侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。

二位関りをん

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第17話 デート

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 息が出来ない。たすけて。と言う言葉を出せば出すほど海水が身体の中へと入ってくる。

「がぼがぼ……」

 そして、私から意識が放たれていった。

「リー……」

 ? 私を呼ぶ声が聞こえる。それに眩しいような。

「メアリー!」

 レアード様の声だ。私は目を開く。

「メアリー! 気がついたか?!」
「れ、レアード様……」
「すぐには動かない方が良い。お前は船から落ちて溺れたんだ。すぐに俺達男数人で引き上げたから深みにはまらなかったが……」
「……レアード様」
「目を覚ましてくれて良かった……!」

 レアード様は声を震わせながら、私の右手をぎゅっと握った。温かくて落ち着く彼の手に、私は生きていて良かったと安堵した。私とレアード様の目からは熱い涙が零れ落ち、互いを濡らしたのだった。レアード様が涙を流すのははじめて見たが、それだけ私を心配してくれたんだと感じると涙がまた溢れ出してしまった。
 それから私はレアード様達の支えもあり何とか回復する事が出来た。国王陛下夫妻からも心配の言葉をかけられたのは申し訳ない。
 
 そして避暑地から王宮に戻る前々日に公務へ復帰する事が出来たのだった。
 その公務の帰り道、馬車の中でレアード様は提案があると言った。

「明日、デートしないか?」
「! デート、ですか」
「公務も無くオフだからな。この離宮の後ろにある丘とか巡ってみるか?」
「それはいいですね、ぜひデート楽しみたいです!」

 こうして最終日はデートをする事に決まったのだった。
 翌日の朝。朝食を頂くと早速デートに出かける。

「よし、行こう」
「お願いします……!」

 プライベート用の馬車に乗り込み、まずは丘を目指す。丘は見晴らしがよく、離宮を見下ろす事が出来るのだ。

(風が気持ち良い……!)

 馬車の窓からは心地よい夏のそよ風が入って来る。風に当たりながら丘の麓まで移動し、馬車を降りたら階段を登って丘の頂上へと登る。

(結構階段上らないといけないのね)

 とはいえ、頂上はちゃんと見えている。頂上には草に紛れる形で岩がサークル状に配置されている。

「レアード様、もしかして丘の頂上に岩ありません?」
「気づいたか。あそこは古代の遺跡が残っている場所でもある」

 古代、ここの一帯に住んでいた住民らはあのサークル状に配置された岩の真ん中で、何らかの儀式をしていたと推測されているようだ。これは壺などの出土品からの推定である。
 しかし何の儀式をしていたかは失伝されており、当時を知る者もいなければ、書物なども残されていない。なので謎に包まれたままだ。岩自体も風化が進んでしまっている。

「だが、謎が残るだけでは面白くないだろう? なので今年の秋から考古学者を投入してまた調査を進める事になったんだ。ゲーモンド侯爵からの許可も取ってある」
「なるほど……」
「この遺跡の再整備も進める予定だ。忘れ去られていくのは複雑だからな」

 頂上に到着すると、岩が間近に見えた。確かに草に埋もれてしまっている。
 頂上からの景色はとても良く、遮るものも後方にある山々くらい。海の方は特に見晴らしが良くて水平線が広がっているのがよく見えた。

(何だろう、パワーがもらえた気がするかも……!)

 丘を降りた後は王家専用のプライベートビーチでランチを取ったり、ガラス工房でガラス細工を鑑賞するなどした。
 ガラス細工を鑑賞している時、レアード様から買ってやると言われ、私は一度は高価そうだからと言って拒否したけど気にするな。と言われたので買ってもらう事になった。

「言っただろう? お前が欲しいと願うものはなんだって与えると」
(確かに言ったけど……!)

 だが、この白鳥を象ったガラス細工を買ってもらえた事は素直に嬉しかったのだった。

 避暑地から王宮へと帰還すると、また王宮での絢爛豪華な毎日が始まる。午前中、レアード様の書類作成や仕分けの仕事を手伝っていると、使用人が慌てた様子でこちらへとやってきた。

「王太子殿下、大変です。ラディカル子爵と子爵夫人が王宮においでです……!」
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