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三度目の歓喜は、二人で
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「練習……?」
首を傾げるとエヴェラウドは何も言わず微笑んだ。
「取り敢えず、お召し物だけお預かりしましょうか」
その一言で、自分が下半身裸でブラジャーだけ付けていることを思い出す。
「……そうね」
彼の手で呆気なくブラジャーが外され、乳房がこぼれ落ちる。もう、私を隠すものは何も無い。
そして彼も全て衣服を脱ぎ、二人共一糸まとわぬ姿となった。
「……っ、」
エヴェラウドの裸体を見て、私は思わず息を呑んだ。
生まれたままの姿になったことで、彼の鍛えられた筋肉も全て露わとなったのだ。
それは、私が今まで目を向けてこなかった、陰ながらの努力を物語っていた。
単に口が上手く要領が良いだけではない。努力を重ねて、今彼はここにいるのだ。
その積み上げたものを、小娘への嫌がらせごときに使うなど、大罪である他ない。
申し訳無さと罪悪感が、じわりと胸の奥に広がった。
「……少しだけ、照れてしまいますね」
長い付き合いだが、裸で向かい合うのは初めてだった。そして予行練習と言えど、これからすることも初めてである。
そう思った瞬間、途端に不安を抱き始めるのだった。
「……上手くできるかしら?」
「大丈夫です。どうか私に、お任せください」
どうやらこの場の主導権は、彼の手に渡ったようである。
言われるがまま、私は脚を交差するように閉じて、ベッドに背中を預けた。その上にエヴェラウドが跨り、大きな影は私をすっぽりと覆った。
傍目から見れば、私は大きな獣に押し倒され、襲われているのだろう。
しかし私の中にあるのは、彼に守られているという安心感だった。
この男が、早く欲しい。
少し下に目をやれば、張り詰めた肉棒が天を仰いでいる。彼もまた、目の前の女を求めているのだろうか。
そう考えた瞬間、膣がきゅんと疼くのを感じた。
「それでは……、失礼します」
「えっ、ひっ……ぁっ!?」
エヴェラウドは私の股と太腿の間に、勃ち上がった自身を差し入れたのだった。
繋がってはいない。けれども、性器同士は粘液越しに擦れ合っている。言わば、仮結びのような行為であった。
とはいえ、彼が抜き差しをする度に秘種が雄茎に擦れ、脳天を撃ち抜かれるような快感が波のように襲ってくる。
シーツを握りしめ、私はあられも無い声を上げた。
「あ、ああああっ!!」
「うっ、ぁ、っ……は、っぁ!!」
男と女の喘ぎが、部屋を満たしていく。気付けば、すっかり全身が汗ばんでいた。
額の汗を拭う時、エヴェラウドと目が合った。その頬にも、汗が一筋流れていた。
「ディアナ様、ディアナ様……、ああ本当に、お美しい……」
うわ言のように、彼は何度も私の名を呼ぶ。
「ディアナ様、ずっと……お慕い申し上げて、おりました……っ、あの日からずっと……っ、ぁ、」
「……は、ぁ、んっ……」
口の滑らかな彼には珍しく、上手く言葉を紡げないようだった。
まるで、初めて出会った時に戻ったみたいだ。
「……、っ……、ぁ、も、申し訳、ござ、いませ、っ……ん」
「……大丈夫、……っ、ちゃんと、聞いてるから」
飼い犬を安心させるように、私は彼の背に手を回した。
「……っ、は、ぁっ、ディアナ様……!!」
涙目になりながらも、愛犬は必死に言葉を続ける。
「……、っ、子供の頃、上手く話せなくて、周りに、いつも、揶揄われていました……っ、意地悪された、こと、だって、沢山……っ、あります」
「……っ、ぁ、う、ん、」
「だけど、ディアナ様は、笑わずに、ちゃんと、私の話を……、聞いてくれた。それが凄く、凄く嬉しかった……っ、」
途切れ途切れに囁かれた言葉は、遠い日の記憶を呼び起こした。
初めてエヴェラウドに会った時、口下手な印象を受けたのは、今でも覚えている。一言一言がたどたどしくて、早口で話すことが出来なかったのだ。
けれども私は、彼との会話が嫌いでは無かった。
機織りをするように丁寧に紡ぎ出された彼の言葉は、どれも棘が無く、人を傷つけないものばかりだったのだ。
歳の近い兄と口喧嘩をする際、傷つける言葉を平気で言ってしまう私とは、大違いだった。
「あの日、誓ったのです。貴女の、お役に立つために、上手く話せるように……なろう、懸命に……努力しよう……と、」
「……っ、その努力を、下らない嫌がらせに使って、憎く思わなかったの?」
偶然隣にいるからと、都合良く彼を悪用した。私は悪い女だ。
「い、え……っ、貴女の、お役に立てたのならば、光栄で、ございます……っ!!」
そして限界は、もうすぐそこにまで来ていた。
「あ、っ、ああああっ!!」
「ぐっ、っ、あああっ!!」
歓声が重なり、意識が弾け飛ぶ。
互いに抱き合い、三度目の歓喜に震えた。
「ディアナ様……」
エヴェラウドは力尽きたように、私の肩に頭をあずける。
すると熱い雫が、私の肩から背中に流れ落ちていったのだった。
首を傾げるとエヴェラウドは何も言わず微笑んだ。
「取り敢えず、お召し物だけお預かりしましょうか」
その一言で、自分が下半身裸でブラジャーだけ付けていることを思い出す。
「……そうね」
彼の手で呆気なくブラジャーが外され、乳房がこぼれ落ちる。もう、私を隠すものは何も無い。
そして彼も全て衣服を脱ぎ、二人共一糸まとわぬ姿となった。
「……っ、」
エヴェラウドの裸体を見て、私は思わず息を呑んだ。
生まれたままの姿になったことで、彼の鍛えられた筋肉も全て露わとなったのだ。
それは、私が今まで目を向けてこなかった、陰ながらの努力を物語っていた。
単に口が上手く要領が良いだけではない。努力を重ねて、今彼はここにいるのだ。
その積み上げたものを、小娘への嫌がらせごときに使うなど、大罪である他ない。
申し訳無さと罪悪感が、じわりと胸の奥に広がった。
「……少しだけ、照れてしまいますね」
長い付き合いだが、裸で向かい合うのは初めてだった。そして予行練習と言えど、これからすることも初めてである。
そう思った瞬間、途端に不安を抱き始めるのだった。
「……上手くできるかしら?」
「大丈夫です。どうか私に、お任せください」
どうやらこの場の主導権は、彼の手に渡ったようである。
言われるがまま、私は脚を交差するように閉じて、ベッドに背中を預けた。その上にエヴェラウドが跨り、大きな影は私をすっぽりと覆った。
傍目から見れば、私は大きな獣に押し倒され、襲われているのだろう。
しかし私の中にあるのは、彼に守られているという安心感だった。
この男が、早く欲しい。
少し下に目をやれば、張り詰めた肉棒が天を仰いでいる。彼もまた、目の前の女を求めているのだろうか。
そう考えた瞬間、膣がきゅんと疼くのを感じた。
「それでは……、失礼します」
「えっ、ひっ……ぁっ!?」
エヴェラウドは私の股と太腿の間に、勃ち上がった自身を差し入れたのだった。
繋がってはいない。けれども、性器同士は粘液越しに擦れ合っている。言わば、仮結びのような行為であった。
とはいえ、彼が抜き差しをする度に秘種が雄茎に擦れ、脳天を撃ち抜かれるような快感が波のように襲ってくる。
シーツを握りしめ、私はあられも無い声を上げた。
「あ、ああああっ!!」
「うっ、ぁ、っ……は、っぁ!!」
男と女の喘ぎが、部屋を満たしていく。気付けば、すっかり全身が汗ばんでいた。
額の汗を拭う時、エヴェラウドと目が合った。その頬にも、汗が一筋流れていた。
「ディアナ様、ディアナ様……、ああ本当に、お美しい……」
うわ言のように、彼は何度も私の名を呼ぶ。
「ディアナ様、ずっと……お慕い申し上げて、おりました……っ、あの日からずっと……っ、ぁ、」
「……は、ぁ、んっ……」
口の滑らかな彼には珍しく、上手く言葉を紡げないようだった。
まるで、初めて出会った時に戻ったみたいだ。
「……、っ……、ぁ、も、申し訳、ござ、いませ、っ……ん」
「……大丈夫、……っ、ちゃんと、聞いてるから」
飼い犬を安心させるように、私は彼の背に手を回した。
「……っ、は、ぁっ、ディアナ様……!!」
涙目になりながらも、愛犬は必死に言葉を続ける。
「……、っ、子供の頃、上手く話せなくて、周りに、いつも、揶揄われていました……っ、意地悪された、こと、だって、沢山……っ、あります」
「……っ、ぁ、う、ん、」
「だけど、ディアナ様は、笑わずに、ちゃんと、私の話を……、聞いてくれた。それが凄く、凄く嬉しかった……っ、」
途切れ途切れに囁かれた言葉は、遠い日の記憶を呼び起こした。
初めてエヴェラウドに会った時、口下手な印象を受けたのは、今でも覚えている。一言一言がたどたどしくて、早口で話すことが出来なかったのだ。
けれども私は、彼との会話が嫌いでは無かった。
機織りをするように丁寧に紡ぎ出された彼の言葉は、どれも棘が無く、人を傷つけないものばかりだったのだ。
歳の近い兄と口喧嘩をする際、傷つける言葉を平気で言ってしまう私とは、大違いだった。
「あの日、誓ったのです。貴女の、お役に立つために、上手く話せるように……なろう、懸命に……努力しよう……と、」
「……っ、その努力を、下らない嫌がらせに使って、憎く思わなかったの?」
偶然隣にいるからと、都合良く彼を悪用した。私は悪い女だ。
「い、え……っ、貴女の、お役に立てたのならば、光栄で、ございます……っ!!」
そして限界は、もうすぐそこにまで来ていた。
「あ、っ、ああああっ!!」
「ぐっ、っ、あああっ!!」
歓声が重なり、意識が弾け飛ぶ。
互いに抱き合い、三度目の歓喜に震えた。
「ディアナ様……」
エヴェラウドは力尽きたように、私の肩に頭をあずける。
すると熱い雫が、私の肩から背中に流れ落ちていったのだった。
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