私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
327 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

327、ちょっとだけ、お勉強の時間です。

しおりを挟む



「周囲が凄すぎるだけで…セリカだってメイドなんかさせてるのが勿体無いくらい優秀なんだからね?!あんた達、セリカを困らせるんじゃないわよ!」


困らせてないよ!と、反射的に答えようとして…いや、困らせてるかも?ちょっと自信がなくなって困ってしまった。
『私、良い子だもん!』と、胸を張って答えるには、ここ最近の出来事が酷すぎて……。


(ほとんどが不可抗力だと思う!思うけど…でも3歳児がずっと家に帰らない状況とか、無いよね!あってたまるか!という感じで)


正直なところ、前世にほんで幼児が親から離されて、こんな長期で帰宅できていない状況とか、ありえないもんね。
考えれば考えるほどに、セリカに会いたくなってきてしまった。

これ、反論できないなぁ……と、思わず唸りそうになっていると、フィリー姉様はニヤリと意味深な笑みを浮かべる。


「それと、私。最終的には魔術師団所属だから。どっちの所属かなんて、関係ないわよ」


……それって、どっちにいても大丈夫!ってことですよね。
フィリー姉様って、やっぱりすごい人!
噂で、ガレット公爵家うちの子達はそれぞれに優秀だとよく話されてるそうだけど、まさにそれを体現しているなと感心してしまう。


(そんなの貴族なんだから、所属にねじ込んで仕舞えば問題ないでしょう?って思うでしょう?)


実際そういう風に所属を希望する貴族もいるそうだけど、長くは居続けられない。
いや、そういう人に限って実力が伴わない…というか実力が無いからこその、無理言って所属してくるんだものね?

そもそもが、実力主義とは言いつつも男尊女卑が普通にある世界だから、そんなところで胸を張って活動できている時点で、とても優秀なのだけどね。
一昔前の前世にほんじゃないけどさ、女の子なんて『どうせ結婚して家を出てしまうのだから学は要らない』とか『家同士を結びつけるための駒』そんな扱いが、いまだにあるような世界だから。

そんな世界で、偏見をものともせずに活動できていたという事が、何よりもすごい。
家柄や、上層部に両親がいたとしても、実力がなければ到底無理な話だもの。


「な、何よ……褒めても何も出ないわよ?」


フィリー姉様は照れたみたいに視線を背けつつ笑う。
今までの強気な態度からの皮肉げな笑みと違って、とても満足そうな優しい笑顔だった。






******






「守護龍は、本当に手伝ってくれるのかな?」

「レイを助けるために、動くよ」


エルネストが不安そうに、レオンハルト王子が希望にすがるように話している様子を、ぼんやりと見つめつつ紅茶に手を出す。
なんかもうね、父様の膝の上にいる間に食べすぎちゃったみたいで苦しくて、ひたすらに喉が乾くんだよね。
あと、昼寝したばっかなのに、眠い。
……大事なお話が盛り沢山なのに、不謹慎かもしれないけど。


「でも、国のイザコザには口を出さないって聞いたけど……」

「……っ!」


エルネストの言葉に、うっと言葉が詰まってしまったレオンハルト王子。
……不安なのはわかるけど、エル、そこでレオン王子を論破しちゃダメだよ。

見る見るうちに顔を紅潮させて俯いてしまったレオンハルト王子。
その様子に気づいたエルネストが「しまった!」という顔をしていたけど後の祭りです。本当に。


「確かに政治的な問題には、絶対に口を出さない……って、そうか。守護龍が動く基準がわからないのか」

「……すみません」


ヴィンセント兄様がみかねて口を開く。
それと同時に、お茶のおかわりを持ってきていたフレアが、俯いたまま固まってしまったレオンハルト王子をソファーから抱え上げると、その背をさすりながら食堂へと連れて行ってしまった。
フレアの肩越しにふわふわとレオンハルト王子の見事な金髪が揺れていた。

……心配事や状況の変化や、いろいろな出来事が一気に身に降りかかってしまって、感情としても限界だよね。

そんな様子を視界に入れつつ、ヴィンセント兄様は話を続けていく。


「いや、普通なら知らなくてもいいことだから。守護龍が政治的な問題に口を出さないのは、人間達の祭りごとに全く・・興味がないからだよ。まぁ、それでも龍は神様じゃないからね。感情だってある。目の前で人が倒れれば心配して介抱するし、美味しそうな露店を見つけたら、こっそりと人族に紛れ込んで舌鼓を打ってたりするわけでね」


思ってるより人間臭いでしょ?と、笑みを浮かべる。
まぁ、生きてるから世界への興味もあるし、そういうところからの贔屓だって生まれる。
絶対的に、誰にでも必ずしも平等でなければならないという縛りの中にいる生き物ではない。
縛られる必要もないもんね?


「そして、これは守護龍の由縁にもなるのだけど『守護の契約』は初代の王様と交わしたものだけ・・だ。つまり本来守護されるのは初代の王様だけ」


ええっ!と、エルネストが目を見開いている。
今までの説明からだと「今は守護されていない」って聞こえるもんね。


「ふふっ……エル、すごい顔になってるよ!びっくりだろう?大丈夫、実際は国ごとしっかりと……王が代替わりをしても守護されているからね」


エルネストの表情を見て、思わず笑ってしまったヴィンセント兄様。
少し長めの金の髪がふわりと揺れる。
相手を安心させるような優しげな笑み、ではなくて、端正に整った顔のパーツ全てをくしゃりとさせる楽しげで、思わず見惚れてしまう笑みだった。

セシリアわたしの兄ではなくて、本当はレオンハルト王子の兄なんじゃないの?と思うほどに外見が似ているから、レオンハルト王子も自然と笑えるようになったら、こんな感じなのかな?と重ねて見てしまう。

それにしても、なかなかに破壊力のある笑みだったから、世の令嬢たちからモテるだろうなぁとか思いつつ。


「それこそが龍の優しいところでね。契約の時に『君の血に連なる者の守護をしよう』って言ってくれたのだそうだよ。……国の守護に関しては本当についでっぽいけど。だから、王家の血筋が途絶えてしまったら、龍の守護も終わり。国の存続のために新しい王がたっても関係ない。…そもそも国の祭りごとには無関心な龍だから、ね」


エルネストが言ってた『政治的なことには絶対に口を出さない』が、ここで使われた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...