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第二章 触れ合うたび深くなる
一話 呼吸が触れる距離
インターホンが鳴って、我に返った。
玄関の鍵を開けると、少し息の乱れた田島さんが私を見て驚いていた。
「おかえりなさい」
「……ただいま。待っててくれたの?」
「うん……」
決心はとっくについていた。
うつむきながら、田島さんの袖をつかむ。
抱き寄せられた彼の胸からは、外の匂いがした。
「なんか……ほっとした。梓さんがいてくれて」
「……一人で待ってる間、ちょっとだけ寂しかった」
顔を埋めた胸から鼓動が聞こえて、私の指先を揺らす。
「梓さん……」
顔に添えられた手に誘われて、唇にキスが落ちた。
不意に身体が宙に浮いて、田島さんの首にしがみつく。
背中を支えてくれる引き締まった腕の感触を、薄い部屋着越しに感じた。
「……行こうか」
うなずいて、彼の肩に額を寄せた。
「……ベッドで、いい?」
「うん。ソファじゃ狭いでしょ」
「……確かに」
ベッドにそっと寝かせられて、ふうっと息を吸い込む。
隣に身体を横たえた田島さんと向かい合う。
私の目を見つめて、ゆっくりと髪を撫でてくれる。
その手つきが心地好くて、強張っていた身体の力が抜けた。
「ベッドも狭かった……ですね……」
「……俺がでかいから」
田島さんは、私を安心させるようにそっと頬や首筋を撫でる。
鎖骨の上を滑る指先に、思わず息が詰まった。
触れ方は優しいのに、胸の中がざわついて落ち着かない。
「……っあ……」
溜め息まじりの声が、漏れ出てしまう。
反射的に、腕で顔を隠した。
「……どうしたの?」
「声が……恥ずかしくて……」
田島さんは首を横に振ると、なだめるように私を抱きしめる。
それから、耳元で低くささやいた。
「梓さん、かわいい。本当に……」
「……だけど……変でしょ?」
「そんなことない、すごくかわいい」
田島さんの身体がのしかかって来た。
そのずしりとした、重みを全身で受け止める。
馴染んでくる体温が、泣きたくなるほど切なかった。
彼の大きな手が触れるたび、
私の中にある絡みついた何かをほどいていく。
部屋の中は、二人分の鼓動と乱れていく呼吸の音で満ちる。
外から割り込むように、小さくクラクションの音が聞こえた。
絡められた指を、固く握り返して口づけた。
田島さんの手がためらいがちに、私の身体を撫でる。
そのたび身体の奥に熱が生まれて、夢中で舌を絡ませていた。
乱れた呼吸を抑える余裕なんて、どこにもなかった。
「……梓さん……嫌じゃない?」
まっすぐに田島さんを見つめ返して、首を横に振る。
私の身体は脈打ちながら、目の前の人を欲しがっていた。
キスの合間に繰り返し名前を呼ばれて、下腹が鈍く疼きだす。
もどかしさを堪えきれなくなって、腿を擦り合わせた。
田島さんは私の反応を確かめながら、触れて見つめる。
そんなふうにされると、愛されているんじゃないかと思ってしまう。
顔や耳、あちこちに口づけが落ちるたび、息が触れて肌がざわつく。
首をすくめると、田島さんが言った。
「……この部屋に来た時、この服で俺を出迎えてくれて。あの時、理性が吹っ飛びそうになった」
「だって……これは、部屋着だから……」
一瞬、動きを止めた彼が、わざと私の目を見ていたずらっぽく笑う。
それから、耳元に口づけて低い声で囁いた。
「……当直明けの俺には、刺激が強すぎる」
「なにそれ……」
田島さんの手が、ハーフパンツの裾に潜り込んだ。
そのまま内腿を撫でながら行ったり来たりして、肌の感触を確かめる。
「……ずっと触れたかった。我慢してた」
田島さんは、照れながら苦笑いする。
彼のがっしりした肩に添わせるように手を置いて、私からキスをした。
「好き」なんて、今は言わなくてもいい。
体温の高い彼の背中に、ぎゅっとしがみついた。
玄関の鍵を開けると、少し息の乱れた田島さんが私を見て驚いていた。
「おかえりなさい」
「……ただいま。待っててくれたの?」
「うん……」
決心はとっくについていた。
うつむきながら、田島さんの袖をつかむ。
抱き寄せられた彼の胸からは、外の匂いがした。
「なんか……ほっとした。梓さんがいてくれて」
「……一人で待ってる間、ちょっとだけ寂しかった」
顔を埋めた胸から鼓動が聞こえて、私の指先を揺らす。
「梓さん……」
顔に添えられた手に誘われて、唇にキスが落ちた。
不意に身体が宙に浮いて、田島さんの首にしがみつく。
背中を支えてくれる引き締まった腕の感触を、薄い部屋着越しに感じた。
「……行こうか」
うなずいて、彼の肩に額を寄せた。
「……ベッドで、いい?」
「うん。ソファじゃ狭いでしょ」
「……確かに」
ベッドにそっと寝かせられて、ふうっと息を吸い込む。
隣に身体を横たえた田島さんと向かい合う。
私の目を見つめて、ゆっくりと髪を撫でてくれる。
その手つきが心地好くて、強張っていた身体の力が抜けた。
「ベッドも狭かった……ですね……」
「……俺がでかいから」
田島さんは、私を安心させるようにそっと頬や首筋を撫でる。
鎖骨の上を滑る指先に、思わず息が詰まった。
触れ方は優しいのに、胸の中がざわついて落ち着かない。
「……っあ……」
溜め息まじりの声が、漏れ出てしまう。
反射的に、腕で顔を隠した。
「……どうしたの?」
「声が……恥ずかしくて……」
田島さんは首を横に振ると、なだめるように私を抱きしめる。
それから、耳元で低くささやいた。
「梓さん、かわいい。本当に……」
「……だけど……変でしょ?」
「そんなことない、すごくかわいい」
田島さんの身体がのしかかって来た。
そのずしりとした、重みを全身で受け止める。
馴染んでくる体温が、泣きたくなるほど切なかった。
彼の大きな手が触れるたび、
私の中にある絡みついた何かをほどいていく。
部屋の中は、二人分の鼓動と乱れていく呼吸の音で満ちる。
外から割り込むように、小さくクラクションの音が聞こえた。
絡められた指を、固く握り返して口づけた。
田島さんの手がためらいがちに、私の身体を撫でる。
そのたび身体の奥に熱が生まれて、夢中で舌を絡ませていた。
乱れた呼吸を抑える余裕なんて、どこにもなかった。
「……梓さん……嫌じゃない?」
まっすぐに田島さんを見つめ返して、首を横に振る。
私の身体は脈打ちながら、目の前の人を欲しがっていた。
キスの合間に繰り返し名前を呼ばれて、下腹が鈍く疼きだす。
もどかしさを堪えきれなくなって、腿を擦り合わせた。
田島さんは私の反応を確かめながら、触れて見つめる。
そんなふうにされると、愛されているんじゃないかと思ってしまう。
顔や耳、あちこちに口づけが落ちるたび、息が触れて肌がざわつく。
首をすくめると、田島さんが言った。
「……この部屋に来た時、この服で俺を出迎えてくれて。あの時、理性が吹っ飛びそうになった」
「だって……これは、部屋着だから……」
一瞬、動きを止めた彼が、わざと私の目を見ていたずらっぽく笑う。
それから、耳元に口づけて低い声で囁いた。
「……当直明けの俺には、刺激が強すぎる」
「なにそれ……」
田島さんの手が、ハーフパンツの裾に潜り込んだ。
そのまま内腿を撫でながら行ったり来たりして、肌の感触を確かめる。
「……ずっと触れたかった。我慢してた」
田島さんは、照れながら苦笑いする。
彼のがっしりした肩に添わせるように手を置いて、私からキスをした。
「好き」なんて、今は言わなくてもいい。
体温の高い彼の背中に、ぎゅっとしがみついた。
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