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第44話 宣戦布告
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ギャラード商会の息子が身の程知らずにもメルツァーロ家の御子息に真っ向から決闘を申し込んだ――このセンセーショナルな話題は、あっという間に学園中を駆け抜けた。
ちなみにこの決闘というシステムについても、事前にトリシア生徒会長からいろいろと聞いていた。
それぞれに誓いを立て、敗者は勝者の誓いに従わなくてはならない。
受け入れたら最後、これを無効化することはできないという魔法契約を結ぶという決まりになっている。
年に数回ほどしか行われないらしいが、一年生が上級生を相手に決闘を申し込むというのは学園創立以来初の出来事だという。
「随分と大それた作戦を思いつくものですわね」
その日の授業後。
トリシア会長から生徒会室へと呼び出された俺はコニーとルチーナも連れてやってきたわけだが、到着早々に呆れた口調にそう告げられた。
「学園のルールに則って宣戦布告しただけですよ」
「レーク様はクレアちゃんに学園へ通ってほしいんだよね」
「その通りだ。魔草薬の扱いにかけては天才級……あのままにしておくには惜しい人材だ」
「ふーん……」
おや?
コニーさん?
急に不機嫌になってどうしたの?
「……でもまあ、いっか。私には指輪を贈ってくれたんだし」
――と、思っていたら何事かを呟いて急に上機嫌。
思春期女子ってホントによく分からんな。
とりあえず、話題を元に戻すとするか。
「トリシア会長も俺と同意見だと思っていましたが?」
「えぇ。確かに彼女のような優秀な生徒が埋もれてしまうのは不本意というもの……それにしても、自分が勝ったら『妹を自由にする』という条件を向こうが飲むかしら」
「それについては問題ないと思いますよ」
ウォルトンからすれば一番避けたい事態だからな。
しかし、これは向こうにとってもチャンスのはず。
なぜなら、この学園でクレアの心を動かせそうな存在と言えば幼い頃から付き合いのある俺くらいなものだ。
ヤツからすれば自分の天下を終わらせられる唯一の天敵って感じだろう。
だからこそ、ウォルトンはこの決闘の誓いとして『今後二度と妹とは会話を含むすべての接触を禁じる』という条件を突きつけてきたわけだし。
「そこまで自信があるということは、当然勝機はあるのでしょうね」
「もちろんです。それでは、我が勝利への道筋をご説明しましょう」
「お願いするわ」
俺は戦闘におけるプランを会長へと話した。
この際、魔銃に関しての情報は伏せておく。
というか、この戦いで魔銃を使うつもりはない。
ウォルトンを相手にするには過ぎた代物だし、まだ公にはしたくないという気持ちあった。
それに、魔弾の量産体制もまだ整っていない。
まあ、大前提として普通に剣術を使ってもあいつに負ける気はしなかった。
あとは実戦で試してみたい魔道具が他にもある。
そいつを持っていってもいいな。
重要な情報はぼかしつつ、会長への説明を終えた。
「大体のプランは理解しましたわ。それだけ周到であれば勝率はグッと高まるでしょうね」
そう感想を述べつつも、会長の顔は険しいままだ。
俺の視線に気がついたのか、その理由について話してくれた。
「彼のこれまでの功績がクレアによるものであったとしても、決闘となれば彼女の育てた魔草薬を使ってくるのは目に見えていますわ。努々油断はせぬよう気をつけてくださいまし」
なるほど。
確かにウォルトン自身に怖さはないが、あのクレアが育てた魔草は厄介だな。
魔草には魔力を注ぐことで炎や風といった自然界の力を宿す種もある。
育成はかなり難しいらしいが、クレアならきっとやってのけるだろう。
でなければ、あのボンクラが血筋だけであれほど大きな顔をしていられるわけがない。
ヤツの無能さを打ち消すくらい、クレアの育てた魔草は有能なのだ。
「大丈夫! レーク様なら勝てますよ!」
「同感です」
「ありがとう、ふたりとも。必ず勝ってくるよ」
高らかに宣言する俺。
しかし、会長の言うように油断はできない。
決闘まで残り三日。
それまでに魔道具を作りつつ、プランをもっと練り込んでおくとしよう。
ちなみにこの決闘というシステムについても、事前にトリシア生徒会長からいろいろと聞いていた。
それぞれに誓いを立て、敗者は勝者の誓いに従わなくてはならない。
受け入れたら最後、これを無効化することはできないという魔法契約を結ぶという決まりになっている。
年に数回ほどしか行われないらしいが、一年生が上級生を相手に決闘を申し込むというのは学園創立以来初の出来事だという。
「随分と大それた作戦を思いつくものですわね」
その日の授業後。
トリシア会長から生徒会室へと呼び出された俺はコニーとルチーナも連れてやってきたわけだが、到着早々に呆れた口調にそう告げられた。
「学園のルールに則って宣戦布告しただけですよ」
「レーク様はクレアちゃんに学園へ通ってほしいんだよね」
「その通りだ。魔草薬の扱いにかけては天才級……あのままにしておくには惜しい人材だ」
「ふーん……」
おや?
コニーさん?
急に不機嫌になってどうしたの?
「……でもまあ、いっか。私には指輪を贈ってくれたんだし」
――と、思っていたら何事かを呟いて急に上機嫌。
思春期女子ってホントによく分からんな。
とりあえず、話題を元に戻すとするか。
「トリシア会長も俺と同意見だと思っていましたが?」
「えぇ。確かに彼女のような優秀な生徒が埋もれてしまうのは不本意というもの……それにしても、自分が勝ったら『妹を自由にする』という条件を向こうが飲むかしら」
「それについては問題ないと思いますよ」
ウォルトンからすれば一番避けたい事態だからな。
しかし、これは向こうにとってもチャンスのはず。
なぜなら、この学園でクレアの心を動かせそうな存在と言えば幼い頃から付き合いのある俺くらいなものだ。
ヤツからすれば自分の天下を終わらせられる唯一の天敵って感じだろう。
だからこそ、ウォルトンはこの決闘の誓いとして『今後二度と妹とは会話を含むすべての接触を禁じる』という条件を突きつけてきたわけだし。
「そこまで自信があるということは、当然勝機はあるのでしょうね」
「もちろんです。それでは、我が勝利への道筋をご説明しましょう」
「お願いするわ」
俺は戦闘におけるプランを会長へと話した。
この際、魔銃に関しての情報は伏せておく。
というか、この戦いで魔銃を使うつもりはない。
ウォルトンを相手にするには過ぎた代物だし、まだ公にはしたくないという気持ちあった。
それに、魔弾の量産体制もまだ整っていない。
まあ、大前提として普通に剣術を使ってもあいつに負ける気はしなかった。
あとは実戦で試してみたい魔道具が他にもある。
そいつを持っていってもいいな。
重要な情報はぼかしつつ、会長への説明を終えた。
「大体のプランは理解しましたわ。それだけ周到であれば勝率はグッと高まるでしょうね」
そう感想を述べつつも、会長の顔は険しいままだ。
俺の視線に気がついたのか、その理由について話してくれた。
「彼のこれまでの功績がクレアによるものであったとしても、決闘となれば彼女の育てた魔草薬を使ってくるのは目に見えていますわ。努々油断はせぬよう気をつけてくださいまし」
なるほど。
確かにウォルトン自身に怖さはないが、あのクレアが育てた魔草は厄介だな。
魔草には魔力を注ぐことで炎や風といった自然界の力を宿す種もある。
育成はかなり難しいらしいが、クレアならきっとやってのけるだろう。
でなければ、あのボンクラが血筋だけであれほど大きな顔をしていられるわけがない。
ヤツの無能さを打ち消すくらい、クレアの育てた魔草は有能なのだ。
「大丈夫! レーク様なら勝てますよ!」
「同感です」
「ありがとう、ふたりとも。必ず勝ってくるよ」
高らかに宣言する俺。
しかし、会長の言うように油断はできない。
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それまでに魔道具を作りつつ、プランをもっと練り込んでおくとしよう。
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