異世界で『索敵』スキルが最強なの? お前らの悪事は丸っと全てお見通しだ!

花咲一樹

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第二章

第41話 聖竜王に会いに行くよ?

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「という訳なんですが~(汗)」
「「…………」」

 謁見の間に俺はオリヴィア様を連れ国王に事後報告をしていた。同席していたカイゼス大将軍とダリウス宰相は見た目14、5の黄金の長い髪に黄金の瞳を持つ少女、聖竜の王女オリヴィア様を見て呆けていた。

「お久しぶりです。エルバート国王」
「お久しぶりですな、オリヴィア王女。お父上はご壮健かな」
「はい。元気過ぎまして私はお城から逃げて参りました(涙目)」

 オリヴィア王女は姫大会で敗れ、酒で泥酔し城で暴れていた時に家宝の壺を割ってしまい、聖竜王にしこたま怒られたらしい?更に姫大会での負けップリも凄まじく、5競技全てがドベだった事が拍車をかけた様だ(新藤君談)。

「ガハハハ!其れは何よりじゃな(大笑)。しかし、ライトの話からいくと王女が此方に来ている事は知らないようじゃな。どれ、久しぶりに聖竜王に会いに行くか。ライト、連れて行ってくれ」

 そう言って王様は玉座から立ち上がった。

「へ、陛下。何を突然!」

 ダリウス宰相が慌てふためくが国王様は意に介す様子もない。

「護衛が必要だな、俺も行こう(ニヤリ)」

 カイゼス大将軍も行く気満々だ。

「な、ならば私もお供します」

 はい?ダリウス宰相も?いいの?国のトップ3がお城抜け出していいの?

「はぁ~」

 俺はため息をついてスマホを取り出した。彩月に電話をし、メイアさんと一緒に謁見の間に来るよう連絡をした。
 宰相様は手土産、手土産と慌てて部屋を出て行く。

「彩月達が来るまでに、聖竜城の状況を確認して起きましょう。ワールドビジョン!」

 俺はサツキサンを両手に持ち、聖竜城内をビジュアル化した。何やら聖竜達が走り回っているよ?

「サツキサン、彼らはどうしたのかな?」
「イエス、マスター。音声は遠方の為に拾えませんが、読口によれば、『姫が人間にやられた!』『姫が人間に拐われた!』等です」
「あう」

 まじか!

「こりゃ~、早く誤解を解かないとならんな~」

 流石のカイゼス大将軍も冷や汗を流しているよ(汗)。
 俺達は彩月とメイアさんが部屋に来て、早速に聖竜王の元へテレポートをした。

 ◆

「お父様!」
「オリヴィア!」

 聖竜城は聖竜サイズでメチャクチャでかい!巨大な玉座の間には眩く黄金に輝く巨大な聖竜王が座していた。

「人間に敗れ、まんまと捕まったと聞いたぞ。我が娘ながら情けなくなっていた所だ。逃げて来たのか?」

 見も蓋もない聖竜王の言葉に思わず笑ってしまった。

「聖竜王、お久しぶりです」

 国王様が前に出て聖竜王に挨拶をかわす。

「おお!エルバートではないか!いつ来たのだ。そなたがオリヴィアを救ってくれたのか?」
「ガハハハ!儂の臣下の者が暴れていたオリヴィア王女を倒して、城に連れて来てしまったのじゃよ」
「なんと!そなたの臣下にか!」

 聖竜王は国王様の後ろに控えている俺達を見た。

「なるほど。カイゼスがやったのか?」

 カイゼス大将軍は聖竜王と10年前に一戦交えている。『なるほど』と言う聖竜王の言葉の裏にはカイゼス大将軍なら聖竜族と渡り合えるという確信が有るのだろう。流石、剣聖と言ったところだ。どんだけ強いんですか?

「聖竜王、今回は俺じゃなくて、こっちのライトだ」

 カイゼス大将軍が俺を紹介する。するとオリヴィア様も妙な事を喋りだした。

「ライト様は世界最強なんです。負けて当たり前です。私などライト様に心臓を雷で撃たれたようにビリビリっとして、立ってもいられない程の衝撃を受けました(ポッ)」

 はい。確かに心臓に電ショックしましたよ。でもポッは違くね?何故にピンクのオーラ?戦ってたの新藤君だよね?

「ほほう。オリヴィアを打ち負かすとは大したものだ。今年の姫大会で武踏が外されたのはオリヴィアが強すぎたせいだ。そのオリヴィアに勝つとは噂通りのようだな、ライト・サクライ」
「えっ」

 誰も『サクライ』とは言っていない。

「先日、ハイエルフのレステアミスル姫が来た時に言っておったのだ。王都に面白い人物がいる、名をライト・サクライとな」
「ハイエルフ?」

 俺の疑問にサツキサンが答えてくれた。

「イエス、マスター。ハイエルフはエルフの祖とも言われている上位エルフです。不死に近い寿命と強大な魔力を持っていますが、半アストラル界で引きこもりしています」
「半アストラル界?」
「イエス、マスター。神界や魔界がアストラル界、其の手前が精霊等が暮らす半アストラル界です。マスターの国の言葉で言うなら三途の川の此方こちら岸です」

 ……なんか嫌な例えだね(苦笑い)。

「凄いですぞライト!レステアミスル様に名前を覚えて貰えるとは!」
「レステアミスル様?」

 興奮している宰相様が説明してくれた。

「レステアミスル様はハイエルフ族の王女様じゃよ。神と見まごう美しい容姿をし、この世界の人々を見守っていてくれる尊きお方じゃが、其の御尊顔を拝した者はほとんどいない。陛下でさえ見た事は無いじゃろう」
「マスターの国の言葉だとお地蔵様みたいな方ですね」

 お地蔵様って……またまた微妙な例えだね(苦笑い)。

「其処でだライト」

 聖竜王が俺に話しかけてきた。

「レステアミスル姫も認めたお主の力、儂も少し見てみたい。1つ勝負しようではないか」

 はい?

「無理、無理、無理、無理、無理~~~ッ!」

 俺は全力で首を横に振った。

「聖竜王様が腕を一振りするだけで、負け確定です~(汗)」

 身丈約5mは有る聖竜王。腕の太さも半端ない。チョコンと当たるだけで俺は死ねるよ?

「ならば此れでよかろう」

 聖竜王は眩く光を放ち、人の姿になった。オリヴィア様も綺麗な女性だが、聖竜王もイケメンおじ様だ。

「え~(汗)。どうしようサツキサン」
「イエス、マスター。では、先日練習した歌を歌うのはどうでしょう」
「「「……」」」

 流石に歌合戦には無理があるようだ。

「では手合の前に昔話しを一つ」

 そう言ってサツキサンは語り始めた。

「昔々、400年程昔。とても腕っぷしの強い聖竜の少年がいました。其の年の王子大会は余りにも少年が強い事から武踏が外されました」

 あれ?何処かで聞いたような?

「代わりに学力競技が加えられ、少年の結果は国語がゼ…「グゴアアアーッ!」」

 突然、聖竜王が咆哮したよ?

「算数もゼ…「グゴアアアアアーーーッ!!!」」

 またまた咆哮したよ?しかも肩で息するぐらい全力だよ?

「ハァ、ハァ、もうよい、もうよい、儂の負けじゃ。流石だライト!」

 勝ったみたいだよ?


 みんなが呆然とする中、オリヴィア様がジト目で聖竜王の方へ歩き出した。

「お父様?」

 聖竜王のギクッて音が聞こえた気がする。

「お父様、『ゼ~』で始まる数字は『ロ~』だと思いますが。『ゼ~』の後は『ロ~』」
「オー!こんな所で立ち話では良くないな!部屋を代えるとしよう!」

 聖竜王は手をポンと打つと、俺と国王様の背中を押して、謁見の間を後にしたよ?

 ◆

「なるほど。よく分かった」

 人族用に用意された応接室で聖竜王は上座に座りフムフム納得していた。

「オリヴィアも見聞を広める良い機会だな」

 其の言葉に国王様も

「ではオリヴィア王女を聖竜族大使として迎えましょう」
「宜しくお願いします。エルバート国王」

 オリヴィア様は国王にお辞儀をした後に俺にウィンクをしたよ?

(小声)「ちょ、ちょっと光斗君」

 彩月が俺の耳元で囁く。

「オリヴィア様、光斗君に気が有るよ(汗)」
「何で?新藤君じゃないの?」
「新藤君は有り得ないわ」
「何で?」

 新藤君は顔も整っているし、頭はキレキレだ。

「頭がキレキレだからだよ。女子にはいまいち人気無いのよ」

 意外だ。新藤君って女子に人気無いんだ(苦笑い)。


「其れで俺なの?」
「多分……」
「聞こえてますよお二人さん(微笑み)」

 オリヴィア様が話しかけてきた。

「聖竜族は目と耳が良いの。サツキさん、大丈夫、横恋慕はしないのでご安心くださいな」
「「は、ハハハ(苦笑い)」」

「ライト様に5人のフィアンセがいらっしゃる事は承知していますが、聖竜の血がざわつくのです、最強の血を求めて」
「そういう事ならばオリヴィアよ。ライトの元で研鑽し、最強の血を求めるかどうか判断するのもよかろう」
「ありがとうございます、お父様」

 こうしてオリヴィア様が聖竜王承諾のもと正式に王都ラインハイネに来る事が決まった。

 ◆

【おまけ1】
「要件は終わった事だし、ライトあれを頼む」
「国王様、あれとは?」
「前に見せて貰った記念写真とかいうものじゃ」
「あ、は、はい」

 俺はスマホを取り出し国王様とドラゴン姿の聖竜王の写真を撮った。何?この怪獣映画のポスターは?

「ウホホ、これは家宝物じゃな(ニマ~)」

 ついでで大将軍×聖竜王、宰相×聖竜王、最後に全員で記念写真を撮った。
 国王は城に戻ると高山さんに依頼して聖竜王とのツーショットをでかいキャンパスに転写をして貰った。何故か高山さんは報酬金を賜ったとか?

【おまけ2】
 あれあれ?オリヴィア様は賓客だよね?何でメイド服来てるのかな?

「おはようございますライト様」
「オリヴィア様は何故にメイド服?」
「メイア様が裏メイド隊に所属した方が、よりライト様にお近付きになれるとの事でしたので」

 あう。いいのか、其れで!
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