あなたの番になれたなら

ノガケ雛

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第2章

第15話 ※

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 朝に言っていた通り、その日リオールは大変忙しかったらしく、会うことは叶わなかった。
 しかしアスカは、これはちょうど良かったと思っている。

 というのも、清夏と薄氷の二人とした会話を思い出しては、考えてしまうからだ。

 だが、リオールとアスカはまだ番になっていないどころか、婚姻も終えていない。
 あと少しで、儀式があるようだが……。


 ひとりで眠るいつもの夜。
 ふと、長らく会っていない家族を思い出した。
 王宮に来て以来、一度も連絡をとってはおらず、彼らがどのように過ごしているのかもわからない。
 文を送ることも、禁じられていた訳では無いのだが、思い出して寂しさで泣くことのないように、送らずにいたのだ。


 儀式の時には、家族を呼べるのだろうか。
 少しは成長した姿を、届けることができればいい。
 そして、もしも子供が生まれたのなら、両親にも、弟達にも、抱かせてあげたい。



「……」


 天井を眺め、深く息を吐く。
 そうして目を閉じれば、夢の中で、家族とリオール、そして自分と、自分の子供が幸せそうに笑っている姿が浮かんだ。


 ──そのような未来が、本当に訪れたなら。


 アスカは幸せな気持ちで朝を迎えた。






「陛下は、子を、お望みですか……?」
「!」


 夜の練習の時間。
 アスカは少し気になっていたことと、夢の話をする。
 驚いた顔から、穏やかな表情に変わっていくリオールにホッとした。


「それは、実に素晴らしい未来だな」
「では……」
「ああ。私はアスカとの子が欲しい。しかし、もう少し後でも構わない」
「ぁ……」


 するり、衣が脱がされていく。
 肌を滑る指があたたかい。


「子は欲しいが、実を言うと、アスカとふたりの時間も、もっと、ほしい」
「そ、そう、なのですか……?」
「ああ。こんなに穏やかで、幸せなんだ。きっと子ができても幸せだろうが、二人だけのこれを、もう少し味わいたい気もする。……ああ、だがしかし、やはり……子供はきっと愛らしいだろうな」


 口付けをされ、優しく押し倒される。
 舌を絡め取られ、クチュっと甘い水音に頭がジンとした。

 舌を絡め合いながら、リオールの手が静かにアスカの脚を撫でた。
 それだけでピクリと反応したアスカに、彼は優しく言う。


「……今夜は、昨日使ったものとは別の香油らしい」
「えっ?」
「催淫効果のあるものらしいぞ。清夏が用意しただとか」


 ごくり、と喉を鳴らし、アスカは緊張したように目を伏せる。


 ──清夏さんは、本気だったのか……!


 念の為、と言っていたけれど、仕方がない。
 アスカは小さくうなずいた。

 リオールが手に取った香油は、蓋を開けると、ほのかに甘く、花のような香りがふわりと広がった。
 その香りを嗅いだ瞬間、アスカの身体がぴくんと震える。
 オメガの体に効果があるのか、リオールは平気そうだ。


「何か感じるか?」
「……ぁ、なんだか……変な感じが、します……」


 リオールの指が香油をすくい、そっとアスカの秘部へと伸びる。
 触れた瞬間、アスカは小さく震えたが、周りを優しく撫でられ、ゆっくりと指が入ってくるとキュッと中を締め付けてしまう。


「ぁ、な、んか、熱い……っ」
「……大丈夫だ。安心して」


 指先は優しく、ゆっくりと。
 けれど、香油のせいでいつもより敏感になったそこは、触れられるたびに熱を帯びていく。


「ぁ……あ、ん……リオールさま……っ、だめ、おかしい……っ」
「アスカ……可愛い……」


 リオールの声が甘く濡れていた。
 けれど、その目には優しさと、どこか抑えた色が浮かんでいる。
 アスカの後孔はすでにリオールの指が二本埋められている。


「痛みはないか?」
「はぁ、ぁ、あっ……き、もちいい、気持ち、いいです……っ」


 香油と、快感から分泌された愛液で、アスカのそこはトロトロになっており、リオールはゴクリと唾液を飲み込んだ。


「ぁ! リオールさま、ぁっ、あ、だめです、もう……っ」
「出そうか」
「はぁ、は……ぁ、ゃぁ……で、ます……でちゃう、やだ……っ」
「いい。出しなさい」


 アスカは迫ってくる絶頂感にぎゅっと目を瞑り、背中を僅かに反らせて達した。
 ビュクッと射精し、それが腹を汚す。


 快感にうっとりしていると、口付けをされ、再び中に埋められた指が動き出す。
 先程よりも圧迫感があって、しかし泣きどころを触られると次第にそれも気にならなくなり、はしたなくも自ら脚を開いていた。



「や……やぁ、また……来ちゃう、っ……!」


 アスカは自分の意思では止められない快感に身をよじらせ、リオールの指から逃れようとするが、それすら叶わない。


「アスカ、可愛い……本当に、全部が愛おしい」
「ぅ、ん、や、そんなこと……いわないで……恥ずかしい……っ」


 涙すら滲ませながら、それでも快感に抗えずに脚をひらき、リオールを受け入れてしまう。
 香油の効果は、アスカの理性を溶かしてしまっていた。


「ぅ、ふ、ぁ……リオール、さま……好き……っ……もう、好きすぎて、おかしくなりそう……」


 リオールはアスカの乱れた髪を優しく撫でる。
 そして、一度深呼吸をすると、その耳元で囁いた。


「アスカ……これ以上したら、君の身体が持たない。今夜の練習は、ここまでにしよう」
「……え……?」


 ふるふると震える目で見上げるアスカに、リオールはそっと指を抜き、胸元に抱き寄せた。
 鼓動が、すぐ耳元で聴こえる。力強く、でも穏やかに。


「……本当は、このまま抱きたい。全部、アスカの中に注ぎ込みたいほどに……だが、こんなに乱れてるのを見たら、我慢ができなくなるかもしれない」
「……リオール、さま……」
「それに……こうして、我慢するのも、愛のうちだろう?」


 その言葉に、アスカは胸がじんわりと温かくなるのを感じた。
 香油で熱く火照った身体を、リオールの腕の中で冷ましていく。


 背中を撫でる手も、髪に落ちるキスも、全てが優しくて、心地良くて。
 恥ずかしさと幸福感に包まれながら、アスカはそのまま、リオールの胸の中でまどろみに落ちていった。

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