私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

337、分離作業と魔力不足。

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「最近とは、いつ頃か…わかるか?」

『ここ2、3日です』

「それまでは生存していたのか…?」


ルークの問いに父様が顔を顰める。
私たちがもう少し早く『監獄』へと入場できていたなら、助けられたのかもしれない、命だったからだ。
……それが、たとえ罪人でも、だ。


(罪は償ってもらう、でもその場で死んで良い命では、無いと思う。無いとは思う。けど、ユージアや『籠』へと閉じ込められていた子たちは、どう思うだろうか?大切な我が子を奪われた親たち…ルークもだけど、どう思うのかな?)


前世にほんでは、それでも『犯人の更生は可能かどうか?』という観点からの刑罰の判断になる。
今世いまのメアリローサ国では…うん、普通に敵討ちとか、あるから。
犯人の更生云々より、被害者たちへの感情が重要視される。


(亡くなってしまっている子が多いし、助かった子も、きっと後遺症が出る。あの状況からだとそれが容易に想像できた。しかも王族にまで手を出しちゃってるわけで。あ、反乱も起こしてるのか!)


流石に悪さのしすぎだよなぁ。
むしろこれじゃあ、助からなかったほうが幸せかも?と思えるような極刑になる気がする。もしくは死刑か。

……ちなみにメアリローサ国には死刑はなかったと記憶している。
無いけれど、ほぼ死刑と同等の刑ならいくらでもあった。

ほら……犯罪奴隷というのとか…ね。
私たちが王都へ帰る時に乗せられてた、馬車がまさに犯罪奴隷用で。


『残念ながら…。傷みが激しいものが多いので…。彼らの生存はそれよりずっと以前になります』


身体は寝ているはずなのに、無駄にはっきりとしている思考に戸惑いつつも、ルナやルークの声に耳を傾ける。


「閉鎖以前にすでに死んでいた。と?」

『はい』


淡々とルークとルナの会話が続いていく。
ルナの口から説明された『傷みが激しい』『すでに死んでいた』『彼ら』その言葉に、悲しくなる。

今回の遺体は、加害者である教会関係者ではなくて、被害者のようだった。
……どれだけの人間が、教会の餌食になっていたのだろうか。

闇の妖精たちの『宝』ではない時点で、墓地から盗まれた遺体ではない。
そもそもが亡くなっても墓地にすら入れてもらえなかった遺体、と言う事になる。

『監獄』に、ただ死を待つだけの状態で放置されていたユージアの姿と重なる。
鮮明に浮かび上がる、あの痛々しい姿。
フラッシュバックのように現れた光景に、激しい怒りを覚える。


(あの時は逃げる事に集中していたから、気にも留めなかったけど、他の牢にも同じように放置されたまま、死を迎えた者の遺体があったのだろうか?と言うか、あったんだね……)


実際、あの時だって魔物化した遺体……ゾンビたちのことだけど、かなりの数がいたものね。
先日の濃い瘴気に当てられて、それまでは遺体のままだった者が、新たに魔物化してしまったと言ったところなのだろう。


「閉鎖時、ここには生存していた者が居たはずなんだが…」

『今まで回収した宝の中には、ありません』


「あれば、妖精たちが許さないだろう」そう、言葉が頭に響いた。
……これはルナの思考だ……と思う。この不思議な状況は、ルナが会話だけでも聞こえるようにしてくれてたのかな?と今更ながらに気付く。


「……どう言う事だ?」

『ここには闇の妖精たちが「宝」と呼べる者しか、無かった。と、いうことです』


父様の、苛立たしげに吐かれた息が聞こえる。
つまり元々の『宝』では無いけど、教会の関係者でも無い遺体だった、ということだ。
どう考えても、被害者ですよね……。

怖い、痛い思いをして、最期は『監獄』に棄てられて。
どれだけ悔しかった事だろう。
そうして、気づけば魔物化して、飢えて、飢えて……。

……やっぱり、許せる気がしない。


「全て、片付ければ…わかる事だ……」


ルークの声が、心なしか暗い。
これは怒ってる。
顔色にこそ出さないけど、怒ると声が低くなる癖は、今も健在なんだね……。

徐々にぼんやりと、意識は起きているはずなのに、気怠く、頭の中が空洞になっていくようなおかしな感覚が始まる。


「一応、ドアの向こうは何も気配を感じなかったけど、進むか?」


ルークと対照的に、父様の声はワクワクと、何かに期待を込めているような楽しげにも聞こえてしまいそうな声だった。
探索、楽しみなのかな?


「いや…。一度帰る……個人的には、このまま中心核まで一気に行きたいところだが『鍵』が無い」

「鍵……?」

「宰相……セシリア嬢、寝ちゃってるんだよ!ふふっ」

「あれっ?!……あぁ、魔力切れか。頑張ってたんだな」


ルークに『鍵』と言われて「そんな物あったっけ?」と、なりかけてたのだけど、守護龍の一言のおかげで気づく父様。そして……。

『鍵』ってセシリアわたしのことかぁぁぁぁぁぁあっ!!

でもそうか、鍵だよね。
監獄ここ』の管理者としての権限が少しでもあるのだから。
そうでもなけりゃ『監獄こんなとこ』にセシリアわたしの同行なんてさせなかったよね。
あからさまに戦力外どころか足手まといだし。

こうやって魔物との戦闘があるのを考えたら、わざわざ幼児を連れて歩く必要、無いもんね。

って、あれ?
そもそもなんでこのメンバーでここに来たんだろう?
どうやって?


「ルナも限界のようだね。帰って良いよ。君が戻るまで、私がそばにいよう」


ルナに向けられた、守護龍の優しげな声を聞いた後、ぶつりと私の意識が途絶えた。






******





(思いだせ~思いだせ~……思い出せないっ!!)


風呂上がりスッキリ!…じゃなくてグッタリ!なセグシュ兄様の案内でフィリー姉様がレオンハルト王子たちを運ぶ手伝いでお風呂へと行ってしまったあと。


「えっと……」


ソファーセットに戻るにしても、私だけになってしまった。
遠目にベッドへと視線をやると、フレアがソフィア王妃と会話をしているのが見えた。
これは邪魔しちゃダメだろうなぁ。と思って、でも寂しいので『避難所』にきたばかりの時に、ちょっと狙っていた目的どおりに動くことにした。

お部屋探検である。


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