私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

406、それぞれの出発地点。

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 私が生真面目すぎるのかしら……大人たちの話を聞き逃さまいと、必死に聞き耳を立てているのは、私だけ。
 他に子達は本当に、ゆっくりお茶してる。
 ……話の内容は、ちょっと真面目っぽいけど。

 って、このまま続けてたら私、聖徳太子並みに、同時に会話を聞き分けられるようになりそうだわ。


「まぁ、これがエルを養子として迎えるために、公爵夫妻が個人的に調べたものであれば、きっとすぐに教えてくれてたと思うよ」

「わかった……待つ」


 神妙な面持ちで、深く頷くエルネスト。
 やっぱり、気になるよね。


「ちなみにね?…こういう情報を簡単に都合よく一定の人にバラして、怒りの対象をライバルに向けさせるってのが、教会がよくやってた『個人情報を握って』できる悪事だよ~☆」


 にんまりと笑ってみせながら、大きなクッキーを口に運ぶ。
 ……でもそれ蛇足だからね、ユージア。

 そして……実はですね、私の背後でこんな会話が展開されてる間に、‭疾うの‬昔に私の順番は来ていたりしていて。
 大人たちの会話に、がっつり耳を澄ませている真っ最中でした。


 内容としては、私の誘拐の発端から立案、実行。
 ……その結果。

 まぁ、転々と移動しまくったからね。

 ひとまずは『監獄』脱出して『聖樹の丘』から王都へ、そして教会へと運ばれたところまでが説明されて、それぞれの状況や行動が、報告通りであっているか?と、確認されていく。

 まぁ、何度も父様やルークに確認され続けたこともあって、返事しなくても、前世にほんでよく見てた、ドッキリテレビ的に、私の後ろで一部始終ビデオ撮影でもしてたんじゃないの?ってくらい、詳しすぎるくらいに内容がまとめられていた。
 肯定も、補足も必要ないほどに。


「さぁ……エル、君の番だ。ここからは、しっかり聞いた方が良い」


 一瞬、ちょっとだけ真面目な顔になって、ゼンナーシュタットが声をかけていた。
 きっと、さっき話していた、エルネストの出自のお話もされるのだろうか…?
 でも、エルネストの出自は…教会とは関係ないよね?
 エルが1人になった原因も、外見がどうとかって、言ってたし。


 外見かぁ…エルネストはとっても可愛いのにね。
 淡い藤色の髪はふわふわのサラサラで、光の加減では赤くも見えるオレンジ色の瞳も素敵。


(しかももふもふの耳としっぽつき!)


 兄様たちが笑ってたけど、髪の色が光の当たり具合でセシリアわたしと同じように見えるらしくて。


『並んでると兄妹に見える』と、笑っていた。


 あれ、じゃあ、エルネストたちの里に遊びに行ったら、私も差別対象だったりしちゃうのかな?

 同じ髪色の母様も。
 母様は『大聖女』なのに、エルネストたちの里では、差別すべき毛並み?になっちゃうのかな?

 不思議だよね。

 その髪色ってだけで、本人の中身は関係なく、差別されてしまう。
 まぁ……私も、そのおかげで何度も殺されたけどね。

 私の場合は…闇の魔力持ちってわかった直後に大体殺される。
 あと、やっぱり…外見……かな。


 私たちに背を向けて、バルコニーの柵のようになっている部分から、下を覗き込むようにして耳を澄ましてい…あ、耳。
 耳だ。
 ケモ耳っ!

 聞くことに集中するためか、耳がケモ耳に変わっていた。
 ……戻っていた、と言うべきなのかしら?

 ぴこぴこと前方へ向かってせわしなく動く、耳が可愛すぎる。


「……セシリア。やめなさい」

「おおぅ……せっかくの可愛い耳が…っ!」


 すっとソファーから立ち上がった瞬間に、ゼンナーシュタットに腕を掴まれて引き戻される。

 ケモ耳がっ!…エルネストにケモ耳が出ているんですよっ!
 あ、でも、しっぽは出ていない。


(やっぱり、身体の隠匿にかけては、カイルザークよりエルネストの方が上みたい)


 何かあるとすぐに耳としっぽが、感情でぶわっと出ちゃうから。
 とっても可愛らしい!
 それは大人になっても、ね。

 自分の子だったら、孫だったら、さらに可愛い!と、昔は思ってたんだけどね、不思議と、歳をとるにつれて『どんな子でも可愛い!』と、変わっていった。


(そう、どんな子でも可愛いんだよ…)


 可愛いのに、どうして迫害が起こるのか、どうして誰も止めないのか。
 私もそういう、自分ではどうしようもない事を理由に、何度も殺されてしまったけど。

 いまだに、理解できない。

 ここにいるだけで、不幸を呼び寄せる存在だと言われて、殺され続けた私。
 私がいなくなったあと、あの人たちは幸せになれたのだろうか?






 ******






 エルネストが、バルコニー席の柵にしがみつくようにして、階下の大人たちの姿や、話を脳裏に焼き付けるがごとくに、聞き入っている。

 セシリアわたしの時と同じように、まずは事のあらましを説明していく。

 エルネストは、獣人の里にある、個人経営の孤児院で育ったらしい。
 そこから、魔力測定会の結果、魔力持ちであることが分かって、町の教会にある孤児院へと魔法学園入園の日まで、引き取られることになった。

 ……ここまでは、エルネストの養母と教会、双方の交わした書類が一致していて、正当なものだった、と言うことが証明されていた。


 ただし、教会にてエルネストを正式に引き受けた直後からの様子がおかしい。

 エルネストは、これからお世話になるはずだった教会に到着した直後に、病気を発症し、町の治療院や医者では手に負えなかった事から『王都へと搬送される手筈となった』と説明された。


(いやいやいや……病人搬送に奴隷運搬車両を使うとか、ないからっ!)


 ま、案の定だけど、その搬送中に『亡くなった』と…教会側には、記録されていたそうだ。
 そして、その死亡は……養母には伝えられていない。

 旅先での死亡だから。
 教会としての書類には死亡とあるが、教会が遺体等を確認していないために『確認の取れなかった事項は報告しなかった』…嘘かもしれないもんね?という事らしい。


「……っ!」


 内容としては、エルネストは最初っから『籠』に入れるのが前提のような流れに見えた。
 まぁ可愛いもんね。うん。
 …だからって、誘拐していいわけがないのだけど。
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