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はじまりはじまり。小さな冒険?
326、守護龍にお願い。
しおりを挟む「守護龍に、そんな事…頼んじゃっていいんですか?」
「まぁ、守護龍だから…どちらにしても王都の真下で、人が倒せないような高ランクの魔物が暴れてるのは、守護する立場上、見過ごせないと思うよ?」
エルネストの質問にいたずらっぽく笑むと、大丈夫。と答える父様。
この国の守護龍の性格を考えれば、立場なんて関係なく動いてくれるだろうけどね。
中央公国の守護龍もそうだったし。
(……あれ、そういえば星詠みのクロウディア様の記憶ってシシリーの死後だよね)
中央公国の守護龍はどうなったんだろうか?
魔物の氾濫に、一人で戦っていたのだろうか?
魔物の群れにのみ込まれてしまった中央公国。
まさか守護龍も一緒にのみ込まれてしまったなんて事はないよね?!
とても優雅に空を舞う白銀の龍。
今でも、脳裏に焼き付いて離れないほどに美しい守護龍だったんだ。
ルークの誕生日プレゼントにと、時計のデザインのために飛翔の姿を見たいというお願いを快く引き受けてくれた。学園長経由だけど。
……今もどこかで無事でいますように。
「動いてくれるだろうか?」
「……動くよ。シュトレイユ王子を助けるためでもあるし。絶対に動くよ」
とても不安な祈るような面持ちで、父様に聞いてくるレオンハルト王子。
やるやる詐欺には…ならないと思う。
大丈夫、大丈夫。と、呪文でも唱えるみたいに、先ほどみたいに笑みを浮かべると、レオンハルト王子の頭を優しく撫でた。
「レオン王子は優しいね。頑張り屋の、良いお兄ちゃんだ」
「えっ……!」
父様の台詞は予想外だったのか、レオンハルト王子は大きく目を見開くと、見る間見る間に顔を紅潮させていく。
そういう褒められ方をされた事がなかったんだろうか?
そのまま恥ずかしそうに両手で頬をおさえると、俯いてしまった。
……可愛い。
******
「私…守護龍を呼んできます!」
今までずっとシュトレイユ王子のそばにいて、無言だったソフィア王妃が声をあげた。
即座に母様が首を横に振りながら、小さく息を吐いた。
「ソフィア、あなたはレイ君の傍にいてあげてちょうだい。私が呼んでくるわ」
「では、同行しよう」
父様が、私を膝から降ろすと、すっと立ち上がり母様のもとへ歩み寄ると、美しい所作で手を差し伸ばす。
今からダンスの誘いをしているかのような優雅さで。
母様の反応を伺うように、いたずらっぽく笑いながら首を傾げる。
「あらあら、貴方が護衛だなんて、心強いわね」
母様はふわりと楽しげに笑んで差し伸ばされた手を取り、ソファーから立ち上がると、美しいカーテシーをして見せる。
「恐悦至極に存じます」
父様も相変わらずの悪戯笑顔のまま、胸に手を当てると、深々と礼をした。
騎士団の最敬礼だった。
******
自分の両親だ!と思いながらも、その美しい所作、絵になりそうな2人に思わず見惚れてしまっていた。
良い子で待っていてね?と、母様の声で我に返った時には、二人の姿がドアの向こうへと消える直前だった。
「……何やってんの。あのバカ夫婦は……」
「フィリー姉さん…やっぱり旦那さんと……いてっ!」
「それ以上言ったら、あなたの婚約者にも、いろいろとお話が……必要かしら?」
「あ、いや…ごめんなさい」
「わかればよろしい……って、ほら!セグシュのせいで、ちびっ子たちまで心配そうな目で見てるじゃないのよ!!」
フィリー姉様とセグシュ兄様の、この漫才のような言い合い、仲が良いからこそなんだろうけど、毎度変な違和感があったのだけど、唐突に謎が解けたわ……。
(この2人が問題なのじゃなくて、外見に問題があったのね!)
ちょっと変わった方向に、この2人は両親にそっくりだから。
なのに関係は、刺々しい方向での中の良さ……。
(だって、父様と母様はこんな貶し合うような言い合いはしないもの)
フィリー姉様は、髪の色が母様と同じなのだけど、目というか顔はとてもはっきりとしていて、父様似なんだ。
セグシュ兄様は、髪の色が父様と同じで燃えるような赤なのだけど、顔はどう見ても母様似。
性格も多分、逆。
そのギャップというか、違和感がずっと変な引っ掛かりになってたみたい。
「大丈夫なのか?」
なるほどねぇ。と、1人で勝手に納得していると、フィリー姉様に追い討ちをかけるかのように、本当に心配そうな顔をしている、ヴィンセント兄様の声が聞こえた。
「ヴィンセント兄様までっ!はぁ…大丈夫ですよ。何の問題もないわ」
「……本当に?」
「本当です。……私の旦那も…へなちょこな癖にあんな感じの態度だから、はたから見た時の周囲への甘さの衝撃に、呆れ返っていただけですわ」
ジト目になりつつ、フィリー姉様はため息をついた。
でもさ、自分の旦那をへなちょこなんて……。
「へなちょこ?」
「へなちょこって……」
言っちゃダメだよ?って思ったら、エルネストとカイルザークが思いっきり聞き返していた!
「ああ、フィリーの旦那さんはね、文官のタイプなんだよ。で、フィリーは騎士団出身だから……」
騎士と聞いて即座に「女性騎士……格好良い!」と、目をキラキラさせたのがエルネスト。
「魔術師団ですか?」と聞いたのがカイルザーク。
女性だし、魔術師団かなぁ。
いや、騎士団にも女性がいるのは知っているけど、かなり体格が良いから。
そんな彼女達と並べると、かなり華奢に見えてしまうのよねぇ。
「いや、騎士団だよ。格好良いだろう?」
ヴィンセント兄様の声に、思いっきり目をキラキラとさせて頷くエルネスト。
魔法もだけど、騎士にも憧れてるのかな。
子どもらしい感じで思わず和んでしまう。
「なに目を輝かせてるのよ、そんなに憧れるなら、あなたのメイドに習えば良いでしょう?私の基礎はセリカに教わったのよ?あの子だって凄いんだから!」
と、和みが一瞬にして吹き飛ぶ言葉をフィリー姉様からいただきました。
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日頃の身のこなしから、強いだろうな?というのは思ってたけど、教えられるほどに強いんだ…!
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