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ニ、最近の店員は・・・
しおりを挟む涼しくなり、腹が空いていたのを思い出した。喉もカラカラに干からびていた。
藪押は、緑茶の入った五百ミリのペットボトルを手にし、お握りを二つ、梅と昆布を持ち、レジに向かった。勿論帽子を目深に被り。
コンビニの食品は便利で手頃ではあるが、調理に何を使っているのか分からず、また発癌性の高いものを使っている恐れもあるから、なるべくシンプルなものがいい、というのを何処かで読んだことがある。
ずっと俯いたその客に対し、店員は作業を中断させられたからなのか、チッと、舌打ちをしながらレジ打ちを始めた。
まさか、とは思ってみたが、確かに聞こえた。どういう神経の持ち主なんだろう、と相手を疑った。
こんな人間もいるのだ。
「商品を袋にお入れしま~?」
「ああ」
あからさまに嫌な顔をし、めんどくさそうに商品を袋の中に入れている様が想像できたが、藪押は、顔を上げることはしなかった。出来なかったのだ。
そして、店員は有難うございま~、とまた語尾を濁し、その商品を手渡してきた。
「す、という言葉が言えないのか?」
藪押は、ここで初めて上を向き、顔を見た。
昔から頭に血が昇ると、その動きを止めることができなかった。
「え?」
女はポカーンと口を開けたまま突っ立っていたが、しばらくすると一種馬鹿にしたように、藪押を見て、首を傾げた。
「いい。何でもない」
いいさ。こんな人間と付き合っていうる時間は、今の俺にはない。俺には、向かわなくてはならない所があるのだ。
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