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第275話 謎の青騎士
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「「青騎士?」」
聴き慣れないその名前に、俺とシルヴィアは顔を見合わせる。
騎士というなら、この国に所属する騎士団の人間だろう――が、それをわざわざ俺たちに言うってことは……何やら訳ありのようだ。
俺とシルヴィアの視線は自然とトナージ副会長へと向けられる。
それに気づいた副会長は「ゴホン」と咳払いを挟んでから説明する。
「青騎士というのは……最近、学生たちの間で噂されている幽霊のことだ」
「ゆ、幽霊!?」
シルヴィアは驚いた声をあげたが、俺はなんとなくそういった怪談の類かもしれないと思っていたのでそれほどの衝撃はなかった。
それにしても……まさか本当に幽霊だったなんて。
「三ヵ月ほど前から学生たちの間で噂されるようになってね。青い甲冑に身を包んだ者が夜中に学園の敷地内を歩いている、と」
「な、なるほど……」
それは確かに不自然だな。
騎士が扱う甲冑とかは勝手に持ち出しできないだろうし、そもそも部外者が学園の敷地内を歩き回るなんて、いくら夜中だからって教職員に気づかれないのは難しいだろう。
この学園には貴族の子息や令嬢も多く通っている。
不審者が歩き回っているとなったら、教職員が対応するはずだ。
しかし、アンジェラ先生からそのような話を聞かなかった。
となると……やはり、あくまでも噂ってことなのか?
「まあ、さすがにただの見間違いだと思うが……念のため、そういう話もあるというのは覚えておいてくれ」
「わ、分かりました……」
その後、お別れ会の段取りについて説明を受け、それが終わる頃には学園の終業を伝える鐘が鳴り響く。
「あら、もうこんな時間なのね」
「長く引き留めてしまって申し訳なかったな」
「いえ、楽しい話ができてよかったです」
「私も同じ気持ちです」
俺たちは最後にクリスティン会長のトナージ副会長に別れの挨拶をし、生徒会室を出て寮へと戻った。
その帰り道。
「幽霊かぁ……驚いたよなぁ、シルヴィア」
「…………」
「シルヴィア?」
「っ! あ、あぁ、どうかしたのか、ロイス」
なんだかシルヴィアの様子がおかしい。
心ここにあらずというか……どうにもさっきから俺の言葉に対して上の空って感じだ。原因があるとすれば、恐らく――
「ひょっとして……さっきの幽霊話が気になる?」
「っ!?!?」
声は出ていなくても、動作が大きく派手に動揺している。
まさか、本当に幽霊が苦手なのか?
「幽霊とかって苦手だっけ?」
「……剣で斬れそうにない物は苦手なんだ」
自分よりも遥かに巨大なモンスターへ勇敢に立ち向かえるシルヴィアだが……意外すぎる弱点が判明したな。
聴き慣れないその名前に、俺とシルヴィアは顔を見合わせる。
騎士というなら、この国に所属する騎士団の人間だろう――が、それをわざわざ俺たちに言うってことは……何やら訳ありのようだ。
俺とシルヴィアの視線は自然とトナージ副会長へと向けられる。
それに気づいた副会長は「ゴホン」と咳払いを挟んでから説明する。
「青騎士というのは……最近、学生たちの間で噂されている幽霊のことだ」
「ゆ、幽霊!?」
シルヴィアは驚いた声をあげたが、俺はなんとなくそういった怪談の類かもしれないと思っていたのでそれほどの衝撃はなかった。
それにしても……まさか本当に幽霊だったなんて。
「三ヵ月ほど前から学生たちの間で噂されるようになってね。青い甲冑に身を包んだ者が夜中に学園の敷地内を歩いている、と」
「な、なるほど……」
それは確かに不自然だな。
騎士が扱う甲冑とかは勝手に持ち出しできないだろうし、そもそも部外者が学園の敷地内を歩き回るなんて、いくら夜中だからって教職員に気づかれないのは難しいだろう。
この学園には貴族の子息や令嬢も多く通っている。
不審者が歩き回っているとなったら、教職員が対応するはずだ。
しかし、アンジェラ先生からそのような話を聞かなかった。
となると……やはり、あくまでも噂ってことなのか?
「まあ、さすがにただの見間違いだと思うが……念のため、そういう話もあるというのは覚えておいてくれ」
「わ、分かりました……」
その後、お別れ会の段取りについて説明を受け、それが終わる頃には学園の終業を伝える鐘が鳴り響く。
「あら、もうこんな時間なのね」
「長く引き留めてしまって申し訳なかったな」
「いえ、楽しい話ができてよかったです」
「私も同じ気持ちです」
俺たちは最後にクリスティン会長のトナージ副会長に別れの挨拶をし、生徒会室を出て寮へと戻った。
その帰り道。
「幽霊かぁ……驚いたよなぁ、シルヴィア」
「…………」
「シルヴィア?」
「っ! あ、あぁ、どうかしたのか、ロイス」
なんだかシルヴィアの様子がおかしい。
心ここにあらずというか……どうにもさっきから俺の言葉に対して上の空って感じだ。原因があるとすれば、恐らく――
「ひょっとして……さっきの幽霊話が気になる?」
「っ!?!?」
声は出ていなくても、動作が大きく派手に動揺している。
まさか、本当に幽霊が苦手なのか?
「幽霊とかって苦手だっけ?」
「……剣で斬れそうにない物は苦手なんだ」
自分よりも遥かに巨大なモンスターへ勇敢に立ち向かえるシルヴィアだが……意外すぎる弱点が判明したな。
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