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第三章
第49話 出来たポスターが堅すぎて困った話
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立候補の日を迎え、其の日の朝8時にカトレア姫とアルパンさんは、聖イルフィニス教会に赴き、女神像の前で宣誓をした。
俺達はカトレア姫の館で、サツキサンの画面を見ながら、教会側に不穏な動きが有れば、直ぐにワールドレンジ ストライクを使える様にスタンバっていたが、特に問題無く、カトレア姫達は館へと帰って来た。
とはいえ、館の周りには三角形を描く様に3人のブラックオニキスが監視をしている。そして俺も彼等を監視している。此の距離なら彼等の音声もキャッチ出来るが、寡黙と言うか真面目と言うか、全く喋らず黙って館を観察している。
館には魔力結界を施して有る為、転移スクロールでの押し込みは出来ない。窓には木の板で閉じて有るので、館の中は見られていない。彼等は館の中の気配を頼りに観察しているって所だろう。
此れから選挙活動が始まる。カトレア姫陣営に俺達ナイトウイングスって言うか、ラグナドラグーン国がいる事を公けにするかどうか賛否分かれたが、ナタリアさんから
「下手に隠して、相手に妙な勘繰りされるより、公けにしていた方が相手の行動が読みやすいと思うわ。暫定政権とはいえ帝国宰相からの協力要請も受けていますし、選挙に負けても言い訳は立ちます。勿論、負ける気は有りませんが(クスッ)」
との意見が出て、俺達の存在を公けにする事とした。また、ナタリアさんの旧知の友人で、聖イルフィニス教会の総本山である聖イルフィニス大聖堂に席を持つエリナさんが、俺達の監視役として加わった。
聖イルフィニス大聖堂は帝都から80キロ程離れた聖マキラニア山の麓にある。3日前にナタリアさんはエリナさん宛に早鳥を飛ばし、快諾を得られたので、今朝方にナタリアさんと彩月でエリナさんを迎えに行っていた。
帝都の教会以外の聖イルフィニス教会側の監視役が必要だった。俺達の活動に不正が無い事を見て貰う。選挙でカトレア姫が勝った場合、十中八九ガラン大司教は難癖を付けてくる。其処で大司教にも物申せる立場の人が必要だった。
「皆様、初めまして。教会本部より選挙監視役として来ましたエリナです。短い間ですが宜しくお願いします」
エリナさんはカトレア様と同じ色の長いシルバーブロンドの髪の毛を、ポニーテールで纏めている綺麗なお姉さんだ。ナタリアさんからは「あれでも三十路過ぎているんですよ(クスッ)」と言われた。とても30過ぎには見えない容姿だよ。胸元等はキャサリンさん並に大きいし。勿論、俺以外の男子も其の胸元をガン見しているよ。
午後からはカトレア姫を選挙馬車に乗せての選挙活動やポスター貼りで其の日は終わった。
今後の活動の確認為にお屋敷の大広間に全員を集めた。
「現状は教会、軍、カトレア皇姫様の順
で4対1対0対5とかなり厳しい状況にいるんだ(苦笑い)」
俺の話しでみんなも苦笑いだね。
「最後の5は浮動票だ。俺達は此の5を全て取りに行かないといけない。
引き続きポスター貼りを帝都内の目立つ場所に設置して欲しい。
貼った場所は必ず地図アプリに地点登録、笠原君は其の情報を元に壁との融合をしてまわってくれ」
「「「了解」」」
ポスターは盗難防止の為、笠原君が設置面に融合を行う。盗難されると選挙の妨げになる以外にもヤバい事情があった。
キャンバスにはオタトリ君の耐熱、耐寒、耐圧、真山さんの反射を施して有り、簡単には壊されないように加工を施してある。
工藤君のスキル『耐圧』は切る、突く、叩くにも適用される。切るにしろ、突くにしろ、起点は物を押し潰し、引っ張り応力を発生させる必要がある。其の起点である押し潰す圧力に耐性を持つ事により、引っ張り応力が発生しない。
結果として切る事も突き刺す事も出来ない。例外としては切れ切れの日本刀の様な、触れた瞬間に分子結合を切ってしまうような刃物なら切る事は出来るが、そんな名刀はかなりのレアアイテムだ。
真山さんのスキル『反射』は光、熱、電気、放射線等のエネルギー系を弾く事が出来て、魔法で発生するそれらのエネルギーも弾く事が出来る。
つまり此のポスターはほぼ無敵シールドに匹敵するパフォーマンスを持っている。盗難されて悪用されては目も当てられない。笠原君が設置面と融合させる事は非常に重要な事だったりするんだよね。
「また明日からは街頭演説も行われる。カトレア皇姫様の護衛には赤の翼隊、青の翼隊、白の翼隊、3組からは笠原さん、芳川さん、中川君、川嶋君で、冊子の配布は渡辺さん、真山さん、八神さんとオタトリ君」
「「「オタトリで纏めるな~!」」」
オタトリ君の突っ込みはスルーだ。
「選挙本部は此の館に設置して、メンバーは俺と新藤君、如月君、彩月、茜音さん、葵さん、岡本さん、高山さん、山梨さん、オリビアさん、エリナさん、護衛にメイアさん、アイシャさん、黒の翼隊」
「私も本部ですか?」
エリナさんがアレアレ?的な顔で聞いてきた。カトレア姫と同行するつもりでいたのだろう。
「大概不正をするなら本部から指示が出ます。カトレア姫は終始モニターしているので本部の監視が良いと思いますよ。不正はしませんけどね(ニコ)」
「モニター?どういう事ですか?」
「明日になれば分かるわよ。エリナもライト達といるととても楽しいわよ(クスッ)」
「ナタリアの其の笑顔、久しぶりに見ますね。明日が楽しみになって来ました(笑顔)」
「因みにですが」
サツキサンが突然喋り出したよ?
「因みにですが、カトレア皇姫様が見事皇帝になった暁には、第3回NWGコンサートで祝福致します」
はい?
「やったー」
「また踊れるの」
「キャキャ!」
ナイトウイングスの女の子達がやたらとはしゃいでいるよ?
「俄然やる気出て来たわね!皆さん、絶対選挙勝ちましょうーーーッ!」
「「「オーーーッ!」」」
矢鱈とみんなの士気が上がったよ?カトレア姫とエリナさんはポカーンとしている。
「マジでやるの、サツキサン?」
「イエス、マスター。カトレア皇姫様とエリナ様の衣装も有りますので大丈夫です」
選挙で当選したらカトレア姫は帝国皇帝となる。帝国皇帝にミニスカート履かせて歌って踊らせていいのか!(汗)
◆
翌日、朝からカトレア姫達は選挙馬車で出掛けて行った。ポスター班も広い帝都中をまわるので馬車での移動となる。
因みにカトレア姫以外はピンク色の長袖Tシャツを着用している。表にはカトレア姫の名前、背面はオタトリ君がデザインしたカトレア姫のデフォルメ似顔絵がデザインされている。
カトレア姫は早速広場で街頭演説を始めた。頑張って普通に喋っているよ(笑)。
往来する人々が興味深げに立ち寄って来ている。集まった人達に渡辺さん達やオタトリ君が冊子を配っている。併せて子供達にはカトレア姫のミニマスコットや缶バッチも配っているよ?即売会に飢えていた彼等&彼女等はオリジナルグッズを作っていた。まぁ、量産は楠木君なんだけどね(苦笑い)。
大人達はカトレア姫の演説に耳を傾け、子供達は冊子を広げ漫画を読み、ミニマスコットや缶バッチを眺めてはニコニコしている。早速冊子を切り取り、紙飛行機を作った子供がいた。
子供が放った紙飛行機は風に乗り、弧を描いて空に舞う。子供は会心の微笑みだ。帝都の空を初めて飛ぶ紙飛行機。其の紙飛行機を他の子供達や大人達も「凄ぇ~」的な顔で見上げていた。
カトレア姫の演説を聞いていなかった大人達も渡辺さん達から冊子を貰い、冊子を読む者もいれば、紙飛行機をいきなり作り出す者もいる。しかし、全員が笑みを浮かべていた。
『皆さん、今が幸せですか?笑って毎日を過ごせていますか?彼処で遊んでいる子供達の笑顔を、この時だけで終わらせて良いのですか?
私は子供達が明日も明後日もずっと笑っていられる国を作りたい。長きには渡る戦線を終わらせ、愛する人が傍らで笑っている毎日を作りたい。
我らが女神イルフィニス様は、次の皇帝の座を皆さんの手に預けました。初めての選挙で戸惑う方もいると思いますが、この帝国の未来は皆さんが決める事が出来ます。
私の考えにご賛同頂けるのなら、私、カトレア・ジル・アルバースに皆さんの1票を投票下さい。
共に明るい未来を作りましょう』
パチ、パチ、パチ、パチ、パチ
カトレア姫の演説を聞いていた人々が拍手をする。子供達迄が拍手をしていた。
という状況を俺達はカトレア姫の館からモニターしていた。
「此れがモニター…」
「どうだいエリナ。ライト達は面白いだろう」
「面白いってよりも、凄いの一言ね。ラグナドラグーンはこんな魔導具まで保有しているの……(汗)」
「サツキサンはライトのスペシャルよ。でも3組隊は全員スマホを持っているわ」
「スマホ?」
「遠距離相互通信魔導具」
「……(汗)」
パシャ
「写真も撮れますよ(ニコ)」
俺はエリナさんを写真に撮り見せてあげた。
「……(汗)」
「ちょっとエリナ、『……』ばかりじゃなくて何か喋りなさいな(クスッ)」
「二の句が出ない処か、一の句も出ないわ。ライト、貴方達はいったい……」
「ラグナドラグーン国特務機関ナイトウイングス」
「イエス、エリナ様。世界は全てライト様の瞳に掌握されています」
「……神の目。レステアミスル様が仰っていた通りのようね」
「レステアミスル様にあったのかい?」
「先月末に。レステアミスル様が教えてくれたわ。彼の聖竜王が人間に敗北した、其の者の名がライト・サクライ」
「詰まりエリナは、選挙の監視役ってよりもライトに興味があってやって来たのね(笑)」
「あのレステアミスル様が人間に興味を持つなんて有り得ない事だわ。貴女からの手紙を貰った時は嬉々としたわよ(笑)」
レステアミスル……。どうやらお喋りなハイエルフがいるみたいだよ?
「聖竜王に勝ってはいませんよ。ちょっとした問答があっただけで(苦笑い)」
ナタリアさんが俺の顔を見てニコニコしながら
「口喧嘩も喧嘩の内。問答で勝ったんだろ。剣じゃあの剣聖でさえ勝てないんだ。ライトは流石だよ(ニコ)」
暴露話しをしたのはサツキサンだけどね(苦笑い)。
俺達はカトレア姫の館で、サツキサンの画面を見ながら、教会側に不穏な動きが有れば、直ぐにワールドレンジ ストライクを使える様にスタンバっていたが、特に問題無く、カトレア姫達は館へと帰って来た。
とはいえ、館の周りには三角形を描く様に3人のブラックオニキスが監視をしている。そして俺も彼等を監視している。此の距離なら彼等の音声もキャッチ出来るが、寡黙と言うか真面目と言うか、全く喋らず黙って館を観察している。
館には魔力結界を施して有る為、転移スクロールでの押し込みは出来ない。窓には木の板で閉じて有るので、館の中は見られていない。彼等は館の中の気配を頼りに観察しているって所だろう。
此れから選挙活動が始まる。カトレア姫陣営に俺達ナイトウイングスって言うか、ラグナドラグーン国がいる事を公けにするかどうか賛否分かれたが、ナタリアさんから
「下手に隠して、相手に妙な勘繰りされるより、公けにしていた方が相手の行動が読みやすいと思うわ。暫定政権とはいえ帝国宰相からの協力要請も受けていますし、選挙に負けても言い訳は立ちます。勿論、負ける気は有りませんが(クスッ)」
との意見が出て、俺達の存在を公けにする事とした。また、ナタリアさんの旧知の友人で、聖イルフィニス教会の総本山である聖イルフィニス大聖堂に席を持つエリナさんが、俺達の監視役として加わった。
聖イルフィニス大聖堂は帝都から80キロ程離れた聖マキラニア山の麓にある。3日前にナタリアさんはエリナさん宛に早鳥を飛ばし、快諾を得られたので、今朝方にナタリアさんと彩月でエリナさんを迎えに行っていた。
帝都の教会以外の聖イルフィニス教会側の監視役が必要だった。俺達の活動に不正が無い事を見て貰う。選挙でカトレア姫が勝った場合、十中八九ガラン大司教は難癖を付けてくる。其処で大司教にも物申せる立場の人が必要だった。
「皆様、初めまして。教会本部より選挙監視役として来ましたエリナです。短い間ですが宜しくお願いします」
エリナさんはカトレア様と同じ色の長いシルバーブロンドの髪の毛を、ポニーテールで纏めている綺麗なお姉さんだ。ナタリアさんからは「あれでも三十路過ぎているんですよ(クスッ)」と言われた。とても30過ぎには見えない容姿だよ。胸元等はキャサリンさん並に大きいし。勿論、俺以外の男子も其の胸元をガン見しているよ。
午後からはカトレア姫を選挙馬車に乗せての選挙活動やポスター貼りで其の日は終わった。
今後の活動の確認為にお屋敷の大広間に全員を集めた。
「現状は教会、軍、カトレア皇姫様の順
で4対1対0対5とかなり厳しい状況にいるんだ(苦笑い)」
俺の話しでみんなも苦笑いだね。
「最後の5は浮動票だ。俺達は此の5を全て取りに行かないといけない。
引き続きポスター貼りを帝都内の目立つ場所に設置して欲しい。
貼った場所は必ず地図アプリに地点登録、笠原君は其の情報を元に壁との融合をしてまわってくれ」
「「「了解」」」
ポスターは盗難防止の為、笠原君が設置面に融合を行う。盗難されると選挙の妨げになる以外にもヤバい事情があった。
キャンバスにはオタトリ君の耐熱、耐寒、耐圧、真山さんの反射を施して有り、簡単には壊されないように加工を施してある。
工藤君のスキル『耐圧』は切る、突く、叩くにも適用される。切るにしろ、突くにしろ、起点は物を押し潰し、引っ張り応力を発生させる必要がある。其の起点である押し潰す圧力に耐性を持つ事により、引っ張り応力が発生しない。
結果として切る事も突き刺す事も出来ない。例外としては切れ切れの日本刀の様な、触れた瞬間に分子結合を切ってしまうような刃物なら切る事は出来るが、そんな名刀はかなりのレアアイテムだ。
真山さんのスキル『反射』は光、熱、電気、放射線等のエネルギー系を弾く事が出来て、魔法で発生するそれらのエネルギーも弾く事が出来る。
つまり此のポスターはほぼ無敵シールドに匹敵するパフォーマンスを持っている。盗難されて悪用されては目も当てられない。笠原君が設置面と融合させる事は非常に重要な事だったりするんだよね。
「また明日からは街頭演説も行われる。カトレア皇姫様の護衛には赤の翼隊、青の翼隊、白の翼隊、3組からは笠原さん、芳川さん、中川君、川嶋君で、冊子の配布は渡辺さん、真山さん、八神さんとオタトリ君」
「「「オタトリで纏めるな~!」」」
オタトリ君の突っ込みはスルーだ。
「選挙本部は此の館に設置して、メンバーは俺と新藤君、如月君、彩月、茜音さん、葵さん、岡本さん、高山さん、山梨さん、オリビアさん、エリナさん、護衛にメイアさん、アイシャさん、黒の翼隊」
「私も本部ですか?」
エリナさんがアレアレ?的な顔で聞いてきた。カトレア姫と同行するつもりでいたのだろう。
「大概不正をするなら本部から指示が出ます。カトレア姫は終始モニターしているので本部の監視が良いと思いますよ。不正はしませんけどね(ニコ)」
「モニター?どういう事ですか?」
「明日になれば分かるわよ。エリナもライト達といるととても楽しいわよ(クスッ)」
「ナタリアの其の笑顔、久しぶりに見ますね。明日が楽しみになって来ました(笑顔)」
「因みにですが」
サツキサンが突然喋り出したよ?
「因みにですが、カトレア皇姫様が見事皇帝になった暁には、第3回NWGコンサートで祝福致します」
はい?
「やったー」
「また踊れるの」
「キャキャ!」
ナイトウイングスの女の子達がやたらとはしゃいでいるよ?
「俄然やる気出て来たわね!皆さん、絶対選挙勝ちましょうーーーッ!」
「「「オーーーッ!」」」
矢鱈とみんなの士気が上がったよ?カトレア姫とエリナさんはポカーンとしている。
「マジでやるの、サツキサン?」
「イエス、マスター。カトレア皇姫様とエリナ様の衣装も有りますので大丈夫です」
選挙で当選したらカトレア姫は帝国皇帝となる。帝国皇帝にミニスカート履かせて歌って踊らせていいのか!(汗)
◆
翌日、朝からカトレア姫達は選挙馬車で出掛けて行った。ポスター班も広い帝都中をまわるので馬車での移動となる。
因みにカトレア姫以外はピンク色の長袖Tシャツを着用している。表にはカトレア姫の名前、背面はオタトリ君がデザインしたカトレア姫のデフォルメ似顔絵がデザインされている。
カトレア姫は早速広場で街頭演説を始めた。頑張って普通に喋っているよ(笑)。
往来する人々が興味深げに立ち寄って来ている。集まった人達に渡辺さん達やオタトリ君が冊子を配っている。併せて子供達にはカトレア姫のミニマスコットや缶バッチも配っているよ?即売会に飢えていた彼等&彼女等はオリジナルグッズを作っていた。まぁ、量産は楠木君なんだけどね(苦笑い)。
大人達はカトレア姫の演説に耳を傾け、子供達は冊子を広げ漫画を読み、ミニマスコットや缶バッチを眺めてはニコニコしている。早速冊子を切り取り、紙飛行機を作った子供がいた。
子供が放った紙飛行機は風に乗り、弧を描いて空に舞う。子供は会心の微笑みだ。帝都の空を初めて飛ぶ紙飛行機。其の紙飛行機を他の子供達や大人達も「凄ぇ~」的な顔で見上げていた。
カトレア姫の演説を聞いていなかった大人達も渡辺さん達から冊子を貰い、冊子を読む者もいれば、紙飛行機をいきなり作り出す者もいる。しかし、全員が笑みを浮かべていた。
『皆さん、今が幸せですか?笑って毎日を過ごせていますか?彼処で遊んでいる子供達の笑顔を、この時だけで終わらせて良いのですか?
私は子供達が明日も明後日もずっと笑っていられる国を作りたい。長きには渡る戦線を終わらせ、愛する人が傍らで笑っている毎日を作りたい。
我らが女神イルフィニス様は、次の皇帝の座を皆さんの手に預けました。初めての選挙で戸惑う方もいると思いますが、この帝国の未来は皆さんが決める事が出来ます。
私の考えにご賛同頂けるのなら、私、カトレア・ジル・アルバースに皆さんの1票を投票下さい。
共に明るい未来を作りましょう』
パチ、パチ、パチ、パチ、パチ
カトレア姫の演説を聞いていた人々が拍手をする。子供達迄が拍手をしていた。
という状況を俺達はカトレア姫の館からモニターしていた。
「此れがモニター…」
「どうだいエリナ。ライト達は面白いだろう」
「面白いってよりも、凄いの一言ね。ラグナドラグーンはこんな魔導具まで保有しているの……(汗)」
「サツキサンはライトのスペシャルよ。でも3組隊は全員スマホを持っているわ」
「スマホ?」
「遠距離相互通信魔導具」
「……(汗)」
パシャ
「写真も撮れますよ(ニコ)」
俺はエリナさんを写真に撮り見せてあげた。
「……(汗)」
「ちょっとエリナ、『……』ばかりじゃなくて何か喋りなさいな(クスッ)」
「二の句が出ない処か、一の句も出ないわ。ライト、貴方達はいったい……」
「ラグナドラグーン国特務機関ナイトウイングス」
「イエス、エリナ様。世界は全てライト様の瞳に掌握されています」
「……神の目。レステアミスル様が仰っていた通りのようね」
「レステアミスル様にあったのかい?」
「先月末に。レステアミスル様が教えてくれたわ。彼の聖竜王が人間に敗北した、其の者の名がライト・サクライ」
「詰まりエリナは、選挙の監視役ってよりもライトに興味があってやって来たのね(笑)」
「あのレステアミスル様が人間に興味を持つなんて有り得ない事だわ。貴女からの手紙を貰った時は嬉々としたわよ(笑)」
レステアミスル……。どうやらお喋りなハイエルフがいるみたいだよ?
「聖竜王に勝ってはいませんよ。ちょっとした問答があっただけで(苦笑い)」
ナタリアさんが俺の顔を見てニコニコしながら
「口喧嘩も喧嘩の内。問答で勝ったんだろ。剣じゃあの剣聖でさえ勝てないんだ。ライトは流石だよ(ニコ)」
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