53 / 180
第53話 朝起きたら尻尾が増えていた件
しおりを挟む
目が覚めた。
ボクは起き上がると周囲を軽く確認する。
雑魚寝をしていたり積み重なって寝ているフェアリーノームたちの姿を見るとなんとなく安心できた。
いつも通りの光景だった。
「ふぅ。よかった。でもあの夢は……ん?」
ボクが考え事をしていると、隣に寝ていたはずのミレが起きてボクの服の裾を食い杭と引っ張っていた。
「どうしたの?」
ボクがそう問いかけると、ミレはボクのお尻を指さした。
「お尻? 尻尾かな? あれ!?」
ボクの尻尾はプラチナブロンドの尻尾のほかにもう一尾、黒い尻尾が生えていた。
いつの間に二尾に……?
「え、これっていつから? いや、あの後からか……」
これはやっぱり夢の結果なのだろう。
ということは、本当にボクの中にお婆様が?
「ど、どうしよう? やっぱりお母さんに話したほうが……? 隠しておくのも変だよね……」
ここは報連相を大事にするべきかもしれない。
『お母さんお母さん、いますか?』
朝早いかもしれないけどテレパシーで連絡だ。
『どうしたの? 遥ちゃん』
お母さんはいつも通りに返事をしてくれた。
少し安心できた気がする。
『えっと、葛葉お婆様の件なんですが……』
『お母様がどうかしたの?』
『夢の中で会いました』
『……。そう』
『お、驚かないんですか?』
『う~ん。不思議と驚くような気分じゃないのよね~。なんとなくそんな気がしたのよ』
ボクの話を聞いたお母さんはただ平然としていた。
『行方を知っていたとか?』
『それは知らないわ。ただね? 遥ちゃんが生まれる1年前に姿を消しているの。もしかすると、遥ちゃんと一緒にいるんじゃないかって思って』
それは確信というより迷信に近いものなんじゃないかと思う。
孫の生まれるちょうど一年前に、祖父母のどちらかが亡くなる。
そんな話をたまに聞くことがある。
そういう時は『憑いているんだ』とか『生まれ変わった』とか言われることがあるらしい。
『お母様はなんて言ってたの?』
『えっと。ボクがお婆様の親友の生まれ変わりとか、分け身を覚えたら表に出てくることができるとか、新しい領域の作成をしてほしいとかです』
ボクがそう答えると、お母さんは再び黙り込んでしまった。
『そう。分け身を覚えて表に出てきたら、遥ちゃんに異常が出たりはする?』
『いえ、双子のような状態になるだけだと』
ニュアンス的には間違いない。
『わかったわ。じゃあまずは領域作成と分け身のほうに集中しなさい? 日本には帰ってきてもいいからやることはやるようにね』
『はい。えっと、お爺様には……?』
『お母様はお父様のことをなんて?』
『えっと……。あ、あほうと……』
『ふふ。なら伝えなくていいわ。そうね。その言い方は確かにお母様だわ』
お母さんの声はどこか嬉しそうだった。
『お母様はね、お父様のことをあほうと呼んでいたの。だから確実に本人ね』
どうやらお母さんにはそれだけでわかってしまったようだった。
『それにしてもやっぱりお母様はよくわからないわね。創造神であるお父様も敵わないくらいに強いし、神格を得てもわからないことばっかりだわ。いいえ、むしろ神格を得たからわからなくなったというべきかしらね……』
こうしてボクはお母さんとの会話を終えた。
やるべきことは明確だけど、あとはどうするかだよね。
「ふぅ。まぁ考えても仕方ないか。ミレ、みんなを起こしてお風呂に行こうか」
そう呼びかけると、ミレは笑顔でうなずいた。
そういえば、最近やっと今いる10人のフェアリーノームの名前を決めることができた。
ミレ、ミカ、ミナのほかにアキ、セラ、エト、エル、ネム、ミラ、シーラという名前を付けることができたのだ。
そんなフェアリーノームたちは、起きたばかりだというのに元気に露天風呂で遊んでいる。
ミレとミカとミナはいつも通りボクの周りに侍っているし、アキはドリンクを作ったりしている。
セラは食器を片づけたりしているし、エトは何か欲しいものがないかを確認して回っていた。
別にここはレストランじゃないんだけどなぁ……。
エルとネムとミラの三人はお風呂で泳いで遊んでいたので、現在飛んで行ったミレに怒られている。
悪いのはあの三人なので仕方ない。
と、そんなことを考えていると、ボクの目の前にシーラがやってきた。
シーラは黒髪黒い瞳の美少女である。
ボクから見ても大変可愛らしい女の子で結構好みなのだが、今は女の子なのでどうにもできない。
たぶんクラスの男子だったら一発で引っかかるんじゃないかな?
「シーラ、どうしたの?」
ボクがそう言うと、何かを言いたそうにしながらもじもじしている。
どうしたんだろう? そう思っていると、ミカがボクの隣にやってきて膝に載せるようなジェスチャーを見せてきた。
なるほど、そういうことですか。
「はい。シーラ、おいで」
そう言ってもじもじするシーラの手を軽く引くと、シーラの体が簡単に動いた。
そしてそのままボクの前まで持ってきて背中を向けさせる。
「シーラ、いいよ?」
声をかけると、シーラはボクの膝の上に小さなお尻を載せ、そのまま太ももまでずりずり後ろに下がり、密着して止まった。
軽く抱きしめて顔を見ると、何やらとろけたような何とも言えない顔をしているのが見えた。
きっと甘えたかったんじゃないかなと思う。
「シーラ、楽しい?」
シーラに問いかけると、シーラは恥ずかしそうにしながらコクンと頷くのだった。
ボクは起き上がると周囲を軽く確認する。
雑魚寝をしていたり積み重なって寝ているフェアリーノームたちの姿を見るとなんとなく安心できた。
いつも通りの光景だった。
「ふぅ。よかった。でもあの夢は……ん?」
ボクが考え事をしていると、隣に寝ていたはずのミレが起きてボクの服の裾を食い杭と引っ張っていた。
「どうしたの?」
ボクがそう問いかけると、ミレはボクのお尻を指さした。
「お尻? 尻尾かな? あれ!?」
ボクの尻尾はプラチナブロンドの尻尾のほかにもう一尾、黒い尻尾が生えていた。
いつの間に二尾に……?
「え、これっていつから? いや、あの後からか……」
これはやっぱり夢の結果なのだろう。
ということは、本当にボクの中にお婆様が?
「ど、どうしよう? やっぱりお母さんに話したほうが……? 隠しておくのも変だよね……」
ここは報連相を大事にするべきかもしれない。
『お母さんお母さん、いますか?』
朝早いかもしれないけどテレパシーで連絡だ。
『どうしたの? 遥ちゃん』
お母さんはいつも通りに返事をしてくれた。
少し安心できた気がする。
『えっと、葛葉お婆様の件なんですが……』
『お母様がどうかしたの?』
『夢の中で会いました』
『……。そう』
『お、驚かないんですか?』
『う~ん。不思議と驚くような気分じゃないのよね~。なんとなくそんな気がしたのよ』
ボクの話を聞いたお母さんはただ平然としていた。
『行方を知っていたとか?』
『それは知らないわ。ただね? 遥ちゃんが生まれる1年前に姿を消しているの。もしかすると、遥ちゃんと一緒にいるんじゃないかって思って』
それは確信というより迷信に近いものなんじゃないかと思う。
孫の生まれるちょうど一年前に、祖父母のどちらかが亡くなる。
そんな話をたまに聞くことがある。
そういう時は『憑いているんだ』とか『生まれ変わった』とか言われることがあるらしい。
『お母様はなんて言ってたの?』
『えっと。ボクがお婆様の親友の生まれ変わりとか、分け身を覚えたら表に出てくることができるとか、新しい領域の作成をしてほしいとかです』
ボクがそう答えると、お母さんは再び黙り込んでしまった。
『そう。分け身を覚えて表に出てきたら、遥ちゃんに異常が出たりはする?』
『いえ、双子のような状態になるだけだと』
ニュアンス的には間違いない。
『わかったわ。じゃあまずは領域作成と分け身のほうに集中しなさい? 日本には帰ってきてもいいからやることはやるようにね』
『はい。えっと、お爺様には……?』
『お母様はお父様のことをなんて?』
『えっと……。あ、あほうと……』
『ふふ。なら伝えなくていいわ。そうね。その言い方は確かにお母様だわ』
お母さんの声はどこか嬉しそうだった。
『お母様はね、お父様のことをあほうと呼んでいたの。だから確実に本人ね』
どうやらお母さんにはそれだけでわかってしまったようだった。
『それにしてもやっぱりお母様はよくわからないわね。創造神であるお父様も敵わないくらいに強いし、神格を得てもわからないことばっかりだわ。いいえ、むしろ神格を得たからわからなくなったというべきかしらね……』
こうしてボクはお母さんとの会話を終えた。
やるべきことは明確だけど、あとはどうするかだよね。
「ふぅ。まぁ考えても仕方ないか。ミレ、みんなを起こしてお風呂に行こうか」
そう呼びかけると、ミレは笑顔でうなずいた。
そういえば、最近やっと今いる10人のフェアリーノームの名前を決めることができた。
ミレ、ミカ、ミナのほかにアキ、セラ、エト、エル、ネム、ミラ、シーラという名前を付けることができたのだ。
そんなフェアリーノームたちは、起きたばかりだというのに元気に露天風呂で遊んでいる。
ミレとミカとミナはいつも通りボクの周りに侍っているし、アキはドリンクを作ったりしている。
セラは食器を片づけたりしているし、エトは何か欲しいものがないかを確認して回っていた。
別にここはレストランじゃないんだけどなぁ……。
エルとネムとミラの三人はお風呂で泳いで遊んでいたので、現在飛んで行ったミレに怒られている。
悪いのはあの三人なので仕方ない。
と、そんなことを考えていると、ボクの目の前にシーラがやってきた。
シーラは黒髪黒い瞳の美少女である。
ボクから見ても大変可愛らしい女の子で結構好みなのだが、今は女の子なのでどうにもできない。
たぶんクラスの男子だったら一発で引っかかるんじゃないかな?
「シーラ、どうしたの?」
ボクがそう言うと、何かを言いたそうにしながらもじもじしている。
どうしたんだろう? そう思っていると、ミカがボクの隣にやってきて膝に載せるようなジェスチャーを見せてきた。
なるほど、そういうことですか。
「はい。シーラ、おいで」
そう言ってもじもじするシーラの手を軽く引くと、シーラの体が簡単に動いた。
そしてそのままボクの前まで持ってきて背中を向けさせる。
「シーラ、いいよ?」
声をかけると、シーラはボクの膝の上に小さなお尻を載せ、そのまま太ももまでずりずり後ろに下がり、密着して止まった。
軽く抱きしめて顔を見ると、何やらとろけたような何とも言えない顔をしているのが見えた。
きっと甘えたかったんじゃないかなと思う。
「シーラ、楽しい?」
シーラに問いかけると、シーラは恥ずかしそうにしながらコクンと頷くのだった。
0
あなたにおすすめの小説
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる