私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

311、お泊まり会と会場の使い方。

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「そうだね、みんなで・・・・お泊まりだね」


今にも笑い出しそうに、口元をむずむずさせながら、肯定するセグシュ兄様。
私を見て目を細めているヴィンセント兄様。
フィリー姉様に至っては思いっきり笑ってる。

ていうか、私も呪われてるって事すら忘れてたわ。
解呪のための居残りなら、私も該当者じゃない……。


「セシリア、ずっとここで暮らす!ってほどの滞在じゃないからさ……。早ければお泊まりなしで帰れるかもしれないよ?」


私がショックを受けているように見えてしまったのか、笑いながらも慰めるように優しく話してくれるヴィンセント兄様。
確かに違う意味でショックは受けてたんだけどね!


「この際だから、『避難所』の使い方をしっかり覚えておくと良い……一番必要になりそうだから…な」

「それは言えてる」


頭をポンポンと撫でられながらルークに、そしてとても真面目な顔で一緒に同意するレオンハルト王子。
えぇぇ、ちょっと待って?
それは言えてるって、そんなふうに言われるほど……あ、必要かも。
言われてみれば、ここのところ、トラブルの連発だったもんなぁ…。


「気づくと居なくなってるもんな」


うんうん、とエルネストまで……!

そんなことは無い!…はずなんだけどなぁ。
言い返したいのに、今回の件のあらまし的な話をヴィンセント兄様をはじめとする、大人たちの説明を受けた直後では、全く説得力がない事に気づき、少し悲しくなる。


「ま、まぁ、セシー?使えないよりは、使えた方が便利かも?くらいで良いから、覚えておいてよ。……カイとエルは使えないから、助けてあげて?」

「そうね、ユージアはもちろんだけど、2人は覚えてても使えないから……セシリアが一緒にいる時は、守ってあげてね」


セグシュ兄様とフィリー姉様まで……。
この2人は、思いっきり悪戯っぽく笑ってたけどね!

でも、そっか。
兄弟にはなってしまったけど、『クロウディア様の血族』という条件は満たせてないから。
ここに緊急避難するのであれば、2人は王族か、私たち家族の誰かしらと一緒じゃないと、来れないと言うことになる。


(兄弟になったのなら、そこも同時に対応してくれたら良いのにね)


そんな話をしつつ、ルークから『避難所ここ』に来るための『おまじない』の方法を教わった。
どんな複雑なものなのかと思ったけど、よくよく考えたらとっさに使えないと意味がないんだものね。
子供でも簡単にできそうなものばかりで安心する。
内容としては、指で一筆書きできる簡易の魔法陣を使っての入室方法と、合言葉を使っての入室方法を教わった。

発動条件はどれも『壁に手を当てて』行う事。

緊急時、壁に触れることができない時は、床を踏み込むのでも良いのだそうだ。
ただし、その場合は壁の向こうに通路やドアが現れるのではなくて、足元に入り口ができるので……つまり廊下に落下するということになる。
緊急時とはいえ、着地失敗しての負傷というのも情けないので、注意するようにと言われた。

落とし穴かよ!って、エルネストやレオンハルト王子が笑ってたけど、ほら、女の子はこれから豪華なドレスやヒールなんかを履いての行動っていうのが増えるからね。
あんな動きにくいものを履いたままの行動で、咄嗟に……!って避難だったらと考えると、笑って聞き流しつつも、いずれ絶対にそれ、足を挫く程度の事はやらかすだろうなぁと思ってしまって、内心としては素直に笑えなかった。






******






「姉様……レイが」

「そうね、ベッドに運ぶから、エル、お手伝いお願いできるかしら?」

「はい!」


そんなこんなで、どうも会話の内容的に、私がトラブルメーカーのような扱いを受けつつ、現状の説明や確認を聞いていると、シュトレイユ王子が子犬を抱えたまま眠ってしまっていた。
そっと子犬を解放させると、エルネストとフィリー姉様によってベッドへ運ばれていった。

シュトレイユ王子……呪いでの体力不足が無くなったら、どんな子になるんだろう?
ぼんやりしていた部分が実は性格的なものではなくて、体力不足からのものだとしたら、かなり活発な子になるんじゃなかろうか?と考えてしまう。

そして、ヴィンセント兄様とセグシュ兄様が少し悲しそうに、ベッドへと運ばれていくシュトレイユ王子へと目をやっていたが、あれは呪いでの体力不足が原因というよりは……。


(あれは単純に、昼寝の時間だから!……だって、私も眠いし)


普段ならそれでも、お菓子やお茶を口に入れてれば、なんとか誤魔化せそうなものではあったのだけど、今はルークの膝の上なんだよね。

なんというか、人肌の温もり?
抱えられている安心感もあって、睡魔の強さが半端ないのですよ。
頻繁に感じる浮遊感と覚醒…つまり、うとうと…はっ!ということを、ルークの膝の上で繰り返していたようで、向かい側に座っているヴィンセント兄様が、目を細めるようにして私を見て優しげな笑みを浮かべているのが、ぼんやりとわかった。


(いやいやいや…今寝ちゃったらダメだからね?……ダメなんだけど、眠い)


ふあぁ。と、思わずあくびまで出てしまうと、トドメと言わんばかりに、ルークが背をポンポンと優しくさすってきて、完全に意識が飛びかける。


ちなみに『避難所』の説明が終わってからは、フィリー姉様が最近の出来事を、母様のような弾丸トークで話していた。

主にフィリー姉様の情報網のご披露といったところで、派閥がどうとか、貴族の中でも今回の反乱に大きく協力をしていたもの達が!という、まぁ……御家騒動的なお話っぽかった。


(貴族ってそういうところは、狡賢い人が多いから、うまく誤魔化して逃げ果せてしまうのが世の常なわけだけどね)


今回に関しては、ヘルハウンド達、闇の妖精達が大暴れしてしまったせいで、証拠付きでしっかりと捕まってしまった。

つまり大手を振って協力をしていた貴族は……廃嫡どころか、絶家、つまり爵位の取り消しもありうる状態になっているそうだ。
なので、腐敗している貴族達の一掃、そして総入れ替えになるのでは?と、各々で戦々恐々としているのだそうだ。


(ま、そこは自業自得かなと思う。貴族は領地に戻れば統治者だ。領民を守らなければならない人たちが、逆に苦しめるような行動をとるなってお話だよね)


そんなこんなを耳に入れつつ、気づけば完全に夢の中に落ちていた。
ちゃんと、フィリー姉様の話を聞けるくらいには睡魔に打ち勝てて、集中できてたと思ってたのに!
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