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連載
第259話 ジェロム地方の学校
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ジェロム地方に学校をつくりたい。
そう思った俺は具体的なプランを練るため、シルヴィアやテスラさんにもこのことを告げた。
「学校かぁ……いいかもしれないな」
「ロイス様もシルヴィア様も、幼い頃から専属の家庭教師がいましたが、一般的な子どもたちは学校でいろいろと教わりますからね」
テスラさんの言う通りで、俺もシルヴィアもずっと家庭教師に勉強を見てもらっていた。
アルヴァロ王国の貴族ではそれが一般的であり、学校という教育機関はむしろ大衆の学びの場として活用されてきた。
ただ、別の大陸の話になるが、オルデア王国やブランシャル王国といった国では貴族と平民が同じ学び舎で勉学に勤しむスタイルを取っているらしい。
――話を戻そう。
俺はジェロム地方に暮らす子どもたちが字の読み書きをキチンとできるように、それを教える学校をつくると決定する。
「学校……私も通ってみたいな!」
そう語るのはうちでメイドをしているエイーダだった。
父親である元冒険者(現ギルドマスター)のフルズさんとこの地でふたり暮らしをしていたって話だったからな。最近は先輩メイドのテスラさんがいろいろと教えてくれているようだけど、メイソンのように近い年の子どもともっと知り合いたいし、遊びたいと思っているらしい。
それもまた、学校をつくる大きな要因だった。
学校は、何も勉強だけを教えてくれるところじゃない。
健全な人間関係を構築するためにも必要不可欠な場所であると俺は考えていた。
アルヴァロ王国初となる、貴族も平民も一緒に学べる学校をつくるため、俺は早速動きだす――と思っていたのだが、
「こんにちは~!」
俺たちの家を訪ねてくる者が。
この声は……
「オティエノさん?」
ムデル族のオティエノさんのようだが……何かあったのだろうか。
用件を聞くため、彼女を屋敷の中へと招きいれた。
「いらっしゃい、オティエノさん。何かありましたか?」
「今日はみなさんを是非ともご招待したくて、やってきました!」
「「「「「ご招待?」」」」」
俺とシルヴィア、さらにテスラさんにエイーダにフィーネは揃って首を傾げる。ムデル族の集落へは、これまで何度も足を運んだことがある。
それを改めて招待ということは……集落で何か起きたのだろうか。
オティエノさんはその理由を説明してくれた。
「実は、今日の夜にお祭りがあるの」
「お祭り?」
「一年に一度だけやるんだけど……それで、今年は領主様にも参加もらえたらってお父さんが」
「そうだったんですね」
ムデル族のお祭りかぁ……それは楽しそうだ。
俺もそうだし、何よりシルヴィアもオティエノさんの話を聞いて瞳を輝かせている。この状態になったシルヴィアも放っておくわけにもいかない。
「分かりました。今日の夜、絶対に行きます」
「! ありがとう! じゃあ、先に行って準備をしておくね!」
俺たちの参加が正式に決まり、オティエノさんはウキウキしながら屋敷をあとにした。
「さて、俺たちも準備をしないとな」
「そうこなくちゃな!」
シルヴィアも楽しみにしているようだし、今日は楽しい夜になりそうだ。
そう思った俺は具体的なプランを練るため、シルヴィアやテスラさんにもこのことを告げた。
「学校かぁ……いいかもしれないな」
「ロイス様もシルヴィア様も、幼い頃から専属の家庭教師がいましたが、一般的な子どもたちは学校でいろいろと教わりますからね」
テスラさんの言う通りで、俺もシルヴィアもずっと家庭教師に勉強を見てもらっていた。
アルヴァロ王国の貴族ではそれが一般的であり、学校という教育機関はむしろ大衆の学びの場として活用されてきた。
ただ、別の大陸の話になるが、オルデア王国やブランシャル王国といった国では貴族と平民が同じ学び舎で勉学に勤しむスタイルを取っているらしい。
――話を戻そう。
俺はジェロム地方に暮らす子どもたちが字の読み書きをキチンとできるように、それを教える学校をつくると決定する。
「学校……私も通ってみたいな!」
そう語るのはうちでメイドをしているエイーダだった。
父親である元冒険者(現ギルドマスター)のフルズさんとこの地でふたり暮らしをしていたって話だったからな。最近は先輩メイドのテスラさんがいろいろと教えてくれているようだけど、メイソンのように近い年の子どもともっと知り合いたいし、遊びたいと思っているらしい。
それもまた、学校をつくる大きな要因だった。
学校は、何も勉強だけを教えてくれるところじゃない。
健全な人間関係を構築するためにも必要不可欠な場所であると俺は考えていた。
アルヴァロ王国初となる、貴族も平民も一緒に学べる学校をつくるため、俺は早速動きだす――と思っていたのだが、
「こんにちは~!」
俺たちの家を訪ねてくる者が。
この声は……
「オティエノさん?」
ムデル族のオティエノさんのようだが……何かあったのだろうか。
用件を聞くため、彼女を屋敷の中へと招きいれた。
「いらっしゃい、オティエノさん。何かありましたか?」
「今日はみなさんを是非ともご招待したくて、やってきました!」
「「「「「ご招待?」」」」」
俺とシルヴィア、さらにテスラさんにエイーダにフィーネは揃って首を傾げる。ムデル族の集落へは、これまで何度も足を運んだことがある。
それを改めて招待ということは……集落で何か起きたのだろうか。
オティエノさんはその理由を説明してくれた。
「実は、今日の夜にお祭りがあるの」
「お祭り?」
「一年に一度だけやるんだけど……それで、今年は領主様にも参加もらえたらってお父さんが」
「そうだったんですね」
ムデル族のお祭りかぁ……それは楽しそうだ。
俺もそうだし、何よりシルヴィアもオティエノさんの話を聞いて瞳を輝かせている。この状態になったシルヴィアも放っておくわけにもいかない。
「分かりました。今日の夜、絶対に行きます」
「! ありがとう! じゃあ、先に行って準備をしておくね!」
俺たちの参加が正式に決まり、オティエノさんはウキウキしながら屋敷をあとにした。
「さて、俺たちも準備をしないとな」
「そうこなくちゃな!」
シルヴィアも楽しみにしているようだし、今日は楽しい夜になりそうだ。
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