私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

349、お昼ご飯ですよ!。

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 ほら、『避難所』の性質上、多少の粗相なら自然回復するから。

 壊れたわけじゃ無いからさ、濡れただけなら全然怖くない!と、いう事と、大暴れしても大人たちにも被害が行かないほどにサロンは広かった……。
 これ、課題とはいえ、大人たちに水がかかったら思いっきり怒られてそうだし。

 ちなみにそんな騒ぎの中でも、一度寝てしまったシュトレイユ王子は起き流気配がなくて。
 眠りが深いのか、呪いからの体力の消耗が激しすぎるのか……。


(ただね、ヴィンセント兄様が定期的に解呪をしている成果が出てきているようで、顔色はずっと良くなってきているんですって!)


 シュトレイユ王子の呪いの場合は、道具を使って魔法としての呪い部分と、人の命を使っての呪いの部分とが複合的にかかっている状態なのね。
 こうやって考えてると、人の命の部分って、呪いというより祟りって感じだよね。
 ……で、ヴィンセント兄様の解呪は、魔法としての呪い部分を消していくものだから。

 解呪の成果が出てきたという事は、呪いの威力を半減させることができたという事になるんだ。
 まぁ徐々に消していくものだから、現状すでに半減っていうわけではなさそうだけど。

 子供は元気が一番だもの。
 ……元気すぎて面倒なこともあるけど、それでも元気で笑ってくれてるのが良い。
 早く元気になってね。と、心の中で願う。


(ちなみに私にかかっている呪いは……『発達の遅延』らしいんだけど、正直、解呪が効いているかどうかはっきりしないんだよね)


 どうやら元から発育がゆっくりみたいで、そもそもが呪いもちゃんと効いていたかもわからない感じみたいだった。
 ヴィンセント兄様が解呪をしてくれる時もそうだけどさ、みんなも私の呪いの話になった途端に笑うんだけど、扱いが酷いよね?!


『ご飯できたよ~って……ずいぶん趣きのある部屋になっちゃってるね?』


 フレアが食堂の入り口からひょこりと顔を出して、燭台だらけになったサロンを見渡して不思議そうにしている。






 ******






 ぞろぞろと食堂へ移動すると……というか、私、ルークに抱っこされたままなのですけどっ!

 なんかもうね、この状態を見つめるフィリー姉様の視線が痛いのですよ。
 そして、大体その隣では、セグシュ兄様が困った笑いをしている。

 そうそう、今回は食堂へソフィア王妃も一緒に来たんだよ!
 代わりに、ヴィンセント兄様と母様がシュトレイユ王子のそばでお留守番。
 今のうちに『解呪』をしてしまうらしい。


(……まぁご飯の後、子供たちが課題消化のためにサロン中を駆け回るから、集中して『解呪』できないもんね)


 ソフィア王妃をエスコートするように、手を引いて歩くレオンハルト王子が見える。
 その表情が心なしか嬉しそうに見えた。
 非常時とはいえ、やっぱり寂しかったよね。


「あら……今日のお昼は、お米?華やかねぇ」


 大人の席には小さなスープボウルをお椀に見立てて、炊き込みご飯があって……。
 子供たちの席には大皿におにぎりになって、盛られていて、甘酸っぱい梅の花のような香りが、部屋中に広がっていた。


「桜ごはんだ!」

『お、エル、あたり☆……食べたことがあるのかな?』

「うん…あ、はい。お祝いの時に」


 エルネストの満面の笑みが見えた!って、食事の時にしか見ないんだよなぁ。
 それにしても、やっぱりメアリローサの南の方の地方は、日本食に近い食事が多いみたいで、私に馴染みのある食事が、そのままエルネストが喜ぶ食事となっていた。

 ちなみに桜ごはんとは、桜の花の塩漬けを炊き込んだものでね、炊き込む時に梅酢を入れると、桜の花の見栄えと梅の香りとで、華やかで美味しい炊き込みご飯になるんだよ。

 春の桜を塩漬けにして、梅仕事で一番初めに塩漬けにした時に採れる白梅酢、そして赤紫蘇を足した後に採れる赤梅酢……ってあれ?
 作ったにしても昨日の今日じゃ、早すぎない?


『セシリア、御名答あたり~。昨日手伝ってくれた梅ね、すごく良い状態のものだったみたいで、一晩で結構な白梅酢が上がってたから、白梅酢は出来立ての自家製を使ったの。でもね赤梅酢は流石に間に合わなくてね』


 フレアが説明しながら、嬉しそうにふふっと笑う。
 そうやって笑いつつも、その手はテキパキと手際よく周囲への給仕をこなしている。

 この子たち、悪戯ばっかりしてた時よりずっと良い顔で笑うようになったなとか、感心しつつも、ちょっと思うのは、興味が食事に……って、精霊は食事しなくても特に問題のない生き物なのよねぇ。
 こんなに情報を集めて、実践までしちゃって……どうしたいんだろう?


『この赤梅酢は「1年もの」らしいよ!梅を買った時に一緒に分けてもらってたんだ。ここまで発色するとは思ってなかったけど、綺麗でしょう?』


 蛍光のピンク色!とまではいかないけど、ご飯がほんのりと上気したような優しい桃色に染まっている。
 まぁ、焼きそばなんかに添えられてる紅生姜も、この赤梅酢を使って作れるからね……発色の良さは折り紙付きですよ。


(ていうか、思考読むのやめて欲しい……『御名答』って、私、何も言葉発してないじゃないか!)


 そう思ってるうちに、ルークの腕の中から、ストンと椅子に降ろされた。
 何も言ってないのにあっさり解放されて、ちょっと嬉しいなと思ったのだけど……うん、そうでもなかった!
 座らされたのは、ちょうど子供たちの席と、大人たちの席との境目で、しっかりとルークのお隣でした……。


(解放されたら、母様の隣に逃げ込もうかと思ってたのに、逃げそこなってた……!)


 ちなみに向かい側にはソフィア王妃とレオンハルト王子。
 レオン王子、本当に嬉しそうだなぁ。

 大人の食事はコース料理のようにお皿に個々に盛られて運ばれてくるのに対して、子供の料理は、テーブルの中央にドーンと、ケータリングのようにまとめて盛られていて、食べたい量だけ自分で皿に盛っていくという感じになっていた。
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