私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
248 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

248、当たるも八卦、当たらぬも……。

しおりを挟む



ベッドに潜り込みながらルークや兄達の会話に耳を傾ける。


『1人で頑張りすぎ』


父様とゼンナーシュタットに言われた言葉だ。
だから、頑張らない。
でも、状況把握はちゃんとできる様にするんだ。
護ってもらうんだもの。足を引っ張らないように、そして出来るものならば、お手伝いくらいはしたい。

……まぁ子供の手伝いなんて、大人から見たら、ほとんど足手まといだったりするんだろうけどさ。
できるところは頑張るのですよ!

昼寝バッチリだしね!

カートが移動する音が響いて、テーブルにお菓子やそれぞれのお茶がユージアによって並べられていく。
王子達が寝ているのもあってか、さっきみんなでお茶をいただいてた時よりずっと暗い部屋に、テーブルの周辺だけ魔石のランプで少しだけ明るくしてあった。

ゆらゆらと優しく揺れる魔石ランプの光で、テーブルに集まる人たちの姿がぼんやり浮かび上がって、雰囲気的には、野営広場の焚火を囲んでいる人たちを遠目に見ている様な感じで…しかもみんな美人さん達なのよねぇ……絵になるわ。
このままこの場面を写真の様に切り取ったら、本当にそのまま一枚の絵になりそうだもの。


「さて……フィリー嬢が気にしていた『星詠みの姫の私室』が開いたわけだが…」


ルークの抑揚のない声で、周囲のざわめきが消える。

あの『開かずの間』は未来の人間に星詠み…つまり予言だよね、あれ。
予言を伝える為に、その時まで封印するかの様に閉ざされていた事。
その予言の内容は一部を覗き、とても個人的な星詠みであった事。
そのどれもが、それぞれの危険を回避しなさいという忠告であった事。

そう伝えられると、ヴィンセント兄様がびっくりしていた。

どうやら、星詠みは個人宛にはほとんど行われた事がないらしい。
理由としては、個人の行動なんて気まぐれで変わっていくものだから、忠告するだけでも、人によっては未来が簡単に変わってしまうから。

そもそも『パンを食べるのはやめなさい、明日、怪我をするわよ』なんて予言されたとして。
どんどん変わっていく未来の中で、素直にパンを食べなかった。
そうすると、確かに怪我はしなかったけど、そもそもパンを食べてたら本当に怪我をしてたの?という話になる。
当たっていたとしても、言葉の通り的中した、とういう評価には、つながらないんだよね。

だって本人が意識して回避できたのか、偶然が重なって気まぐれ的に回避となったか、そもそも回避すべき物自体が存在しなかったのかも判別できないままに、結果として回避はできてしまっていたのであれば、怪我もしてないし、予言は外れてるんだものね?
ま、怪我をしないのが一番だけども。

なのでもっと大きな…例えば国こと。戦争にならないだろうか?疫病がはやらないだろうか?とかとか、そういうものを星詠みとしては詠むのだそうだ。

まぁ、変わったかどうかすらも確認しようがないからね。
逆に国単位での災害や危機であれば、回避のために準備していたって少なからず被害は出てしまうから、その被害を最小限に抑えることができた!という意味では、確認したくなくても、わかってしまうよね……。


(事前にわかっているのなら被害0にしてもらいたいところだけどね…流石に規模の問題があるか)


それとも、未来が見てもらえる!って長蛇の列を作られるのを避ける為の理由なのかもしれない。

さて、今回の内容としてはそれぞれの命に関わることだったのと、その中で特に危険だと言われたのがシュトレイユ王子であった事。
ただ…この件に関しては、王も王妃も気になっていた様で、原因を探っていたところだった。と、ルークが補足していた。

王族は基本的に守護龍によって、文字通り守護されている。
その王族の子供を龍が気づかないうちに害する事ができていたことに驚きだ、と言いつつ、その方法が一つしか思い浮かばなくて困っている、とも言っていた。


(でも一つは思いつくものがあるんだ?)


ルークの説明の仕方に少々呆れつつ、再び聞き耳を立てていた。

もう一つは……『星詠み』と言われる前だったので忠告ですらない様だが…と続けて説明されたのはセシリアわたしの事だった。
呪われていた、と。

これは私もびっくりなんだよねぇ。
いつ呪われたんだろう?

つい最近、ここ数日であれば、寝てるうちとか隙もタイミングもたっぷりありそうなものだけど。
それまでは、公爵家の敷地内から一歩も出たことがなかったのですよ…。
完全な箱入り娘でしたし。


「次に……明日の予定だが…」


何故だか途端に、ルークの声が遠のいていった。
気づけば、身体がぽかぽかだ。
あ、これは寝たな…と思った時には、すでに眠ってしまっていた。

だって、眠った!と思った今、朝だもの。
目を瞑って、ゆっくり開いたら朝でした的な全く寝ていた感じがないほどに、どうやら熟睡していたようだった。






******






目を開けると、至近距離に胸があった。
誰だこれ?
どうやら抱えられて寝てたようで、身動きが取れない。


(しかも毛布を被ってるんじゃなくて、私、潜っちゃってるじゃない!)


なんとか抜け出そうとしたけれど、ガッチリとホールドされている腕は緩むことがなくて、困ってなんとか首だけでもと上を向くと…鎖骨。
そうじゃない、首元が見たいわけじゃないんだ!となんとかもがいて毛布を跳ね除けると、緑の髪が見えた。ユージアだった。

寝るときは、小さく戻っちゃうはずじゃなかったのかな?
10代の姿のまま寝てる。
ていうか寝たままなのに、なんでこんなにしっかりとホールドされているのか……。


「おい……腕を退けろ」


どんっとユージア越しに衝撃をくらう。
どうやら、ユージアの背を叩かれたっぽい。


「まだ…ダメ。落ち着くまで…」


ユージアに優しくぽんぽんと背を叩かれ始める。
いや、落ち着いてるよ?
むしろ、しっかりホールドされすぎてて、そろそろ窒息しそうなのですが……。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...