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騎士と、友人と
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ふう、と溜息を零すように息をして、リリーアリアが儚く微笑んだ。
「では、クリスを呼んでくれるかしら?怒っていたでしょう?凄く」
「ええ、でも、今のお姿を見れば、そんなもの、どうでもよくなると思います」
マルグレーテの言葉に、リリーアリアが嬉しそうにくふふ、と笑う。
「言葉遣いが乱れていてよ。クリスや双子ちゃんのせいかしら?」
「……はい、そうですね、そうかもしれません」
本当はずっと部屋の前から動かずにいたクリストハルトを、マルグレーテは追いやったのだ。
殿下が目覚めた時に、剣の腕が鈍っていたら警備から外してもらうと脅されて、渋々クリストハルトは、
八つ当たりのような訓練を、伯爵家の雇う兵士や騎士達に行っている。
マルグレーテは、部屋の窓を開け放った。
身を乗り出して大きな声で叫ぶ。
「クリストハルト様!!!」
それだけで察したのか、ひょいと、マルグレーテは身を戻し、何事もなかったかのようにリリーアリアの傍らに戻る。
リリーアリアは、それを見て嬉しそうに笑い続けた。
「ルーティ、貴方、随分破天荒になったものね?」
「お嫌いですか?」
微笑みながら聞くマルグレーテは、もう答えが分かっている。
「いいえ、大好きよ、ルーティ」
「そう、仰って頂けると思いました」
そんな短い遣り取りを終えるか否かで、部屋のドアが乱暴に開かれて、クリストハルトが走り込んで来た。
そのまま、リリーアリアをぎゅうと抱きしめる。
「痛い、骨が折れてしまうわ、クリス」
「うるせぇ、無茶しやがって」
それでも力を緩めて、クリストハルトは静かにリリーアリアの柔らかい髪に顔を埋めた。
「大事な事は全部自分の腹ん中に収める、本当に陛下そっくりだ、殿下は」
「あら、褒めてくださるのは、嬉しくてよ」
大きく溜息を吐く背中を見て、マルグレーテはくすりと微笑んだ。
「褒めてねえ、怒ってんだよ」
「これからは、なるべくお話しするわ。……怒っていても、ずっと側にいて守ってくださるんでしょう?」
「そういうところも、本当に……はあ、もう怒ってんのが馬鹿らしくなってきた」
ゆっくりと手を放して、身体を離して、クリストハルトはどっかりと床に胡坐を書いた。
そこへパタパタと軽快な音を立てて、双子が現れ、大号泣が始まったのである。
「では、クリスを呼んでくれるかしら?怒っていたでしょう?凄く」
「ええ、でも、今のお姿を見れば、そんなもの、どうでもよくなると思います」
マルグレーテの言葉に、リリーアリアが嬉しそうにくふふ、と笑う。
「言葉遣いが乱れていてよ。クリスや双子ちゃんのせいかしら?」
「……はい、そうですね、そうかもしれません」
本当はずっと部屋の前から動かずにいたクリストハルトを、マルグレーテは追いやったのだ。
殿下が目覚めた時に、剣の腕が鈍っていたら警備から外してもらうと脅されて、渋々クリストハルトは、
八つ当たりのような訓練を、伯爵家の雇う兵士や騎士達に行っている。
マルグレーテは、部屋の窓を開け放った。
身を乗り出して大きな声で叫ぶ。
「クリストハルト様!!!」
それだけで察したのか、ひょいと、マルグレーテは身を戻し、何事もなかったかのようにリリーアリアの傍らに戻る。
リリーアリアは、それを見て嬉しそうに笑い続けた。
「ルーティ、貴方、随分破天荒になったものね?」
「お嫌いですか?」
微笑みながら聞くマルグレーテは、もう答えが分かっている。
「いいえ、大好きよ、ルーティ」
「そう、仰って頂けると思いました」
そんな短い遣り取りを終えるか否かで、部屋のドアが乱暴に開かれて、クリストハルトが走り込んで来た。
そのまま、リリーアリアをぎゅうと抱きしめる。
「痛い、骨が折れてしまうわ、クリス」
「うるせぇ、無茶しやがって」
それでも力を緩めて、クリストハルトは静かにリリーアリアの柔らかい髪に顔を埋めた。
「大事な事は全部自分の腹ん中に収める、本当に陛下そっくりだ、殿下は」
「あら、褒めてくださるのは、嬉しくてよ」
大きく溜息を吐く背中を見て、マルグレーテはくすりと微笑んだ。
「褒めてねえ、怒ってんだよ」
「これからは、なるべくお話しするわ。……怒っていても、ずっと側にいて守ってくださるんでしょう?」
「そういうところも、本当に……はあ、もう怒ってんのが馬鹿らしくなってきた」
ゆっくりと手を放して、身体を離して、クリストハルトはどっかりと床に胡坐を書いた。
そこへパタパタと軽快な音を立てて、双子が現れ、大号泣が始まったのである。
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みんなの感想(5件)
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すごく素敵なお話でした。
皆が、相手を思いやり、自分のできる事をし、力を合わせ、国を守れたこと。眠れずに読みすすめてしまいました。
王弟の出番や、王弟の息子との婚約は、なくなったと思いますが、彼女たちのその後や、世界が気になります。
続きを期待してもいいですか?
それから陛下の画像が、目について離れません。うっとり……。
後、お兄様たちがすばらしすぎて、結婚相手になりそうな人は、そうそう現れなそうで心配です(笑)。
まるる999さん
素敵な感想をどうも有難うございました!
書きたいエピソードも沢山あるので、長編がある程度進んだら、こちらも書きたいと思います。
世界観や魔法についても全く違う長編同士を同時に書けない不器用な作者ですみません。
陛下のイラスト感想も嬉しいです!
お兄様達のお相手は……色々優秀じゃないと大変そうです。
励みになるお言葉ありがとうございます。頑張ります!
やっと追い付きました~😆📙✨
~話せないこと~
『魔力の量の底上げする』は『魔力の量の底上げをする』又は『魔力を底上げする』にされますとさらっと拝読できるかなと想います。
よろしければご検討お願いします。
レオン様とマルちゃんのイラスト 美麗すぎ!😭💦全米が泣いたw
紫音さん
いつもありがとうございます(*´8`*)
目を通して直してみました!
本当はもっと色々イラスト増やしたいのですが、今小説書きたい波が来てるので
あらゆることをストップして書き続けます!
感想ありがとうございましたwイラスト褒められるのもうれしいです!
クリりんも💪✨😆👍✨🐤✨
最強の騎士なので(*´8`*)