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はじまりはじまり。小さな冒険?
310、呪いと解呪と精霊と。
しおりを挟むまぁ、豊富に魔力があるはずの2人が、こんなにもすぐに魔力切れになっているのは簡単な理由で。
前日も魔力切れで倒れちゃってるよね?
空っぽまで使い切っちゃってるから、満タンまでの回復までには、少しかかるんだ。
ゲームみたいに『一眠りしたら満タン!』だったら便利なんだけどねぇ。
(それでも、眠れば回復するんだ。呪いじゃ無いもの)
シュトレイユ王子の場合は、呪いの効果で徐々に衰弱していた。
毎日の食事に、守護龍すら気づけないほどに微量に混ぜ込まれた呪いによって、ゆっくり、しかし確実に、衰弱させられていた。
……限界までに。
ここで再度、微量でも呪いの混ざった食事を出されてしまった場合、今度こそ本当に命を失ってしまう。
そう、『良くなったから起きている』のではなくて『ギリギリ起きれた』だけだった。
呪いっていうのは、ある意味認識をねじ曲げて、身体や心にあり得ない状況を思い込ませて変調をきたす。そういう魔法だ。
わかりやすく言えば『爪は真っ直ぐ伸びるものだ』これが身体の当たり前の認識なのに、『呪い』をかけられて『爪は伸びてもすぐに折れて剥がれ落ちるものだ』と、認識を書き換える。
そしてその『呪い』の通りに…身体が機能して、爪に変化が現れてしまったのが呪われた状態。
(だから、薬を塗っても、損傷じゃないから治らない。だってその状態が身体にあるべき姿として作られてるんだから、治りようが無いよね?)
『解呪』とは、その間違って植え付けられてしまった認識を、元に戻す魔法なのだけど。
戻すためには、呪った時以上の力と、繊細な魔力の調整が必要なんだ。
折れ曲がって育ってしまった爪を、無理やり押し戻しても折れるだけでしょう?
折れないギリギリの力で矯正していく。
これから生えてくる部分は『折れにくい、剥がれにくい構造で爪を作ろうよ!』と作用していかなければならない。
……認識をねじ曲げられてしまって『元に』戻したくても、その『元の』姿を忘れてしまっているから。
『これが本当の姿なんだよ?』と長期間にわたって、教え込まなければならない。
そんな呪いで、死を願われていたとしたら?
……いや、まさに願われていたっぽいんだけど。
ヴィンセント兄様の解呪の治療と、精霊達のフォローがあっての、今の小康状態なのだそうだ。
その精霊達のフォローというのが、属性的な相性で、まさかのフレアが担当(!)で。
ただ、困ったことに均一的なフォローをするにはフレアはまだ未熟すぎるから、そのフレアをさらに風の乙女がフォローしている。と、いう状況になっているのだそうだ。
(守護龍と風の乙女の指導の賜物だろうか……気まぐれでその場を離れることなく、今の今まで、シュトレイユ王子のフォローをちゃんとし続けていたのなら、すごくえらい)
ここで問題になってくるのが、呪いを押さえつけているメインの力となっている精霊のフレアが……暴走状態なんだよね。
未熟なフレアに、さらに契約者も精霊使いとして未熟。
思いっきり不安定だから!
……という事で、下手な刺激でシュトレイユ王子に何かあってからでは遅いから、あえて動かさないという選択をとる事にした、と。
未熟でごめんなさい。
そしてその件で、一つだけ納得したことがあった。
ルナとフレアは悪戯っ子だけど、双子なだけあってとても仲が良くて、何をするにもいつも一緒なんだ。
なのに今回は、探索にしても突撃にしても、別行動がすごく多くて。
成長したのか?心境の変化か?と思ってたのだけど、動きたくても動けなかったんだね。
(魔力切れになって、身体の維持が困難になっても、姿を消さずに倒れてたのも、ちゃんと周囲に自分の状況を知らせるためだったんだね)
2人で鏡のように同じ事をするんじゃなくて、それぞれの仕事をちゃんとこなしていく。
簡単に見えて、2人には初めての仕事だったはずだ。
それを途中で投げ出さずに頑張れた。すごい事だ。
頑張ったんだね。と、今も給仕のために紅茶のポットを乗せたカートを押しているフレアへと視線を向けた。
『避難所』に来てから、料理はルナ、給仕はフレアみたいな感じで分担しているのか、ルナの姿はあまり見ない。
まぁ、見ない間にこっそりと、食材の調達に行ってるのかもしれないけど。
「ねぇ、今日は結局、帰るの?帰らないの?」
「ユージアは帰る。……これから、送る」
「……寝てるけど。ユージアが起きたら?」
「ああ」
少し離れたところからのシュトレイユ王子の質問に、答えるルーク。
そういえば…ユージアってば、養成学校の授業中に襲撃されて、逃げてきたんだもんね!
早く帰らないと授業遅れちゃうね。
「僕たち…は?」
「王子の治療次第……だな」
ルークの返答に、しょんぼりとしているのが遠目に見えた。
やっぱりお家が恋しいよねぇ。
というか、この場合はパパとママかな?
国王夫妻は無事だと聞いたけれど、まだその姿を確認していない。
せめて姿だけでも、確認できたら良いのにね。
「レイ、寂しいかい?」
「父さまと母さまが、お怪我をしていないといいなって…」
「ああ、無傷だよ。とても元気そうだったよ。ただ、お仕事が多くて、『避難所』へ来れないだけだから。」
「じゃあ、大丈夫!」
ヴィンセント兄様が心配そうに、シュトレイユ王子と話していた。
大丈夫!と、笑って見せる姿に、逆にしんみりとしてしまいそうになった。
だって3歳だよ?まだ3歳。
親に甘えたい盛りだからね?!
その気丈すぎる姿勢に、私の方こそ涙が滲んできちゃったよ。
と、まぁ、感心してたんだけど、その後に満面の笑みと共に、ポツリと呟かれた言葉に愕然としてしまった。
「だって、今日もまたみんなとお泊まりなんでしょう?」
「えっ……」
思わず声を上げてしまって、みんなの視線を集めてしまった。
でも、そうだよね、私もお泊まり確定か。
私の精霊と私が未熟だから、お泊まりなんだもんね。
うっかりだったわ……。
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