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act.101
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結局。その日の晩は、レイチェルがウォレス家を訪れることはなかった。
マックスは、ようやく帰宅したウォレスと父親の帰りを大人しく待っていたシンシアと三人で少し遅いディナーを食べ、その後は、リビングのソファーでテレビを見ながらシンシアの入れたココアを啜った。
ベルナルド宅に預けられていた間に、シンシアはすっかりココアを飲むのが習慣となってしまったらしい。
二人掛けのソファーで父親に凭れかかるように座りながら、シンシアは呟いた。
「レイチェル、大丈夫かしら・・・」
テレビのニュースでは、レイチェルを襲った暴漢について、何も報道をしていない。クラウン地区で起きた単なる強盗未遂事件など、ニュースネタにもならないのだ。
「彼女は大丈夫だよ。さっきの電話での調子だと、いつものレイチェルだった。怪我もしていないし、警察にはセスもいるから」
二人掛けのソファーの左斜め向かいにある一人掛けのソファーに腰掛けたマックスが、ニュース画面を見つめながら言う。
「そうね・・・」
シンシアはそう呟きながら、マグカップの中のココアを飲み干すと、「少し疲れたから、先に休むわ」と言ってソファーを立った。
「お休み、パパ」
シンシアはそう言ってウォレスの頬にキスをし、「お休み、マックス」と言ってマックスの頬にもキスをする。
シンシアが家族に対するようなキスをマックスに対して自然にしている光景を、ウォレスは目を細めて見つめた。今までにない幸福感がウォレスの身体を包む。
『家族』という言葉に執拗に拘ったのはマックスの方であったが、それを切望していたのは寧ろ、ウォレスの方だったのかもしれない。
「マックス、あっちに座ったら」
リビングを出て行く間際、シンシアは今まで自分が座っていた場所を指さして、彼女は姿を消した。
「まったく・・・」
マックスが少し頬を赤くしながら、苦笑いする。
彼女は、自分の目の前で控えめに愛情表現をする二人のことを少し気にしているのかもしれない。口では、その少しの愛情表現でも目ざとく見つけて囃し立てているのだが。
「じゃ、お言葉に甘えて」
マックスはテレ隠しにそう言うと、ウォレスの隣に腰掛けた。
ウォレスにさり気なく抱き寄せられる。
マックスは、ウォレスの肩に頭を凭れさせながら、ぼんやりとテレビを見つめ続けた。だが、どんな画面や音声もあまり頭に入ってこなかった。
── 傍で感じるジムの体温。息遣い・・・。
ウォレスと同じ屋根の下で生活できるようになって少し経つが、それでもいまだ夢のように感じてしまう時がある。
彼の存在自体が、時に儚く思えて・・・。
マックスは、ウォレスの横顔を見つめる。
いつもどこか憂いを帯びた蒼い瞳。
この人は今まで、この深い色を湛えた瞳で、どのような惨劇を見つめ続けてきたのだろう。
「・・・ん? どうした?」
マックスの視線に気づいて、ウォレスがマックスを見る。
マックスは深呼吸して、更にウォレスの身体に自分の頭を預けた。
「シンシアのママは・・・きっととても美しくて、強い人だったんでしょうね・・・」
そう言ってすぐに、微笑みを浮かべる。
「別に、嫉妬している訳じゃないんです。だけど、気にはなります。だって、あなたが苦労した時期に一緒にいた人だし、何よりあなたの子どもを産んでくれた人だ。彼女のお陰で、シンシアが今、ここにいる。俺もシンシアのことを本気で愛しているし・・・」
「嫉妬しないといけないのは、私の方かな。自分の娘に」
強ばった笑みを浮かべるマックスをリラックスさせようと思ったのか、ウォレスがそんな冗談を言ってくる。マックスは、ふふっと思わず鼻で笑ってしまった。
「シンシアに対する愛情は、何というか・・・うまく言えないけれど、妹に対するものとも違うし、ましてや子どもに対するものとも違います。かといってもちろん、恋人でも妻でもないのだけれど。・・・でもかけがえのない人だと思うんです。あなたと俺の関係になくてはならないし、彼女がいなければ俺達は今こうしていなかったかもしれない。── そう言えば、あなたと初めてあった頃、二人の間の強ばりを解くことができたきっかけは、シンシアの事故でしたね」
「そう言えば、そうだったな・・・。シンシアがかつぎ込まれた病院で、私達は初めて素直に互いのことを話せる時間を持つことができたんだ」
ウォレスも懐かしそうにそう呟いた。
「いろんなことが、ありましたね。そんなに長い間とは思えないけれど、本当にいろんなことがあった」
ウォレスが、マックスの額に残る傷に口づけを落とす。
マックスは、くすぐったそうに笑って、身を竦ませた。
「俺は・・・イギリスのギルフォードで生まれました。両親は、俺が三歳の時に爆破事件に巻き込まれて亡くなりました」
「知ってる・・・。ミス・メアリーから聞いていたよ。君が病院にかつぎ込まれた時にね」
マックスは、やっぱり・・・と呟いた。
だからこそウォレスは、あの時別れを切り出したのだ。彼自身が、加害者側の仲間だったから。
「君は・・・いいのか? 私は・・・」
そういうウォレスの口を、マックスは情熱的なキスで塞いだ。
「いいんです・・・。いいんです・・・。時には、あなたのことを恨んだこともあったけど、俺達の出逢いは運命だった。あなたと俺がこうして愛し合っている事実は変わらないし、人の愛情は暴力よりも勝るってことの証明なんだ。いがみ合うことは無意味です。そこからは何も生まれないから・・・」
「マックス・・・」
ウォレスがキスを返してくる。
マックスは、少し上がった呼吸混じりにこう言った。
「もう絶対に離したりしない。だって、俺にまた本当の家族を与えてくれたのは、あなただもの」
マックスは、ぎゅっとウォレスを抱き締める。
その耳元で、ウォレスが囁いた。
「そして、私に人間としての尊厳を再び与えてくれたのは君だよ、マックス・・・」
警察署でのレイチェルに対する事情聴取は、あっという間に終わった。
女性警官は、クラウン地区の強盗など興味が薄い様子で、ごくごく形式的な項目を訊かれただけで解放された。レイチェルを襲った男は、今頃留置場で目が覚めていることだろう。
レイチェルは心配しているであろうマックスとウォレスに電話連絡を入れた後、その足でセスを探した。
警察署内は、相変わらず騒然としており、レイチェルは喧噪をくぐり抜けるように上の階へと急いだ。
そして三階のフロアで一際ノッポの後ろ姿を見つける。
「セス!」
レイチェルがセスを呼ぶと、喧しい廊下の最中でもセスは敏感に恋人の声を聞き取り、振り返った。
セスは驚いた顔を隠しもせず、レイチェルの元に走り寄ってくる。
「どうしたんだよ、レイチェル。何かあったのか?」
「ええ、まぁ、ちょっと。例の部屋探してたら、強盗に襲われちゃって。さっきまで事情聴取されてたの」
レイチェルが肩を竦めると、セスの顔色が変わった。
「何だって?! 何を考えてるんだ?!」
今まで聞いたこともないようなセスの厳しい声に、今度はレイチェルの方がびっくりして、目をまん丸にした。
「ご、ごめんなさい・・・。あそこまで危険な地域だとは思わなかったのよ」
慌てた口調でそういうレイチェルの全身を、セスは厳しい目でチェックしている。
「それで、どこも怪我はないのかい?」
「ええ。助けて貰ったのよ。丁度顔見知りが通りかかって」
セスが大きな溜息をつく。頭を緩く振りながら、「怒鳴ったりして悪かった」と呟いた。
「それにしても、ラッキーだったね。あの地区で、誰かが強盗に襲われるようなことがあっても、周りの人間は見て見ぬ振りをするから」
「ええ、そうね・・・。ホント、ラッキーだったのかも」
「それで、その助けてくれた人っていうのは?」
「それが、私が携帯電話に出ている間に消えちゃったのよ。面倒に巻き込まれたくなかったのかもしれない。でも、彼がいて助かったわ。彼は低所得者らしくて、あそこら辺で家を探していたらしいの」
レイチェルは、あのゴツゴツとした手を持つ色素の薄い男の顔を思い浮かべていた。見かけによらず、善人だった訳だ・・・。
「いずれにしても、これからは気を付けてくれよ」
やっと表情が普段のように穏やかになってきたセスの腕を掴み、レイチェルは人気のない柱の影に彼を引っ張った。
「ラッキーついでに、ついにあの部屋を見つけたわ」
一瞬セスは意味がわからなかったらしい。だが、すぐに「本当か?!」と大声を上げた。
「シー! 声が大きいって」
「ごめん」
今度はセスが謝る番だ。
「だから、あの鍵をどうにか持ち出せないかと思って。明日にでも、もう一度行ってみようと思うの」
セスはう~んと唸った。
「証拠品の持ち出しはリスクが高いが・・・」
「そうだけど、鍵を壊して入る訳にもいかないわ」
「そうだね」
セスは少し伸びた顎の無精ひげを撫でながら、少し考えを巡らせる。
「何とかやってみよう。ただし・・・」
レイチェルが、小首を傾げてセスを見上げる。
「一人で行かないこと」
レイチェルが口を尖らせる。
「明日は、昼間しか動けないのよ。かといって、ジムとマックスを引っぱり出すことはできないわ。一緒に行く人って言ったって、あなたは無理でしょ」
セスは溜息をつくと、また少し考えてレイチェルに軽くキスをした。
「その件も、何とかするよ。・・・明日、連絡する」
まるで謎々をかけられたような気がして、レイチェルはポカンとした表情でセスの背中を見送った。
翌日のこと。
セスからレイチェルの携帯電話に連絡があったのは、一時間ほど前のことだった。
セスがよく使っているイタリアの家庭料理を出すレストランで二時に、という約束をした。
最近レイチェルは、写真撮影だけでなく、再び記事を書く仕事にも復帰しているので、午前中は他愛のない地域ネタやピッキングの被害の取材などで時間が潰れてしまった。
レイチェルは、一眼レフカメラが入った重い鞄を肩に担ぎなおしながら、走った。
時計屋の軒先にある時計を見ると、あと五分で約束の時間だ。
「大変だ、遅れちゃう」
季節はいつしか、冬を越え、小春日和の時期も過ぎようとしている。
ジャケットの中がしっとりと汗ばむのを感じながら、レイチェルは指定の店を目指した。
ランチの時間は終盤を迎えていたが、店内にはいまだたくさんの人がお昼の一時を楽しんでいた。
家庭料理を出しているせいか、ざっくばらんな大衆食堂のような大らかさがある店だ。レイチェルもセスに連れられてディナーの時間によく来ていた。
レイチェルはセスを探し、店内を忙しなく見渡した。
セスは長身だからすぐに見つかるのに、その日に限って見あたらない。
「時間を聞き間違えたのかしら・・・」
額の汗を手で拭いながらレイチェルが溜息をついていると、ふいに横から声を掛けられた。
「あの・・・レイチェル・ハートさんですね」
巷は春の到来に明るい色の服を挙って身にまとっているというのに、その男は頑ななまでのブラックスーツでそこに立っていた。はっきり言って、この店の雰囲気の中では完全に浮いてしまっている。
「あなたは・・・」
レイチェルは、その男の名を知っていた。
男は、セス以上に『ジェイク・ニールソン生存説』を信じている男だった。
英国大使館員ジョイス・テイラーである。
一時期、マックスが入院している時によく見舞いに来てくれた。前々からセスを通じて見知ってはいたが、まともに会話を交わし始めたのは病院からだ。
「こんなところで油を売っていて大丈夫なんですか?」
無理矢理セスにひっぱり出されたことを承知で、レイチェルはそう訊いた。
予想通りテイラーは、バツが悪そうな顔をしてみせる。
「実は、英国の捜査当局からも捜査の打ち切りを打診されていて。今日は休暇を取ってきたのです」
テイラーの立場は微妙だった。
大使館の職員であるテイラーが捜査を継続するには限界があった。
なぜなら、米国と英国の間での違法行為に関して、担当の大使館職員がたった二人で関係データの処理をしなければならないし、テイラーがちょくちょく大使館を抜けるせいで、これまで同僚にも大分迷惑を掛けてきた。当然、大使館の中での風当たりも厳しくなり、大使館に帰ると決まって嫌みを言われもした。
そして何より、本国の捜査熱が褪せてきてしまい、ニールソンの騒動はすでに過去のニュースなりつつあった。
本来なら、ニールソンに殺害されたと見られる会社員から、国家機密漏洩の恐れを心配していた本国であったが、数カ月経った今でもその影が微塵も見えないとなって、緊張の糸も緩んだのだろう。大使館員の職員として日頃から行わねばならない仕事に加え、茶番なゴシップネタに貴重な人手を割くのがバカバカしくなってきた、ということだ。
テイラーとて、飛行場の防犯カメラの映像やこれまで調べた情報を本国に送って直接報告もしたが、幹部の反応は薄かった。彼らは、あわよくばインターポール(国際警察)に尻拭いをしてもらおうというにおいも香らせた。
あれだけ最初は捲くし立てておいて、いい加減なものだ。
しかしテイラーの中では、引き戻れない重い感情が芽生えつつあった。
自国の暗い歴史が、異国の地で罪のない人々を傷つけ、苦しめている。
自分が万が一ニールソンを捕らえることができて、何が変わるのかはわからないが、少なくとも今目の前にいる人々の傷を癒すことはできるのではないか・・・。
これまで、この国に来て、様々な種類の人々に出会ってきた。
大使館の関係で出会う人々は俗にセレブリティーと呼ばれる人達であり、普段の職務で出会う人間は犯罪者やその関係者であることが多かった。
しかし本当の友として対等のつき合いができる人々と出会ったのは、この街を訪れてからだと感じ始めていた。
そうでなければ、セス・ピーターズの突然の呼出に休暇まで取ってほいほいやってくるなど、以前のテイラーなら考えつかなかったことだ。── もっとも、そんなことは口が曲がっても表に出すつもりはないが。
── しかしそれにしても、まさかセスの鼻持ちならない恋人と、行動を共にすることになろうとは・・・。
『たまに、というか大体が暴走するタチだから、気を付けてやってくれよ』
警察署の裏で落ち合った時、セスにはそう言われている。
会った途端に出た嫌みな一言にもそつなく答えるテイラーに、レイチェルは唇の端をオーバーに歪めた。美人が台無しだ。
しかし彼女は、もう構っても無駄だと思ったらしい。真顔に戻ると、肩を竦めつつ「それで」と口を開いた。
「本当なら、セスが“例の物”を持ってきてくれる筈だけど・・・」
テイラーが昼食をとっていたテーブルに座ると、彼女は周囲を気にしながらそう呟いた。
テイラーは漆黒色のスーツの懐から、見覚えのある鍵をスッと取り出した。
「オーケー、わかったわ」
レイチェルは注文を取りに来た店員に、注文はしないと手で合図しながら席を立った。
「君、昼食はいいのか」
「そんなの食べてる暇はないわ。時間がないの」
午前中に取材した記事を纏める作業が残っている。それを考えると、あの部屋にどれだけの時間が費やせるか、わからない。
レイチェルは道路に飛び出してタクシーを止めると、テイラーと共に慌ただしく乗り込んだ。
二人は、用心に用心を重ねて、あのアパートあるブロックから距離を置いてタクシーから降りた。
「ここからは歩きよ」
レイチェルは、鞄から取り出したチープな紙袋に手持ちのバッグを突っ込み、ダサいデザインのウィンドブレイカーをパンツスーツの上から羽織った。そしてハタと後ろを振り返る。
目にするだけでお堅い職業だということを雄弁に語っている品のいい真っ黒いスーツを見て、レイチェルは溜息をついた。
「これじゃ、いくらアタシが貧乏人装っても、全然効果なしね」
テイラーは自分の姿を見下ろし、憮然とした表情を浮かべた。
「そんな話は事前に一切聞かなかった」
── よくも悪くも役人ねぇ・・・。
レイチェルはイライラを意識しないようにしつつ、足を進めた。
「この通りを曲がったところよ」
レイチェルが先に立って角を曲がった時、レイチェルは思わず、あんぐりとした表情を浮かべ、足を止めた。
レイチェルが急に足を止めたため、危うくテイラーがぶつかりそうになる。
「ど、どうした?」
テイラーの質問にもレイチェルは答えることができず、呆然としたまま一歩二歩と足を進めた。
だがしかし、レイチェルが問題の部屋があるアパートメントにまで近づくことは適わなかった。
なぜなら、そのアパートメントの前には消防関係の車両が止まり、三階にある例の部屋の窓は真っ黒に焼け落ちて、見る影もなかったからだった・・・。
マックスは、ようやく帰宅したウォレスと父親の帰りを大人しく待っていたシンシアと三人で少し遅いディナーを食べ、その後は、リビングのソファーでテレビを見ながらシンシアの入れたココアを啜った。
ベルナルド宅に預けられていた間に、シンシアはすっかりココアを飲むのが習慣となってしまったらしい。
二人掛けのソファーで父親に凭れかかるように座りながら、シンシアは呟いた。
「レイチェル、大丈夫かしら・・・」
テレビのニュースでは、レイチェルを襲った暴漢について、何も報道をしていない。クラウン地区で起きた単なる強盗未遂事件など、ニュースネタにもならないのだ。
「彼女は大丈夫だよ。さっきの電話での調子だと、いつものレイチェルだった。怪我もしていないし、警察にはセスもいるから」
二人掛けのソファーの左斜め向かいにある一人掛けのソファーに腰掛けたマックスが、ニュース画面を見つめながら言う。
「そうね・・・」
シンシアはそう呟きながら、マグカップの中のココアを飲み干すと、「少し疲れたから、先に休むわ」と言ってソファーを立った。
「お休み、パパ」
シンシアはそう言ってウォレスの頬にキスをし、「お休み、マックス」と言ってマックスの頬にもキスをする。
シンシアが家族に対するようなキスをマックスに対して自然にしている光景を、ウォレスは目を細めて見つめた。今までにない幸福感がウォレスの身体を包む。
『家族』という言葉に執拗に拘ったのはマックスの方であったが、それを切望していたのは寧ろ、ウォレスの方だったのかもしれない。
「マックス、あっちに座ったら」
リビングを出て行く間際、シンシアは今まで自分が座っていた場所を指さして、彼女は姿を消した。
「まったく・・・」
マックスが少し頬を赤くしながら、苦笑いする。
彼女は、自分の目の前で控えめに愛情表現をする二人のことを少し気にしているのかもしれない。口では、その少しの愛情表現でも目ざとく見つけて囃し立てているのだが。
「じゃ、お言葉に甘えて」
マックスはテレ隠しにそう言うと、ウォレスの隣に腰掛けた。
ウォレスにさり気なく抱き寄せられる。
マックスは、ウォレスの肩に頭を凭れさせながら、ぼんやりとテレビを見つめ続けた。だが、どんな画面や音声もあまり頭に入ってこなかった。
── 傍で感じるジムの体温。息遣い・・・。
ウォレスと同じ屋根の下で生活できるようになって少し経つが、それでもいまだ夢のように感じてしまう時がある。
彼の存在自体が、時に儚く思えて・・・。
マックスは、ウォレスの横顔を見つめる。
いつもどこか憂いを帯びた蒼い瞳。
この人は今まで、この深い色を湛えた瞳で、どのような惨劇を見つめ続けてきたのだろう。
「・・・ん? どうした?」
マックスの視線に気づいて、ウォレスがマックスを見る。
マックスは深呼吸して、更にウォレスの身体に自分の頭を預けた。
「シンシアのママは・・・きっととても美しくて、強い人だったんでしょうね・・・」
そう言ってすぐに、微笑みを浮かべる。
「別に、嫉妬している訳じゃないんです。だけど、気にはなります。だって、あなたが苦労した時期に一緒にいた人だし、何よりあなたの子どもを産んでくれた人だ。彼女のお陰で、シンシアが今、ここにいる。俺もシンシアのことを本気で愛しているし・・・」
「嫉妬しないといけないのは、私の方かな。自分の娘に」
強ばった笑みを浮かべるマックスをリラックスさせようと思ったのか、ウォレスがそんな冗談を言ってくる。マックスは、ふふっと思わず鼻で笑ってしまった。
「シンシアに対する愛情は、何というか・・・うまく言えないけれど、妹に対するものとも違うし、ましてや子どもに対するものとも違います。かといってもちろん、恋人でも妻でもないのだけれど。・・・でもかけがえのない人だと思うんです。あなたと俺の関係になくてはならないし、彼女がいなければ俺達は今こうしていなかったかもしれない。── そう言えば、あなたと初めてあった頃、二人の間の強ばりを解くことができたきっかけは、シンシアの事故でしたね」
「そう言えば、そうだったな・・・。シンシアがかつぎ込まれた病院で、私達は初めて素直に互いのことを話せる時間を持つことができたんだ」
ウォレスも懐かしそうにそう呟いた。
「いろんなことが、ありましたね。そんなに長い間とは思えないけれど、本当にいろんなことがあった」
ウォレスが、マックスの額に残る傷に口づけを落とす。
マックスは、くすぐったそうに笑って、身を竦ませた。
「俺は・・・イギリスのギルフォードで生まれました。両親は、俺が三歳の時に爆破事件に巻き込まれて亡くなりました」
「知ってる・・・。ミス・メアリーから聞いていたよ。君が病院にかつぎ込まれた時にね」
マックスは、やっぱり・・・と呟いた。
だからこそウォレスは、あの時別れを切り出したのだ。彼自身が、加害者側の仲間だったから。
「君は・・・いいのか? 私は・・・」
そういうウォレスの口を、マックスは情熱的なキスで塞いだ。
「いいんです・・・。いいんです・・・。時には、あなたのことを恨んだこともあったけど、俺達の出逢いは運命だった。あなたと俺がこうして愛し合っている事実は変わらないし、人の愛情は暴力よりも勝るってことの証明なんだ。いがみ合うことは無意味です。そこからは何も生まれないから・・・」
「マックス・・・」
ウォレスがキスを返してくる。
マックスは、少し上がった呼吸混じりにこう言った。
「もう絶対に離したりしない。だって、俺にまた本当の家族を与えてくれたのは、あなただもの」
マックスは、ぎゅっとウォレスを抱き締める。
その耳元で、ウォレスが囁いた。
「そして、私に人間としての尊厳を再び与えてくれたのは君だよ、マックス・・・」
警察署でのレイチェルに対する事情聴取は、あっという間に終わった。
女性警官は、クラウン地区の強盗など興味が薄い様子で、ごくごく形式的な項目を訊かれただけで解放された。レイチェルを襲った男は、今頃留置場で目が覚めていることだろう。
レイチェルは心配しているであろうマックスとウォレスに電話連絡を入れた後、その足でセスを探した。
警察署内は、相変わらず騒然としており、レイチェルは喧噪をくぐり抜けるように上の階へと急いだ。
そして三階のフロアで一際ノッポの後ろ姿を見つける。
「セス!」
レイチェルがセスを呼ぶと、喧しい廊下の最中でもセスは敏感に恋人の声を聞き取り、振り返った。
セスは驚いた顔を隠しもせず、レイチェルの元に走り寄ってくる。
「どうしたんだよ、レイチェル。何かあったのか?」
「ええ、まぁ、ちょっと。例の部屋探してたら、強盗に襲われちゃって。さっきまで事情聴取されてたの」
レイチェルが肩を竦めると、セスの顔色が変わった。
「何だって?! 何を考えてるんだ?!」
今まで聞いたこともないようなセスの厳しい声に、今度はレイチェルの方がびっくりして、目をまん丸にした。
「ご、ごめんなさい・・・。あそこまで危険な地域だとは思わなかったのよ」
慌てた口調でそういうレイチェルの全身を、セスは厳しい目でチェックしている。
「それで、どこも怪我はないのかい?」
「ええ。助けて貰ったのよ。丁度顔見知りが通りかかって」
セスが大きな溜息をつく。頭を緩く振りながら、「怒鳴ったりして悪かった」と呟いた。
「それにしても、ラッキーだったね。あの地区で、誰かが強盗に襲われるようなことがあっても、周りの人間は見て見ぬ振りをするから」
「ええ、そうね・・・。ホント、ラッキーだったのかも」
「それで、その助けてくれた人っていうのは?」
「それが、私が携帯電話に出ている間に消えちゃったのよ。面倒に巻き込まれたくなかったのかもしれない。でも、彼がいて助かったわ。彼は低所得者らしくて、あそこら辺で家を探していたらしいの」
レイチェルは、あのゴツゴツとした手を持つ色素の薄い男の顔を思い浮かべていた。見かけによらず、善人だった訳だ・・・。
「いずれにしても、これからは気を付けてくれよ」
やっと表情が普段のように穏やかになってきたセスの腕を掴み、レイチェルは人気のない柱の影に彼を引っ張った。
「ラッキーついでに、ついにあの部屋を見つけたわ」
一瞬セスは意味がわからなかったらしい。だが、すぐに「本当か?!」と大声を上げた。
「シー! 声が大きいって」
「ごめん」
今度はセスが謝る番だ。
「だから、あの鍵をどうにか持ち出せないかと思って。明日にでも、もう一度行ってみようと思うの」
セスはう~んと唸った。
「証拠品の持ち出しはリスクが高いが・・・」
「そうだけど、鍵を壊して入る訳にもいかないわ」
「そうだね」
セスは少し伸びた顎の無精ひげを撫でながら、少し考えを巡らせる。
「何とかやってみよう。ただし・・・」
レイチェルが、小首を傾げてセスを見上げる。
「一人で行かないこと」
レイチェルが口を尖らせる。
「明日は、昼間しか動けないのよ。かといって、ジムとマックスを引っぱり出すことはできないわ。一緒に行く人って言ったって、あなたは無理でしょ」
セスは溜息をつくと、また少し考えてレイチェルに軽くキスをした。
「その件も、何とかするよ。・・・明日、連絡する」
まるで謎々をかけられたような気がして、レイチェルはポカンとした表情でセスの背中を見送った。
翌日のこと。
セスからレイチェルの携帯電話に連絡があったのは、一時間ほど前のことだった。
セスがよく使っているイタリアの家庭料理を出すレストランで二時に、という約束をした。
最近レイチェルは、写真撮影だけでなく、再び記事を書く仕事にも復帰しているので、午前中は他愛のない地域ネタやピッキングの被害の取材などで時間が潰れてしまった。
レイチェルは、一眼レフカメラが入った重い鞄を肩に担ぎなおしながら、走った。
時計屋の軒先にある時計を見ると、あと五分で約束の時間だ。
「大変だ、遅れちゃう」
季節はいつしか、冬を越え、小春日和の時期も過ぎようとしている。
ジャケットの中がしっとりと汗ばむのを感じながら、レイチェルは指定の店を目指した。
ランチの時間は終盤を迎えていたが、店内にはいまだたくさんの人がお昼の一時を楽しんでいた。
家庭料理を出しているせいか、ざっくばらんな大衆食堂のような大らかさがある店だ。レイチェルもセスに連れられてディナーの時間によく来ていた。
レイチェルはセスを探し、店内を忙しなく見渡した。
セスは長身だからすぐに見つかるのに、その日に限って見あたらない。
「時間を聞き間違えたのかしら・・・」
額の汗を手で拭いながらレイチェルが溜息をついていると、ふいに横から声を掛けられた。
「あの・・・レイチェル・ハートさんですね」
巷は春の到来に明るい色の服を挙って身にまとっているというのに、その男は頑ななまでのブラックスーツでそこに立っていた。はっきり言って、この店の雰囲気の中では完全に浮いてしまっている。
「あなたは・・・」
レイチェルは、その男の名を知っていた。
男は、セス以上に『ジェイク・ニールソン生存説』を信じている男だった。
英国大使館員ジョイス・テイラーである。
一時期、マックスが入院している時によく見舞いに来てくれた。前々からセスを通じて見知ってはいたが、まともに会話を交わし始めたのは病院からだ。
「こんなところで油を売っていて大丈夫なんですか?」
無理矢理セスにひっぱり出されたことを承知で、レイチェルはそう訊いた。
予想通りテイラーは、バツが悪そうな顔をしてみせる。
「実は、英国の捜査当局からも捜査の打ち切りを打診されていて。今日は休暇を取ってきたのです」
テイラーの立場は微妙だった。
大使館の職員であるテイラーが捜査を継続するには限界があった。
なぜなら、米国と英国の間での違法行為に関して、担当の大使館職員がたった二人で関係データの処理をしなければならないし、テイラーがちょくちょく大使館を抜けるせいで、これまで同僚にも大分迷惑を掛けてきた。当然、大使館の中での風当たりも厳しくなり、大使館に帰ると決まって嫌みを言われもした。
そして何より、本国の捜査熱が褪せてきてしまい、ニールソンの騒動はすでに過去のニュースなりつつあった。
本来なら、ニールソンに殺害されたと見られる会社員から、国家機密漏洩の恐れを心配していた本国であったが、数カ月経った今でもその影が微塵も見えないとなって、緊張の糸も緩んだのだろう。大使館員の職員として日頃から行わねばならない仕事に加え、茶番なゴシップネタに貴重な人手を割くのがバカバカしくなってきた、ということだ。
テイラーとて、飛行場の防犯カメラの映像やこれまで調べた情報を本国に送って直接報告もしたが、幹部の反応は薄かった。彼らは、あわよくばインターポール(国際警察)に尻拭いをしてもらおうというにおいも香らせた。
あれだけ最初は捲くし立てておいて、いい加減なものだ。
しかしテイラーの中では、引き戻れない重い感情が芽生えつつあった。
自国の暗い歴史が、異国の地で罪のない人々を傷つけ、苦しめている。
自分が万が一ニールソンを捕らえることができて、何が変わるのかはわからないが、少なくとも今目の前にいる人々の傷を癒すことはできるのではないか・・・。
これまで、この国に来て、様々な種類の人々に出会ってきた。
大使館の関係で出会う人々は俗にセレブリティーと呼ばれる人達であり、普段の職務で出会う人間は犯罪者やその関係者であることが多かった。
しかし本当の友として対等のつき合いができる人々と出会ったのは、この街を訪れてからだと感じ始めていた。
そうでなければ、セス・ピーターズの突然の呼出に休暇まで取ってほいほいやってくるなど、以前のテイラーなら考えつかなかったことだ。── もっとも、そんなことは口が曲がっても表に出すつもりはないが。
── しかしそれにしても、まさかセスの鼻持ちならない恋人と、行動を共にすることになろうとは・・・。
『たまに、というか大体が暴走するタチだから、気を付けてやってくれよ』
警察署の裏で落ち合った時、セスにはそう言われている。
会った途端に出た嫌みな一言にもそつなく答えるテイラーに、レイチェルは唇の端をオーバーに歪めた。美人が台無しだ。
しかし彼女は、もう構っても無駄だと思ったらしい。真顔に戻ると、肩を竦めつつ「それで」と口を開いた。
「本当なら、セスが“例の物”を持ってきてくれる筈だけど・・・」
テイラーが昼食をとっていたテーブルに座ると、彼女は周囲を気にしながらそう呟いた。
テイラーは漆黒色のスーツの懐から、見覚えのある鍵をスッと取り出した。
「オーケー、わかったわ」
レイチェルは注文を取りに来た店員に、注文はしないと手で合図しながら席を立った。
「君、昼食はいいのか」
「そんなの食べてる暇はないわ。時間がないの」
午前中に取材した記事を纏める作業が残っている。それを考えると、あの部屋にどれだけの時間が費やせるか、わからない。
レイチェルは道路に飛び出してタクシーを止めると、テイラーと共に慌ただしく乗り込んだ。
二人は、用心に用心を重ねて、あのアパートあるブロックから距離を置いてタクシーから降りた。
「ここからは歩きよ」
レイチェルは、鞄から取り出したチープな紙袋に手持ちのバッグを突っ込み、ダサいデザインのウィンドブレイカーをパンツスーツの上から羽織った。そしてハタと後ろを振り返る。
目にするだけでお堅い職業だということを雄弁に語っている品のいい真っ黒いスーツを見て、レイチェルは溜息をついた。
「これじゃ、いくらアタシが貧乏人装っても、全然効果なしね」
テイラーは自分の姿を見下ろし、憮然とした表情を浮かべた。
「そんな話は事前に一切聞かなかった」
── よくも悪くも役人ねぇ・・・。
レイチェルはイライラを意識しないようにしつつ、足を進めた。
「この通りを曲がったところよ」
レイチェルが先に立って角を曲がった時、レイチェルは思わず、あんぐりとした表情を浮かべ、足を止めた。
レイチェルが急に足を止めたため、危うくテイラーがぶつかりそうになる。
「ど、どうした?」
テイラーの質問にもレイチェルは答えることができず、呆然としたまま一歩二歩と足を進めた。
だがしかし、レイチェルが問題の部屋があるアパートメントにまで近づくことは適わなかった。
なぜなら、そのアパートメントの前には消防関係の車両が止まり、三階にある例の部屋の窓は真っ黒に焼け落ちて、見る影もなかったからだった・・・。
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