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第304話 婚約解消!?
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俺とシルヴィアの婚約解消――それは、父上がシルヴィアの実家であるラクロワに送った書状の中に記されていた。
あまりにも一方的すぎるし、何より当事者である俺とシルヴィアの意向がまったく反映されていない。当然ながら、俺はシルヴィアとの婚約を解消する気などサラサラなかった。
ここまで一緒にジェロム地方を発展しようと協力してきた彼女は、俺にとってもはや欠かせない存在だ。きっかけこそ互いの両親が取り決めたものだったが、それも今となっては関係ない。
「俺……抗議しに行きます」
怒りに震えながら、俺は静かにそう告げる。
ジェロム地方へ旅立ってから、実家とは疎遠になっていた。
そんな中でも、母上やキャロライン姉さんとは和解し、今ではよき理解者として俺たちを助けてくれている。
――だが、父上やビシェル兄さんとの関係性は相変わらずだった。
そういえば、兄さんの婚約話の方はどうなったのだろう。
以前、ジェロム地方に相手側のライザさんが訪ねてきてくれたことがあったけど、あれから正式に結婚したって話を聞かないな。キャロライン姉さんは割と早めにヴィンクス家のジルベールさんと式をあげたが……もしかして、招待されていないだけなのかも。
それはともかく、このままにしておくわけにはいかない。
俺は実家に戻って父上に直接抗議をするつもりだと告げると、ジェロム地方へ帰る準備を大急ぎで始めた。
すると、何やら屋敷の方が騒がしいことに気づく。
振り返ってみると、
「っ!? ジェレミー様!?」
シルヴィアの父親であり、ラクロワ家当主のジェレミー様が車椅子に乗って屋敷の外まで出てきたのだ。
俺とシルヴィアは慌ててジェレミー様のもとへと駆け寄ると、
「娘を……よろしく頼む……」
声と体を震わせながら、必死にそう言って頭を下げた。その様子を見た俺は感極まってジェレミー様の手をがっしり掴むと、真っ直ぐ目を見て宣言する。
「お任せください。シルヴィアは必ず幸せにしてみせます」
ジェレミー様の必死の願いに、こちらも誠心誠意を込めて返事をした。その想いはしかと伝わったようで、ジェレミー様は安堵の笑みを浮かべる。
とはいえ、一筋縄じゃないかないだろうな。
それでも引き下がるわけにはいかない。
ここが……ジェロム地方の未来を大きく左右する分岐点。
父上を説得し、シルヴィアとの婚約解消をなかったことにしてもらわなくては。
あまりにも一方的すぎるし、何より当事者である俺とシルヴィアの意向がまったく反映されていない。当然ながら、俺はシルヴィアとの婚約を解消する気などサラサラなかった。
ここまで一緒にジェロム地方を発展しようと協力してきた彼女は、俺にとってもはや欠かせない存在だ。きっかけこそ互いの両親が取り決めたものだったが、それも今となっては関係ない。
「俺……抗議しに行きます」
怒りに震えながら、俺は静かにそう告げる。
ジェロム地方へ旅立ってから、実家とは疎遠になっていた。
そんな中でも、母上やキャロライン姉さんとは和解し、今ではよき理解者として俺たちを助けてくれている。
――だが、父上やビシェル兄さんとの関係性は相変わらずだった。
そういえば、兄さんの婚約話の方はどうなったのだろう。
以前、ジェロム地方に相手側のライザさんが訪ねてきてくれたことがあったけど、あれから正式に結婚したって話を聞かないな。キャロライン姉さんは割と早めにヴィンクス家のジルベールさんと式をあげたが……もしかして、招待されていないだけなのかも。
それはともかく、このままにしておくわけにはいかない。
俺は実家に戻って父上に直接抗議をするつもりだと告げると、ジェロム地方へ帰る準備を大急ぎで始めた。
すると、何やら屋敷の方が騒がしいことに気づく。
振り返ってみると、
「っ!? ジェレミー様!?」
シルヴィアの父親であり、ラクロワ家当主のジェレミー様が車椅子に乗って屋敷の外まで出てきたのだ。
俺とシルヴィアは慌ててジェレミー様のもとへと駆け寄ると、
「娘を……よろしく頼む……」
声と体を震わせながら、必死にそう言って頭を下げた。その様子を見た俺は感極まってジェレミー様の手をがっしり掴むと、真っ直ぐ目を見て宣言する。
「お任せください。シルヴィアは必ず幸せにしてみせます」
ジェレミー様の必死の願いに、こちらも誠心誠意を込めて返事をした。その想いはしかと伝わったようで、ジェレミー様は安堵の笑みを浮かべる。
とはいえ、一筋縄じゃないかないだろうな。
それでも引き下がるわけにはいかない。
ここが……ジェロム地方の未来を大きく左右する分岐点。
父上を説得し、シルヴィアとの婚約解消をなかったことにしてもらわなくては。
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