私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

284、国教って何ですか。

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「怪しげとか、普通に言われちゃうくらいの規模なら、可愛いものなのだけどね。メアリローサ国こちらのは国教に近い勢いで大きな宗教団体になっているからね」

「国教…では、ないのですか?」

「えぇぇ、ちょっと!国の王子がそれじゃダメでしょう?」


びっくりした顔でレオンハルト王子が聞き返すと、さらにびっくりした顔のフィリー姉様が、悲鳴じみた声で怒りだす。


「フォーレス教こそ…メアリローサの国教だと、習いました」


少し上擦りながらも、しっかりと返答するレオンハルト王子。
偉いなぁ…私ならこの剣幕でこられたら、固まっちゃう。

フィリー姉様が今にもレオンハルト王子に噛み付かんとする勢いに、セグシュ兄様がどうどう!と必死に宥めようとしていて、その姿に思わずクスッと笑ってしまったのだけど、そうか、やっぱり宗教って怖いね。

教育者に邪な思いを抱いたものが混ざると、こうなっちゃうんだね。
習っているのだもの、信じるしかないよね。


「はいはい、とりあえずみんな落ち着こう?話がずいぶんずれちゃったけど……良い機会だからついでにお勉強しちゃおうか?」


ヴィンセント兄様の静止の声でピタリと、フィリー姉様の動きが止まる。
レオンハルト王子は…うん、やっぱり怖かったね。
少し俯き加減になってしまって綺麗な金の髪に表情は隠れてしまったけど、口元が小さくふるふるしてる。
笑いを我慢している時もふるふるしていたけど、もっと今回は引きつるように震えていた。
きっと泣くのを堪えてるのだと思う。


『王子、ちょっとお手伝いお願いできますか~?』


あわあわとレオンハルト王子を慰めたいと思って椅子から…と思ったんだけど、この椅子高くて1人じゃ降りられないんだよね。
どうにか降りようともがいていると、ルナがレオンハルト王子に声をかけていた。


「今は……」

『良いから良いから!ちょっとこの子のお世話をお願い!助けてもらったお礼に、色々案内する予定だったんだけど、今すぐにはできそうも無いからさ、話を聞きながらで良いから、傍にいてやってくれない?』


ほらほら!と、椅子から下ろされて少し離れた場所へと連れて行かれるレオンハルト王子。
その先には……黒い小さな子犬がいた。

ぱたぱたと千切れんばかりに尾を振って、宝石のように丸くて赤い目をキラキラと輝かせている可愛らしい子犬……って、待て!
助けてもらったお礼って、その子犬…ヘルハウンドじゃ……?


「わかっ…た」

「兄様!僕もっ!僕もっ!」


レオンハルト王子は涙を拭うような仕草をしたあと、顔を上げると子犬…いや、あれは見れば見るほどにヘルハウンドなんだけど、まぁ子犬っぽいから子犬ってことで良いのかな?
そんなヘルハウンドっぽい子犬へと向かい、シュトレイユ王子も一緒にと、フレアに椅子から下ろしてもらってついて行った。


『うん!ありがとう!じゃ、2人とも!よろしくね』

『ついでに色々と教えてもらった良いよ、そいつ…もがっ…』


凄い勢いでルナに顔を掴まれるフレア。
そして満面の笑みのルナ……なんか怖いよ?!


『さぁ……フレア。僕たちは、やることあるよね?』

『あ、はい…』


笑顔で送り出すルナの隣で、何かを王子たちに吹き込もうとしてルナに顔面を掴まれ、痛かったのか、ちょっと涙目になっているフレア。
何を言おうとしていたのか……。


『ルナひどい。顔掴むことないじゃないか……』

『なぁに?掴まれたい場所のリクエストでも?』

『滅相もございませんっ!』


少々呆れつつ、視線をヴィンセント兄様へ戻すと…何故か乾いた笑いを浮かべていた。
あれ?と周囲を見回すと、みんな似たような反応で、えっと…精霊に関しては、どうしようもないからね?
基本暴走状態だから……。

でも、ここのところ、ルナがとても良い子なのよね。


シシリーの時むかしは、ルナの方が悪戯っ子で大変だったのに。成長したのかしら?)


ちなみにフレアは変わってる気がしない。
敢えていうならフレアも少しだけ、良い子になってる、と思う。

逆にいうなら、少しだけ良い子になってると思えるようなフレアが、今は悪戯っ子に見えちゃうほどに、シシリーの時の2人は手がつけられないほどの天邪鬼というか、悪戯っ子だったのですよ。


「…まぁ、レオンもレイもお世話しながらで良いよ。まず、メアリローサ王国の国教は…総じて言うなら『存在しない』……無いんだよ。ここで敢えて言うなら龍を祀っている。だから巫女という制度もあるし、王宮内の離宮だって、本来、一番豪奢になるはずの前王の住まいと同格の作りで、龍の離宮が存在している」


前王……つまりセシリアわたしの祖父にあたるわけなんだけど、健在です。
祖母ももちろん健在ですよ?

王位の継承は、王様が亡くなったから!という感じでされるわけじゃなくて、一般的には前世にほんの定年退職のように一定の年齢を節目として、世代の交代をしていくという感じになる。

まぁシシリーの時むかしに王の逝去によっての世代交代があった国はあったが『きな臭い』『王位継承で揉めたか?』などと噂された。


(理由が何であれ、それが本当の理由かどうかもわからないし、そんな子細な情報まで国民には届かないから)


それよりは王子の結婚と同時くらいに退位をして、数年は新王の補佐をして、新王の仕事が軌道に乗り次第、老後を謳歌する。
メアリローサの国もまさにそんな感じのようで、祖父母は健在、元気ぴんぴんしてたよ。

国民としても王様の葬儀から始まる新王の政治よりも、新王の結婚式から始まった方が華やかで良いわよねぇ。


「まぁ巫女の制度は基本的には使われていなかったから、セシリアも父様も困っているみたいだけど、調べてみたら存在自体は昔からあるものらしいんだ」

「あら、セシリアってば、この歳で国の要職に就いちゃったのね?凄いじゃない!」

「と、まぁ…フィリーのように『国の要職』と…そう考える人たちが多いからね。確かに『要職』ではあるんだが、守護龍と同じように龍に仕える巫女も政治には一切関知しない職だから。そこの扱いが紛らわしいからって、敢えて巫女を常時は置かなかったって表記の歴史書すらあった」


ま、今回に至っては自衛ができない状態で『花』というものに選定されてしまった私を保護するための口実らしいけどね。
現状だって、初出勤(?)はしたけど、巫女としての本来のお仕事自体は教えられていないし。
そもそも説明すら、されていないからね。

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