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【第一部】国家転覆編
29)踊らぬ会議、怒る獣、笑う猫
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クランストン辺境伯執務室。執務席に座るグレン・クランストン辺境伯を筆頭に、執事のアーノルド、筆頭補佐官や元・騎士団長、そして護衛のドーヴィといった辺境領を支える重要なメンバーが揃っていた。
そこに一人だけ、全く毛色の違う人間が混ざっている。――アルチェロの私兵だった。
グレンは便箋の最後に署名を行い、慣れた手つきで丸め、鮮やかな紐で縛り上げた後にクランストン辺境伯の紋章で封をした。それを執事のアーノルドに渡し、アーノルドがアルチェロの私兵に手渡す。
「アルチェロ殿下によろしく頼む。そして返事が遅くなったことを詫びていたと伝えてくれ」
「かしこまりました」
頭を下げた私兵は、恭しく受け取った封書を懐に入れるとすぐに退室した。今日にでもアルチェロの元へ向けて旅立つようだ。
と言っても、実際の情報はドーヴィとケチャがリアルタイムでやり取りしている。……それはこの文明が制限された世界において、何物にも代え難き通信手段にならない。この悪魔のテレパシーが無ければ、そもそもこのような大それた計画は実行はおろか立案すら無理であっただろう。
「……さて、みなも見ていたように、私はアルチェロ殿下に親書の返事を送った。つまり、我々はもう引き返すことはできない」
グレンが重々しく言えば、それぞれがその言葉を噛み締めるように頷く。
「私が倒れている間、迷惑をかけた。そしてその間に計画の準備を進めてくれていたこと、ありがたく思う」
眼帯に覆われていない方の目をくるりと動かして、グレンは室内を見渡した。誰もが、グレンの事を子供だとは侮らない。クランストン辺境伯当主その人であるとグレンを信じ、グレンの言葉を待っている。
「今までは、迷いながら進んできたのだろう。本当に……本当に、王族に弓を引いて良いのかと。だが、これからは迷うことなく、勝利の為に準備を進めて欲しい。王族と上位貴族を倒すための準備を」
はっきりと、反乱を示唆する言葉がグレンの口からもたらされ、緊張が走った。対するグレンは、動揺も緊張も見せず、ただ堂々と背筋を伸ばして皆を見据えている。
「決戦は次の貴族会議当日だ。皆の力を貸して欲しい。よろしく頼む」
「ハッ!」
最初に反応して敬礼をしたのは、元騎士団長だった。騎士団は解団され、騎士と言う職を失ってもクランストン辺境家に忠誠を誓い続けた男は、グレンの言葉に感動すら覚えていた。
続いて、筆頭補佐官も文官たる礼をし、執事のアーノルドも当主へ忠誠を示す所作を。
一番後ろに立っていたドーヴィだけが、ニヤリと不敵な笑みをグレンに返していた。
「……ありがとう。では、続けて、計画内容の再確認に移りたい」
これまで、クランストン辺境領側はアルチェロ王子側と違い、中心となるグレン不在のまま、準備を進めていた。しかし、今日からは違う。
グレン・クランストン辺境伯が、中心に立っている。その事実だけで、どこか現実味もなく、浮ついたようだった辺境領の面々の瞳に、光が宿った。
以前のグレンであれば、頼りなく、辺境伯当主と言う肩書に振り回されるだけの少年だった。あのままのグレンが中心になっても、計画は上手く回らなかった可能性が高かっただろう。
今のグレンは、覚悟を決めている。そして辺境伯当主としての責務をしっかり自覚し、それらを背負うだけの力も振るえるようになっていた。
この時、グレンは本当のクランストン辺境伯当主になったのだ。
騎士団団長からは辺境領軍の軍備について、筆頭補佐官からは食料の備蓄や金の問題について。それらの報告を聞きながら、現在の進捗と今後についてを検討していく。その中心に、グレンという少年は確かに座っていた。
「ふむ……」
いくつかはアルチェロ側から融資を受け、また、アルチェロの名を通してケチャの知恵も借りている。問題はほぼ無いように見えた。グレンは頭を巡らせる。
貴族会議当日に、グレンが会議室で王族と上位貴族を封じる。同時に、王城にクランストン辺境軍とアルチェロの私兵の混合反乱軍を突入させ、落とす。
シンプルな作戦ではあるが、グレンが失敗すれば全てが終わる。……まあ、グレンとしては、ドーヴィが後ろにいてくれるなら失敗はあり得ないだろうとその可能性を頭から排除していた。
どちらかと言えば、その後の王城での戦闘の方が気になる。どうしても、死者は出てしまうだろう。
「……ライサーズ男爵にも話を通して、兵をお借りするのはどうだろうか」
「それは……いえ、そうですね、あの方は信頼のおける方ですから……」
筆頭補佐官がグレンの発言を検討の余地があると認める。元騎士団長も、思案気な顔をしつつも頷く。
(いやほんと、いきなり成長したなぁ……)
グレンと筆頭補佐官に元騎士団長、さらにそこに執事のアーノルドまでが口を挟んで、有意義な討論をしている。その様子をどことなく親心めいた気持ちで見つつ、ドーヴィはケチャへグレンの発案を採用しても良いか尋ねるテレパシーを送ったのだった。
☆☆☆
「辺境の豚めっ! ふざけるなっ!!」
ドラガド侯爵の怒鳴り声が響き、続いてグラスを叩き割る激しい音が部屋に響き渡った。
ここはドラガド侯爵城の応接室。さきほどまで、ドラガド侯爵は教会の使者と面会していた。
何かと言えば、『上位貴族による下位貴族への振る舞いは目に余るものがある、上位たる者、襟を正せよ』という教会からの忠告であった。名前こそ明確に出さなかったが、教会はクランストン辺境伯の事を言外に匂わせていた。
「どれだけ献金を積んだのか知らんが、教会を味方につけるとは……っ!」
教会はどこの国にも属さない独立勢力だ。しいて言うならば、この世界を作り給うた創造神直轄、ということになる。そして、その教会の言葉はそのまま創造神の言葉でもあった。
この世界において、教会は天使が人間を管理しやすくするために作った組織だ。故に、時に天罰という形で神の御業を人間に下すこともある。実際、ガゼッタ王国の歴史の中では、過去に1度だけ悪魔と取引をした愚王に対し、天罰が下ったと言う話がある。
ドラガド侯爵はそのことを一瞬だけ考えたが、すぐに頭を振った。
(あれはただのおとぎ話だ……天罰なぞ、どうでも良い)
使者をもてなすために用意した食器類を、怒りのままに叩き割ったドラガド侯爵は応接室のソファに座り直した。顎をしゃくって、メイド達に食器の破片を片付けるように示す。
床に這いつくばって食器の破片を集めるメイドを見下しながら、ドラガド侯爵は舌打ちをした。このメイドもそうだが、なぜ高貴たる上位貴族の自分が、家畜に配慮をしなければならないのか。特に、目障りな辺境の豚に。
「不愉快だな、グレン・クランストン……」
怒りを孕んだ低い声に、怯えたメイドが一人、小さく悲鳴を漏らした。それを聞き咎めたドラガド侯爵は、残っていた皿をそのメイド目掛けて投げつける。皿はメイドの頭にあたり、跳ねて床へと落ち砕け散った。
「目障りだ」
「はっ」
その一言で、そのメイドの命運は決まった。控えていたドラガド侯爵の護衛騎士が悲鳴を上げたメイドの口を手で抑え、引きずる様に連れていく。
その様子を、他のメイドは一切視界に入れないようにして、黙々と新しく増えた皿の破片もかき集めている。
(……恐らく、ワシだけではなく他のやつらも同じだろう。さすがに王であれども、教会に反論はできん)
チッ、と激しく舌打ちをして、ドラガド侯爵は席を立った。その後ろに、すぐ側近がつく。
「おい、今回はグレン・クランストンの訪問を断れ」
「はい」
「他の配下の貴族にも伝えろ。領の通過のみ許し、クランストン辺境伯一行には一切手を出すな、と」
「承知しました」
「……癪に障るが、教会から忠告を受けた直後に余計な事はできぬ。他の上位貴族も同じだろう。ワシだけ足並みを乱すわけにもいかん」
配下の貴族を使って貴族会議前にクランストン辺境伯の一行を嬲るのが楽しみだったが、今回ばかりは豚の徘徊を見逃すしかない。ドラガド侯爵はそう判断した。
その代わり、次々回の貴族会議では大いに遊ばせてもらおう。今度は、グレン・クランストンが惨めに命乞いをする姿を見ながら晩餐会としゃれこむのも良いかもしれない。
ドラガド侯爵はそうやって自らを慰めることに終始した。
このドラガド侯爵含む上位貴族の判断が、反乱軍の進軍を手助けすることになる。敵対貴族からの妨害を一切受けることなく、クランストン辺境軍は王都へ進軍できるようになったのだ。
すべては黒猫の手の中に。
そこに一人だけ、全く毛色の違う人間が混ざっている。――アルチェロの私兵だった。
グレンは便箋の最後に署名を行い、慣れた手つきで丸め、鮮やかな紐で縛り上げた後にクランストン辺境伯の紋章で封をした。それを執事のアーノルドに渡し、アーノルドがアルチェロの私兵に手渡す。
「アルチェロ殿下によろしく頼む。そして返事が遅くなったことを詫びていたと伝えてくれ」
「かしこまりました」
頭を下げた私兵は、恭しく受け取った封書を懐に入れるとすぐに退室した。今日にでもアルチェロの元へ向けて旅立つようだ。
と言っても、実際の情報はドーヴィとケチャがリアルタイムでやり取りしている。……それはこの文明が制限された世界において、何物にも代え難き通信手段にならない。この悪魔のテレパシーが無ければ、そもそもこのような大それた計画は実行はおろか立案すら無理であっただろう。
「……さて、みなも見ていたように、私はアルチェロ殿下に親書の返事を送った。つまり、我々はもう引き返すことはできない」
グレンが重々しく言えば、それぞれがその言葉を噛み締めるように頷く。
「私が倒れている間、迷惑をかけた。そしてその間に計画の準備を進めてくれていたこと、ありがたく思う」
眼帯に覆われていない方の目をくるりと動かして、グレンは室内を見渡した。誰もが、グレンの事を子供だとは侮らない。クランストン辺境伯当主その人であるとグレンを信じ、グレンの言葉を待っている。
「今までは、迷いながら進んできたのだろう。本当に……本当に、王族に弓を引いて良いのかと。だが、これからは迷うことなく、勝利の為に準備を進めて欲しい。王族と上位貴族を倒すための準備を」
はっきりと、反乱を示唆する言葉がグレンの口からもたらされ、緊張が走った。対するグレンは、動揺も緊張も見せず、ただ堂々と背筋を伸ばして皆を見据えている。
「決戦は次の貴族会議当日だ。皆の力を貸して欲しい。よろしく頼む」
「ハッ!」
最初に反応して敬礼をしたのは、元騎士団長だった。騎士団は解団され、騎士と言う職を失ってもクランストン辺境家に忠誠を誓い続けた男は、グレンの言葉に感動すら覚えていた。
続いて、筆頭補佐官も文官たる礼をし、執事のアーノルドも当主へ忠誠を示す所作を。
一番後ろに立っていたドーヴィだけが、ニヤリと不敵な笑みをグレンに返していた。
「……ありがとう。では、続けて、計画内容の再確認に移りたい」
これまで、クランストン辺境領側はアルチェロ王子側と違い、中心となるグレン不在のまま、準備を進めていた。しかし、今日からは違う。
グレン・クランストン辺境伯が、中心に立っている。その事実だけで、どこか現実味もなく、浮ついたようだった辺境領の面々の瞳に、光が宿った。
以前のグレンであれば、頼りなく、辺境伯当主と言う肩書に振り回されるだけの少年だった。あのままのグレンが中心になっても、計画は上手く回らなかった可能性が高かっただろう。
今のグレンは、覚悟を決めている。そして辺境伯当主としての責務をしっかり自覚し、それらを背負うだけの力も振るえるようになっていた。
この時、グレンは本当のクランストン辺境伯当主になったのだ。
騎士団団長からは辺境領軍の軍備について、筆頭補佐官からは食料の備蓄や金の問題について。それらの報告を聞きながら、現在の進捗と今後についてを検討していく。その中心に、グレンという少年は確かに座っていた。
「ふむ……」
いくつかはアルチェロ側から融資を受け、また、アルチェロの名を通してケチャの知恵も借りている。問題はほぼ無いように見えた。グレンは頭を巡らせる。
貴族会議当日に、グレンが会議室で王族と上位貴族を封じる。同時に、王城にクランストン辺境軍とアルチェロの私兵の混合反乱軍を突入させ、落とす。
シンプルな作戦ではあるが、グレンが失敗すれば全てが終わる。……まあ、グレンとしては、ドーヴィが後ろにいてくれるなら失敗はあり得ないだろうとその可能性を頭から排除していた。
どちらかと言えば、その後の王城での戦闘の方が気になる。どうしても、死者は出てしまうだろう。
「……ライサーズ男爵にも話を通して、兵をお借りするのはどうだろうか」
「それは……いえ、そうですね、あの方は信頼のおける方ですから……」
筆頭補佐官がグレンの発言を検討の余地があると認める。元騎士団長も、思案気な顔をしつつも頷く。
(いやほんと、いきなり成長したなぁ……)
グレンと筆頭補佐官に元騎士団長、さらにそこに執事のアーノルドまでが口を挟んで、有意義な討論をしている。その様子をどことなく親心めいた気持ちで見つつ、ドーヴィはケチャへグレンの発案を採用しても良いか尋ねるテレパシーを送ったのだった。
☆☆☆
「辺境の豚めっ! ふざけるなっ!!」
ドラガド侯爵の怒鳴り声が響き、続いてグラスを叩き割る激しい音が部屋に響き渡った。
ここはドラガド侯爵城の応接室。さきほどまで、ドラガド侯爵は教会の使者と面会していた。
何かと言えば、『上位貴族による下位貴族への振る舞いは目に余るものがある、上位たる者、襟を正せよ』という教会からの忠告であった。名前こそ明確に出さなかったが、教会はクランストン辺境伯の事を言外に匂わせていた。
「どれだけ献金を積んだのか知らんが、教会を味方につけるとは……っ!」
教会はどこの国にも属さない独立勢力だ。しいて言うならば、この世界を作り給うた創造神直轄、ということになる。そして、その教会の言葉はそのまま創造神の言葉でもあった。
この世界において、教会は天使が人間を管理しやすくするために作った組織だ。故に、時に天罰という形で神の御業を人間に下すこともある。実際、ガゼッタ王国の歴史の中では、過去に1度だけ悪魔と取引をした愚王に対し、天罰が下ったと言う話がある。
ドラガド侯爵はそのことを一瞬だけ考えたが、すぐに頭を振った。
(あれはただのおとぎ話だ……天罰なぞ、どうでも良い)
使者をもてなすために用意した食器類を、怒りのままに叩き割ったドラガド侯爵は応接室のソファに座り直した。顎をしゃくって、メイド達に食器の破片を片付けるように示す。
床に這いつくばって食器の破片を集めるメイドを見下しながら、ドラガド侯爵は舌打ちをした。このメイドもそうだが、なぜ高貴たる上位貴族の自分が、家畜に配慮をしなければならないのか。特に、目障りな辺境の豚に。
「不愉快だな、グレン・クランストン……」
怒りを孕んだ低い声に、怯えたメイドが一人、小さく悲鳴を漏らした。それを聞き咎めたドラガド侯爵は、残っていた皿をそのメイド目掛けて投げつける。皿はメイドの頭にあたり、跳ねて床へと落ち砕け散った。
「目障りだ」
「はっ」
その一言で、そのメイドの命運は決まった。控えていたドラガド侯爵の護衛騎士が悲鳴を上げたメイドの口を手で抑え、引きずる様に連れていく。
その様子を、他のメイドは一切視界に入れないようにして、黙々と新しく増えた皿の破片もかき集めている。
(……恐らく、ワシだけではなく他のやつらも同じだろう。さすがに王であれども、教会に反論はできん)
チッ、と激しく舌打ちをして、ドラガド侯爵は席を立った。その後ろに、すぐ側近がつく。
「おい、今回はグレン・クランストンの訪問を断れ」
「はい」
「他の配下の貴族にも伝えろ。領の通過のみ許し、クランストン辺境伯一行には一切手を出すな、と」
「承知しました」
「……癪に障るが、教会から忠告を受けた直後に余計な事はできぬ。他の上位貴族も同じだろう。ワシだけ足並みを乱すわけにもいかん」
配下の貴族を使って貴族会議前にクランストン辺境伯の一行を嬲るのが楽しみだったが、今回ばかりは豚の徘徊を見逃すしかない。ドラガド侯爵はそう判断した。
その代わり、次々回の貴族会議では大いに遊ばせてもらおう。今度は、グレン・クランストンが惨めに命乞いをする姿を見ながら晩餐会としゃれこむのも良いかもしれない。
ドラガド侯爵はそうやって自らを慰めることに終始した。
このドラガド侯爵含む上位貴族の判断が、反乱軍の進軍を手助けすることになる。敵対貴族からの妨害を一切受けることなく、クランストン辺境軍は王都へ進軍できるようになったのだ。
すべては黒猫の手の中に。
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