5 / 53
第4話 診療所での暮らしのはじまり
しおりを挟む
「ここは……」
扉の向こうには王族や貴族の屋敷と比べるとやや狭めな白い壁の廊下があった。その突き当りと左右にまた茶色い扉がある。左右の扉は互い違いに配置されているようだ。
「ここに来てほしい」
ギルテット様は左側の扉を開く。部屋の中は簡易なベッドと木の机と椅子に天井まである本棚がある。本棚の隣には扉があるがそこにはシャワールームとトイレがあるようだ。
「ベッドの上に座って待っていてください」
「はい」
ベッドの上に座った私。荷物はベッドの下に置かさせてもらった。ギルテット様は外に通じる扉を閉めに行き、すぐに戻ってきた。
ベッドは窓際に配置されている。カーテンが開かれていたので慌てて閉めた。少し暗くなったが仕方ないだろう。
するとギルテット様が私に声をかけてきた。
「カーテン閉めたんですか」
「はい……すみません」
「……何か事情があるのですか?」
やはり王子。そこは勘が鋭いようだ。
(あまり言いたくは無いけど……やっぱり言った方が良いのかなあ)
「あの、話が長くなるんですが構いませんか?」
「構いませんよ。その間に足の手当をします。少し右足失礼しますね」
ギルテット様はそう言って、私の右足からブーツと靴下を脱がし、足首を包帯で巻いて固定する。その手つきの素早さは慣れを感じさせてくれる。
「じ、実はですね。私……家出してきたんです」
「ほうほう……足、このままなるべく動かさないでくださいね」
「ありがとうございます。離婚したくて家を飛び出してきました。それでここに到着したんです」
「……ソアリスとは、仲があまりよくないとは聞いていたけど本当だったんですか」
ギルテット様の耳にも知れ渡っていた事に驚きながらもそうです。と認めた。
「夜会なんかでみても会話してないように見えたから、仲は良くないんだなと俺も思っていました。まあ、貴族ならよくある話ですよね。白い結婚というのは」
「……ギルテット様もご存知でしたか。それに私にすぐ気がつくなんて」
「俺は一応王子ですから。側妃の子で第5王子なので王子の端くれにはなりますけど。ですから貴族の令嬢令息の顔と名前はちゃんと覚えていますよ。王族なんですから当たり前の事です」
ギルテット様のにこりとした微笑みを見て、どこか安心している自分がいた。
「さすがは王子ですね」
「いやいや」
「……」
会話が続かない。とうに手当を終えたギルテット様は本棚から本を取り出し、目を向けている。
「シュネル夫人はこれからどうなさるおつもりで?」
「……」
(ここで働かせてほしいって言ったら、どうなるかしら)
「あの、ここで働かせて頂けませんか?」
私は覚悟を決めてギルテット様にそう告げた。ギルテット様は私の方に向き直り、その美しい碧眼をじっと興味深そうに見つめている。
「……実家は?」
「無理です。あんな場所帰れません」
「……君の父親であるグレゴリアス子爵は精神を病んでいるという噂があるのを思い出しましたが、どうやら本当みたいですね。あなたの兄君も今は別の場所に屋敷を構えているそうですし」
そう。バティス兄様は学校を卒業した後は違う場所に屋敷を建ててそこに住んでいる。
父親は反対していたが、バティス兄様は王家をお支えしたいと言って王家をバックになんとか意見を通したのだった。
「そうですね。ギルテット様の言う通りです。あのクソ父親の元にはいたくありません。わがままな妹もいますし」
「ジュリエッタですね。彼女も癖のあるお方だ。というならあなたの願いを聞きましょう」
「……本当ですか?!」
「ちょうど看護婦か薬師を募集しようかと考えていたところでして」
医学薬学なら自信はある。いや、完全にある訳でも無いけど勉強してきた分野だ。
「私に任せてください。勉強してきたので!」
「なるほど。ではお願いします」
「……! ありがとうございます!」
「ああ、そうだ。あなたは家を探しているのでしたね。それならここで住み込みで働くといいでしょう。一応部屋はありますから」
住み込みで?! それならぜひお願いしたい所だ。
「いいんですか?! あ、ありがとうございます!」
「その方がいいでしょう。シュネル夫人の為にも」
「あ……」
シュネル夫人という呼び方。このままそう呼ばれたら私がここにいるのがバレてしまわないだろうか。
「あの……シュネル夫人とは呼ばないでください」
「? ああ、身バレですか。となると何か名前を考えた方がいいですよね」
「はい……」
「……じゃあ、シェリーはいかがですか? 安直かもしれませんが」
いや、響きも可愛くて良い感じだ。
「じゃあ、シェリーでお願いします」
「わかりました。今日からあなたはシェリーという事で」
ギルテット様が右手を差し出す。これは握手のサインだ。
私は手を取り、固く握り返した。彼の温かな体温がじんわりと伝わってきた。
「よろしくお願いします。ギルテット様」
「こちらこそよろしく、シェリー」
互いに改めて紹介と挨拶を済ませた後は、建物の中を紹介してもらう事になった。
まだ患部は動かせられないので、両手に抱えるようにして松葉杖を使って移動する。突き当たりの扉に診察室がありこの診察室は商店街の通りの方向にも出入り口があった。
路地裏から見て右側の扉にギルテット様の私室となる部屋がある。台所にトイレとシャワールームがある。私がさっきいた部屋にもトイレとシャワールームが設置されていた。
(私がさっきいた部屋よりも、広い気がする)
ギルテット様の私室にある階段を上がるとそこに彼が寝るスペースがあるそうだ。
「まあ、こんな感じになりますね」
「教えてくださりありがとうございます」
診察室は思ったよりも広いスペースに見えたし、中々やり甲斐がありそうな場所だ。
「お薬はどうするんです?」
「ここでは出せないから、処方箋を書いて商店街の中にある薬屋に行ってもらう事になりますね」
「なるほど」
ふむふむ。そんな仕組みか。
「それで、本題になりますが私の仕事はどうなりますか?」
「診査の補助ですね。案内や誘導に処置の手伝いとか」
「ほうほう……」
「しかしながらシェリーさん。まだあなたは怪我が治っていませんし焦らなくても良いですよ。よかったら怪我が治るまでは椅子に座って診察室の様子を見てみたりしますか?」
「ぜひ!」
「ではそのようにしましょう。あ。朝食いただきます?」
確かにもうそんな時間か。少しお腹が減っている。
「すみません、お願いします」
「では用意してきます。あの部屋で待っていてください」
ギルテット様はそう言って私室にある台所へと消えていった。私は松葉杖を使い先ほどいた部屋に戻る。
しばらくして、ギルテット様が白いお皿を持って部屋に現れた。
「お待たせしました!」
「ありがとうございます!」
「パンとベーコンを焼いたものに野菜スープです。お口に合うかどうかはわかりませんが」
机のうえにことこととお皿とフォークとスープが置かれていく。
「焦らなくて構いませんので。後ほどお皿回収しに来ます」
「ありがとうございます。ここまでして頂けるなんて助かります」
「いえいえ。では一旦失礼します」
部屋の扉がパタンと閉められた。
早速私はスプーンを持ち、野菜スープを一口分すくって口の中に入れた。
「美味しい」
適度な塩気に野菜から滲み出た出汁が効いている。試しに丸いパンをちぎって野菜スープに浸してから食べてみた。うん、パンの甘みと野菜スープの味がうまく絡み合っている気がする。ベーコンも歯ごたえがあって美味しい。
(ここで、新しい人生が始まるんだ……)
シュネル・アイリクスではなくシェリーとしての新しい人生が、今始まろうとしている。
扉の向こうには王族や貴族の屋敷と比べるとやや狭めな白い壁の廊下があった。その突き当りと左右にまた茶色い扉がある。左右の扉は互い違いに配置されているようだ。
「ここに来てほしい」
ギルテット様は左側の扉を開く。部屋の中は簡易なベッドと木の机と椅子に天井まである本棚がある。本棚の隣には扉があるがそこにはシャワールームとトイレがあるようだ。
「ベッドの上に座って待っていてください」
「はい」
ベッドの上に座った私。荷物はベッドの下に置かさせてもらった。ギルテット様は外に通じる扉を閉めに行き、すぐに戻ってきた。
ベッドは窓際に配置されている。カーテンが開かれていたので慌てて閉めた。少し暗くなったが仕方ないだろう。
するとギルテット様が私に声をかけてきた。
「カーテン閉めたんですか」
「はい……すみません」
「……何か事情があるのですか?」
やはり王子。そこは勘が鋭いようだ。
(あまり言いたくは無いけど……やっぱり言った方が良いのかなあ)
「あの、話が長くなるんですが構いませんか?」
「構いませんよ。その間に足の手当をします。少し右足失礼しますね」
ギルテット様はそう言って、私の右足からブーツと靴下を脱がし、足首を包帯で巻いて固定する。その手つきの素早さは慣れを感じさせてくれる。
「じ、実はですね。私……家出してきたんです」
「ほうほう……足、このままなるべく動かさないでくださいね」
「ありがとうございます。離婚したくて家を飛び出してきました。それでここに到着したんです」
「……ソアリスとは、仲があまりよくないとは聞いていたけど本当だったんですか」
ギルテット様の耳にも知れ渡っていた事に驚きながらもそうです。と認めた。
「夜会なんかでみても会話してないように見えたから、仲は良くないんだなと俺も思っていました。まあ、貴族ならよくある話ですよね。白い結婚というのは」
「……ギルテット様もご存知でしたか。それに私にすぐ気がつくなんて」
「俺は一応王子ですから。側妃の子で第5王子なので王子の端くれにはなりますけど。ですから貴族の令嬢令息の顔と名前はちゃんと覚えていますよ。王族なんですから当たり前の事です」
ギルテット様のにこりとした微笑みを見て、どこか安心している自分がいた。
「さすがは王子ですね」
「いやいや」
「……」
会話が続かない。とうに手当を終えたギルテット様は本棚から本を取り出し、目を向けている。
「シュネル夫人はこれからどうなさるおつもりで?」
「……」
(ここで働かせてほしいって言ったら、どうなるかしら)
「あの、ここで働かせて頂けませんか?」
私は覚悟を決めてギルテット様にそう告げた。ギルテット様は私の方に向き直り、その美しい碧眼をじっと興味深そうに見つめている。
「……実家は?」
「無理です。あんな場所帰れません」
「……君の父親であるグレゴリアス子爵は精神を病んでいるという噂があるのを思い出しましたが、どうやら本当みたいですね。あなたの兄君も今は別の場所に屋敷を構えているそうですし」
そう。バティス兄様は学校を卒業した後は違う場所に屋敷を建ててそこに住んでいる。
父親は反対していたが、バティス兄様は王家をお支えしたいと言って王家をバックになんとか意見を通したのだった。
「そうですね。ギルテット様の言う通りです。あのクソ父親の元にはいたくありません。わがままな妹もいますし」
「ジュリエッタですね。彼女も癖のあるお方だ。というならあなたの願いを聞きましょう」
「……本当ですか?!」
「ちょうど看護婦か薬師を募集しようかと考えていたところでして」
医学薬学なら自信はある。いや、完全にある訳でも無いけど勉強してきた分野だ。
「私に任せてください。勉強してきたので!」
「なるほど。ではお願いします」
「……! ありがとうございます!」
「ああ、そうだ。あなたは家を探しているのでしたね。それならここで住み込みで働くといいでしょう。一応部屋はありますから」
住み込みで?! それならぜひお願いしたい所だ。
「いいんですか?! あ、ありがとうございます!」
「その方がいいでしょう。シュネル夫人の為にも」
「あ……」
シュネル夫人という呼び方。このままそう呼ばれたら私がここにいるのがバレてしまわないだろうか。
「あの……シュネル夫人とは呼ばないでください」
「? ああ、身バレですか。となると何か名前を考えた方がいいですよね」
「はい……」
「……じゃあ、シェリーはいかがですか? 安直かもしれませんが」
いや、響きも可愛くて良い感じだ。
「じゃあ、シェリーでお願いします」
「わかりました。今日からあなたはシェリーという事で」
ギルテット様が右手を差し出す。これは握手のサインだ。
私は手を取り、固く握り返した。彼の温かな体温がじんわりと伝わってきた。
「よろしくお願いします。ギルテット様」
「こちらこそよろしく、シェリー」
互いに改めて紹介と挨拶を済ませた後は、建物の中を紹介してもらう事になった。
まだ患部は動かせられないので、両手に抱えるようにして松葉杖を使って移動する。突き当たりの扉に診察室がありこの診察室は商店街の通りの方向にも出入り口があった。
路地裏から見て右側の扉にギルテット様の私室となる部屋がある。台所にトイレとシャワールームがある。私がさっきいた部屋にもトイレとシャワールームが設置されていた。
(私がさっきいた部屋よりも、広い気がする)
ギルテット様の私室にある階段を上がるとそこに彼が寝るスペースがあるそうだ。
「まあ、こんな感じになりますね」
「教えてくださりありがとうございます」
診察室は思ったよりも広いスペースに見えたし、中々やり甲斐がありそうな場所だ。
「お薬はどうするんです?」
「ここでは出せないから、処方箋を書いて商店街の中にある薬屋に行ってもらう事になりますね」
「なるほど」
ふむふむ。そんな仕組みか。
「それで、本題になりますが私の仕事はどうなりますか?」
「診査の補助ですね。案内や誘導に処置の手伝いとか」
「ほうほう……」
「しかしながらシェリーさん。まだあなたは怪我が治っていませんし焦らなくても良いですよ。よかったら怪我が治るまでは椅子に座って診察室の様子を見てみたりしますか?」
「ぜひ!」
「ではそのようにしましょう。あ。朝食いただきます?」
確かにもうそんな時間か。少しお腹が減っている。
「すみません、お願いします」
「では用意してきます。あの部屋で待っていてください」
ギルテット様はそう言って私室にある台所へと消えていった。私は松葉杖を使い先ほどいた部屋に戻る。
しばらくして、ギルテット様が白いお皿を持って部屋に現れた。
「お待たせしました!」
「ありがとうございます!」
「パンとベーコンを焼いたものに野菜スープです。お口に合うかどうかはわかりませんが」
机のうえにことこととお皿とフォークとスープが置かれていく。
「焦らなくて構いませんので。後ほどお皿回収しに来ます」
「ありがとうございます。ここまでして頂けるなんて助かります」
「いえいえ。では一旦失礼します」
部屋の扉がパタンと閉められた。
早速私はスプーンを持ち、野菜スープを一口分すくって口の中に入れた。
「美味しい」
適度な塩気に野菜から滲み出た出汁が効いている。試しに丸いパンをちぎって野菜スープに浸してから食べてみた。うん、パンの甘みと野菜スープの味がうまく絡み合っている気がする。ベーコンも歯ごたえがあって美味しい。
(ここで、新しい人生が始まるんだ……)
シュネル・アイリクスではなくシェリーとしての新しい人生が、今始まろうとしている。
1,226
あなたにおすすめの小説
我慢するだけの日々はもう終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。
学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。
そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。
※本編完結しましたが、番外編を更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?
よどら文鳥
恋愛
デザイナーのシェリル=アルブライデと、婚約相手のガルカ=デーギスの結婚式が無事に終わった。
予め購入していた新居に向かうと、そこにはガルカの幼馴染レムが待っていた。
「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」
「え!? どういうことです!? 使用人としてレムさんを雇うということですか?」
シェリルは何も事情を聞かされていなかった。
「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」
どちらにしても、新居に使用人を雇う予定でいた。シェリルは旦那の知り合いなら仕方ないかと諦めるしかなかった。
「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」
「はーい」
同居生活が始まって割とすぐに、ガルカとレムの関係はただの幼馴染というわけではないことに気がつく。
シェリルは離婚も視野に入れたいが、できない理由があった。
だが、周りの協力があって状況が大きく変わっていくのだった。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
王都を追放された私は、実は幸運の女神だったみたいです。
冬吹せいら
恋愛
ライロット・メンゼムは、令嬢に難癖をつけられ、王都を追放されることになった。
しかし、ライロットは、自分でも気が付いていなかったが、幸運の女神だった。
追放された先の島に、幸運をもたらし始める。
一方、ライロットを追放した王都には、何やら不穏な空気が漂い始めていた。
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる