20 / 27
転生者は木と成り杖となる
20話 聖剣を掲げるカズマ像
しおりを挟む
鉱山都市グランヴァルト中央広場。
巨大なミスリル鉱石が、地面から丸ごと引き抜かれている。
その頂点に刺さったままの聖剣。
周囲は静寂。
そして――
聖剣が叫んだ。
聖剣エクスカリバー
『ちょっと!? なにやってんのよっ!?』
「いや、抜こうとしたら地面の方が弱くて」
「心の声ダダ漏れね」
「構造的には合理的だ。剣ではなく基礎を動かした」
『合理的じゃなーい! 私まだ契約してないし! 名付けもされてないし! そもそも抜かれてもないのよ!?』
確かに。
剣はまだ“鉱石に刺さったまま”。
そして不思議なことに――
『ちょ、ちょっと待って!? 何で装備判定通ってるの!?』
「興味深い。彼は“すべての武器、防具を装備可能”な適性を持つ」
「なにそれ反則」
「え、俺そんな設定あったの?」
ざわめく観衆。
「台座壊したぞ……!」
「町の象徴が……!」
カズマは振り返る。
「……あ」
確かに、広場は陥没。石畳は割れ、台座は消滅。
しばし沈黙。
そしてカズマは真顔で言った。
「よし、代わりに銅像建てるか」
「は?」
『え??』
カズマドヤ顔でポーズを決める。
「村制作スキル――オブジェクト」
地面に魔法陣が展開。
石材が隆起し、銅が溶け、形を成す。
観衆が息を呑む。
構築されていくのは――
巨大な銅像。
ミスリル鉱石に刺さった聖剣を高らかに掲げるカズマの勇姿。
完璧なドヤ顔ポーズ。
「良い出来栄えだ」
「恥ずかしくて耐えられないわ」
『何で岩に刺さったまま像にするのよっ!? 私は聖剣なのよっ!?』
その瞬間。
パキン、と音がした。
巨大なミスリル鉱石から、聖剣が“自力で”抜け出す。
光を放ち、宙に浮く。
『もう知らない! こんな扱い初めてなんだけど!?』
剣はカズマの目の前で怒鳴り散らす。
『私は選ぶ側! 崇められる側! なのに何この雑さ!?』
「まぁまぁ、そんな怒るなって」
「エクスちゃん」
軽く柄を握る。
刹那。
眩い光。
魔力の奔流。
聖剣の声が裏返る。
『え、ちょ、待っ――』
紋章が浮かび上がる。
契約紋。
完全同調。
静寂。
「正式契約、完了だ」
「早すぎない?」
光が収束する。
聖剣はカズマの手に収まっていた。
『ぬぅわあああーっ! 何でよーっ!!』
「よろしくな、エクスちゃん」
『その呼び方やめなさい!』
銅像を見上げる聖剣。
『私の黒歴史になる』
『……あれ壊す。今すぐ壊す』
刃が光る。
カズマ
「やめろ」
翌日――
広場の外で蹄の音。
重装騎士団が現れる。
中央に、漆黒の外套。
第一王子レオンハルト。
彼の視線が、抜けた聖剣へ向く。
沈黙。
「……なぜだ」
カズマと、聖剣と、銅像。
その全てを見つめる。
聖剣が小声で呟く。
『あ、前に来た人だ』
空気が張り詰める。
王子はゆっくりと歩み出る。
「その剣は、王国の象徴だ今すぐ返せ」
カズマは首を傾げる。
「いや今契約したけど?」
聖剣が小さく言う。
『一応、今はこの人の』
王子の拳が震える。
その視線は、銅像へ。
鉱石ごと掲げる勇者。
民衆のざわめき。
笑い。
賞賛。
王子の心がへし折れる音がした
くっ屈辱だ。
巨大なミスリル鉱石が、地面から丸ごと引き抜かれている。
その頂点に刺さったままの聖剣。
周囲は静寂。
そして――
聖剣が叫んだ。
聖剣エクスカリバー
『ちょっと!? なにやってんのよっ!?』
「いや、抜こうとしたら地面の方が弱くて」
「心の声ダダ漏れね」
「構造的には合理的だ。剣ではなく基礎を動かした」
『合理的じゃなーい! 私まだ契約してないし! 名付けもされてないし! そもそも抜かれてもないのよ!?』
確かに。
剣はまだ“鉱石に刺さったまま”。
そして不思議なことに――
『ちょ、ちょっと待って!? 何で装備判定通ってるの!?』
「興味深い。彼は“すべての武器、防具を装備可能”な適性を持つ」
「なにそれ反則」
「え、俺そんな設定あったの?」
ざわめく観衆。
「台座壊したぞ……!」
「町の象徴が……!」
カズマは振り返る。
「……あ」
確かに、広場は陥没。石畳は割れ、台座は消滅。
しばし沈黙。
そしてカズマは真顔で言った。
「よし、代わりに銅像建てるか」
「は?」
『え??』
カズマドヤ顔でポーズを決める。
「村制作スキル――オブジェクト」
地面に魔法陣が展開。
石材が隆起し、銅が溶け、形を成す。
観衆が息を呑む。
構築されていくのは――
巨大な銅像。
ミスリル鉱石に刺さった聖剣を高らかに掲げるカズマの勇姿。
完璧なドヤ顔ポーズ。
「良い出来栄えだ」
「恥ずかしくて耐えられないわ」
『何で岩に刺さったまま像にするのよっ!? 私は聖剣なのよっ!?』
その瞬間。
パキン、と音がした。
巨大なミスリル鉱石から、聖剣が“自力で”抜け出す。
光を放ち、宙に浮く。
『もう知らない! こんな扱い初めてなんだけど!?』
剣はカズマの目の前で怒鳴り散らす。
『私は選ぶ側! 崇められる側! なのに何この雑さ!?』
「まぁまぁ、そんな怒るなって」
「エクスちゃん」
軽く柄を握る。
刹那。
眩い光。
魔力の奔流。
聖剣の声が裏返る。
『え、ちょ、待っ――』
紋章が浮かび上がる。
契約紋。
完全同調。
静寂。
「正式契約、完了だ」
「早すぎない?」
光が収束する。
聖剣はカズマの手に収まっていた。
『ぬぅわあああーっ! 何でよーっ!!』
「よろしくな、エクスちゃん」
『その呼び方やめなさい!』
銅像を見上げる聖剣。
『私の黒歴史になる』
『……あれ壊す。今すぐ壊す』
刃が光る。
カズマ
「やめろ」
翌日――
広場の外で蹄の音。
重装騎士団が現れる。
中央に、漆黒の外套。
第一王子レオンハルト。
彼の視線が、抜けた聖剣へ向く。
沈黙。
「……なぜだ」
カズマと、聖剣と、銅像。
その全てを見つめる。
聖剣が小声で呟く。
『あ、前に来た人だ』
空気が張り詰める。
王子はゆっくりと歩み出る。
「その剣は、王国の象徴だ今すぐ返せ」
カズマは首を傾げる。
「いや今契約したけど?」
聖剣が小さく言う。
『一応、今はこの人の』
王子の拳が震える。
その視線は、銅像へ。
鉱石ごと掲げる勇者。
民衆のざわめき。
笑い。
賞賛。
王子の心がへし折れる音がした
くっ屈辱だ。
1
あなたにおすすめの小説
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる