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さよなら。TOYBEE

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ep.132 メルティちゃんの悲しみ

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 わはは~♪

 悲しいことがあっても、みんな元気よく~~っ♪

 楽しく行こうよ~~っ♪

 泣かないで~~♪

 ドント クライ~~~♪

 don't cry~~♪

 元気よく行こう~~♪ いえい!



 おっ、坊さんの立てカンバンだ。観てみよう~。



キラーバットという蝙蝠型のモンスターは食べられるモンスターではない。
私が食べたところ大変まずく、とても食肉化をして、冒険者の収入にはできないと見えた。
ただし、下痢になったので、便秘のクスリとして商品化できないかと考えている。
誰か、キラーバットの死体を私の信仰に無償で届けて欲しい。初級冒険者の収入を増やしたい。
信仰に力を。

アーメン・インシュアラー・南無



 あっ、坊さん、初級冒険者の生活のためにキラーバット食べてるよ~。

 確かに大勢の初級冒険者のために、

 多量に倒したコウモリをなんとか商品化したいよね?

 漢方薬としての便秘のクスリかぁーー。坊さんなんとか商品化して欲しいな。

 がんばれ! 坊さんっ。


 おっと。よそごと。よそごと。今は大変なことが起きたんだ。






 メルティちゃんが泣いていた☆彡

 声もなく、とてつもなく、悲哀を籠めて泣いていたんだ。


 メルティちゃんはずっと病気のお母さんのために働いていた。

 家族が死んでどうしてもひとりで働いて稼がなきゃならなかった。

 12歳でずっとひとりでがんばって働いてたんだ。







 両親が病気のために働いて生きなきゃならない状態で、メルティちゃんを僕は店員として、

 ギルド長に薦められて雇った。


 病気を抱えている家族を養いながら、

 12歳のメルティちゃんはずっと笑顔で、仕事がんばってくれてたんだ。



 いつも明るいメルティちゃんに、

 いつしか僕は、病気のお母さんがいることを忘れてしまっていた。



 メルティちゃんはそんなこと、僕には絶対に言わないから。

 病気の家族のことを聞くのは、

 なんとなくタブーな気がしてたんだ。



 でも、12歳で病気のお母さんとずっと一緒にいて、

 その家族の食べ物まで用意してるメルティちゃんってすごい。












 いつも元気で、そんなそぶりも見せずに明るく笑うメルティちゃんはかわいい。


 かわいいメルティちゃんの涙は、すごく悲しそうに見えて、僕は声を掛けたんだ。



「・・・なんで泣いてるの? メルティちゃん」

 メルティちゃんはボロボロ泣いている。

「お母さんの病が悪化したんです。ずっとクスリでなんとか保っていたけど、苦痛を取るクスリも効かなくなって・・・。お母さん、死にたいって。ずっと死にたいって。うぅぅ」


 ああっ。

 それはヤバイっ。



 なんとも言えない気持ちになる。



 助けてあげたいけど、僕は助けられない。僕は異世界通販というスキルを持ってるけど、


 異世界通販のときに、こういうときに効くクスリって売られてないんだ。




 だから、僕はほぞを噛む。






 重い病気があって、それが今の世界で治らない病気だったりして、

 治す治療薬も作れないとき、クスリを作る努力をしても間に合わないんだ。




 ・・・自分の無力。



 人って努力をして人の苦痛を取るクスリを作ろうとする。

 いつだって限界まで使われていて、人の苦痛をいつまでも治すクスリってすぐに作れない。



 しくしく泣いているメルティちゃんはほんと悲しそうで、僕まで胸が痛くなってくる。



 日本でもそうだけど、ほんとに治らない病で苦しんでいる人を楽にさせることを、人ってあんまりにも考えない。

 もし、あなたが、10年苦しむ病で治らないで10年苦しみ続けるとしたらどうしたい? って、ほんとに、人って想像力を持って考えたりしない。

 そんな肉親に持ったメルティちゃんが、今、僕の目の前にいる。僕はどうする?



 例えば、10年苦しむ死の病があって、

 2年間で苦しみを取るクスリを作ったって、

 2年間人は苦しむことになるし、2年でクスリを作れるかもわからないんだ。


 そんなとき、人はどうしたらいいんだろう?

 なお、苦しみを取るクスリを全力で作るというのは、わかる。

 ただ、その間、人は永遠と苦しみ続ける。10年以上の死の病と。





 身近で、すごく親しいメルティちゃんの悲しみ。


 お母さんの痛み・・・。


 なんとか救ってあげたいけど。



 アーロンが心配そうに僕らを観ていた。僕は黙ってアーロンにうなづいてみせた。


 僕は異世界通販で探してみた。


 スキル:異世界通販オープン!

 検索 : 病で苦しみ続ける人を救うための道具
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