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第221話 温泉計画
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ビシェル兄さん主催のパーティー開催まで、あと一週間後と迫った。
恐らく、現地に数日ほど宿泊することになりそうなので、その間に進めておいてもらいたい内容を伝えるべく、俺たちはデルガドさんたち職人を連れて例の温泉が湧きだしている場所へと向かった。
「ほほぉ! こりゃ凄い!」
温泉をひと目見るなり、デルガドさんは大興奮。
というのも、デルガドさんは大の温泉好きらしく、俺たちが行ったジェイレムのようなリゾート地は遠いので近場の共同浴場に入り浸っているらしい。
「アスコサにもありましたからね、共同浴場」
「あそこはあれで天然温泉なんだよ。ただ、それほど大規模なものじゃないから、町全体で管理し、共同浴場という形にするのが精いっぱいらしい」
「賑やかなんですか?」
「人は多いな。日によっては人数制限をするくらいだし」
なるほど。
そうなると、こっちの温泉にも需要は十分見込めそうだ。
早速、デルガドさんたちにこちらの計画を伝える。
高原の美しい風景を眺めながら浸れる天然の露天風呂つき宿屋――このプランを話すと職人たちは大いに盛り上がった。
「こいつは凄ぇな!」
「今から完成が楽しみだぜ!」
「おいおい、俺たちがそれを造るんだぞ?」
これまでになく、職人たちは浮かれていた。
「も、盛り上がっていますね」
「職人っていうのは体を使う仕事だからな。頑丈そうに見えて、あいつらも体の数ヵ所は常に痛めているんだ。それ癒すのに、温泉は最適だからな」
確かに、改めて職人たちを見てみると、まず真っ先に目がいくのは鍛え抜かれた筋骨隆々とした鋼のボディ――だが、デルガドさんからの話を聞いて少し視点をずらしてみると、擦り傷やら痣やらが見て取れる。あそこまでの肉体になるには、相応の厳しさがあって当然だもんな。
その分、彼らが一生懸命仕事に取り組んでいるという何よりの証明だ。
「村づくりも面白いコンセプトで楽しみながら仕事をさせてもらったが……こいつはこれまでとちょっと違うな。それに、領主殿のこのプラン……毎度のことながら、いい発想力を持っている」
温泉を一般開放するにあたり、俺はいくつかのプランを用意していた。
これは前世での温泉宿から着想を得ているものがほとんど――なので、この世界の人たちには新鮮に映るだろう。
現に、デルガドさんはすでに夢中となっている。
こちらの意図もしっかり汲んでくれているし、きっといい温泉リゾート地ができるはずだ。
「それじゃあ早速取りかかるとするか!」
「お願いします」
「おう!」
デルガドさんは早速職人たちを集めて話し合いを開始。
ここは彼に任せて大丈夫だろう。
話が終わったところで、シルヴィアに声をかけようと捜していたら、
「うん?」
すぐに見つかった――が、シルヴィアは一点を真剣な眼差しで見つめている。
その視線の先にあるのは――霊峰ガンティアの山頂だった。
「気になるか?」
「! ロイス……ああ、凄く気になる」
シルヴィアはどこか楽しげに言った。
あそこは、この霊峰ガンティアの最終到達地点――俺たちにとっても、最後の挑戦となるだろう。
まだまだ挑むのは当分先になりそうだが、その時には万全を尽くし、攻略に挑みたいと思う。
恐らく、現地に数日ほど宿泊することになりそうなので、その間に進めておいてもらいたい内容を伝えるべく、俺たちはデルガドさんたち職人を連れて例の温泉が湧きだしている場所へと向かった。
「ほほぉ! こりゃ凄い!」
温泉をひと目見るなり、デルガドさんは大興奮。
というのも、デルガドさんは大の温泉好きらしく、俺たちが行ったジェイレムのようなリゾート地は遠いので近場の共同浴場に入り浸っているらしい。
「アスコサにもありましたからね、共同浴場」
「あそこはあれで天然温泉なんだよ。ただ、それほど大規模なものじゃないから、町全体で管理し、共同浴場という形にするのが精いっぱいらしい」
「賑やかなんですか?」
「人は多いな。日によっては人数制限をするくらいだし」
なるほど。
そうなると、こっちの温泉にも需要は十分見込めそうだ。
早速、デルガドさんたちにこちらの計画を伝える。
高原の美しい風景を眺めながら浸れる天然の露天風呂つき宿屋――このプランを話すと職人たちは大いに盛り上がった。
「こいつは凄ぇな!」
「今から完成が楽しみだぜ!」
「おいおい、俺たちがそれを造るんだぞ?」
これまでになく、職人たちは浮かれていた。
「も、盛り上がっていますね」
「職人っていうのは体を使う仕事だからな。頑丈そうに見えて、あいつらも体の数ヵ所は常に痛めているんだ。それ癒すのに、温泉は最適だからな」
確かに、改めて職人たちを見てみると、まず真っ先に目がいくのは鍛え抜かれた筋骨隆々とした鋼のボディ――だが、デルガドさんからの話を聞いて少し視点をずらしてみると、擦り傷やら痣やらが見て取れる。あそこまでの肉体になるには、相応の厳しさがあって当然だもんな。
その分、彼らが一生懸命仕事に取り組んでいるという何よりの証明だ。
「村づくりも面白いコンセプトで楽しみながら仕事をさせてもらったが……こいつはこれまでとちょっと違うな。それに、領主殿のこのプラン……毎度のことながら、いい発想力を持っている」
温泉を一般開放するにあたり、俺はいくつかのプランを用意していた。
これは前世での温泉宿から着想を得ているものがほとんど――なので、この世界の人たちには新鮮に映るだろう。
現に、デルガドさんはすでに夢中となっている。
こちらの意図もしっかり汲んでくれているし、きっといい温泉リゾート地ができるはずだ。
「それじゃあ早速取りかかるとするか!」
「お願いします」
「おう!」
デルガドさんは早速職人たちを集めて話し合いを開始。
ここは彼に任せて大丈夫だろう。
話が終わったところで、シルヴィアに声をかけようと捜していたら、
「うん?」
すぐに見つかった――が、シルヴィアは一点を真剣な眼差しで見つめている。
その視線の先にあるのは――霊峰ガンティアの山頂だった。
「気になるか?」
「! ロイス……ああ、凄く気になる」
シルヴィアはどこか楽しげに言った。
あそこは、この霊峰ガンティアの最終到達地点――俺たちにとっても、最後の挑戦となるだろう。
まだまだ挑むのは当分先になりそうだが、その時には万全を尽くし、攻略に挑みたいと思う。
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