異世界で『索敵』スキルが最強なの? お前らの悪事は丸っと全てお見通しだ!

花咲一樹

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第三章

第52話 ファンタスティックナイト 前編

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 選挙戦の最終日、カトレア姫陣営はライブ準備に追われていた。
 早朝からライブ開催のチラシ作りをし、9時あたりからチラシ配りを始めた。カトレア姫とエリナさん、更にはリンが歌と踊りの練習で頑張っている。3人ともノリノリで楽しそうに練習していた。

 会場はデリアンデス元帥の取り計らいで、武闘大会会場で使われたコロセウムにて行われる。収容人数一万人の大会場だ。
 デリアンデス元帥は武闘大会で葵さんに勝てなかった事で、選挙戦の敗北を俺達に宣言した。更には昨夜サツキサンの画面で前回のライブ映像を見て、目がハートで萌え萌えになっていた事もあり、快くコロセウムを貸してくれた。

 ◆

『皆さ~ん、こんにちはー』

 人通りがまだまばらな帝都西地区の路上で高山さんの声が響く。
 高山さん、沢岸さん、オリヴィア様、アイシャさん、カーシャさんの5人はゲリラミニ路上ライブをやっていた。白と水色の可愛いワンピース姿、頭にはヘッドセット、5人の両脇には小さなスピーカーが置かれている。

 ってオリヴィア様、変装してないよ~(汗)。黄金に輝く長い髪と瞳。超目立っていた。

『本日の夕方、私達NWG48 withナタリアはコロセウムでライブコンサートをやっちゃいまーす!
 アッ、其処の君~、ライブって美味しいの~って顔してるね。今から私達がミニライブをやるから聞いててね(ウィンク)』

 1曲目は街の人達がびっくりしないように、スローテンポのJ-POPを歌った。綺麗に揃った5人のユニゾンは、通りを歩く人達の足を止めた。

 2曲目は少しテンポを上げた楽しい曲にした。5人はダンスに手拍子を加え、見ている人達も其れに合わせて手拍子を打ち始めた。

 3曲目はアップテンポのダンスナンバー。5人は手拍子から腕を振り上げ、縦横に動かす。若者や子供は5人を真似て腕を振り上げ始めた。観客がノリノリになってきたのを確信すると5人は更に派手で楽しいダンスを披露する。
 ゲリラミニ路上ライブは歌い手と観客が一体となって盛り上がった。

 歌の最後にセンターに立ったオリヴィア様が挨拶をする。

『私達の歌を聴いてくれてありがとうございました。本番は本日4時からコロセウムの会場で行います。今からチラシを配布しますので、是非会場に来て下さい』
『『『お願いしま~す』』』

 5人が頭を下げてお辞儀をした。
 沿道では拍手や喝采で盛り上がっている。チラシ配りも手渡しの為か握手会に近い状況だった。

 帝都の彼方此方で行われたゲリラミニ路上ライブは、長きに渡る戦争や不況で、帝都に広がっていた暗い空気を一掃するかの如く、何処でも大盛況であった。

 ◆

 一方コロセウムでは会場設営が行われていた。

『シンクロハーモライズ!』
『イメージ』
『誘惑』
『融合』
『錬成』

 如月君、芳川さん、藍原君、楠木君によるシンクロハーモライズで、コロセウムに華やかなステージが錬成された。

『『『お~~~!』』』

 其れを見ていた帝国軍から驚きの声が漏れる。帝国軍に見せちゃっていいの?って感じだが、昨夜の宴会で国王様とお妃様がデリアンデス元帥相手に、俺や3組メンバーを「うちの子、とっても凄いんです」的な感じで自慢話を始めてしまい、結果俺達のスキルもペラペラとペラっていたりした。
 そんな事もあり、時間もなかったのでスキルを使ってステージを設営したのだ。

『シンクロハーモライズ!』
『耐熱』
『耐寒』
『耐圧』
『融合』

 オタトリ君のスキルでステージを強化する。耐寒は関係無い気もするが……(苦笑い)。
 ステージの飾り付けやスピーカーの設置等々まだまだやる事は沢山ありそうだ。

 ◆

「や、やっちゃいましたね(涙)」

 コロセウムの控え室に選挙本部を移し、俺と新藤君は教会の状況をモニターしていた。ダンス練習の休憩時間に本部に顔を出したエリナさんは涙目で項垂うなだれている。

 教会側も劣勢に回ってしまった事を把握し、最終日の今日は信者周りに勤しんでいた。元々、教会の信者が多い帝都だ。彼等の行動は至極当たり前であった。…と思いきや、彼方此方でトラブルが発生していた。

『頼んでもいねぇのに拝みやがって!お布施なんか払えるか!』
『神への祈祷を愚弄するとはバチあたりめ!お布施を払わぬと天罰が落ちるぞ!』
『黙れクソ坊主!そんな金有るかボケ!』

 どうやら祈祷周りに合わせてお布施も貰っているようですね……(汗)。
 裕福な信者で有れば問題無いかもしれないが、不況に喘ぐ人達からしたら何度も拝まれ、何度もお布施をする事は厳しい状況だ。

 エリナさんは此の1週間は教会側の人間とはいえ中立の立場をとってきた。そんな彼女が「アホかお前ら!金取るなよ!分かれよ!」とサツキサンの画面に突っ込みを入れていたよ?

 ◆

 午後2時にはコロセウム周辺に大分人が集まり出していた。
 鼻の良い商人達は露店や、屋台を出して商売をしている。
 因みにオタトリ君達もカトレア姫グッズや、NWG48メンバーの似顔絵カードなんかを、お店を出して売りさばいているよ?しかも結構な人だかりだよ?

 ◆

 午後3時には数千の人が集まり、流石に危ないので入場時間を早め、コロセウムの中に入って貰った。
 しかし、3時半には予定収容人数の1万5千人が中に入り、外にはまだまだ多くの人がいたりした?ヤバくね?

「サツキサン、コロセウム周辺と向かって来ている人の数は分かる?」
「イエス、マスター。現時点で1万3千453人です」
「中にいる人も合わせたら約3万人?(汗)」

 帝都都市人口は約5万人。半分以上の人がコロセウムに集まろうとしていた。

「に、2部構成だ(汗)。さ、サツキサン、3組女子と裏メイド隊各隊長、其れにカトレア皇姫様、ナタリアさん、エリナさんを本部に集まるよう緊急招集をしてくれる」
「イエス、マスター」

 ◆

「みんな、予定が変わった」

 選挙本部に使用している狭い部屋に3組女子と裏メイド隊隊長を押し込み、俺は机の上に立って、今後の予定をみんなに告げる。

「予定していた動員数は1万人程度だったんだけど、3倍の3万人集まりそうなんだ」
「「「えーーーーーッ!」」」
「ウソウソ~」「私達って帝国でもいけちゃうの~」「ヤバい、もっとお化粧しないと~」「キレキレのダンスを見せないとね」

 乙女達はやんややんやと盛り上がっているよ?顔出し100%のアイドル諜報員って……(汗)。

「其処でなんだけど、1時間の予定を40分掛け2の二部構成に変更しようと思うんだけど、どう?」
「「「賛成ーーーい」」」
「沢山、歌って踊れるね」「キレキレのダンスを見せないとね」「ヤバい、もっとお化粧しないと~」

 更にやんややんやと盛り上がる。

「皆様、NWG48が帝国を席巻する日が遂に来ました~」
「「「オーーーーーッ!」」」

 サツキサンがみんなを煽るよ?

「NWG48の底力を帝国に見せつけてあげましょう~」
「「「オーーーーーッ!」」」

 帝国にNWG48の底力を見せつける必要って有るんですかサツキサン?

 こうしてNWG48 with カトレアのライブコンサートの幕が上がった。

 ◆

 コロセウムの会場は満員御礼の1万5千人の観客で埋め尽くされていた。アリーナに5千人、観客席に1万人だ。因みに俺と新藤君、如月君は国王様達と一緒にステージから見て正面側観客席に設営された来賓席に着座している。周囲はデリアンデス元帥やコスタリムさん含む軍の人達が警護についてくれていた。

「元帥、少しいいですか」

 俺は元帥に席まで来てもらい耳打ちする。

「あの人とあの人、教会関係者です。若干ですが敵意を感じます。念のため交代して頂けますか?」

 元帥は驚いた顔で俺を見ている。
 あの二人のオーラが紫だった。俺はスマホでサツキサンにコンタクトをとり、身元を調べた結果、教会関係者である事が分かった。
 元帥が其の二人に声をかける。二人のオーラが黒へと変わった。

「大将軍!」

 俺の声と同時にカイゼス様は雷光の如き早業で其の二人を気絶させた。

 デリアンデス元帥、コスタリムさん、警護についていた他の兵士達は呆然としている。

 コスタリムさんが倒れた二人に駆け寄る。完全にのびている二人の剣には毒が塗られていた。来賓であるラグナドラグーン国王を殺害し、軍の名誉を傷付け、ライブコンサートも妨害する企てだったのだろう。

「索敵!」

 俺は会場1万5千人と場外で待っている人達を含め悪意のある人を索敵した。
 スリレベルの悪意ある人が数名いたが、特に問題はなさそうだ。

「国王様、他は問題なさそうです」
「ではライブコンサートを楽しめそうだな」

 国王様は笑って俺にそう告げるが、デリアンデス元帥は膝をつき国王様に頭を垂れた。

「ラグナドラグーン国王陛下、我が軍に不貞な輩が紛れていた不手際、深くお詫び申し上げます」

 コスタリムさんや兵士達も膝をつき頭を垂れた。

「気にするでない。それにライトがもう大丈夫と言っておるのだ。此処におる者達は信用にたる者達じゃ。暫しの時間じゃが警護の方、宜しく頼む」
「「「ははぁ!」」」


 気絶している二人の暗殺者が兵士に連れていかれた。

「コスタリムよ」
「はい、元帥」
「ラグナドラグーンと戦さはするでないぞ。戦さとは戦さ場だけが戦さではない。もしラグナドラグーンと事を構えれば、先の魔人国同様に戦さ場に立つ前に敗北するであろう」

 デリアンデス元帥はニヤニヤしながら、コスタリムさんは驚愕の面持ちで俺を見ていた。
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