異世界で『索敵』スキルが最強なの? お前らの悪事は丸っと全てお見通しだ!

花咲一樹

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第三章

第56話 戴冠式 そして……

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 正式な戴冠式は明日となるとの事で、彩月のテレポートでカトレア姫の館に戻る。ロビーに跳んできたら美味しそうな料理の匂いが立ち込めていた。

「お嬢様、お帰りなさいませ」
「「「お帰りなさいませ~」」」

 執事のアルパンさんと居残りしていた裏メイド隊とメイド服を着たリンが俺達を迎えてくれた。

「爺、私、私は皇帝になりましたよ(微笑み)」
「おめでとうございます、お嬢様」

 アルパンさんの目にも涙の雫が溜まっている。

「パーティーの準備は整っています。お嬢様、サクライ様、皆様方も会場にお進み下さい」

 アルパンさんに促されて大広間のパーティー会場に向かうのだが、俺の索敵が館の周囲にいる人だかりを感知した。

「アルパンさん、館の周りに沢山の人がいるようですが…」
「街の人達が選挙結果を知りたく、お嬢様のご帰宅をお待ちしております……(汗)」

 アルパンさんもヤバって顔をした。俺達は館の門を潜らず、ダイレクトに館のロビーに跳んで来たのだ。表の人達をほっておいたら、朝迄待ってもカトレア姫は帰って来ないって事になる……(汗)。

 ◆

 カトレア姫は館のバルコニーに姿を現した。沢岸さんの空間音量補正のスキルを使ってカトレア姫の声を門外の人達に届ける。
 発光石を使ったランタンを持つ人達に、何処からともなくカトレア姫の声が聞こえてくる。

「私の事を気遣い、夜分に多くの方々がお集まり頂きありがとうございます。私、カトレア・ジル・アルバースは皆様からの沢山の応援を頂き、見事、次期皇帝に当選いたしました!」

「「「ウォォォォォォーーーーッ」」」

 門の外で大歓声が上がっている。

「皆様の期待に応えられる皇帝を目指し頑張ります!」

「「「ウォォォォォォーーーーッ」」」

 またしても大歓声が響き渡る。

「此れからも皆様のご支援宜しくお願い致します!」

「「「カトレア新皇帝万歳ーい!」」」
「「「カトレア新皇帝万歳ーい!」」」
「「「カトレア新皇帝万歳ーい!」」」

 門外では集まっている人達はカトレア姫が当選し新皇帝となった喜びでカトレアコールを連呼している。
 其の後、帝都中の街の酒場ではカトレア姫の新皇帝祝いで賑わったとか?

 ◆

 パーティー会場でもカトレア姫からの挨拶で始まった。

「ライト様、ナイトウィングスの皆様、本当にありがとうございました。皆様がいなければ私が皇帝になる事はかなわなかった事でしょう。そして命冴えも奪われていたかもしれません……」

 涙を流しながら俺達に感謝を伝えた。

「カトレア皇姫様の帝国を思う気持ちが帝都の人達に届いたのです。此れから帝国は変わります。俺達が手伝える事はあまり無いかもしれませんが、いつでも声をかけて下さい」
「ありがとうぅライトぉ様ぁ、。私はぁ明るい帝国ぅを作って見せますぅ」

「よし、乾杯しようぜ!」

 如月君がグラスを持ち乾杯の音頭を取る。

「カトレア新皇帝と明るい未来の帝国に乾杯ーい!」
「「「乾杯ーい」」」
 当選祝勝パーティーは賑やかに始まった。



「サクライ様~」

 俺、新藤君、如月君、メイアさんで会話をしていた時に、頬をお酒で赤く染めたリンがやってきた。

「私をナイトウィングスに入れて下さい」

 元ブラックオニキスのリンのパフォーマンスは高い。武闘大会でも帝国西方将軍のトリマー卿にも勝っている。

「メイアさん、裏メイド隊としてどうかな?」

 メイアさんは真剣な眼差しでリンの瞳を見つめる。勿論、リンもメイアさんの瞳を真剣に見つめていた。

「ライト様が宜しいので有れば」
「よし、いいだろうリン。裏メイド隊の所属はメイアさんにお任せします」
「やったー!ありがとうございます、サクライ様!」

 リンは俺に頭を下げた後、踵を返して「お姉様~」とか言いながら葵さんの方にかけていった。



 俺はエリナさんやナタリアさんと楽しそうにお喋りをしているカトレア様を見ていた。

「国王様からのご伝言ですが」

 メイアさんがそう言うと、俺に耳打ちをした。

「国王様から?」

 何か嫌な感じがする。

「カトレア様と縁組できるようで有れば頑張れと」
「はっ?何言っちゃってるんだ国王様は?」

「国王様は血縁同盟をご所望かと」
「成る程、現世でもフランスとスペインでは度々家族協定が結ばれてたりしたな」
「はい、新藤様。血縁同盟を結ぶ事により国家間の繋がりが強くなり、戦争の回避だけではなく、経済的な支援や文化、新技術の交流等の大きなメリットがあります」
「だからといってねぇ~、既に6人の婚約者がいる訳だから(汗)」
「確かにな(苦笑い)」

 如月君が賛同してくれる。

「今回はそういう件で来た訳ではないから、此の話は此処まで。国に戻って国王様と相談だな。公爵家にも男の子はいるわけだし」
「分かりました」



「ライト様」
「教皇様」
「エリナと呼んで下さい。皆さんといる時はエリナでいたいので」
「ありがとうございます。私もエリナさんの方が親しみがあるので。いいのですか?此方に来てしまって?」
「お爺さん達の相手をしていてもつまらないからいいのです。戴冠式の準備と言っても、私は特に準備する事も有りませんし」
「そうですか(苦笑い)。カトレア皇姫様の事、此れからも宜しくお願いします」
「皇姫様の事が心配ですか」

 向こうで彩月や茜音さん、葵さん達と楽しく話をしているカトレア姫の姿を見た。

「そうですね。此れから経済回復させていくのはかなり大変でしょうから」



「帝国は国土が大きい割に物流が悪い。ここら辺を改善すればかなり良くなる筈だが」
「此れだけ広いと横断鉄道ぐらいは欲しいな」
「機関車は物理的に作れるから魔法を動力に変換出来るかだな」
「基本的には爆発エネルギーだからファイヤーボルトでも行けるんじゃないか?」

 新藤君と如月君が魔導機関車ネタで盛り上がってきた。確かに横断鉄道が出来上がれば物流が進み経済回復に大きな影響を与えるだろう。しかし二人の話は更に大きくなり真空チューブ列車とか話してるよ?何?真空チューブ列車って?



 俺は頃合いを見てカトレア姫をバルコニーへと誘った。夜空には秋の大三角形が瞬き涼しい風が吹いている。

「此れからが大変ですね」
「はいぃ。でもぉ、帝国が今よりぃ良くなる為ならぁ頑張れますぅ~。ラグナドラグーンの様なぁ素晴らしいぃ国にしてみせますよ~(ニコ)」
「新藤君が帝国の物流について思案していたから、協力出来るようでしたら協力します」
「ありがとうございますぅ」

 そう答えたカトレア姫は寂しそうな瞳で俺を見上げていた。

「もうぅ戻られてぇしまうのですよね」
「はい。明日の戴冠式を見届けた後にラグナドラグーンへと戻る予定です」

 カトレア姫の瞳からは涙が零れ、小さな手は俺の胸にあてられていた。

「私はぁ、此の1週間が人生で一番楽しい時間でしたぁ。同年代のぉ女の子達と笑ってぇ、はしゃいでぇ、歌って踊ってぇ、とてもぉ楽しかったですぅ。お友達もぉ沢山出来ましたぁ。そしてぇライト様とぉ出逢えた事がぁ、何より一番のぉ素敵な事でしたぁ」

 虚ろな瞳、めっちゃ濃いピンクのオーラで俺を見上げるカトレア姫(汗)。

「ら、ライト様、わ、私を…」

 俺は慌ててカトレア姫の口に、人差し指を立てて、そっとあてた。

「か、カトレア皇姫様、そ、其の件はまた改めて」
「で、でもぉ、私はぁ…」
「お、俺は遠い地に住む異国の者です。そ、其れに既に6人のフィアンセがいますし」
「分かっていますぅ。分かっていてもぉ、は、初めてのぉ、此の気持ちを……わ、私は……」

 カトレア姫は俺の背中に回し両手を回し強く抱きしめ、涙を流していた…。

「カトレア皇姫様、明日からはカトレア皇帝としての新たな人生が始まります。今はどうか帝国の未来に向けて歩み下さい」
「…………」

 カトレア姫は俺の胸に顔を埋め静かに涙を流していた……。

「そうですねぇ。今はぁ帝国のぉ為に歩まなければぁいけない時でした~。私のぉ帝国がぁ素晴らしい国になった時に、私はぁライト様にぃもう一度お願いにぃ行きますぅ。絶対に行きますぅ」

 カトレア姫は顔を上げ、涙を溜めた瞳で微笑みを浮かべていた。俺も彼女の為に出来る事は何でもしてあげよう。

「はい。俺も遠い地にいますがカトレア皇姫様をサポートして行きます。良い国を作りましょう」

 俺は優しくカトレア姫を抱きしめた……。

 ◆

 翌日、戴冠式は無事終了し、帝都オルマルクは新皇帝を祝い至る所で祭りとなり賑わいをみせていた。
 帝国城のホールでは沢山の人達が俺達ナイトウィングスの出立を見送りに来ていた。

「ライト様、必ずまた来て下さいね」

 カトレア皇帝は俺の両手を握り涙を浮かばせている。

「ライト様、ライブコンサートの時は是非呼んで下さいね(ニコ)」

 エステカリーナ教皇は俺に手を振っているよ?いいの?教皇がミニスカダンスとかしちゃって?

「アオイ、カイゼスが嫌になったらいつでも来てくれ!」

 デリアンデス元帥は葵さんにラブコールを送っているし(苦笑い)。

「皆さん、短い時間でしたが帝国の多くの方々と充実して楽しい時間を過ごせたことは、我々ナイトウィングスにとってとても良い時間となりました。ラグナドラグーンは遠い地ではありますが、帝国の明るい未来にサポートしていきたいと思います。また遊びに来ますので、その時は宜しくお願いします。では一先ずこれで失礼いたします」
「「「色々とありがとうございました!」」」

 ナイトウィングス全員で挨拶をし、俺達はラグナドラグーン、ノワールの塔へと帰塔した。

 ◆

 新皇帝カトレアが納めるマドラキア帝国は近隣諸国からも評価され、友好的な貿易により国力回復へと進んでいった。

 俺達ナイトウィングスも其の後は大国ガレリア王国で大量発生したアンデット掃討作戦を成功させ、12月のクリスマスには地震被害で復興している魔人国にサンタの姿でお菓子を配りに行き、年が開けたお正月にはお餅が食べたいとの事で、東方武帝城国へとナイトウィングス全員で行き温泉旅行を楽しんだ。

 そして3月……。史上最大最悪の厄災が訪れる……。
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