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甘いお仕置き
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媚薬を塗り終えて、アルヴィスは秘蜜を混ぜるように蜜壷で指を動かし始める。
薬のせいで、理性は既に崩れ始めていた。
「あっ、アルヴィス様、っああっ、あああっ」
人差し指と中指が膣壁を擦る度に体は震え、親指が秘種を押しつぶす度に声が漏れてしまう。
嫌々と身体を捩るものの、快楽からは逃れられない。眦からは、熱い水滴が零れ落ちていた。
そんな女の姿を、彼は何も言わず見つめていた。
「やめ、っ、あっ、あああっ」
「ん。見ててやるから、イッてみろ」
「ひっ、あああああ!!」
感じる場所をぐいと指先で刺激されたのが決定打となり、とうとう私は達した。
じっとりと身体が汗ばみ、額には汗で前髪が張り付いていた。
「ふ、ぁ……は、」
「下準備はこのくらいで良いか」
彼はジャケットを芝生に放ってから、ベルトに手をかける。ぼんやりと眺めていると、そそり立つ慾が目の前に姿を現した。
薄暗闇でしか見たことのなかった場所。余程仲の良い夫婦だと、入浴を共にすると聞いたことがある。私と彼がそんな間柄であったならば、見慣れたものだろう。が、そんな訳も無く、私はまじまじと見入ってしまった。
濃ゆい色合いの肉塔は、彼が呼吸する度脈打つようにひくついていた。
「お前は私の全てを知ってる訳だから、大して珍しくも無いか」
「そ、そんなこと……」
熱を冷まさぬよう竿を扱きながら、アルヴィスは挑発するように言った。
全て。その言葉でこれまでの情事を思い出し、身体の芯が切なく疼いた。
ふと、何かを思いついたようで、彼は手の動きを止める。
「……少し、遊んでみるか」
そう言って彼は媚薬を数滴手のひらに出し、肉棒へと塗り込めた。艶を纏ったそれは、日差しを浴びていやらしさを増していた。
淫靡で現実離れした光景を目にして、私は自然と唇をはむつかせていた。
そしてアルヴィスは、その動作を見逃さなかった。
「やけに口寂しそうだな?」
「ち、違っ、勘違いで……んっ、」
半開きの唇に、亀頭が押し付けられる。雄の匂いと熱を間近に与えられ、思考がぐらつく。が、まだ昼であることを思い出し、すんでのところで唇を一文字に閉ざした。
けれども、彼の誘惑は続く。
「しゃぶりたくて仕方無いように見えたが、違ったか?」
腰を揺らし、私の頬に先端を押し付けながらアルヴィスは続けた。
透明な液体が口の端から片頬を濡らしていく。媚薬が効き始めたのか、彼の息は次第に荒くなっていた。
先走りを舐めとって、口に出来ればどれだけ良いだろう。
口淫は、これが始めてでは無かった。むしろ、舐められるより舐める方が好きな程である。それを理解した上で、彼は要求しているのだ。
この男もまた、私の全てを知っているのだ。
「勘違い、か。ならば、口にも中にもこれはいらないか」
「え、あ、待って……!!」
アルヴィスは腰を引こうとした。が、それより先に、反射的に私は牡茎を手で握っていた。
それは、理性が本能に負けた瞬間だった。
アルヴィスは、満足気に鼻先で笑った。
「そうか。だったら、好きにすれば良い」
彼の言葉を皮切りに、私はぺニスを口に咥えた。
「んっ、ん……、っ、ふ」
「は……っ、ぁ」
温室は硝子張りの空間だ。植物という目隠しがあるにしても、その隙間から温室内を簡単に覗けてしまう。つまりは、誰に見られてもおかしくは無い。人払いしているにしても、万が一ということは十分に有り得る。
しかし、駄目だと分かっていても自分を止められないでいた。
「ぁ、ん、む……っ、」
本能の赴くままに竿を扱き、陰嚢を揉みながら鈴口を舌先でつつく。彼の好むところはとうの昔に知っていたので、ひたすらにそこを刺激し続けた。
ちゅ、と媚びるようなリップ音を鳴らす度、彼の切なげな吐息が聞こえる。
それが嬉しくて、私は必死に手と口を動かした。
「は、イエヴァ、っ、ぐぁ……!!」
やがて、アルヴィスは私の口内に白濁を放った。
「ん……ぐ、っ、」
吐き出された柔い熱を、吸い上げるように口に迎え入れ、ゆっくりと飲み下していく。残滓までもが愛しくて、射精が終わっても彼自身にしゃぶりついていた。
「っ……ぅ、ん」
「ん、残さず飲めたな」
偉いぞ、とアルヴィスは優しく頭を撫でてくれた。
恥ずかしい思いをしたものの、互いの身体を満足させることは出来た。これで仕置きも終わりだと、私は内心安堵した。
しかし、その予想は外れた。
「さて。まだ足りないだろう」
未だ猛っている欲を私の口から引きずり出し、アルヴィスは言った。
「アルヴィス様、これ以上は……駄目です」
「身体はそうでもないようだが」
ドロワーズが脚から引き抜かれ、股の部分だけ不自然に濡れているのが彼に見られてしまった。彼の指が下着に出来た染みに触れた時、恥ずかしさのあまり私は手で自らの顔を覆った。
「違、これは、……!!」
秘部は十分過ぎるほどに濡れていた。口淫したことにより、身体はもうすっかりその気になってしまっていたのだ。
「この期に及んで口答えするとは、良い度胸だな」
脚を開かせ、何の断りも無くアルヴィスは私を容赦無く貫いた。
「あ、あああああ!!」
激しく抜き差しを繰り返され、悲鳴に似た喘ぎが口から溢れる。先程までお茶会の和やかな笑い声が響いていた温室内には、嬌声が木霊していた。
身体が、肌が、中が熱い。
「は……っ、昼間の二人だけの時間は久々だな」
「ん、え?」
ふとアルヴィスの方に視線を向けると、彼は不思議な程に楽しげであった。
「このまま終わらせるのは勿体無いな……っ、どうしたものか」
そう言った後、彼は何かを思いついたようで腰の動きを止めた。そして私を起き上がらせ、何故か抱っこした。
あろうことか、彼はそのまま立ち上がったのである。
「え、あ、アルヴィス様!?」
「首に手を回しておかないと落ちるぞ?」
「きゃっ……!?」
「ほら、だから言っただろ」
腰は彼に支えられているが、上半身は不安定なため、このままだとバランスを崩してしまう。仕方無しに、私は彼の首元に手を回した。
「その、早くおろして下さいな」
「断る」
「な!?」
意地悪く、アルヴィスは一度だけ強く突き上げたのだった。
「ひっ、あああっ!!」
反射的に、中が彼を強く締め付ける。それから胎内は、ひくひくと痙攣するように緩く彼を抱きしめた。
意外にも、それ以上突き上げられることは無かった。けれども擦れた肉壁がじんじんと疼き、身体は更なる刺激を求めていた。
中途半端に刺激されて快楽も得られず、泣きそうだった。
「イエヴァ」
「っ……!!」
「お前のことを、何がどう支えてるか考えてみろ」
まるで誘導尋問のように、アルヴィスは私の耳元でそう囁いた。
「誰と何処で繋がっていて、今主導権は誰にある?」
「……っ、」
気を逸らそうとしても、濃密に繋がった下半身に意識がいってしまう。口や手が繋げられていない今、結びつきはそこだけだった。
彼のものは、逞しい身体つきに合わせたかのように太く硬い。そして自身の存在を覚えさせるかのように、これまで彼は私を抱いてきたのだ。
切なく疼く胎内を少しでも刺激したくて腰を揺らそうとするが、彼に掴まれていてそれはできない。
肉棒が脈打つときの揺れしか、私には与えられなかった。
「アルヴィス様……っ、あ、っ」
「ふ、最初は大泣きしてたのにな、今やこの通りだ」
「……っ!!」
痛みのあまり、最初は半分も受け入れることが出来なかったソレ。しかし、今は剣を鞘に収めるかのように、奥までぴたりと嵌っている。
「中が広がってしまうのかと心配したが、問題は無さそうだな」
締め付けを味わうかのように、アルヴィスは意地悪く呟く。たまらなく恥ずかしい一言に、私は目を瞑った。
内も外も、雨に降られたかのように濡れそぼっている。それは、身体が彼を欲していることの表れであった。
今彼は、私に''仕置き''をしている。
しかし、私を満たすことができるのは彼だけだった。
理性の崩れ始めた今、私は彼に縋る他無かった。
「あ、アルヴィス様、も、嫌、やです、欲しい、助けて、」
快楽を欲するあまり、幼子のようなたどたどしい口調になってしまう。けれども、それを直す気力は最早残って無かった。
「欲しいのか?」
「ん……っ、ぅ、……はい」
「……だったら、仕方ないな」
「ひっ、ああああっ!!」
容赦無い律動が始まり、身体中が歓喜した。
アルヴィスが奥へ奥へと突き上げる度、何度も絶頂に追いやられる。それは、強引過ぎる口付けにも思えた。
苦しいまでの快楽に、私は喜びを通り越した悲鳴を上げた。
「アルヴィスさま、アルヴィス様、ひ、ああああっ!!」
「……っ、ぐ、イエヴァ、こら、」
「ひっ、あっ!?」
抽挿の最中、アルヴィスは私の臀を軽く叩いた。予期せぬ刺激に、身体は強ばり思わず目を見開いた。
「はっ……仕置きはまだ途中だろう?」
深い青色の瞳が、私を咎めるように細められる。しかし、それは睨みつけるとはまた違ったものであった。
そしてその瞳の奥には、嗜虐心が垣間見れた。
汗を塗り伸ばすように肌を撫でられたかと思えば、パンッと臀を叩かれる。その繰り返しは、正常な感覚を段々と奪っていった。
だが何故だかその刺激は嫌ではなく、むしろ快感にすら思えた。
「アルヴィス様、ぁ、駄目、駄目です!!」
「ぐっ……っ、ぁ、この様で駄目とは嘘つきが……っ」
「やら、あっ、あああ!!」
子供が親にしつけられるような尻叩きを受け、私は叫ぶことと喘ぐことしかできない獣となっていた。
「ん、っは、……けほっ、」
「……喉が乾いたか」
喉を酷使したせいで咳をすると、私を抱き抱えたまま、アルヴィスは歩き始めた。そしてテーブルに置かれたボトルからグラスに水を注ぎ、一口飲んだ。
「んっ……」
口移しされる、彼の味が溶けた水。それは、少しずつ私の喉を潤していった。
まるで、親鳥から餌付けされる雛鳥の気分だ。
「ふ、可愛い奴」
汗ばんで額にへばり付いた前髪が、彼の手で優しく掻きあげられる。愛でるような手つきからは、隠しきれない優しさが垣間見れた。
喉が渇いたとも、前髪が鬱陶しいとも私は一言も言っていない。けれども、その不快な要素は彼によりあっさり取り払われたのだった。
そして、アルヴィスは私の額に軽く口付けた。
「イエヴァ。お前は今俺だけのことを考えてれば良い。それ以外の邪魔なものは、全部取り払ってやるから」
「っ……、」
仕置きされているはずなのに、甘やかされているかのような甘い感覚が胸に広がる。
不意に、以前彼と交わした会話を思い出す。
昔、彼は上司から「拷問官を選ぶとすれば、お前のような人間が最適だ」と言われたことがあるらしい。その時は淡々とした仕事ぶりを褒めたのだろうと笑っていたが、それは少し違うことに気付く。
この男は、相手が何を求めているか機微を見極めるのが異常に上手いのだ。そんな彼に、敵う筈が無い。
このまま、彼に全てを委ねてしまおうか。そう思った矢先、アルヴィスは口を開いた。
「イエヴァ、選べ」
「ん、ぇ……?」
「媚薬の調合や茶会と、俺と過ごすのとどちらが大事だ?」
つまりは、趣味と結婚生活どちらを取るかという問いであった。
身体が、彼を求めている。
しかしここで彼を選んでしまえば……。
私は聖女の姉君に戻ってしまう。
そんなの、嫌だ。
「……選べません」
「何故だ?」
頬に涙が伝っていった。
快楽で理性が削り取られているはずなのに、私は頑なに首を横に振った。
「だって、それを辞めたら……っ、誰も私の名を呼んでくれない」
堰を切ったように、涙が止まらなかった。鼻の奥がツンと痛い。こんな下らないことで泣くだなんてどうかしてる。しかし、抑え込む術は何も無かった。
「聖女の姉君なんかに、戻りたくない」
それは、心からの叫びだった。
流石に呆れられただろうか。しかし、アルヴィスは狼狽えるでもなく嫌そうな顔をするでもなく、一言私に問うた。
「……俺がいつ、お前をそう呼んだ?」
その言葉に、はっと我に返る。
思い返せば、初めて会った時から彼は、私のことをちゃんと名前で呼んでくれていた。
どうしてそのことを忘れていたんだろう?
「あ、その……」
「心外だな。だったら、やはり身をもって分かってもらう他無いか」
「えっ……」
困惑する私とは対照的に、彼は何処か楽しげであった。
そして芝生の上に再度私を寝かして、アルヴィスは抜き差しを再開した。
「っ、あっ、あああっ!!」
自らの存在を刻み込むかのように、最奥に叩きつけられる質量。それは、待ち焦がれていた愛しい熱だった。
「あっ、あっ、アルヴィス様、あ、あああああっ」
「ぐ……っ、ぁ、はっ、イエヴァ……っ、」
どうやら彼も我慢の限界のようで、焦らされることはもう無かった。そして私も、ただただ愛する男の名を呼ばい、喘ぐだけしか出来ない。
不意に、アルヴィスは上体を倒して私を抱きしめた。
撫で付けらた彼の前髪が、揺れによりはらりと額に落ちる。そして体温が上がったことで、彼の整髪料の匂いが鼻を掠めた。
それは、私が大好きな香りだった。
「あ、アルヴィス様、もう、……ぁ、ひ、」
「……っは、イエヴァ、中、出すぞ、っ、ぐ、あ、」
「ひ、あああああっ!!」
胎内で、白い熱が爆ぜる。強烈な刺激に、一瞬意識が持っていかれそうになる程だった。
けれどもそれは、今まで感じたことのない幸福感をもたらした。
「は、イエヴァ、っ……ん」
緩く腰を揺らし、アルヴィスは余すこと無く精を注ぎ込む。そして、余韻に浸るかのように何度も私に口付けを落とした。
「……っぐ!?」
頭が回らずぼんやりとしていると、何やら頭上が騒がしいことに気付く。殴るような鈍い物騒な音が聞こえる度、アルヴィスは顔を歪める。
小鳥達が、彼に襲いかかっていたのだった。
「ま……、っ、待て!! その、大丈夫だから!! 落ち着いて!!」
飼い主が虐められていると勘違いした彼等の誤解を解くのに苦慮したことは、言うまでもない。
薬のせいで、理性は既に崩れ始めていた。
「あっ、アルヴィス様、っああっ、あああっ」
人差し指と中指が膣壁を擦る度に体は震え、親指が秘種を押しつぶす度に声が漏れてしまう。
嫌々と身体を捩るものの、快楽からは逃れられない。眦からは、熱い水滴が零れ落ちていた。
そんな女の姿を、彼は何も言わず見つめていた。
「やめ、っ、あっ、あああっ」
「ん。見ててやるから、イッてみろ」
「ひっ、あああああ!!」
感じる場所をぐいと指先で刺激されたのが決定打となり、とうとう私は達した。
じっとりと身体が汗ばみ、額には汗で前髪が張り付いていた。
「ふ、ぁ……は、」
「下準備はこのくらいで良いか」
彼はジャケットを芝生に放ってから、ベルトに手をかける。ぼんやりと眺めていると、そそり立つ慾が目の前に姿を現した。
薄暗闇でしか見たことのなかった場所。余程仲の良い夫婦だと、入浴を共にすると聞いたことがある。私と彼がそんな間柄であったならば、見慣れたものだろう。が、そんな訳も無く、私はまじまじと見入ってしまった。
濃ゆい色合いの肉塔は、彼が呼吸する度脈打つようにひくついていた。
「お前は私の全てを知ってる訳だから、大して珍しくも無いか」
「そ、そんなこと……」
熱を冷まさぬよう竿を扱きながら、アルヴィスは挑発するように言った。
全て。その言葉でこれまでの情事を思い出し、身体の芯が切なく疼いた。
ふと、何かを思いついたようで、彼は手の動きを止める。
「……少し、遊んでみるか」
そう言って彼は媚薬を数滴手のひらに出し、肉棒へと塗り込めた。艶を纏ったそれは、日差しを浴びていやらしさを増していた。
淫靡で現実離れした光景を目にして、私は自然と唇をはむつかせていた。
そしてアルヴィスは、その動作を見逃さなかった。
「やけに口寂しそうだな?」
「ち、違っ、勘違いで……んっ、」
半開きの唇に、亀頭が押し付けられる。雄の匂いと熱を間近に与えられ、思考がぐらつく。が、まだ昼であることを思い出し、すんでのところで唇を一文字に閉ざした。
けれども、彼の誘惑は続く。
「しゃぶりたくて仕方無いように見えたが、違ったか?」
腰を揺らし、私の頬に先端を押し付けながらアルヴィスは続けた。
透明な液体が口の端から片頬を濡らしていく。媚薬が効き始めたのか、彼の息は次第に荒くなっていた。
先走りを舐めとって、口に出来ればどれだけ良いだろう。
口淫は、これが始めてでは無かった。むしろ、舐められるより舐める方が好きな程である。それを理解した上で、彼は要求しているのだ。
この男もまた、私の全てを知っているのだ。
「勘違い、か。ならば、口にも中にもこれはいらないか」
「え、あ、待って……!!」
アルヴィスは腰を引こうとした。が、それより先に、反射的に私は牡茎を手で握っていた。
それは、理性が本能に負けた瞬間だった。
アルヴィスは、満足気に鼻先で笑った。
「そうか。だったら、好きにすれば良い」
彼の言葉を皮切りに、私はぺニスを口に咥えた。
「んっ、ん……、っ、ふ」
「は……っ、ぁ」
温室は硝子張りの空間だ。植物という目隠しがあるにしても、その隙間から温室内を簡単に覗けてしまう。つまりは、誰に見られてもおかしくは無い。人払いしているにしても、万が一ということは十分に有り得る。
しかし、駄目だと分かっていても自分を止められないでいた。
「ぁ、ん、む……っ、」
本能の赴くままに竿を扱き、陰嚢を揉みながら鈴口を舌先でつつく。彼の好むところはとうの昔に知っていたので、ひたすらにそこを刺激し続けた。
ちゅ、と媚びるようなリップ音を鳴らす度、彼の切なげな吐息が聞こえる。
それが嬉しくて、私は必死に手と口を動かした。
「は、イエヴァ、っ、ぐぁ……!!」
やがて、アルヴィスは私の口内に白濁を放った。
「ん……ぐ、っ、」
吐き出された柔い熱を、吸い上げるように口に迎え入れ、ゆっくりと飲み下していく。残滓までもが愛しくて、射精が終わっても彼自身にしゃぶりついていた。
「っ……ぅ、ん」
「ん、残さず飲めたな」
偉いぞ、とアルヴィスは優しく頭を撫でてくれた。
恥ずかしい思いをしたものの、互いの身体を満足させることは出来た。これで仕置きも終わりだと、私は内心安堵した。
しかし、その予想は外れた。
「さて。まだ足りないだろう」
未だ猛っている欲を私の口から引きずり出し、アルヴィスは言った。
「アルヴィス様、これ以上は……駄目です」
「身体はそうでもないようだが」
ドロワーズが脚から引き抜かれ、股の部分だけ不自然に濡れているのが彼に見られてしまった。彼の指が下着に出来た染みに触れた時、恥ずかしさのあまり私は手で自らの顔を覆った。
「違、これは、……!!」
秘部は十分過ぎるほどに濡れていた。口淫したことにより、身体はもうすっかりその気になってしまっていたのだ。
「この期に及んで口答えするとは、良い度胸だな」
脚を開かせ、何の断りも無くアルヴィスは私を容赦無く貫いた。
「あ、あああああ!!」
激しく抜き差しを繰り返され、悲鳴に似た喘ぎが口から溢れる。先程までお茶会の和やかな笑い声が響いていた温室内には、嬌声が木霊していた。
身体が、肌が、中が熱い。
「は……っ、昼間の二人だけの時間は久々だな」
「ん、え?」
ふとアルヴィスの方に視線を向けると、彼は不思議な程に楽しげであった。
「このまま終わらせるのは勿体無いな……っ、どうしたものか」
そう言った後、彼は何かを思いついたようで腰の動きを止めた。そして私を起き上がらせ、何故か抱っこした。
あろうことか、彼はそのまま立ち上がったのである。
「え、あ、アルヴィス様!?」
「首に手を回しておかないと落ちるぞ?」
「きゃっ……!?」
「ほら、だから言っただろ」
腰は彼に支えられているが、上半身は不安定なため、このままだとバランスを崩してしまう。仕方無しに、私は彼の首元に手を回した。
「その、早くおろして下さいな」
「断る」
「な!?」
意地悪く、アルヴィスは一度だけ強く突き上げたのだった。
「ひっ、あああっ!!」
反射的に、中が彼を強く締め付ける。それから胎内は、ひくひくと痙攣するように緩く彼を抱きしめた。
意外にも、それ以上突き上げられることは無かった。けれども擦れた肉壁がじんじんと疼き、身体は更なる刺激を求めていた。
中途半端に刺激されて快楽も得られず、泣きそうだった。
「イエヴァ」
「っ……!!」
「お前のことを、何がどう支えてるか考えてみろ」
まるで誘導尋問のように、アルヴィスは私の耳元でそう囁いた。
「誰と何処で繋がっていて、今主導権は誰にある?」
「……っ、」
気を逸らそうとしても、濃密に繋がった下半身に意識がいってしまう。口や手が繋げられていない今、結びつきはそこだけだった。
彼のものは、逞しい身体つきに合わせたかのように太く硬い。そして自身の存在を覚えさせるかのように、これまで彼は私を抱いてきたのだ。
切なく疼く胎内を少しでも刺激したくて腰を揺らそうとするが、彼に掴まれていてそれはできない。
肉棒が脈打つときの揺れしか、私には与えられなかった。
「アルヴィス様……っ、あ、っ」
「ふ、最初は大泣きしてたのにな、今やこの通りだ」
「……っ!!」
痛みのあまり、最初は半分も受け入れることが出来なかったソレ。しかし、今は剣を鞘に収めるかのように、奥までぴたりと嵌っている。
「中が広がってしまうのかと心配したが、問題は無さそうだな」
締め付けを味わうかのように、アルヴィスは意地悪く呟く。たまらなく恥ずかしい一言に、私は目を瞑った。
内も外も、雨に降られたかのように濡れそぼっている。それは、身体が彼を欲していることの表れであった。
今彼は、私に''仕置き''をしている。
しかし、私を満たすことができるのは彼だけだった。
理性の崩れ始めた今、私は彼に縋る他無かった。
「あ、アルヴィス様、も、嫌、やです、欲しい、助けて、」
快楽を欲するあまり、幼子のようなたどたどしい口調になってしまう。けれども、それを直す気力は最早残って無かった。
「欲しいのか?」
「ん……っ、ぅ、……はい」
「……だったら、仕方ないな」
「ひっ、ああああっ!!」
容赦無い律動が始まり、身体中が歓喜した。
アルヴィスが奥へ奥へと突き上げる度、何度も絶頂に追いやられる。それは、強引過ぎる口付けにも思えた。
苦しいまでの快楽に、私は喜びを通り越した悲鳴を上げた。
「アルヴィスさま、アルヴィス様、ひ、ああああっ!!」
「……っ、ぐ、イエヴァ、こら、」
「ひっ、あっ!?」
抽挿の最中、アルヴィスは私の臀を軽く叩いた。予期せぬ刺激に、身体は強ばり思わず目を見開いた。
「はっ……仕置きはまだ途中だろう?」
深い青色の瞳が、私を咎めるように細められる。しかし、それは睨みつけるとはまた違ったものであった。
そしてその瞳の奥には、嗜虐心が垣間見れた。
汗を塗り伸ばすように肌を撫でられたかと思えば、パンッと臀を叩かれる。その繰り返しは、正常な感覚を段々と奪っていった。
だが何故だかその刺激は嫌ではなく、むしろ快感にすら思えた。
「アルヴィス様、ぁ、駄目、駄目です!!」
「ぐっ……っ、ぁ、この様で駄目とは嘘つきが……っ」
「やら、あっ、あああ!!」
子供が親にしつけられるような尻叩きを受け、私は叫ぶことと喘ぐことしかできない獣となっていた。
「ん、っは、……けほっ、」
「……喉が乾いたか」
喉を酷使したせいで咳をすると、私を抱き抱えたまま、アルヴィスは歩き始めた。そしてテーブルに置かれたボトルからグラスに水を注ぎ、一口飲んだ。
「んっ……」
口移しされる、彼の味が溶けた水。それは、少しずつ私の喉を潤していった。
まるで、親鳥から餌付けされる雛鳥の気分だ。
「ふ、可愛い奴」
汗ばんで額にへばり付いた前髪が、彼の手で優しく掻きあげられる。愛でるような手つきからは、隠しきれない優しさが垣間見れた。
喉が渇いたとも、前髪が鬱陶しいとも私は一言も言っていない。けれども、その不快な要素は彼によりあっさり取り払われたのだった。
そして、アルヴィスは私の額に軽く口付けた。
「イエヴァ。お前は今俺だけのことを考えてれば良い。それ以外の邪魔なものは、全部取り払ってやるから」
「っ……、」
仕置きされているはずなのに、甘やかされているかのような甘い感覚が胸に広がる。
不意に、以前彼と交わした会話を思い出す。
昔、彼は上司から「拷問官を選ぶとすれば、お前のような人間が最適だ」と言われたことがあるらしい。その時は淡々とした仕事ぶりを褒めたのだろうと笑っていたが、それは少し違うことに気付く。
この男は、相手が何を求めているか機微を見極めるのが異常に上手いのだ。そんな彼に、敵う筈が無い。
このまま、彼に全てを委ねてしまおうか。そう思った矢先、アルヴィスは口を開いた。
「イエヴァ、選べ」
「ん、ぇ……?」
「媚薬の調合や茶会と、俺と過ごすのとどちらが大事だ?」
つまりは、趣味と結婚生活どちらを取るかという問いであった。
身体が、彼を求めている。
しかしここで彼を選んでしまえば……。
私は聖女の姉君に戻ってしまう。
そんなの、嫌だ。
「……選べません」
「何故だ?」
頬に涙が伝っていった。
快楽で理性が削り取られているはずなのに、私は頑なに首を横に振った。
「だって、それを辞めたら……っ、誰も私の名を呼んでくれない」
堰を切ったように、涙が止まらなかった。鼻の奥がツンと痛い。こんな下らないことで泣くだなんてどうかしてる。しかし、抑え込む術は何も無かった。
「聖女の姉君なんかに、戻りたくない」
それは、心からの叫びだった。
流石に呆れられただろうか。しかし、アルヴィスは狼狽えるでもなく嫌そうな顔をするでもなく、一言私に問うた。
「……俺がいつ、お前をそう呼んだ?」
その言葉に、はっと我に返る。
思い返せば、初めて会った時から彼は、私のことをちゃんと名前で呼んでくれていた。
どうしてそのことを忘れていたんだろう?
「あ、その……」
「心外だな。だったら、やはり身をもって分かってもらう他無いか」
「えっ……」
困惑する私とは対照的に、彼は何処か楽しげであった。
そして芝生の上に再度私を寝かして、アルヴィスは抜き差しを再開した。
「っ、あっ、あああっ!!」
自らの存在を刻み込むかのように、最奥に叩きつけられる質量。それは、待ち焦がれていた愛しい熱だった。
「あっ、あっ、アルヴィス様、あ、あああああっ」
「ぐ……っ、ぁ、はっ、イエヴァ……っ、」
どうやら彼も我慢の限界のようで、焦らされることはもう無かった。そして私も、ただただ愛する男の名を呼ばい、喘ぐだけしか出来ない。
不意に、アルヴィスは上体を倒して私を抱きしめた。
撫で付けらた彼の前髪が、揺れによりはらりと額に落ちる。そして体温が上がったことで、彼の整髪料の匂いが鼻を掠めた。
それは、私が大好きな香りだった。
「あ、アルヴィス様、もう、……ぁ、ひ、」
「……っは、イエヴァ、中、出すぞ、っ、ぐ、あ、」
「ひ、あああああっ!!」
胎内で、白い熱が爆ぜる。強烈な刺激に、一瞬意識が持っていかれそうになる程だった。
けれどもそれは、今まで感じたことのない幸福感をもたらした。
「は、イエヴァ、っ……ん」
緩く腰を揺らし、アルヴィスは余すこと無く精を注ぎ込む。そして、余韻に浸るかのように何度も私に口付けを落とした。
「……っぐ!?」
頭が回らずぼんやりとしていると、何やら頭上が騒がしいことに気付く。殴るような鈍い物騒な音が聞こえる度、アルヴィスは顔を歪める。
小鳥達が、彼に襲いかかっていたのだった。
「ま……、っ、待て!! その、大丈夫だから!! 落ち着いて!!」
飼い主が虐められていると勘違いした彼等の誤解を解くのに苦慮したことは、言うまでもない。
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侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
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