異世界で『索敵』スキルが最強なの? お前らの悪事は丸っと全てお見通しだ!

花咲一樹

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第三章

第54話 決戦 帝国選挙 前編

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 ライブから帰って来たみんなはテンション上げ上げだった。

「凄ぉいですぅ~」

 カトレア姫は興奮していた。

「凄すぎですね」

 エリナさんも興奮していた。

「あたし!ラグナドラグーンに亡命してNWG48に入ります!」

 リンが勝手に盛り上がっている。

「ずるいですぅ~。私もぉ行きたいですぅ~」
「わ、私も行っちゃおうかな~」
「カトレア皇姫様はまずいでしょ(汗)」

 俺はカトレア姫に突っ込みを入れ、

「エリナ、貴女も立場ってものがあるでしょ(クスッ)」
「「ぶ~~~」」

 二人はぶーの口で拗ねている。

「さてみんな、お疲れアンド盛り上がっているところ悪いんだけど、今夜は交代で見張りを立てる」
「国王様達の警護ですか?」

 アイシャさんが聞いてくるが、

「いや違う。国王様達には直ぐに帰って貰う」

『?』顔がちらほら見える。

「ブラックオニキスの夜襲ですね」

 メイアさんが俺に変わり答えてくれた。

「教会側は選挙活動に続き、ライブの妨害も失敗している。彼等が取れる行動はカトレア皇姫様の暗殺だ。タイミング的にも今夜しかないからね」

 ライブで高揚していたみんなの顔が引き締まる。

「彩月と岡本さんは国王やアルフィーナ王女達をお城に連れて行ってくれ」
「「了解」」
「それと帰って来たら休む事。出番が来たら起こすから。山梨さん、笠原君、楠木君も同じく休んでいてくれ」
「ワールドレンジ ストライクを使うのですね」

 メイアさんが確認するように聞いてきた。

「出来るだけ殺傷事は避けたいからね。テレポバージョンで適当な場所に転移させる。裏メイド隊も2グループに別れて交代で館を警備」
「「「了解」」」
「まぁ、直ぐには襲って来ないだろうから、まずはお風呂で汗を流して来てよ」
「「「「「はーーーい」」」」」

「それじゃ、皆さんの労を労いお背中でも流しますか」

 相沢君がアホな事を言って女子に睨まれているよ(汗)。

「残念だけど相沢君、男子にはやって欲しい事があるんだ」
「ガーン」

 いやいや『ガーン』じゃないでしょ?

「明日の選挙で使う投票用紙を各教会施設毎に分けて欲しいんだ」
「い、いくつ用意したんだ?」

 相沢君が恐る恐る聞いてくる。

「ざっくり6万枚を素材班に作って貰った。帝都内に教会施設は24ヶ所有るから、2500枚づつかな」
「ガーン(涙)」

 こうして男子による仕分け作業が、大広間にて夜通し行われた。

 ◆

 深夜1時を過ぎたあたりから帝都教会本部にてブラックオニキスの動きが活発になる。そろそろ夜襲に来るのだろう。
 彩月達をおこし夜襲に備える。半刻程で館の周囲は56人のブラックオニキス構成員によって取り囲まれていた。

 選挙本部には俺、新藤君、如月君、笠原君、楠木君、彩月、葵さん、山梨さん、メイアさん、アイシャさん、キャサリンさん、ナタリアさん、エリナさん、更に裏メイド隊員10名が集まっていた。

 裏メイド隊員には魔力供給のサポートをして貰う。岡本さんの魔力量は約30人相当に匹敵するが、楠木君の『複製』がマイナス50%のペナルティがある為、必要魔力量が倍掛かる。その為、裏メイド隊に念のため来て貰っていた。

「結構集めてきたな」

 新藤君が感心している。
此方こちらの戦闘員が30名程度である事を承知なのだと思われます」

 メイアさんが解説してくれる。

「なるほど。其れで倍の戦力って訳だ」
「先手必勝と行きますか」

 俺はみんなに作戦実行の指示を出す。

「エリナ、此処で見た事は他言無用よ」

 ナタリアさんがエリナさんに釘を指したが、俺はエリナさんを信頼しているので、其の点は気にかけていない。

「分かっているわ。でも本当にそんな事が出来るの?ゴミ掃除をしているのは見てるけど……」
「はい。相手を殺さない為の遠隔テレポートです」

 俺はそう説明したが、ナタリアさんはエリナさんを脅すっていうか遊ぶって感じで

「ライトは此の世界、どんな遠く離れていても瞬殺出来るのよね(クスッ)」
「いやいや、そういう危ない事はしないから(汗)」
「エリナ、ライトはこんな感じで優しい子だから、この力に脅威はしても怯えないで欲しいの」
「大丈夫。分かっているわ(ニコッ)」

 ◆

「「「シンクロハーモライズ」」」

 俺、彩月、山梨さん、岡本さん、笠原君、楠木君によるシンクロスキルを発動させる。また、岡本さんの後方には10人の裏メイド隊員が岡本さんに魔力供給をする。

「索敵!」
「転移魔法陣!」
「複製!」
「融合!」
「テレポート!」

 ◆

 館の周囲を取り囲んでいた56人のブラックオニキス。リーダーとおぼしき男が犬笛を吹く。音にならない音を聞き、メンバーは一斉にカトレア邸に突入すべく一歩踏み出す。個々が踏み出した先に魔法陣が現れ、回避する間もなく強制テレポートされた。

 そして2歩目を踏み出した場所は、月が明るく照らす見渡す限りの草原真っ只中。約20メートル内に56人のブラックオニキスメンバーが顔を合わせた。

『『『何処だ此処はーーーーーーーッ!』』』

 ◆

 唖然とした顔でエリナさんはサツキサンの画面を見ていた。画面には草原でおたおたしているブラックオニキスのメンバーが映っている。

「彼等は何処に行ってしまったの?(汗)」
「イエス、エリナ様。328キロ離れたジクルス草原に行ってます」
「此れぐらい離れていれば明日には帰って来れないでしょ」

 俺とサツキサンの解説にナタリアさんは笑いながら

「明日どころか、暫く帰って来れないわね(笑)」
「ブラックオニキスによる暗殺という切り札を無くした教会が取れる手は、後は不正投票ぐらいだな」

 如月君が言うように不正投票対策が必要だった。

「どんな事が出来そうかな?」

 俺の問いに新藤君が答えてくれる。

「偽清浄石を使ったリピーター投票、開票者の買収と開票時の改算、箱のすげ替え、最悪な事態としては開票場の放火とかだな」
「清浄石は帝国城に有る物を使用するんだよな。今は本物、何処かで偽物、其のタイミングを見きらないといけないな」
「如月君、其処ら辺は俺とサツキサンで監視しておくよ。みんなは俺からの連絡で直ぐに動ける様に、各教会で待機していてくれ」
「「「了解!」」」

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