ぎ先に連れてこれるほどには、有力な…優秀なお姫様だったのではなくて?」
「優秀?…そうだな、優秀といえば優秀か。多少性格に難はあったが、星詠みで有名な…聖女だった」
性格に難だなんて!…本人が聞いたらとんでもない事になりそうな!と反射的に思ってしまうほどに、難があったのではなくて活発な姫様でした。
そうだなぁ、雰囲気的にはフィリー姉様に似てると思う。
「クロウディア様…でしたっけ」
「母様?カイ、母様は『大聖女』と呼ばれているけど『星詠み』というのは聞いた事がないわよ?」
フィリー姉様の腕の中に捕獲されていたカイルザークが恐る恐る、姫様の名前を口にした。
即座にフィリー姉様に訂正されてしまったけど。
「……いや、星詠みの姫だった聖女の名が、クロウディアと言って、今の大聖女と同名なだけだよ。フィリー、『星詠みの姫』のお話は小さな子供達の絵物語にもなっているんだから、名前こそ知らなくても、存在は知ってるはずだよ?」
「あらっ!あのお話のお姫様のことなのね?そんなに昔の人なのねぇ……」
ヴィンセント兄様が更にフィリー姉様の言葉を訂正する。
うん、クロウディア様であってた!
しかし、子供向けの絵物語になってるって…どんなお話なんだろうね?気になる。
お屋敷に帰ったら、専属メイドに本のリクエストしてみようっと。頑張って読んじゃうよ!
「それはそうと……ねぇ、ちびっ子達は寝るまで暇でしょう?ていうか起きたばっかで眠くないでしょう?部屋の準備が完了するまで、一つお願いがあるのだけど良いかしら?」
とても楽しそうにフィリー姉様が艶やかに笑う。
後ろで、思いっきり遠い目をしているヴィンセント兄様の視線が気になるところではあるのだけど。
「ハンス先生も、部屋の中をご存知無いそうなのよ……気になると思わない?」
どうやら昔から、一つだけ開かない扉があるのだそうで。
そこを開けてこい!といった内容をフィリー姉様から『指令』として受けた。
メンバーはレオンハルト王子とエルネスト、カイルザークにユージアとセシリア。
シュトレイユ王子は…?と思ったら、そういえばベッドに寝てる姿があったよね。
ちなみにルナとフレアは、ルークに用事を言付かって出かけてしまっていた。
まぁ危険な場所でもないし、あまり警戒する必要もないかもだけど。
その『開かずの間』となっている部屋は、さっきの話に出た『星詠みの姫』の私室として使われていた部屋なのだそうで、管理者権限を変更した後でも、その部屋だけは彼女だけしか使えないようにしてあったそうで。
「無理に…開ける必要は、ないと思うのだがな…」
子供達に楽しそうに内容を説明するフィリー姉様を、半ば呆れるような眼差しで見つめつつ、内容についての補足を入れていくルーク。
「良いのよ。母様が言ってたわ!『王族の子は必ず、この扉を探し出すのが、この古代の魔道具を教えられた日に必ず行う任務だ!』って。みんなも、やりたいわよね?」
……女性の部屋を、本人の死後とはいえ、大勢で暴いちゃダメだと思いますよ!
そうは思いつつも、活発なクロウディア様の私室、少し気になるんだよね。
ん?でもこれって…あれ?魔導学園でルークやユージア達にされた事を今度は、姫様にやろうとしてるって事になるのか、私。
自分がやられて嫌なことは、しちゃダメですよ!
ダメですよね?
……でも、気になる。
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