私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

285、見極めるための目。

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「フォーレス教は規模こそ大きくなってしまったが、実は単なる新興宗教なんだよ。それでも敬虔で善良なものであれば、国としても危険視するようなものでもないし、心の拠り所となるなら、宗教は人によっては、良いものだからね」


うんうん、とヴィンセント兄様の説明に、フィリー姉様もセグシュ兄様も浅くうなずいている。
私としては、宗教って聞くだけで、どうにも苦手で毛嫌いしてしまうものなんだけど。
まぁ、好きな人にとっては好きだよね。
そういう考えで良いのかもしれない。


「ただ……今回のように宗教どうこう以前に、団体として人を傷つけること、非人道的なことをしている場合は、どんな理由があれ、これはもう単なる犯罪者の集団だから。危険な組織という位置づけになるよね?」

「国としては国民を守る。そう考えたら、その組織がそのままそこに在って良いのか悪いのか…良いわけないよね?ただそれだけだよ」


ヴィンセント兄様の説明に、セグシュ兄様の説明が続いた。

それはもう『教会』という名の盗賊団でしかない。
名乗っているだけで、どう助けるどころか苦しめているだなんて、教会としての役目を全く果たしていないじゃない。


「まぁ、それだけなんだけどね『癒し手ヒーラーを教会が抱え込んでいる!腹を立てて国が一方的に教会を潰そうとしている』という噂が流れている。もう少し過激なもので言えば『教会の規模が国の目障りなほどになったから、司教と聖女が拘束された、助けなければならない』今回は後者の考えの者たちを煽動するようにして、教会も暗部を出して後ろから支援しての反乱だったそうだ」

「でもね、国としては教会が法を犯したという証拠をもとに『人身売買があった』『虐待があった』『私刑がまかり通っていた』『誘拐事件があった』こちらで動いてるだけだから」


またもやヴィンセント兄様の説明の後にセグシュ兄様の補足…というかこれはあれだね、セグシュ兄様が話しているのは国や、騎士団としての見解、それと正義感から来るものっぽい。
悪事を働いているのに、誤魔化されてしまうのは許せない。
まして、被害者の中には命まで搾取されてしまった者たちがいるのなら尚更に、だ。


「まぁ…あとは信者もそうだけど、国民たちがどちらを信じ、支持するか。それだけでも善悪という意味での印象が変わってしまうのが怖いところよねぇ」

「それでも国としては、踏みにじられた人たちを助けるのが第一だから……」


セグシュ兄様はとても優しい。
それがそのまま正義感へと姿を変えて、弱者を守るという発言につながっているのだろうね。

フィリー姉様はなんだろう?
妙に教会に詳しい感じだ。
元々は魔術師団の…確か父様の部下ではなくてね、技術部門だからルークの部署にいたらしいんだよね。
セグシュ兄様より口調も態度も好戦的だし、魔法の技術も確か上だったと母様が話していたから、実働部隊である父さまの部署じゃなかったのが、とても不思議だったんだけどね。


「王子たちも混乱はあるかもしれないけど、情報をただ教えられていくだけではなく、ちゃんと自分の目で、それは正しい事なのかと裏付けをとりながら、確かめながら憶えていく良い機会になったと思ってね」

「まぁ……今回は教師に困ったのが混ざってたからでしょう?しょうがないわよ」

「僕も…まだそういうのは少し早いとは思うけど…それでも、ね。悲しむ人を増やさないように努力することは大事だよ」

「「はい……!」」


レオンハルト王子とシュトレイユ王子は真面目な顔で深く、ゆっくりと頷きながら返事を返していた。
えらいなぁ。
3歳とか4歳児にそんな話をしなくちゃいけない環境も、そんな大人たちもどうなのかとは思うけどね、それでもその話を真摯に受け止められるのは凄いことだと思う。


(いや…なんというかね、普通の同年代って、そんなことをそもそも理解できるの?ってところからも感心しちゃうんだけどさ)


だって、前世にほんで幼稚園に通ってたら年少さんと年中さんだよ?
こちらの世界の子供達の発達が、早いなとは薄々思っていたけど、それにしてもしっかりしすぎだと思わない?






******






「さぁ、話を戻すよ?」


優しげなヴィンセント兄様の声とともに、ルナとフレアがそれぞれにお茶と焼き菓子をカートに乗せて運んできてくれていた。
レオンハルト王子は、落ち着いたのか席に戻ってきたところで『セシリアわたしの食事も終わってるし食堂からサロンへと移動して話そう』と、いうことで…遅くてごめんね?!ぞろぞろと移動した。

食堂の硬い椅子より、ソファーに沈むように座ってた方が話しやすいのかな?
ちなみに、ヘルハウンドっぽい黒い子犬はシュトレイユ王子のそばをくるくると周回するように走り回って王子と遊んでいた。
ちょっと羨ましい……!私も遊びたい。


その後は、紅茶や焼き菓子を片手に、ヴィンセント兄様からの説明が淡々と流れていった。


教会への強制捜査の結果、セシリアわたしが確かに教会内にいたはずなのに見つけることができなくて、父様がひどく意気消沈していたこと。

それと同時に、襲撃時の証拠を持って教会側から数名の拘束者が出たこと。
その名簿の中にはもちろん、ガレウス司教とフィア司祭の名前があった。

…ってあれ?フィアは聖女じゃないの?司祭なの?という疑問には、魔力持ちの測定結果が『光属性が使える』と、偽装されていたこと。
ほら、フォーレス教会って光属性至上主義だから、光属性持ちで高位の女性の名称が『聖女』らしいんだよね。
という事で、実際は持ってないらしいのよね。
一応魔力持ちではあるみたいなのだけど。

そして、ガレット公爵家襲撃時、セシリアとともに所在が分からなくなっていたゼンナーシュタットが帰還した。

彼の持ち込んだ情報によって状況が一気に動きだす。

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