私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
241 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

241、お部屋の持ち主は。

しおりを挟む



「私は、この古代の魔道具アーティファクトの最初の持ち主の側近として、メアリローサ国ここにきた。そもそもこれは最初の持ち主の『嫁入り道具』だ」

「すごい嫁入り道具ね……というか先生まで嫁入り道具みたいだわ」


くすり。とフィリー姉様が笑う。
その腕の中には相変わらずカイルザークが抱かれていたわけですが……なんかものすごく遠い目をしてるんだけど。そろそろ解放してあげて…ください。

そして『嫁入り道具』で思い出した。
メアリローサ王国。
辺境なのにやたらと知識としての記憶が強かったのは……知っていたのは、そうだ、魔導学園があった国の……中央公国のお姫様の嫁ぎ先だったからだ。
転生に気づいた直後のあの寝ぼけた頭で、よく思い出せたよなと、不思議ではあったんだよね。


シシリーわたしと同じ闇の属性持ちのお姫様。……研究室の大のお得意様だったから、面識はあった。かなり突飛な提案ばかりするお姫様で、王専の依頼の窓口対応をしてくれていたカイが、どうしても苦手としていた人物でもあった)


私と同じとは言いつつ、彼女は『祝福の聖女』として一般的に言う『覚醒』をしていた。
そしてその力は『星詠み』というスキルとして発現した。

星を読むのではなくて詠む。
すると少し先の未来が見えてしまう。
まぁ色々と制約があったようで、未来をちょこちょこ確認して、自分に降りかかる難を逃れるように行動できちゃう!ってわけではなかったみたいだけど、詠んだ内容は必ず当たるのだと聞いた。

……懐かしいなぁ。
確かに『祝福の聖女』と言われるだけの力を有していた、闇属性持ちのお姫様。

シシリーキミもいつかは……と、言われ続けたけど結局、何も芽が出なかった私とは、違う。
違うけど……そうか、あのお姫様の血筋なら、セシリアわたしにも何か芽が出るのかもしれないね。


「……管理者指定が『中央公国の王族と側近である私』だったのを、自身の懐妊を期に『王妃の血族と私』に変更された。それが今も続いているだけだ』

「なーんだ、つまんないっ。主従のロマンスでもあったかと期待したのに」


あからさまに残念そうなこえでフィリー姉様が大きなため息を吐いた。
主従のラブロマンス!……小説ではアリだけど、実際リアルでは無しだわ。
しかもメアリローサ国に来てからの話だったら、姫様…あ、王妃様の浮気相手って事になってしまう。
それ以前でも、婚約が決まってた時点で無しだけどさ。


「……そんな事があれば、私はメアリローサここにいないだろう」

「そうかしら?ハンス先生みたいな人を、嫁ぎ先に連れてこれるほどには、有力な…優秀なお姫様だったのではなくて?」

「優秀?…そうだな、優秀といえば優秀か。多少性格に難はあったが、星詠みで有名な…聖女だった」


性格に難だなんて!…本人が聞いたらとんでもない事になりそうな!と反射的に思ってしまうほどに、難があったのではなくて活発な姫様でした。
そうだなぁ、雰囲気的にはフィリー姉様に似てると思う。


「クロウディア様…でしたっけ」

「母様?カイ、母様は『大聖女』と呼ばれているけど『星詠み』というのは聞いた事がないわよ?」


フィリー姉様の腕の中に捕獲されていたカイルザークが恐る恐る、姫様の名前を口にした。
即座にフィリー姉様に訂正されてしまったけど。


「……いや、星詠みの姫だった聖女の名が、クロウディアと言って、今の大聖女と同名なだけだよ。フィリー、『星詠みの姫』のお話は小さな子供達の絵物語にもなっているんだから、名前こそ知らなくても、存在は知ってるはずだよ?」

「あらっ!あのお話のお姫様のことなのね?そんなに昔の人なのねぇ……」


ヴィンセント兄様が更にフィリー姉様の言葉を訂正する。
うん、クロウディア様であってた!
しかし、子供向けの絵物語になってるって…どんなお話なんだろうね?気になる。

お屋敷じたくに帰ったら、専属メイドセリカに本のリクエストしてみようっと。頑張って読んじゃうよ!


「それはそうと……ねぇ、ちびっ子達は寝るまで暇でしょう?ていうか起きたばっかで眠くないでしょう?部屋の準備が完了するまで、一つお願いがあるのだけど良いかしら?」


とても楽しそうにフィリー姉様があでやかに笑う。
後ろで、思いっきり遠い目をしているヴィンセント兄様の視線が気になるところではあるのだけど。


「ハンス先生も、部屋の中をご存知無いそうなのよ……気になると思わない?」


どうやら昔から、一つだけ開かない扉があるのだそうで。
そこを開けてこい!といった内容をフィリー姉様から『指令』として受けた。
メンバーはレオンハルト王子とエルネスト、カイルザークにユージアとセシリアわたし
シュトレイユ王子は…?と思ったら、そういえばベッドに寝てる姿があったよね。

ちなみにルナとフレアは、ルークに用事を言付かって出かけてしまっていた。
まぁ危険な場所でもないし、あまり警戒する必要もないかもだけど。

その『開かずの間』となっている部屋は、さっきの話に出た『星詠みの姫』の私室として使われていた部屋なのだそうで、管理者権限を変更した後でも、その部屋だけは彼女だけしか使えないようにしてあったそうで。


「無理に…開ける必要は、ないと思うのだがな…」


子供達に楽しそうに内容を説明するフィリー姉様を、半ば呆れるような眼差しで見つめつつ、内容についての補足を入れていくルーク。


「良いのよ。母様が言ってたわ!『王族の子は必ず、この扉を探し出すのが、この古代の魔道具アーティファクトを教えられた日に必ず行う任務だ!』って。みんなも、やりたいわよね?」


……女性の部屋を、本人の死後とはいえ、大勢で暴いちゃダメだと思いますよ!
そうは思いつつも、活発なクロウディア様の私室、少し気になるんだよね。
ん?でもこれって…あれ?魔導学園でルークやユージア達にされた事を今度は、姫様にやろうとしてるって事になるのか、私。

自分がやられて嫌なことは、しちゃダメですよ!
ダメですよね?
……でも、気になる。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...