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転生者は木と成り杖となる
21話 王子VS勇者の小競り合い
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鉱山都市グランヴァルト中央広場。
崩れた石の台座の上に、銅像が立っている。
鉱石に刺さったままの聖剣を掲げ、胸を張る男。
やけに誇らしげな顔。
夕陽が像を赤く染める。
その前で、王子レオンハルトが足を止めた。
何も言わない。
ただ、見上げる。
背後の騎士たちが息を呑む。
やがて、低い声が落ちた。
「王家の象徴を、随分と好き勝手にしたものだな」
静かだが、冷たい。
「台座、壊れたんだ。代わりだよ。町の顔はいるだろ」
悪びれない。
聖剣が手の中で小さく震える。
――ほんとに神経太いわね……
民衆の中から、くすりと笑いが漏れる。
その音が、王子の何かを削った。
剣が抜かれる。
速い。
一直線の踏み込み。
鋭い斬撃。
金属音が広場に響く。
カズマは反射で受けた。
構えは荒い。
だが、剣が自然に噛み合う。
王子は眉を寄せる。
自分の刃は完璧だ。
鍛え抜いた軌道。
なのに、ずれる。
聖剣が、わずかに導いている。
押す。
返される。
二合、三合。
火花が散る。
王子の呼吸が乱れる。
目の前の男は、洗練されていない。
それなのに。
距離が開く。
「何者だ」
低く問う。
「転生者で農民だ」
即答。
嘘のない声。
その一言が、胸を刺す。
聖剣が淡く光る。
王子の手ではなく、あの男の手の中で。
王子は銅像を見上げる。
民衆が見上げるのは、自分ではない。
胸の奥で何かが音を立てて折れた。
「……今日は退く」
それだけ言う。
騎士が戸惑う。
だが王子は振り返らない。
像から目を離さないまま、胸の奥で決める。
必ず返してもらうぞ。
――――――――――
王都、夜。
軍議室の灯りが消えない。
地図が広げられる。
湖、街道、補給路。
包囲線が引かれる。
「一万で足りる」
短い声。
勅命はない。
承認もない。
だが構わない。
聖剣は王家のものだ。
それを取り戻すだけだ。
一瞬、迷いがよぎるが
すぐに消す。
これは国のため。
そう言い聞かせる。
だが瞳に宿るのは、理ではない。
執着。
一万の軍で包囲する。
剣を奪う。
それだけを見据えて、王子は静かに笑った。
崩れた石の台座の上に、銅像が立っている。
鉱石に刺さったままの聖剣を掲げ、胸を張る男。
やけに誇らしげな顔。
夕陽が像を赤く染める。
その前で、王子レオンハルトが足を止めた。
何も言わない。
ただ、見上げる。
背後の騎士たちが息を呑む。
やがて、低い声が落ちた。
「王家の象徴を、随分と好き勝手にしたものだな」
静かだが、冷たい。
「台座、壊れたんだ。代わりだよ。町の顔はいるだろ」
悪びれない。
聖剣が手の中で小さく震える。
――ほんとに神経太いわね……
民衆の中から、くすりと笑いが漏れる。
その音が、王子の何かを削った。
剣が抜かれる。
速い。
一直線の踏み込み。
鋭い斬撃。
金属音が広場に響く。
カズマは反射で受けた。
構えは荒い。
だが、剣が自然に噛み合う。
王子は眉を寄せる。
自分の刃は完璧だ。
鍛え抜いた軌道。
なのに、ずれる。
聖剣が、わずかに導いている。
押す。
返される。
二合、三合。
火花が散る。
王子の呼吸が乱れる。
目の前の男は、洗練されていない。
それなのに。
距離が開く。
「何者だ」
低く問う。
「転生者で農民だ」
即答。
嘘のない声。
その一言が、胸を刺す。
聖剣が淡く光る。
王子の手ではなく、あの男の手の中で。
王子は銅像を見上げる。
民衆が見上げるのは、自分ではない。
胸の奥で何かが音を立てて折れた。
「……今日は退く」
それだけ言う。
騎士が戸惑う。
だが王子は振り返らない。
像から目を離さないまま、胸の奥で決める。
必ず返してもらうぞ。
――――――――――
王都、夜。
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包囲線が引かれる。
「一万で足りる」
短い声。
勅命はない。
承認もない。
だが構わない。
聖剣は王家のものだ。
それを取り戻すだけだ。
一瞬、迷いがよぎるが
すぐに消す。
これは国のため。
そう言い聞かせる。
だが瞳に宿るのは、理ではない。
執着。
一万の軍で包囲する。
剣を奪う。
それだけを見据えて、王子は静かに笑った。
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