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延期と約束
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色々騒動があったものの、お茶会自体は無事に終った。
ただし、また一日領地への帰還が延びる事になってしまったのである。
「わたくしも不義理をしてはいけないと思いましたし、いずれは侯爵家の養女として過ごした方が良いと思って、
先代侯爵夫人にお手紙を出したのですけれど、どうしても明日一目会いたいと仰ってますの」
「うむ、それは仕方ない」
晩餐の席で母が申し訳無さそうに言った言葉に、嬉しそうにジェラルドは頷いた。
一緒に領地へ行けない身としては、先延ばしになるのが嬉しいらしい。
「お母様、侯爵家は……テララ子爵とイーリス様がご結婚されてから、交流していなかったのですか?」
「わたくしもそう思っていたのですけれど。イーリス様がお亡くなりになられて、後妻を迎えられたと聞いた侯爵夫人が、孫娘のステラを引き取ると申し出たそうだけど、断られたのですって」
それにしては、酷い扱いを受けてきたので、マリアローゼはふむむ、と唸った。
「まさか……養育費の請求とかしていたのでは……」
「すごいわねえ、ローゼ、その通りでしたのよ」
何てあくどい男なのだろうか。
仮にも自分の娘に対して、金蔓として手放さずに虐待を許すなんて。
「ですから、明日侯爵夫人をお迎えして、明後日出発いたしましょう」
「はい、お母様」
マリアローゼは、デザートを食べながら考え込んでいた。
貴族による子供への虐待は、取り締まる機関も法律も存在していない。
孤児や平民に比べれば、殺されない程度なら良い方と捉えるべきなのだろうけれど、
逃げられない状態で痛めつけられ続ければ、病んでしまう。
エレパースはそうやって傷つけられてきたのだ。
本来なら教会にそういった機関を設けてもよいのだが、昨今の教会の行状を鑑みると権限を与えてしまえば、勝手に聖女候補を誘拐して、罪状をでっち上げるくらいはしそうである。
電話がないから通報も出来ないし、交通手段が馬車や馬なので遠くへの移動手段もない。
もしも行えるとしたらまず、商会の規模を大きくして、子供の権利を守る為の活動も始める位だろうか。
子供達や女性が逃げ込める場所となれれば……。
その為にはやはり、商会としての成功。
販路だけでなく、ネットワークと店舗の拡大。
時間はかかるが地道に行うしかないのだ。
「どうしたんだい?浮かない顔をしているね、ローゼ」
勉強中に、シルヴァインが心配そうに聞いてくるのに、ノアークも隣でこくりと頷いた。
マリアローゼは少し考えてから、話し始める。
「今日暴力を起こした令嬢も、親の影響でああなってしまわれた部分もあるのかと思うと、やり切れなく存じまして」
シルヴァインは首を傾げて、それから双子達を見ながら言う。
「そうとばかりもいえないけどね。子供の性質によっては御しやすい、面倒な者も両方いる」
マリアローゼもシルヴァインの目線を追って、きょとん、とこちらを見ている双子を見詰めた。
と、二人が同時にピコーン!と何か閃いたような表情をして、顔を見合わせると、マリアローゼの両脇にやってくる。
「約束したよな、ローゼ」
「俺達ちゃんと大人しくしてたよな?」
両側から其々に言われて、ぎゅうと抱きしめられて、マリアローゼははわはわと慌てつつ言訳した。
ただし、また一日領地への帰還が延びる事になってしまったのである。
「わたくしも不義理をしてはいけないと思いましたし、いずれは侯爵家の養女として過ごした方が良いと思って、
先代侯爵夫人にお手紙を出したのですけれど、どうしても明日一目会いたいと仰ってますの」
「うむ、それは仕方ない」
晩餐の席で母が申し訳無さそうに言った言葉に、嬉しそうにジェラルドは頷いた。
一緒に領地へ行けない身としては、先延ばしになるのが嬉しいらしい。
「お母様、侯爵家は……テララ子爵とイーリス様がご結婚されてから、交流していなかったのですか?」
「わたくしもそう思っていたのですけれど。イーリス様がお亡くなりになられて、後妻を迎えられたと聞いた侯爵夫人が、孫娘のステラを引き取ると申し出たそうだけど、断られたのですって」
それにしては、酷い扱いを受けてきたので、マリアローゼはふむむ、と唸った。
「まさか……養育費の請求とかしていたのでは……」
「すごいわねえ、ローゼ、その通りでしたのよ」
何てあくどい男なのだろうか。
仮にも自分の娘に対して、金蔓として手放さずに虐待を許すなんて。
「ですから、明日侯爵夫人をお迎えして、明後日出発いたしましょう」
「はい、お母様」
マリアローゼは、デザートを食べながら考え込んでいた。
貴族による子供への虐待は、取り締まる機関も法律も存在していない。
孤児や平民に比べれば、殺されない程度なら良い方と捉えるべきなのだろうけれど、
逃げられない状態で痛めつけられ続ければ、病んでしまう。
エレパースはそうやって傷つけられてきたのだ。
本来なら教会にそういった機関を設けてもよいのだが、昨今の教会の行状を鑑みると権限を与えてしまえば、勝手に聖女候補を誘拐して、罪状をでっち上げるくらいはしそうである。
電話がないから通報も出来ないし、交通手段が馬車や馬なので遠くへの移動手段もない。
もしも行えるとしたらまず、商会の規模を大きくして、子供の権利を守る為の活動も始める位だろうか。
子供達や女性が逃げ込める場所となれれば……。
その為にはやはり、商会としての成功。
販路だけでなく、ネットワークと店舗の拡大。
時間はかかるが地道に行うしかないのだ。
「どうしたんだい?浮かない顔をしているね、ローゼ」
勉強中に、シルヴァインが心配そうに聞いてくるのに、ノアークも隣でこくりと頷いた。
マリアローゼは少し考えてから、話し始める。
「今日暴力を起こした令嬢も、親の影響でああなってしまわれた部分もあるのかと思うと、やり切れなく存じまして」
シルヴァインは首を傾げて、それから双子達を見ながら言う。
「そうとばかりもいえないけどね。子供の性質によっては御しやすい、面倒な者も両方いる」
マリアローゼもシルヴァインの目線を追って、きょとん、とこちらを見ている双子を見詰めた。
と、二人が同時にピコーン!と何か閃いたような表情をして、顔を見合わせると、マリアローゼの両脇にやってくる。
「約束したよな、ローゼ」
「俺達ちゃんと大人しくしてたよな?」
両側から其々に言われて、ぎゅうと抱きしめられて、マリアローゼははわはわと慌てつつ言訳した。
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