悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

文字の大きさ
315 / 319
連載

成敗されてしまいます

しおりを挟む
「レイ様にも研究の進捗をお訊ねして、是非一刻も早く広めなければいけませんもの」
「ああ、うん。その辺はジェレイドもうまくやるだろうし、俺も口添えしておくよ。ローゼはその前に魔法を使えるようになろうな?明日から実践だし、聞きたい事があるならまだまだ付き合うよ。何なら寝るまでつきあうよ」

笑顔でウィスクムが言った言葉に、秒でブチ切れたユリアが背後から頭を鷲掴みにした。

「いだだだだ!」
「成敗しますよ?」

ウィスクムが万力に潰される様な痛みに叫ぶが、容赦の無いユリアのギリギリと締め付ける手の甲に浮かんだ血管が怖い。

「ユ、ユリアさん、落ち着いてくださいませ。まだ、わたくし魔法を習っていませんから…」

「え?魔法習ったら用無しみたいな、言い方酷くない?」

だが、ユリアはその返答に満足したように、にっこりと手を引いた。

「ですよねー!マリアローゼ様の魔法使っているお姿、早く拝見したいなぁぁ」

きゃぴきゃぴと嬉しそうに言うユリアとマリアローゼを見比べて、ウィスクムが呆れた様に言う。

「…えー…こっわ。俺も一応公爵家の人間なんだけど、なぁ…?」
「だから何ですか?天はマリアローゼ様の下に人を作って、マリアローゼ様の上には作ってないです」

暴論が飛び出した。
マリアローゼはユリアのあまりの暴論ぷりに、それって誰が言った言葉だったっけ?と現実逃避をした。

「それって君の世界の中でしょ?」
「そうですけど、何か?」

とにかく、公爵家というネームバリューは通じないと分かって、ウィスクムはドン引きしながらも軽食を食べ始めた。
実際に身分で助かる事は多いと思うけど、背後で圧のある視線で見ろしてくる美少女には通じないらしい。

「こわ……ローゼは変な人に好かれるんだなぁ」
「いえ、そんな事はないです。皆様良い人達ですよ……」

多少変わっているのは否めないが、悪い人達ではないのだ。
ユリアは庇われて、はわわ、と頬を赤らめている。
その落差に更にドン引きしながらも、ウィスクムはパクパクと絶賛食事中だ。

怖いといえば、ウィスクムは停止魔法と言っていたが、時間関連の魔法など存在するのだろうか?
マリアローゼは質問する事にした。

「停止魔法は時間を操る魔法ですか?」
「いいや。そう勘違いさせているだけの、拘束と認識阻害を組み合わせた魔法だな」
「つまり、動けなくして、時間の流れを認識させないようにするという事ですの?」

ウィスクムは嬉しそうにニヤリと笑んで、うんうん頷く。

それはそれで、動いたユリアさん、凄くないですか?

マリアローゼはまじまじとユリアを見詰めるが、目が合ったユリアは尊い!と笑顔になっている。
見た目は美少女なのに、ユリアは色々想定外なオプションが盛り沢山なのだ。

「では収納魔法とか、空間を操る魔法はございますの?」

「うーん。それなぁ。どう定義するかに拠るんだよな。例えば、此処に容器があるだろ?」

ウィスクムがティーポットを持ち上げた。

「で、勿論こいつは見た目通りの容量に紅茶が入っている訳だ。だが幻術でこれをこうするじゃろ?」

とウィスクムの手の中で、ティーポットがミルクポットの形に変容する。大体10分の1程度の大きさだろうか。

「これは完全な幻術、見た目も感触も現物と遜色ないものになる。だが…」

言葉を区切ったウィスクムは、ミルクポットを傾けて、ティーカップに紅茶を注ぐ。
何も入っていないティーカップに、なみなみと紅茶が注がれるが、ミルクポットの見た目以上の量なのである。

「つまり、容量、中身は変わっていない。容器の中にある紅茶の分、楽しめるって訳だ」

言いながら、ティーカップを持ち上げて、注いだ紅茶を口に運ぶ。
そして、指を1つ鳴らした。
途端に、ミルクポットだったものがティーポットの見た目に瞬時に戻る。

「ただし、時間がくるか魔法が解ければ元に戻る。これを収納魔法とは呼ばねーと思うが、効果は同じだろう?」
「確かにそうですわね……」
「あとは重さを軽減する魔法があればいいのか、それと…時間停止だっけ?こっちは無理だな」

ん?
何故そんなにこちらの求める魔道具を詳しく知っておいでなのかしら?

「ああ、ジェレイドが昔そういうものが作れないかどうかと訊いてきたんでな。見た目を欺くだけの用途になら使えると教えたら、まあまあ使えるなと上から目線で言われたからよく覚えてる」

「他に方法はございませんの?」

マリアローゼの問いかけに、ウィスクムは愉しげにふふっと笑った。

「懐かしいなぁ。ああ、出来るかもしれねーから止めておこう。明日以降の魔法の授業で失敗しながら学ぶ方がいい。もしかしたら成功するかもだしな」

「わかりました。明日が楽しみでございますわ」

にっこりと嬉しそうなマリアローゼを見て、ウィスクムも楽しそうに微笑んだ。
しおりを挟む
感想 154

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!

くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました! イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。 あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!? 長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!? 二人共あの小説のキャラクターじゃん! そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!! へっぽこじゃん!?! しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!? 悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!! とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。 ※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。 それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください! ※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい ※不定期更新なります! 現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。