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第235話 新たな問題?
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朝食を済ませると、俺たちはアインレット家の屋敷からジェロム地方へ戻るため、馬車へと乗り込んだ。
「元気でね、ふたりとも」
「母上も、お体には気をつけて」
「また来ますね」
「楽しみにしているわ。――テスラ、ふたりをよろしくね」
「お任せください」
テスラさんにもしっかりと念を押す母上。
そういえば、俺のところへ来る前は母上の専属メイドだったんだよな。テレイザさんの話では、ふたりはメイドと主という関係でありながらも、非常に仲が良かったらしい。母上にとって、そんなテスラさんと久しぶりに顔を合わせることができて嬉しかったのかもしれないな。
「母上も一度ジェロム地方へ来てください」
「えぇ。機会があれば、ね」
領主夫人ともなれば、そうそう自由に動き回れないのだろうけど……是非一度、母上にもジェロムの大自然を見てもらいたいな。きっと気に入ってくれると思うし。
名残惜しい気持ちもありつつ、俺たちはジェロム地方に向けて屋敷をあとにしたのだった。
一日ぶりにジェロム地方はいつも通り、冒険者たちで賑わっていた。
「! 領主様!」
「お戻りになられましたか!」
「ロイス様が戻られたぞぉ!」
なんだかいつになく盛大に出迎えられている気がするけど……まあ、いいか。
とりあえず、俺たちはギルドへと出向き、フルズさんから留守中に変わったことがないか尋ねることに。
「これは領主殿! いつお戻りに?」
「ついさっきですよ」
フルズさんもやたらテンションが高かった。
どうやら、ドラゴンのワーウィックがいる遺跡でお宝がいくつか見つかったらしい。考古学的な価値は不明だが、調査隊のリーダーを務めるカナンさん曰く、かなり値が張るんじゃないかと期待しているという。現在はギルド内にある魔法金庫内に保管していると教えてくれた。
「それなら、王都へ行って鑑定士を呼んでこないと」
「鑑定士か……ロイス、私たちにその伝手はないぞ?」
「そうなんだよなぁ……」
「でしたら、私の知人を訪ねてみてください。きっと協力してくれるはずです」
レジェンド級の冒険者だったフルズさんの知人か……それは確かに頼もしそうだ。
「っと、そうだ。もうひとつお伝えしておかなくてはいけないことが」
「? なんですか?」
「実は、領主殿たちがここを発ってからすぐにコルミナが訪ねてきたんです」
「コルミナが?」
コルミナは、霊峰ガンティアに暮らす山猫の獣人族の少女だ。
以前、怪鳥騒ぎの際に共闘し、それからはこのアダム村とも頻繁に交流するようになっていた。さっきの遺跡に関する調査だって、協力者の中にはその山猫の獣人族もいるくらいだ。
そのコルミナが俺のもとを訪ねてきた。
理由自体は告げなかったらしいが、かなり切羽詰まっていたらしく、翌日には帰ってくるからギルドにある部屋で一泊していくかというフルズさんからの誘いも断り、村へ戻ったという。
どうやら、向こうで何かあったのは間違いなさそうだ。
「山猫の獣人族の村へ行ってみるか」
準備を整え、明日にでも向かうことにしよう。
「元気でね、ふたりとも」
「母上も、お体には気をつけて」
「また来ますね」
「楽しみにしているわ。――テスラ、ふたりをよろしくね」
「お任せください」
テスラさんにもしっかりと念を押す母上。
そういえば、俺のところへ来る前は母上の専属メイドだったんだよな。テレイザさんの話では、ふたりはメイドと主という関係でありながらも、非常に仲が良かったらしい。母上にとって、そんなテスラさんと久しぶりに顔を合わせることができて嬉しかったのかもしれないな。
「母上も一度ジェロム地方へ来てください」
「えぇ。機会があれば、ね」
領主夫人ともなれば、そうそう自由に動き回れないのだろうけど……是非一度、母上にもジェロムの大自然を見てもらいたいな。きっと気に入ってくれると思うし。
名残惜しい気持ちもありつつ、俺たちはジェロム地方に向けて屋敷をあとにしたのだった。
一日ぶりにジェロム地方はいつも通り、冒険者たちで賑わっていた。
「! 領主様!」
「お戻りになられましたか!」
「ロイス様が戻られたぞぉ!」
なんだかいつになく盛大に出迎えられている気がするけど……まあ、いいか。
とりあえず、俺たちはギルドへと出向き、フルズさんから留守中に変わったことがないか尋ねることに。
「これは領主殿! いつお戻りに?」
「ついさっきですよ」
フルズさんもやたらテンションが高かった。
どうやら、ドラゴンのワーウィックがいる遺跡でお宝がいくつか見つかったらしい。考古学的な価値は不明だが、調査隊のリーダーを務めるカナンさん曰く、かなり値が張るんじゃないかと期待しているという。現在はギルド内にある魔法金庫内に保管していると教えてくれた。
「それなら、王都へ行って鑑定士を呼んでこないと」
「鑑定士か……ロイス、私たちにその伝手はないぞ?」
「そうなんだよなぁ……」
「でしたら、私の知人を訪ねてみてください。きっと協力してくれるはずです」
レジェンド級の冒険者だったフルズさんの知人か……それは確かに頼もしそうだ。
「っと、そうだ。もうひとつお伝えしておかなくてはいけないことが」
「? なんですか?」
「実は、領主殿たちがここを発ってからすぐにコルミナが訪ねてきたんです」
「コルミナが?」
コルミナは、霊峰ガンティアに暮らす山猫の獣人族の少女だ。
以前、怪鳥騒ぎの際に共闘し、それからはこのアダム村とも頻繁に交流するようになっていた。さっきの遺跡に関する調査だって、協力者の中にはその山猫の獣人族もいるくらいだ。
そのコルミナが俺のもとを訪ねてきた。
理由自体は告げなかったらしいが、かなり切羽詰まっていたらしく、翌日には帰ってくるからギルドにある部屋で一泊していくかというフルズさんからの誘いも断り、村へ戻ったという。
どうやら、向こうで何かあったのは間違いなさそうだ。
「山猫の獣人族の村へ行ってみるか」
準備を整え、明日にでも向かうことにしよう。
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