私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
251 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

251、冒険が始まっちゃう?。

しおりを挟む




「……足手まといになるのを覚悟した上でも、それでも子供達の同行が必要である。と、いうことですか?」

「そうだ」


フィリー姉様が急に真剣な眼差しになって、ルークに確認をしていた。
そうだよね……移動・戦闘時、撤退でもそうだ、歩幅も体力の差もある。
どう考えたって危険な場所であればあるほど、足手まといな人員がいるだけで自分の安全すら脅かされてしまうことだってあるのだ。

意味なく連れ歩くのは、自殺行為になる。


「あぁ、話の続き、良いか?」

「あっ、はい」

「……まず理由の一つとして『監獄』の新たなる管理者は、セシリアだと思われる」

「ふぁっ?!」


え?とみんなの注目から逃れるために、気配を消すことに集中していたはずなのに、むしろ名前を呼ばれて、驚いて変な声が……。

なんで私の名前が、今ここで、このタイミングで、出てくるのか。
ていうか、あんなおどろおどろしい所の管理者なんて、全くもって嬉しくないぞ!?


「この腕輪だ」


変な声を上げてしまって固まっている私の様子なんて全く気にしている様子は無しに、私の腕をそっと上げてみせる。
私の右腕、その手首には水晶のように半透明で、少しだけ淡く水色がかったブレスレットがついていた。

このブレスレットは魔導学園の管理者の証だっていうのは、確かなのだけど『監獄』とは一切関係ないぞ?
……と思いつつ、一つだけ思い出したことがあった。


「セシリア、その腕輪を見せてくれるかい?」

「どうぞ……?」


ヴィンセント兄様にブレスレットを渡した。
私の腕から外れた途端に、水晶のような半透明のデザインではなく、女性がつけるには少々いかついデザインの大理石からそのまま削り出したような、まさに『腕輪』といった形状に変わった。


「普通…とは言い難いが、魔道具マジックアイテムの腕輪…かな?これは古代文字?それとも文様か?」

「これは元々、王宮で使っていた属性検査の石版だった物だ」

「あー!あの四角いやつ!って事は今は、王宮では詳細の検査ができなくなっているのでしょうか?」

「いや、同じものを手に入れる機会があってね、代わりに王宮へ納めてある」


そういや、そんな話を父さんから聞いてたな…。と、言いつつも不思議そうに腕輪を角度を変えながら真剣に観察している。


「それとその腕輪も、変形したとはいえ王家のものだからと返却を試みたのだが……」

「あっ……消えた」

「そうだ。少しするとセシリアの腕に戻ってきてしまう」


角度を変えながら真剣に見つめていた腕輪が、忽然とヴィンセント兄様の手から消えたのを確認すると、ルークは頷きながら再度私の腕を上げて見せる。
そこには外す前の、水晶のような華奢なデザインのブレスレットがはまっていた。


「ちなみにその腕輪の紋様のようなものは古代文字だ。『所有者以外の着用・使用ができない』と書かれている一文がある。……『所有者 セシリア』とも」


そしてこれが発動したことによって、強制転移魔法が発動したり、移動した先での施設利用が容易くできてしまったことが説明された。
……それが魔導学院の施設、ということは触れずに、だ。
その話し方に少しホッとする。

きっと魔導学院の話をしてしまったら、いずれ連れて行ってほしいと言われてしまいそうだから。
でも、安全だったとしても、連れて行きたくないんです。


(あの場所はシシリーわたしの大切な場所だったから、所以ある人ならともかく、それ以外は…身内でもイヤだ)


この感情、ダメなのかな?

そう思っている間にもルークの説明は続いて、セシリアわたしの魔力の質が、昔のこの腕輪の持ち主と似ていての強制的に所有者登録をされてしまったこと、そしてそのおかげといって良いのか……過去の施設が利用できたこと、この建物内の『開かずの間』も開けられてしまったことから考えられる事は……。


「この腕輪は、製造責任者のキーを兼ねていると思われる」


ですよね……。
実際、この腕輪をつけている時点で、私、魔導学園の学園長ってことになっちゃってるし、魔導学院は様々な魔道具の生まれ故郷だ。
例えば私たちが魔導学園から帰ってくるときに使ったゲートも、魔導学園が製造責任者だった。
だから定期的に、学園のスタッフや生徒が実習も兼ねて、ゲートの定期点検を行ったりしてたわけなんですよ。

パソコンとか、スマホにもそういう機能あったでしょ?確か。
なくしちゃったり壊れちゃった時に、遠隔操作で、サポートや修理してもらったり…あれですよ!

だから中央公国からの嫁入り道具として持ち込まれたこの建物も、管理権限は『ルークと中央公国の血筋に連なるもの』の他に、正確には『製造責任者』が設定されてたんだと思う。
トラブった時に、フォローができるように、ね。

特に大掛かりな魔道具マジックアイテムであればあるほど、前世にほんでいう所の特許のような利権が絡むので、製造責任者の登録が必須となっていたんだ。
……シシリーわたしもいくつか、特許のようなものを持ってたんだよなぁ。
まぁ、ここまで大それたものじゃないんだけどね。


「まず、この石板が腕輪へと変形して、セシリアの所有となった日と『監獄』の管理者が強制書き換えとなった日が一致する。『監獄』の施設の様式自体も、水の乙女オンディーヌからの報告から聞く限りでは、ここと同年代の作出のようだったというのも…理由の一つだが。単なる偶然かもしれないが……『監獄』への入場の手立てがない以上、試せるものは全て試したい」

「そういう事ですか……」

「それと、そこのユージアとセシリアは『監獄』に入ったことがある。正確には『放り込まれていた』のだが、内部の情報も欲しいようなのでね」


そう言いながら、ぽんぽんと頭を撫でると、おでこに頬をあててくる。

ぎゃあああ!
やめて?しかもみんなの前でとか…本当にやめて……。
悲鳴も口にこそ出さないけど、本当は叫びたい。公開処刑すぎるからね?!

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...