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第二章 触れ合うたび深くなる
五話 抗えない欲望 ※
「……もう……限界だ」
うなずく隙さえ与えられなかった。
抑えきれない衝動に支配されたように、
田島さんは今までの慎重さをかなぐり捨てた。
私の自由を奪うほど深く、強く、最奥へと沈み込んでくる。
激しく揺さぶられるたび、汗ばんだ背中とシーツが擦れ、
熱を帯びた音が耳元で跳ねる。
滴り落ちてくる彼の汗が光を反射して、
きらきらと飛び散る。
意識の輪郭が緩んだまま、
それを夢うつつで見上げていた。
絡めあった指を千切れるくらい握りしめながら。
時間の感覚が、甘い熱の中に溶けては消える。
やがて、ふと我に返ったように田島さんは動きを緩め、
耐えかねたように私の肩口に顔を埋めた。
「……耐えきれなかった……ごめん。大丈夫?」
「私は平気だから……」
彼と繋がったまま、自由になった腕を広い背中に回す。
汗に濡れた、滑らかで逞しい彼の背中。
なだめるように撫でながら、しっかりその存在を抱きしめる。
耳元にかかる乱れた吐息の熱が、もう独りじゃないんだと
私に教えてくれた。
互いの名前を呼ぶ余裕さえ、今の私たちには残されていなかった。
嵐のようだった熱が一旦引いて、
部屋には昼下がりの穏やかな光が戻っていた。
田島さんは呼吸を整え、私の肩を慈しむように大きな掌で撫で下ろす。
けれど、重なり合った分厚い胸板の向こう。
彼の鼓動は依然として速いまま。
昂ったままの欲望を隠さずに伝えてきた。
「……さっきは余裕がなくて……ごめん」
「ううん……。嬉しかったよ」
顔を上げた田島さんが、じっと私を見つめる。
その目は、まだ静まらない情欲に濡れていた。
「……本当に? 嫌じゃなかった?」
「嫌なわけない。……もっと、田島さんが欲しい」
私の告白に、彼の目の奥に再び火が灯る。
今度はさっきのような焦燥じゃなく、
慈しむように濃密で、逃げ場のない甘い視線。
「梓さん……俺だけを見てて……」
頬を包み込む優しい手のひら。
抗えないその温度に囚われて、
私は瞬きも忘れて田島さんを見つめる。
耳元、首筋、そして肩先に。貪るように、
けれど愛おしさに満ちた口づけが、彼の存在を刻みつけるように、
私の上に降り注いだ。
「……動きたい。……いい? 痛くないか?」
抑えきれない衝動に声を震わせて、田島さんは問う。
私もずっと、その言葉を待っていた。
繋がったままの場所が、彼を求めてぎゅっと熱く疼いた。
「……痛くなんてない。だから、もっと……お願い……」
その先は、言葉にならなかった。
田島さんは私の首筋に顔を埋め、浅く深く、緩急をつけて動きだす。
律動に合わせて漏れる、押し殺した低い吐息が私の鼓膜を震わせた。
その震えが、込み上げる熱を波のように全身へ広げていく。
固く抱きしめられ揺さぶられるたび、
背筋に響く鋭い快感に喉が震えてしまう。
「……あっ、……たくみ……さん、たくみさ……っ」
壊れた人形みたいに、彼の名前を夢中で呼んだ。
もう、自分でも自分をコントロールできない。
堰を切ったように、私の中にあった剥き出しの欲望が溢れ出す。
心のどこかではまだ戸惑って、恥じらっているのに。
乾ききっていたはずの身体は、彼を与えられるたび、
もっと欲しいと貪欲に彼を飲み込んでいく。
「離れないで。……俺から、離れないで……」
切迫した彼の囁きが耳元で揺らぎ、胸の奥が熱くほどける。
私は言葉を紡ぐこともできなくて、ただ何度もうなずいた。
離れたくない、離さないで――心はそう叫んでいるのに、
声にする前に熱い吐息に溶けてしまう。
「ほんと……かわいいな……」
低くとろけるような甘い声が、胸の底まで落ちてくる。
最奥に届いた刺激に、私の身体はのけ反るように跳ねた。
律動のたび擦れる腰をがっしりと両手でつかまれる。
それまで密着していた汗ばんだ肌が、一瞬だけ離れた。
支えを失った私の指先は、冷たいシーツを手繰り寄せた。
田島さんの額から、私の胸元に汗が滴り落ちる。
その雫の重みさえ、愛おしくなる。
彼が見つめてくれるから、私はここにいていいんだと思える。
彼が声をかけてくれるから、愛されているかもしれないと、
乾いていた心が満たされていく。
冷たい過去の記憶も、抱えていた底なしの孤独も。
田島さんの熱い身体と言葉が、私を乱して飲み込み、
どこか遠い場所へ押し流してくれる。
いつか覚めてしまう夢だとしても、
彼の腕の中にいる確かな今だけは信じていたかった。
うなずく隙さえ与えられなかった。
抑えきれない衝動に支配されたように、
田島さんは今までの慎重さをかなぐり捨てた。
私の自由を奪うほど深く、強く、最奥へと沈み込んでくる。
激しく揺さぶられるたび、汗ばんだ背中とシーツが擦れ、
熱を帯びた音が耳元で跳ねる。
滴り落ちてくる彼の汗が光を反射して、
きらきらと飛び散る。
意識の輪郭が緩んだまま、
それを夢うつつで見上げていた。
絡めあった指を千切れるくらい握りしめながら。
時間の感覚が、甘い熱の中に溶けては消える。
やがて、ふと我に返ったように田島さんは動きを緩め、
耐えかねたように私の肩口に顔を埋めた。
「……耐えきれなかった……ごめん。大丈夫?」
「私は平気だから……」
彼と繋がったまま、自由になった腕を広い背中に回す。
汗に濡れた、滑らかで逞しい彼の背中。
なだめるように撫でながら、しっかりその存在を抱きしめる。
耳元にかかる乱れた吐息の熱が、もう独りじゃないんだと
私に教えてくれた。
互いの名前を呼ぶ余裕さえ、今の私たちには残されていなかった。
嵐のようだった熱が一旦引いて、
部屋には昼下がりの穏やかな光が戻っていた。
田島さんは呼吸を整え、私の肩を慈しむように大きな掌で撫で下ろす。
けれど、重なり合った分厚い胸板の向こう。
彼の鼓動は依然として速いまま。
昂ったままの欲望を隠さずに伝えてきた。
「……さっきは余裕がなくて……ごめん」
「ううん……。嬉しかったよ」
顔を上げた田島さんが、じっと私を見つめる。
その目は、まだ静まらない情欲に濡れていた。
「……本当に? 嫌じゃなかった?」
「嫌なわけない。……もっと、田島さんが欲しい」
私の告白に、彼の目の奥に再び火が灯る。
今度はさっきのような焦燥じゃなく、
慈しむように濃密で、逃げ場のない甘い視線。
「梓さん……俺だけを見てて……」
頬を包み込む優しい手のひら。
抗えないその温度に囚われて、
私は瞬きも忘れて田島さんを見つめる。
耳元、首筋、そして肩先に。貪るように、
けれど愛おしさに満ちた口づけが、彼の存在を刻みつけるように、
私の上に降り注いだ。
「……動きたい。……いい? 痛くないか?」
抑えきれない衝動に声を震わせて、田島さんは問う。
私もずっと、その言葉を待っていた。
繋がったままの場所が、彼を求めてぎゅっと熱く疼いた。
「……痛くなんてない。だから、もっと……お願い……」
その先は、言葉にならなかった。
田島さんは私の首筋に顔を埋め、浅く深く、緩急をつけて動きだす。
律動に合わせて漏れる、押し殺した低い吐息が私の鼓膜を震わせた。
その震えが、込み上げる熱を波のように全身へ広げていく。
固く抱きしめられ揺さぶられるたび、
背筋に響く鋭い快感に喉が震えてしまう。
「……あっ、……たくみ……さん、たくみさ……っ」
壊れた人形みたいに、彼の名前を夢中で呼んだ。
もう、自分でも自分をコントロールできない。
堰を切ったように、私の中にあった剥き出しの欲望が溢れ出す。
心のどこかではまだ戸惑って、恥じらっているのに。
乾ききっていたはずの身体は、彼を与えられるたび、
もっと欲しいと貪欲に彼を飲み込んでいく。
「離れないで。……俺から、離れないで……」
切迫した彼の囁きが耳元で揺らぎ、胸の奥が熱くほどける。
私は言葉を紡ぐこともできなくて、ただ何度もうなずいた。
離れたくない、離さないで――心はそう叫んでいるのに、
声にする前に熱い吐息に溶けてしまう。
「ほんと……かわいいな……」
低くとろけるような甘い声が、胸の底まで落ちてくる。
最奥に届いた刺激に、私の身体はのけ反るように跳ねた。
律動のたび擦れる腰をがっしりと両手でつかまれる。
それまで密着していた汗ばんだ肌が、一瞬だけ離れた。
支えを失った私の指先は、冷たいシーツを手繰り寄せた。
田島さんの額から、私の胸元に汗が滴り落ちる。
その雫の重みさえ、愛おしくなる。
彼が見つめてくれるから、私はここにいていいんだと思える。
彼が声をかけてくれるから、愛されているかもしれないと、
乾いていた心が満たされていく。
冷たい過去の記憶も、抱えていた底なしの孤独も。
田島さんの熱い身体と言葉が、私を乱して飲み込み、
どこか遠い場所へ押し流してくれる。
いつか覚めてしまう夢だとしても、
彼の腕の中にいる確かな今だけは信じていたかった。
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