(完) ミリエネッタお嬢様の周りは変な人ばかり

「3」 ムスタカス家の子息

(8) 騒動の元

金魚さんは、イヤイヤ。食べたくない物もあるの。ミリエネッタ令嬢は、命令した。


「食べないと許しませんよ！」


いやん、不味そー。クルリと回れ右で部屋から逃亡。お待ちと、ミリエネッタ令嬢の見えない魔の手が金魚を掴む。


「プップップックリ！(あれえええ)」


ミリエネッタ令嬢に尾を掴まれて口の中に手を入れられて取り出された金色の虫(金魚には虫)。次には、刺客のオジサンが放り込まれるという悲惨な出来事。


「ブゥーブゥー(ゲーゲーお腹を壊しそ)」


変な物を食べさせられて宙をジグザグ走行し出す。ミリエネッタ令嬢は、手の上の大王に呼びかけた。


「もしもしー、大丈夫ですか？」

「んにゃ・・・(駄目)」


竜人の大王の魂なのに、魔力の強い種族とは思えない非力さ。金魚に丸呑みされるとは、これからが心配です。これは、対応策を考えなくてはいけません。

なので、ミリエネッタ令嬢はゴメス商会を呼び出した。どうする気なのか。









何やら海の臭いが漂って来たサンリク伯爵家の屋敷。遠くから波の音もしてくる。悪い予感。召使い達はバタバタと逃げ出す。それが何かを知っているからだ。

ジャンジャンジャンジャンー。ドドーンとドーン！


「ゲボッー、来たわーお姉さま。僕ちゃんは、貴女に会いに参りましたよーん。ぐああおおお～～！」


屋敷へ流れ込む波。波の上には海坊主。つい、ドアを開けてしまったジュリエ。その姿を見て固まる。


「おんや、チャーミングなお嬢様。君に会いたかったよーん。僕の名前を覚えてて。イーグル・ムスタカスでございます！」

「私は。」

「ん？ゴボッゴボッー。」

「お前になんか会いたいわけ無いのだ。化け物は嫌いなのだー！」


飛ぶように逃げ出す姿に、イーグルは追いかける。気に入った、元気がある。遊び相手にしてあげよう。名誉だよ。私の相手は体力が必要なんだもーん。