異世界で『索敵』スキルが最強なの? お前らの悪事は丸っと全てお見通しだ!

花咲一樹

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第一章

第23話 就任式 前編

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「いたたた。何?何?」

 俺は寝ている時に謎の痛みで目が覚めた。
 あれ?姫川さん?夢の中で夢を見てる?
 夢の中の姫川さんは俺に告白をしてくれた。俺の姫川さんへの未練が夢を見させている……。
 俺も姫川さんが好きでした。
 でも其れは夢の中でも口に出来ない。其れは未練の言葉だ。
 夢の中の姫川さんは結婚しようと俺の唇に唇を重ねた。
 ゴメン。ゴメンね。
 俺は涙を浮かべて夢の中の姫川さんに謝った。

「其処にいるのは誰ですか!!!」

 メイアさんの声が響き、発光石が部屋の中に投げ込まれた。

「うわっ」「きゃ」

 眩しい光に目が眩んだ。
 メイアさんが俺と姫川さんを引き離す。
 すかさず姫川さんにショートソードを突き立てる。

「貴様!何者だ!ライト様に何をした!」
「メイアさん、此れは夢?」
「夢などでは有りません!貴様、何処の間者だ!」
「さ、サツキサン!状況教えて!」
「イエス、マスター。姫川様はマスターのベッドの中にテレポートして来ました。そして現在に至ります」
「メイアさんストップ!ストップだメイアさん!」

 メイアさんの目と俺の目があい俺は相槌を打つ。メイアさんはショートソードを鞘に納めた。

「大丈夫、姫川さん?」
「…………」
「姫川さん?」
「夢……私の夢……」
「姫川さん、夢じゃ無いみたいだよ」
「夢よね?」
「夢じゃ無いみたいだよ」
「本物の光斗君?」
「うん」
「…………」
「ビックリしたね」

 姫川さんは俺に抱き付いて来た。

「会いたかったよ~!会いたかった、会いたかった、会いたかったよ~!」
「俺も会いたかったよ」
「嬉しい…。光斗君だ。光斗君……」

 暫く姫川さんは俺を抱き締め静かに泣いていた。

「少し落ち着いた?」
「うん」
「立てる?」
「……ううん。足に力が入らないみたいだよ」

 俺は姫川さんを抱き上げベッドに寝かせた。

「夢じゃ無かったんだ……」

 姫川さんが呟く。

「そうみたいだね」

 俺は此の現実になんて答えるか悩んでいた。

「良かった……」
「……」
「私、私の思いを光斗君に告げられた……。私…失恋しちゃったけど……思いは伝えら……られた……から」

 姫川さんの目からは大粒の涙が沢山溢れ、頬を伝い枕を濡らして行く。

「私ね……光斗君が……大好き」
「…………」
「もう叶わない夢……だけど……光斗君と……結婚……結婚したかったよ……」

 姫川さんは枕にうつ伏せになり、大声で泣いた。
 俺は姫川さんにかける言葉はなく、黙って見ている事しか出来なかった……。
 メイアさんはそっと部屋を退出した。

 姫川さんは泣き疲れたのか、涙で濡れた枕に顔を埋めて寝息をたてていた。
 悔しいな。俺に勇気が無かった為に彼女をこんなにも苦しめてしまった。
 でも俺はもう歩き出している。この恋は終わったんだ……。納得出来ない。多分一生納得出来ないだろう。

「ごめんね。彩月さん……」

 俺は寝ている姫川さんの頬に流れる涙をそっと拭った。



 朝8時。朝食を食べ終え9時からの裏メイド隊との顔合わせの支度をした。
 姫川さんはまだベッドで寝ている。

「ライト様、察するに彼女はライト様のご友人のようですが、彼女はどの様にして潜入して来たのですか?」
「姫川さんはテレポートして来たみたいだね」
「テレポート……転移スクロールの使用においては、城には魔力結界が有ります。転移などは出来ないはずですが」
「転移スクロールではなく、彼女のスキルがテレポートなんだ。彼女は俺と同じ特異スキルホルダーなんだよ」
「テレポートのスキルですか?」

 転移魔法は、古代魔法の中でも解明されていない魔法の1つと、オリバーさんが言っていた。現存するのは古代遺跡から発見される転移スクロールのみとの事だ。

「彼女はエンティオの町にいたんだ」
「エンティオからお城迄!」

 転移スクロールの跳躍距離は約1キロ内。エンティオの町は直線で30キロはある。

「愛の力です」

 サツキサンがコメントした。

「愛の力…(ライト様への強い思い)……。ライト様。ヒメカワ様は私が面倒をみております」
「メイアさん。宜しくお願いします」
「裏メイド隊との顔合わせの際にはカーシャがご一緒します」
「ありがとう。カーシャさんがいてくれたら俺も安心出来ます」

 俺は姫川さんをメイアさんに任せ、顔合わせの会場に向かった。



 会場の控え室ではカーシャさんが待っていてくれた。

「おはようございます。カーシャさん」
「おはようございます。ライト様」
「アハハ」
「何か?」
「いや、カーシャさんと会ってから『貴様』、『ライトさん』、『ライト様』になったからつい面白くて(笑)」

 カーシャさんは顔を赤らめた。

「其れはライト様が凄すぎだからです。ルミナ様の猫は1日で見つけるし、姫様誘拐事件は半日で解決するし、魔人国侵攻をたった1日で阻止するし、こんなにも凄い事をやってのける人はいませんよ」
「あ、ありがとう(苦笑)。魔人国侵攻阻止とかみんな知ってるの?」
「お城勤めで知らない人はいませんよ。3万の軍をたった1人で、しかも1日で侵攻阻止したのですから、王城内はその話題で持ちきりです」
「あう、そうなんだ(苦笑)。カーシャさんは今日はお城なんですね」
「はい。お嬢様が今日はお城のお茶会にご招待されましたので」
「へ~、お茶会とか有るんだ」

 後でルミナ様に会えるかな?
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