気がつけば彼に抱かれていました

美凪ましろ

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第二部――『おれの彼女のおっぱいは世界一!』

◆2 *

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 四月という季節は。

 別れを経験した人間の悲しみが癒えつつある人生の時期。

 真新しいスーツに身を包む人間が引き締まった表情で電車に乗る季節。

 わいわい騒ぐ大学生を尻目に会社に行くのがちょっとしんどくなる時期。

 ゴールデンタイムを専有していた特番が落ち着きようやく新しいドラマが始まる季節。

 そして――


 女性がだんだん薄着になる季節でもある。


「だ、め、けいちゃん、やああ……」

 というわけで、現在。

 最近結婚した人気俳優が主演する月9を鑑賞中の彼女のおっぱいを揉みしだいている最中。

 ドラマなんかどうだっていい。

 おっぱいだ。大事なのは、おっぱいだ。

 かつて、『しっぱいおっぱい世界一』なんて台詞の出てくる朝ドラがあったけれど、丈一郎に言わせれば『おっぱいおっぱい世界一』だ。しっぱいとおっぱいを並列に考えるなど、とんでもない。

 おっぱいは、世界一。

 あれに勝るものはこの地球上のどこにも存在しない。

 真冬の頃にコートを脱がせておっぱいを貪るのも幸せだが。やはり、女は薄着に限る。彼女とつき合う前から長く友達関係を続けていた丈一郎は、薄着の季節に彼女の胸を見るたびに『顔埋めてみてえ』とむらむらし、感情を抑えこむのに苦戦していた。もっとも、彼女はそんな丈一郎の内面に気づく気配はなかったが。

 恋は、人間を盲目にする。

 なお、丈一郎は彼女に室内ではノーブラで過ごすようにと命じている。四六時中平日は最低でも二三時間、休日なら起きていて外にいないあいだの時間のほとんどを、おっぱいに触れて過ごしている。よって、ブラは邪魔なだけだ。勿論、彼女の豊満な胸からはぎ取るのも興奮するけれど。でもそれは一日一回程度で充分だ。それよりも、『常時おっぱいに触れていたい』という欲求を満たすことのほうが重要なのだ。

 薄い布切れのうえから吸いあげてみると、みるみるうちに乳首が主張を始める。

 このときが、どうしようもないほどに丈一郎は愛おしい。

 綾乃が、感じているのが、丈一郎は好きなのだ。

「綾乃、……おまえのここ、おいしい」唾液まみれのそれを丈一郎は舌で転がす。彼女の注意を引くよう意識しながら。「おまえ、……ここ、直接舐めて欲しい?」

「い、いいよ、別に……」

 自分の声が上ずっているのを彼女は自覚しているのだろうか。

 それでも、彼女の顔がテレビのほうを向いたままという事実に対し、丈一郎は悔しい気持ちに駆られる。

 おれのことだけを見ていろ、綾乃。

 我慢できず、彼女のウエストのあたりからTシャツをまくりあげ。ぶるん、とあらわになった愛おしい胸を直接両手で揉みしだく。「ひ、あああっ」と望んだ通りの悲鳴が心地よく丈一郎の耳に響く。

 これ以上ないほどに柔らかくなった胸を思い切り揉みまくってやると、あっけなく彼女は達した。本当に、いきやすい。

 脱力した彼女からTシャツを脱がしてやり。上半身はだかの彼女を抱きしめながら後ろに倒し。横になり、床に頬杖をついて、その顔を眺めてやる。

「可愛いな、綾乃……」丈一郎の口からは自然とそんな言葉がこぼれ落ちていた。

「なん、でよ、けいちゃん……」いまだ上気した彼女の頬がなんとも扇情的だ。「わたし、ばっか、……それに、こんなに、いきやすいのって、正直、どうかと……」

「おれ。いきやすい綾乃が好きだよ」丈一郎は、断言する。「おれの手で感じまくっていっちゃう綾乃が、おれは好きなの」

 最高に可愛い。

 などと彼女の耳に熱い息を吹きかけて見れば、彼女は「きゃっ」と叫ぶ。本当に、可愛い。

 綾乃とつきあい始めて半年が経つ。けれども、相変わらず毎日のようにセックスしているし、相変わらず毎日おっぱいを揉み揉みしている。

 すっかり感度のよくなった綾乃は、丈一郎が触れて10分足らずで到達することも珍しくはない。本人は、気にしているようだが……。

 いまだ余波に打ち震える綾乃を、丈一郎はそっと抱き締める。

「好きだよ、綾乃。愛している……」

「けいちゃん……」

 むに。とおっぱいを掴んでみると、ちょっと綾乃が顔を歪める。「……けいちゃんが好きなのって、おっぱい、それともわたし?」

 丈一郎は迷わず断言した。「両方。選べない」

「もお……」綾乃が丈一郎の髪を優しく引っ張る。でも、なんだか彼女は嬉しそうだ。

 丈一郎は満ち足りた気持ちとともにからだを下方にスライドさせる。

 そして、濡れた尖端を舌でこねくり回す。彼女は、嫌いなほうじゃないらしく。丈一郎の頭を抱え込むようにする。

「補足するとな。綾乃」

 うん。と頭上から彼女の声が降ってくる。

「おまえのおっぱいだから好きなの。

 ほかのは、……眼中にない」


 そして、丈一郎は、いつもどおり、自分の欲求を満たすことと彼女を導くことに専心するのだった。


 *
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