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第一章
第16話 お姫様救出作戦 後編
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「ライト殿、中の様子はどうだ?」
オリバー様が俺に聞いて来る。
俺達は誘拐犯がいる建物の近くまで来ていた。
「1階は宴会ですね。お姫様はまだ眠っているようです」
「一気に行くか?」
「いえ、お姫様の救出が優先ですので、先ずは2階から潜入してお姫様の身柄を確保。其の後に1階から入り、掃討って感じでどうですか?」
「ライト様の作戦で行きましょう。私が2階から潜入します」
「じゃあ、俺が1階だな」
「俺…じゃない、わ、私は1階の扉までオリバー様に着いて行きます。メイア様の状況をモニターしつつ、オリバー様の突入のタイミングを見計らいます」
「よし!作戦スタートだ」
メイア様は身軽に2階の屋根に上っていった。音も無く窓ガラスを割る。
「メイアさんはサイレントの魔法を使ってるんだ」
オリバー様が説明してくれた。
2階に潜入したメイアさんをモニターで見守る。
メイアさんは、ベッドで眠っているお姫様にそっと近付き寝顔をそっと撫でる。メイア様は泣いているようだった。
お姫様をそっと抱き上げ、ベッドの影に隠れるように寝かせた。更に布団をそっとかける。準備は整った。
メイア様は扉の左脇に立ち、壁越しに剣を突き立てた。見張りの1人を壁越しに葬る。
もう1人の見張りが慌てて扉を開ける。
開いた扉に隠れるようにしていたメイア様は、扉越しに剣を突き刺しもう1人の見張りも葬った。
2階の異常に気がついた1階の3人が、慌てて2階に行こうとする。
「今です!」
オリバー様は玄関の扉を蹴破り中に突入した。
背後から1人目を斬り倒し、振り向いたもう1人を更に斬り倒す。
残った最後の1人は階段に差し掛かっていた。階段上からのメイア様の投げナイフが眉間に刺さり絶命する。あっという間の救出作戦だった。
「速攻で終わりましたね(汗)」
「ライト殿のお陰だ。突入のタイミングが完璧だった。ここの連携が一番重要だからな」
俺とオリバー様は1階にいた。2階からお姫様を抱いたメイア様が降りてくる。
「姫様は無事か?」
オリバー様が心配な顔でメイア様に尋ねる。
「大丈夫です。眠らせられているだけでした」
「そいつは良かった。一先ずは街の領主の所に行くとするか」
「では宰相様に連絡しますね」
俺はスマホを宰相様に預けて来た。電話での連絡が出来るようにだ。テストでお試し電話した時はかなり驚いていたね(笑)。
サツキサンを使って電話をかける。
トゥルル。トゥルル。
「宰相様ですか。ライトです。お姫様は無事保護しました。……。あれ?聞こえてます?」
「あ、ああ、聞こえておる。姫様が無事で何よりじゃ」
「私達はこの後、街の領主様の家に向かいます」
「分かった。明日の朝には迎えを行かせる」
「宜しくお願いします。それでは失礼します」
俺は電話を切った。
メイア様とオリバー様は不思議な顔をしている。
「ライト様の魔導具は本当に不思議ですね」
「マジに城と連絡出来るんだな。マジ凄過ぎだよライト殿は!決めた!ライト殿、俺の親衛隊に入れ!そうしよう!」
「ダメです。ライト様はあげません」
「………」「………」
メイア様が速攻否定した。しかも『あげません』って既にメイア様のものなの?
◆
俺達は領主の家に一晩泊まることなった。俺もVIP待遇で個室を用意された。お姫様とメイア様は2人部屋との事だ。
「うわっ!マジ凄い部屋だ!」
超豪華な部屋だった。超ビックリ!
俺は借り物のパジャマに着替えベッドに横たわる。
「サツキサン。今日はありがとう。猫探しから始まって、お姫様の救出って波乱の1日だったね」
「マスターもお疲れ様でした」
「ワールドビジョンは半端ないね」
「世界は全てマスターの瞳の中に掌握されました」
「あっ。姫川さん達の様子も見れるのかな?」
「イエス、マスター。」
「たしかエンティオの町の孤児院だったよね。索敵。エンティオの孤児院」
サツキサンの画面に孤児院のリアル画像が写し出された。
「姫川さん達は何処かな~」
俺は指でタッチパネルを操作して孤児院の中を探して回る。
「いた!ぶっ!!!」
姫川さん達は着替え中でした…ガハッ!
俺は慌ててホーム画面にスライドさせた!
ヤバいよ。このスキルヤバいよ。覗き見し放題。パパラッチだよ!週刊◯◯だよ!俺はそっち系で食って行けるね。
「そ、そういえばさ」
俺は話題を変えた。
「彼奴ら何者だったんだろうね」
「検索しますか?」
「やってみて」
「イエス、マスター。最初の索敵時のログに彼らの持つ手紙がありました。現在は所持していません。手紙を表示します」
サツキサンの画面に手紙が表示された。
「………。ごめんなさい。読めません。読んでサツキサン(涙)」
「イエス、マスター。『依頼内容。ラグナドラグーン国アルフィーナ姫の誘拐。バルミスラ国訪問復路にて……』」
サツキサンが文面を読み上げてくれる中に、気になるものがあった。
◆
朝靄の森の中。
「待ってても彼奴らは来ないぞ」
静かな森にオリバー様の声が響く。
黒いフードを被った男が声の方を見る。
俺とオリバー様は其の男に近付くように歩いている。
「周りは兵士が取り囲んでいる」
「彼奴ら失敗したのか!」
「姫様は奪還した!貴様は何者だ!何が狙いだ!」
「………」
男は沈黙した後、スクロールを取り出し詠唱した。
オリバー様は俺の正面に立ち防御の構えを取る。
男はフッと姿を消した。
「ちっ!転移スクロールか!」
「サツキサン!今の男をマーク!」
「イエス、マスター。」
画面上には此処から1キロ程離れた街道近くに男の光点があった。
「オリバー様、此れを」
サツキサンの表示を見せる。
「ちっ(怒)!グリフォンで追いかけるぞ!」
「オリバー様。追い詰めて自害でもされたら事件は迷宮入りします。ここは泳がせてみては?サツキサンがいれば親玉のツラぐらいは拝めますよ(笑)」
「………。なぁライト殿。ホント俺の部隊に入ってくれないか?」
「ハ、ハハ、考えておきます」
「メイアさんに負けるなよ!」
オリバー様は俺の両肩に両手をガッシリ乗せた。
「あの~其の件ですが、オリバー様はメイア様に勝てるのですか?」
「………(涙)」
オリバー様は暗い顔で泣いていたよ?
◆
翌日、犯人の持ち物調査、家宅捜査等のもろもろでペルセナの街を出たのは昼過ぎだった。
お姫様とメイア様は早朝に馬車で出立している。夕方には王都に着くだろう。グリフォンで移動する俺とオリバー様の方が結果的に早く着く。
取り逃がした男はサツキサンに追尾してもらっている。進展があれば教えてくれるだろう。
城に着いた俺は、個室でカーシャさんが入れたお茶を飲んでいた。お姫様達が到着する迄の間は此処で待つこととなった。
「ライトさんは凄いですね。あっという間に、事件を解決してしまうなんて」
「ハハ。旨く行き過ぎですね。ルミナ様はエルマーニャを飼うことは出来ましたか?」
「私もあの後に緊急招集でお城に来てしまいましたので…」
「無事に飼えるといいですね」
「旦那様は大の猫嫌いですから…」
「別館とかで飼えないのですか?」
「そうですね(笑顔)。提案してみます」
「マスター」
「どうしたサツキサン?」
「男Aが魔人国領内に入りました」
「あのルートだとそうなるよね。カーシャさん、魔人国ってどういう国なのですか?」
「は、犯人は魔人国の者なのですか!」
「可能性は高くなって来ましたね」
「魔人国には魔人種の血脈を持つ者が多く、彼等の膂力は凄まじく一騎当千に値する兵士が数多くいます。其の結果、小国ながら強力な武力を保有しています。我が国というか近隣の国とは友好的ではなく、現在の魔人国王は野心家である事から、いつかは戦さになると噂が有ります」
「今回の事件は搦め手かな?サツキサン、魔人国首都周辺の状況を索敵するね」
「イエス、マスター。」
「ワールドビジョン!」
「魔人国首都周辺を表示します」
「うわ!なんだこりゃ!」
オリバー様が俺に聞いて来る。
俺達は誘拐犯がいる建物の近くまで来ていた。
「1階は宴会ですね。お姫様はまだ眠っているようです」
「一気に行くか?」
「いえ、お姫様の救出が優先ですので、先ずは2階から潜入してお姫様の身柄を確保。其の後に1階から入り、掃討って感じでどうですか?」
「ライト様の作戦で行きましょう。私が2階から潜入します」
「じゃあ、俺が1階だな」
「俺…じゃない、わ、私は1階の扉までオリバー様に着いて行きます。メイア様の状況をモニターしつつ、オリバー様の突入のタイミングを見計らいます」
「よし!作戦スタートだ」
メイア様は身軽に2階の屋根に上っていった。音も無く窓ガラスを割る。
「メイアさんはサイレントの魔法を使ってるんだ」
オリバー様が説明してくれた。
2階に潜入したメイアさんをモニターで見守る。
メイアさんは、ベッドで眠っているお姫様にそっと近付き寝顔をそっと撫でる。メイア様は泣いているようだった。
お姫様をそっと抱き上げ、ベッドの影に隠れるように寝かせた。更に布団をそっとかける。準備は整った。
メイア様は扉の左脇に立ち、壁越しに剣を突き立てた。見張りの1人を壁越しに葬る。
もう1人の見張りが慌てて扉を開ける。
開いた扉に隠れるようにしていたメイア様は、扉越しに剣を突き刺しもう1人の見張りも葬った。
2階の異常に気がついた1階の3人が、慌てて2階に行こうとする。
「今です!」
オリバー様は玄関の扉を蹴破り中に突入した。
背後から1人目を斬り倒し、振り向いたもう1人を更に斬り倒す。
残った最後の1人は階段に差し掛かっていた。階段上からのメイア様の投げナイフが眉間に刺さり絶命する。あっという間の救出作戦だった。
「速攻で終わりましたね(汗)」
「ライト殿のお陰だ。突入のタイミングが完璧だった。ここの連携が一番重要だからな」
俺とオリバー様は1階にいた。2階からお姫様を抱いたメイア様が降りてくる。
「姫様は無事か?」
オリバー様が心配な顔でメイア様に尋ねる。
「大丈夫です。眠らせられているだけでした」
「そいつは良かった。一先ずは街の領主の所に行くとするか」
「では宰相様に連絡しますね」
俺はスマホを宰相様に預けて来た。電話での連絡が出来るようにだ。テストでお試し電話した時はかなり驚いていたね(笑)。
サツキサンを使って電話をかける。
トゥルル。トゥルル。
「宰相様ですか。ライトです。お姫様は無事保護しました。……。あれ?聞こえてます?」
「あ、ああ、聞こえておる。姫様が無事で何よりじゃ」
「私達はこの後、街の領主様の家に向かいます」
「分かった。明日の朝には迎えを行かせる」
「宜しくお願いします。それでは失礼します」
俺は電話を切った。
メイア様とオリバー様は不思議な顔をしている。
「ライト様の魔導具は本当に不思議ですね」
「マジに城と連絡出来るんだな。マジ凄過ぎだよライト殿は!決めた!ライト殿、俺の親衛隊に入れ!そうしよう!」
「ダメです。ライト様はあげません」
「………」「………」
メイア様が速攻否定した。しかも『あげません』って既にメイア様のものなの?
◆
俺達は領主の家に一晩泊まることなった。俺もVIP待遇で個室を用意された。お姫様とメイア様は2人部屋との事だ。
「うわっ!マジ凄い部屋だ!」
超豪華な部屋だった。超ビックリ!
俺は借り物のパジャマに着替えベッドに横たわる。
「サツキサン。今日はありがとう。猫探しから始まって、お姫様の救出って波乱の1日だったね」
「マスターもお疲れ様でした」
「ワールドビジョンは半端ないね」
「世界は全てマスターの瞳の中に掌握されました」
「あっ。姫川さん達の様子も見れるのかな?」
「イエス、マスター。」
「たしかエンティオの町の孤児院だったよね。索敵。エンティオの孤児院」
サツキサンの画面に孤児院のリアル画像が写し出された。
「姫川さん達は何処かな~」
俺は指でタッチパネルを操作して孤児院の中を探して回る。
「いた!ぶっ!!!」
姫川さん達は着替え中でした…ガハッ!
俺は慌ててホーム画面にスライドさせた!
ヤバいよ。このスキルヤバいよ。覗き見し放題。パパラッチだよ!週刊◯◯だよ!俺はそっち系で食って行けるね。
「そ、そういえばさ」
俺は話題を変えた。
「彼奴ら何者だったんだろうね」
「検索しますか?」
「やってみて」
「イエス、マスター。最初の索敵時のログに彼らの持つ手紙がありました。現在は所持していません。手紙を表示します」
サツキサンの画面に手紙が表示された。
「………。ごめんなさい。読めません。読んでサツキサン(涙)」
「イエス、マスター。『依頼内容。ラグナドラグーン国アルフィーナ姫の誘拐。バルミスラ国訪問復路にて……』」
サツキサンが文面を読み上げてくれる中に、気になるものがあった。
◆
朝靄の森の中。
「待ってても彼奴らは来ないぞ」
静かな森にオリバー様の声が響く。
黒いフードを被った男が声の方を見る。
俺とオリバー様は其の男に近付くように歩いている。
「周りは兵士が取り囲んでいる」
「彼奴ら失敗したのか!」
「姫様は奪還した!貴様は何者だ!何が狙いだ!」
「………」
男は沈黙した後、スクロールを取り出し詠唱した。
オリバー様は俺の正面に立ち防御の構えを取る。
男はフッと姿を消した。
「ちっ!転移スクロールか!」
「サツキサン!今の男をマーク!」
「イエス、マスター。」
画面上には此処から1キロ程離れた街道近くに男の光点があった。
「オリバー様、此れを」
サツキサンの表示を見せる。
「ちっ(怒)!グリフォンで追いかけるぞ!」
「オリバー様。追い詰めて自害でもされたら事件は迷宮入りします。ここは泳がせてみては?サツキサンがいれば親玉のツラぐらいは拝めますよ(笑)」
「………。なぁライト殿。ホント俺の部隊に入ってくれないか?」
「ハ、ハハ、考えておきます」
「メイアさんに負けるなよ!」
オリバー様は俺の両肩に両手をガッシリ乗せた。
「あの~其の件ですが、オリバー様はメイア様に勝てるのですか?」
「………(涙)」
オリバー様は暗い顔で泣いていたよ?
◆
翌日、犯人の持ち物調査、家宅捜査等のもろもろでペルセナの街を出たのは昼過ぎだった。
お姫様とメイア様は早朝に馬車で出立している。夕方には王都に着くだろう。グリフォンで移動する俺とオリバー様の方が結果的に早く着く。
取り逃がした男はサツキサンに追尾してもらっている。進展があれば教えてくれるだろう。
城に着いた俺は、個室でカーシャさんが入れたお茶を飲んでいた。お姫様達が到着する迄の間は此処で待つこととなった。
「ライトさんは凄いですね。あっという間に、事件を解決してしまうなんて」
「ハハ。旨く行き過ぎですね。ルミナ様はエルマーニャを飼うことは出来ましたか?」
「私もあの後に緊急招集でお城に来てしまいましたので…」
「無事に飼えるといいですね」
「旦那様は大の猫嫌いですから…」
「別館とかで飼えないのですか?」
「そうですね(笑顔)。提案してみます」
「マスター」
「どうしたサツキサン?」
「男Aが魔人国領内に入りました」
「あのルートだとそうなるよね。カーシャさん、魔人国ってどういう国なのですか?」
「は、犯人は魔人国の者なのですか!」
「可能性は高くなって来ましたね」
「魔人国には魔人種の血脈を持つ者が多く、彼等の膂力は凄まじく一騎当千に値する兵士が数多くいます。其の結果、小国ながら強力な武力を保有しています。我が国というか近隣の国とは友好的ではなく、現在の魔人国王は野心家である事から、いつかは戦さになると噂が有ります」
「今回の事件は搦め手かな?サツキサン、魔人国首都周辺の状況を索敵するね」
「イエス、マスター。」
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「うわ!なんだこりゃ!」
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