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第139話 社と巫女と幼馴染
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お父さんが出勤する時間になったのでお母さんにがっちり確保された上で一緒に神社に行くことになった。
ちなみにどんな風に確保されたかというと、いわゆる手繋ぎである。
ボクは小さいお子様じゃないんだけどなぁ……。
「それじゃあ行くわよ」
「はーい。ん?」
家を出て車に乗る瞬間、誰かに見られているような気配を感じた。
向かい側~じゃないな。
隣?
でも姿は見えない。
う~ん……。
「遥ちゃん、どうしたの?」
「いえ、誰かに見られているような気がしまして」
再度確認すると、見られている気配はきれいさっぱり消えてしまった。
「遥ちゃんを見ている子、ねぇ。心当たりがあるとすれば【まつり】ちゃんかしら」
お母さんはふいにそんな言葉を口にした。
「まつりちゃんですか……」
まつりちゃんはボクの近所に住む光葉叔母さんの娘さんだ。
つまるところ、妖狐である。
「もしかしてボクのこと、知ってるんですか?」
なんだか気になったのでお母さんに確認してみる。
「えぇ。お父様経由で光葉ちゃんも知っているわね。光葉ちゃんからまつりちゃんに情報が流れてもおかしくはないわね」
「は、はぁ……」
なるほど、そうだとしたらボクのことを知っていてもおかしくはないかもしれない。
それにしてもまつりちゃんかぁ……。
「そのうちまた毎回のようにやってくるわ。今は光葉ちゃんから接触禁止令出されているの」
「そ、そうなんですね」
話に出てくる【まつり】ちゃんはボクの年下の幼馴染のような親族だ。
つまり従妹である。
身体がこうなる前はいつでも部屋に来て、何時間でも入り浸っていた人懐っこい女の子だったのだ。
まぁここ最近は異世界のほうが忙しくて会う機会がないので会っていないんだけど……。
「遥ちゃんが落ち着いたら会いに来るでしょうから、楽しみにしていなさいね?」
「あー、みんな、そろそろ出発したいんですけど、どうでしょうか?」
「あ、行きます」
ついつい話が長くなってしまい、お父さんに催促されてしまったのだった。
それにしてもまつりちゃんかぁ。
会ったらなんて話をしよう?
それから少しの間車で走り、お父さんが宮司を務める神社までやってきた。
そこそこの規模の神社なのに、比較的人が多いのが特徴といえば特徴だろうか。
しかしよく見てみると、人間の巫女さんや権禰宜さん以外にも妖種の巫女さんや権禰宜さんが多く見られた。
どうやらこの神社には妖種も関わっているらしい。
「遥、どうかしましたか?」
不意にお父さんが問いかけてきた。
「いえ、女性には妖種が多いように見受けられまして」
ボクから見える権禰宜さんたちのうち、男性はほとんど人間なのだが、女性には高い確率で妖種が混じっていたのだ。
「人間でも妖種でも特に採用基準を満たしていれば採用していますが、たしかにこちらに出ている妖種女性の数は多いかもしれませんね」
どうやらお父さんも妖種と人間の見分けができるようだ。
話には聞いていたけど本当だったらしい。
「おはようございます」
「おはようございます、御神楽宮司、若葉様」
社務所に入るとお父さんはまず挨拶をする。
すると苗字付きで役職名が返ってくるのだ。
「今日もいい天気なので、焦らず落ち着いてやっていきましょう」
お父さんがそう挨拶していると、ボクたちに一部の人の視線が向けられてきた。
「今日はお嬢様連れですか?」
質問してきたのは権禰宜の男性神職だ。
「そうです。ある程度見学させた後、若葉とこの子、遥は奥の社に行きますので」
「あの古びた社へですか?」
「えぇ」
どうやらボクたちが行くことになるのは奥の社という場所のようだ。
古びたという言葉が少し気になるけど。
「御神楽宮司、質問です」
「はいどうぞ」
「その子、遥ちゃんは学校には行かないんですか?」
権禰宜の女性からそのような質問が投げられた。
当然といえば当然か。
「訳あって今は通っていません。少ししたら再開する予定ですね」
お父さんが苦笑交じりの表情でそう答えると、質問を投げて来た若い権禰宜の女性が慈愛に満ちた目でボクを見て来た。
どうやら不登校と思われたらしい。
「た、大変だったのね……」
一人で納得し、一人で嘆き悲しんでいる。
一体、この女性の中ではどんなストーリーが組み立てられているんだろうか。
「お姉さんに頼ってね! 何でも聞いてあげちゃう」
「え、えっと、あ、あはは……」
謎のアピールが始まったのでボクはとりあえず受け流すことにした。
やっぱり良くない方向にストーリーが出来上がってしまったようだ。
本当の年齢が16歳だなんて言っても信じてもらえないよね。
「子供サイズの装束を用意しておいてください。たしかいくつかあったはずですからね」
「わかりました。千早に白衣、緋袴、一式あったはずです」
そう言うと、女性はどこかへと去っていった。
「遥、ちょっと大変かもしれませんけど、頑張ってくださいね」
「は、はぁ……」
お父さんはただ無責任に頑張れと言う。
きっと面倒なことが起きるんだろうなぁ……。
◇
それからしばらくして、先ほどの女性に案内されてとある部屋にやってきた。
目の前には巫女装束一式が用意されており、大きめの姿見も一緒に用意されていた。
どうやらここで着替えるようだ。
「遥ちゃんは可愛いから絶対似合うと思います。とりあえず髪は纏めてポニーテールにしておきましょう」
「は、はい……」
知らない人が相手のため、めちゃくちゃ緊張する……。
あれよあれよと髪の毛を纏められて上の方で一つにされてしまう。
首元がものすごくスースーするんですけど……。
「じゃあ次は着付けを」
こうしてボクは着せ替え人形にされるのだった。
でもこれだけは言わせてください。
とりあえずいきなり『全裸で』とか言わないでほしいです。
下着くらい着けてもいいでしょう?
「遥ちゃん、似合うじゃないの」
なんとか下着は着けて着付けしてもらうことには成功した。
あのまま下着なしとか言われなくてよかった。
「子供用ではありますが、なかなかどうして。すごくお似合いで素晴らしいです」
そこは素晴らしいですか、すごくお似合いですのどちらかに絞るべきでは? なぜ混ぜちゃったの?
「あ、ありがとう、ございます……」
着慣れない服のせいか、なぜかやたらと恥ずかしい。
胸元はしっかりと閉じられているし、袴に変なスリットとかもない。
まぁ横に穴が開いてはいるけど、スリットというほどではないと思う。
「ふむふむ……」
とりあえず前から、横から、斜め上からカメラでパシャリ。
あとはお母さんが色々な角度で、面倒な注文を付けてくるので応じつつ撮影してもらった。
これはあとでパソコンに取り込んでおかないと。
「なかなか様になっているじゃない。これなら天津神様にも気に入られるわね」
ふと、お母さんがそんなことを言いだした。
「お母さん?」
「若葉様?」
「あぁ、ううん。気にしないでちょうだい」
気が緩んだのか何なのか、人間の権禰宜さんの前でそう言うとは思わなかったので少し驚いた。
「さて、じゃあ私と遥ちゃんは奥の社に行くわね。あとは宜しく」
「はい、お気をつけて」
お母さんはそう言うと、ボクの手を引き外へと出る。
さっきの女性は大人しく引き下がったけど、何か決まり事でもあるのだろうか?
「お母さん、奥の社って何があるんですか?」
「奥の社にはそこには妖精郷への入り口と高天原への入り口、妖種の契約の場があるわね。決まり事で神族と妖種、宮司と私、そして遥ちゃんしか入れないことになっているわ」
ということは、ボクたちしか入れないのを知っているのだろうか。
「先ほどの女性は妖種に詳しいんですか?」
「えぇ。あの子は妖精郷に住む限られた一部の人間の子なの。だから妖種の子に奥の社に行った話をしていると思うわ」
「ほかの妖種にって、なんでですか?」
ボクがそう問いかけると、お母さんは片目を瞑ってウィンクをし、こう言った。
「眷属面接会が行われるからよ」
どうやら厄介な仕事が入ってきてしまったようだ。
ちなみにどんな風に確保されたかというと、いわゆる手繋ぎである。
ボクは小さいお子様じゃないんだけどなぁ……。
「それじゃあ行くわよ」
「はーい。ん?」
家を出て車に乗る瞬間、誰かに見られているような気配を感じた。
向かい側~じゃないな。
隣?
でも姿は見えない。
う~ん……。
「遥ちゃん、どうしたの?」
「いえ、誰かに見られているような気がしまして」
再度確認すると、見られている気配はきれいさっぱり消えてしまった。
「遥ちゃんを見ている子、ねぇ。心当たりがあるとすれば【まつり】ちゃんかしら」
お母さんはふいにそんな言葉を口にした。
「まつりちゃんですか……」
まつりちゃんはボクの近所に住む光葉叔母さんの娘さんだ。
つまるところ、妖狐である。
「もしかしてボクのこと、知ってるんですか?」
なんだか気になったのでお母さんに確認してみる。
「えぇ。お父様経由で光葉ちゃんも知っているわね。光葉ちゃんからまつりちゃんに情報が流れてもおかしくはないわね」
「は、はぁ……」
なるほど、そうだとしたらボクのことを知っていてもおかしくはないかもしれない。
それにしてもまつりちゃんかぁ……。
「そのうちまた毎回のようにやってくるわ。今は光葉ちゃんから接触禁止令出されているの」
「そ、そうなんですね」
話に出てくる【まつり】ちゃんはボクの年下の幼馴染のような親族だ。
つまり従妹である。
身体がこうなる前はいつでも部屋に来て、何時間でも入り浸っていた人懐っこい女の子だったのだ。
まぁここ最近は異世界のほうが忙しくて会う機会がないので会っていないんだけど……。
「遥ちゃんが落ち着いたら会いに来るでしょうから、楽しみにしていなさいね?」
「あー、みんな、そろそろ出発したいんですけど、どうでしょうか?」
「あ、行きます」
ついつい話が長くなってしまい、お父さんに催促されてしまったのだった。
それにしてもまつりちゃんかぁ。
会ったらなんて話をしよう?
それから少しの間車で走り、お父さんが宮司を務める神社までやってきた。
そこそこの規模の神社なのに、比較的人が多いのが特徴といえば特徴だろうか。
しかしよく見てみると、人間の巫女さんや権禰宜さん以外にも妖種の巫女さんや権禰宜さんが多く見られた。
どうやらこの神社には妖種も関わっているらしい。
「遥、どうかしましたか?」
不意にお父さんが問いかけてきた。
「いえ、女性には妖種が多いように見受けられまして」
ボクから見える権禰宜さんたちのうち、男性はほとんど人間なのだが、女性には高い確率で妖種が混じっていたのだ。
「人間でも妖種でも特に採用基準を満たしていれば採用していますが、たしかにこちらに出ている妖種女性の数は多いかもしれませんね」
どうやらお父さんも妖種と人間の見分けができるようだ。
話には聞いていたけど本当だったらしい。
「おはようございます」
「おはようございます、御神楽宮司、若葉様」
社務所に入るとお父さんはまず挨拶をする。
すると苗字付きで役職名が返ってくるのだ。
「今日もいい天気なので、焦らず落ち着いてやっていきましょう」
お父さんがそう挨拶していると、ボクたちに一部の人の視線が向けられてきた。
「今日はお嬢様連れですか?」
質問してきたのは権禰宜の男性神職だ。
「そうです。ある程度見学させた後、若葉とこの子、遥は奥の社に行きますので」
「あの古びた社へですか?」
「えぇ」
どうやらボクたちが行くことになるのは奥の社という場所のようだ。
古びたという言葉が少し気になるけど。
「御神楽宮司、質問です」
「はいどうぞ」
「その子、遥ちゃんは学校には行かないんですか?」
権禰宜の女性からそのような質問が投げられた。
当然といえば当然か。
「訳あって今は通っていません。少ししたら再開する予定ですね」
お父さんが苦笑交じりの表情でそう答えると、質問を投げて来た若い権禰宜の女性が慈愛に満ちた目でボクを見て来た。
どうやら不登校と思われたらしい。
「た、大変だったのね……」
一人で納得し、一人で嘆き悲しんでいる。
一体、この女性の中ではどんなストーリーが組み立てられているんだろうか。
「お姉さんに頼ってね! 何でも聞いてあげちゃう」
「え、えっと、あ、あはは……」
謎のアピールが始まったのでボクはとりあえず受け流すことにした。
やっぱり良くない方向にストーリーが出来上がってしまったようだ。
本当の年齢が16歳だなんて言っても信じてもらえないよね。
「子供サイズの装束を用意しておいてください。たしかいくつかあったはずですからね」
「わかりました。千早に白衣、緋袴、一式あったはずです」
そう言うと、女性はどこかへと去っていった。
「遥、ちょっと大変かもしれませんけど、頑張ってくださいね」
「は、はぁ……」
お父さんはただ無責任に頑張れと言う。
きっと面倒なことが起きるんだろうなぁ……。
◇
それからしばらくして、先ほどの女性に案内されてとある部屋にやってきた。
目の前には巫女装束一式が用意されており、大きめの姿見も一緒に用意されていた。
どうやらここで着替えるようだ。
「遥ちゃんは可愛いから絶対似合うと思います。とりあえず髪は纏めてポニーテールにしておきましょう」
「は、はい……」
知らない人が相手のため、めちゃくちゃ緊張する……。
あれよあれよと髪の毛を纏められて上の方で一つにされてしまう。
首元がものすごくスースーするんですけど……。
「じゃあ次は着付けを」
こうしてボクは着せ替え人形にされるのだった。
でもこれだけは言わせてください。
とりあえずいきなり『全裸で』とか言わないでほしいです。
下着くらい着けてもいいでしょう?
「遥ちゃん、似合うじゃないの」
なんとか下着は着けて着付けしてもらうことには成功した。
あのまま下着なしとか言われなくてよかった。
「子供用ではありますが、なかなかどうして。すごくお似合いで素晴らしいです」
そこは素晴らしいですか、すごくお似合いですのどちらかに絞るべきでは? なぜ混ぜちゃったの?
「あ、ありがとう、ございます……」
着慣れない服のせいか、なぜかやたらと恥ずかしい。
胸元はしっかりと閉じられているし、袴に変なスリットとかもない。
まぁ横に穴が開いてはいるけど、スリットというほどではないと思う。
「ふむふむ……」
とりあえず前から、横から、斜め上からカメラでパシャリ。
あとはお母さんが色々な角度で、面倒な注文を付けてくるので応じつつ撮影してもらった。
これはあとでパソコンに取り込んでおかないと。
「なかなか様になっているじゃない。これなら天津神様にも気に入られるわね」
ふと、お母さんがそんなことを言いだした。
「お母さん?」
「若葉様?」
「あぁ、ううん。気にしないでちょうだい」
気が緩んだのか何なのか、人間の権禰宜さんの前でそう言うとは思わなかったので少し驚いた。
「さて、じゃあ私と遥ちゃんは奥の社に行くわね。あとは宜しく」
「はい、お気をつけて」
お母さんはそう言うと、ボクの手を引き外へと出る。
さっきの女性は大人しく引き下がったけど、何か決まり事でもあるのだろうか?
「お母さん、奥の社って何があるんですか?」
「奥の社にはそこには妖精郷への入り口と高天原への入り口、妖種の契約の場があるわね。決まり事で神族と妖種、宮司と私、そして遥ちゃんしか入れないことになっているわ」
ということは、ボクたちしか入れないのを知っているのだろうか。
「先ほどの女性は妖種に詳しいんですか?」
「えぇ。あの子は妖精郷に住む限られた一部の人間の子なの。だから妖種の子に奥の社に行った話をしていると思うわ」
「ほかの妖種にって、なんでですか?」
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