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閑章2 奔走のモブメイド
36 ステップアップ
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皆さんこんにちは!
ヴァイオレッタ様の中に居るモブメイドです。
モブメイドとしてカインズベリー侯爵家の御令嬢、ヴァイオレッタ様に仕えていたのですが、何らかの謀略に巻き込まれ、ヴァイオレッタ様と共に一度死を迎えてしまいました。
目を覚ましたわたしは、何故か死を迎える一年前にタイムスリップ? しかもヴァイオレッタ自身の姿になっていました。これまで過去の経験と知識を活かし、ヴァイオレッタ様として、破滅へ向かうフラグを回避して来た訳ですが、いよいよ彼女が転落へ向かうきっかけとなった社交界が近づいて参りました。
前世で泥棒猫として登場した王女と王子はあの社交界より前に親密な仲となっていた事実を予め知った事により、このまま行けば社交界は無事終わると予想はしているのですが、ここに来てひとつ問題があったのです!
今日は皆様へ、そのお話を少ししようと思います。
★
「お呼びでしょうか? ヴァイオレッタ様?」
「ええ、あなたにお願いがあるの」
わたしが自室へ呼んだのは、ヴァイオレッタ付の第1メイド、ローザ。非の打ち所のないヴァイオレッタ専属のメイドは、どんな仕事でも卒なく熟す。ヴァイオレッタからの依頼であれば、どんな内容でも引き受けてくれる彼女は、生前のヴァイオレッタ様からも絶大な信頼を得ていたのです。
「私で良ければ何なりと申しつけ下さい」
「助かるわ。社交界も近づいて来たじゃない? 本番前までに、ダンスのステップを確認しておきたくて。相手を頼めないかしら?」
「私は構いませんが、ヴァイオレッタ様は確認などせずともいつも完璧に踊っておられるではないですか?」
「ええ、そうなのだけれど、ここ数ヶ月、お引越しもあって踊る機会が少なかったでしょう? 有能な騎士ほど毎日剣の稽古は怠らないものよ? それに、ワタクシも本番で皆の前で恥をかきたくないという気持ち位持ち合わせているわよ?」
「そういう事でしたら承知致しました。事前準備を入念にされるヴァイオレッタ様は流石でございます。では、英雄クロスロードのワルツを想定して、僭越ながら私がお相手をさせていただきます。準備を致しますので、暫くお待ちくださいませ」
ローザはそう言い残し、足早に部屋を出ていってしまった。これで当日迄にステップを確認しておけば、きっと大丈夫。ずっとヴァイオレッタ様が踊っている姿を見て来たのだから。
あ、皆さん気づかれましたか? そうなんです。モブメイドは、社交界なんて上流階級の皆様が踊る場で、踊った経験なんてある筈もないのです。
侯爵家のメイドとしての礼節やマナーなんかは、モブメイド時代、先程お話していたローザに叩き込まれて来た訳ですが、ダンスのステップとあれば別。
モブメイド同士で見様見真似で踊った事や、社交界やパーティの裏方として皆さんが踊っている姿はずっと見て来たのですが、今回わたしはヴァイオレッタ様。社交界を成功させるには王子とのダンスは必須。
わたし、この短期間でダンスを完璧に覚えなければいけない訳で……。
これ、ある意味ピンチなんですねー、あはははは。
「お待たせ致しました。ヴァイオレッタ様」
「ローザ、準備って何を……なっ!?」
――なんですとーーー!?
部屋へと入室した彼女は、いつものメイド服ではなく、黒いタキシードに蝶ネクタイ。いつもはヘッドドレスを身に着けている肩までかかる長さの美しい銀髪を、馬油で綺麗に整えた上で短くまとめ、短髪の麗人として男装して登場して来たのです。
「ヴァイオレッタ様のお相手をするならば、まずは形から入らねばと思った次第です」
わたしの前で片膝をつき、男装ローザがわたしの手の甲へと軽く口づけをします。そして、そのままわたしの手を引き寄せ、流れるような所作で踊りの体勢へと入るのです。
「さぁ、始めましょうか?」
「お、お願いするわ」
――ちょ、ちょっとローザ……イケメンすぎだからぁああああああ!
わたしの優しく手を取ってそのままステップをリードしてくれるローザはまるで、初めて社交界へ来たご令嬢をエスコートする紳士のようで。
わたしの足はローザに引き寄せられるがまま、自然とステップを踏んでいきます。不思議なんです。確かに過去、何度もヴァイオレッタ様の動きを見ていたとはいえ、自身で英雄のワルツを踊るのは初めての筈。ですが、まるで、幼い頃から何度も踊って来たかのように、足が腕が、身体が自然と動き出すんです。
そして、一曲踊り終え、一歩後ろに下がる形で互いに一礼するわたしとローザ。
「ヴァイオレッタ様。やはり、確認の必要はなかったようですね? 完璧でございます。私の出る幕は最早ないようです」
「そんな事はないわ。ローザのエスコートが完璧だったお陰よ?」
確かにローザのエスコートは完璧だった。でも、初心者であるわたしも初見でここまで踊れる事自体がおかしいのだ。だが、次のローザの発言に、腹落ちする事となる。
「きっと、いつも社交界や舞踏会で踊って来られたヴァイオレッタ様ですから、身体がステップを記憶しているのでしょう」
身体の記憶――
そう、精神はモブメイドであるわたしが入っているが、身体……つまり肉体はヴァイオレッタ様なのだ。
確かに踊りのステップは身体が覚えると聞いたことがある。もしかすると、ヴァイオレッタ様の肉体が、踊りの感覚やステップを記憶しているかもしれないのだ。
「ローザ、もう何曲か確認させてもらってもいいかしら?」
「え? ええ。私は構いませんが」
「ワタクシと踊りたくないの?」
「いえ、喜んでお相手させていただきます」
結果、このあとわたしとローザはたくさん踊ったのでした。どの曲のステップを踊っても、わたしは初見の曲でさえ完璧に踊れたのです。それは、ヴァイオレッタ様が踊っていた映像が頭の中へ流れて来るようでした。
もしかすると、ヴァイオレッタ様の魂は、この肉体に宿っているのでしょうか?
こうして、ステップアップを果たしたわたしは、社交界でも無事に踊る事が出来たのです。
それと、銀髪の麗人を堪能したくて、この日を境に何度かローザにはダンスの相手をしてもらったのは、ここだけの話にしておいて下さいね?
ヴァイオレッタ様の中に居るモブメイドです。
モブメイドとしてカインズベリー侯爵家の御令嬢、ヴァイオレッタ様に仕えていたのですが、何らかの謀略に巻き込まれ、ヴァイオレッタ様と共に一度死を迎えてしまいました。
目を覚ましたわたしは、何故か死を迎える一年前にタイムスリップ? しかもヴァイオレッタ自身の姿になっていました。これまで過去の経験と知識を活かし、ヴァイオレッタ様として、破滅へ向かうフラグを回避して来た訳ですが、いよいよ彼女が転落へ向かうきっかけとなった社交界が近づいて参りました。
前世で泥棒猫として登場した王女と王子はあの社交界より前に親密な仲となっていた事実を予め知った事により、このまま行けば社交界は無事終わると予想はしているのですが、ここに来てひとつ問題があったのです!
今日は皆様へ、そのお話を少ししようと思います。
★
「お呼びでしょうか? ヴァイオレッタ様?」
「ええ、あなたにお願いがあるの」
わたしが自室へ呼んだのは、ヴァイオレッタ付の第1メイド、ローザ。非の打ち所のないヴァイオレッタ専属のメイドは、どんな仕事でも卒なく熟す。ヴァイオレッタからの依頼であれば、どんな内容でも引き受けてくれる彼女は、生前のヴァイオレッタ様からも絶大な信頼を得ていたのです。
「私で良ければ何なりと申しつけ下さい」
「助かるわ。社交界も近づいて来たじゃない? 本番前までに、ダンスのステップを確認しておきたくて。相手を頼めないかしら?」
「私は構いませんが、ヴァイオレッタ様は確認などせずともいつも完璧に踊っておられるではないですか?」
「ええ、そうなのだけれど、ここ数ヶ月、お引越しもあって踊る機会が少なかったでしょう? 有能な騎士ほど毎日剣の稽古は怠らないものよ? それに、ワタクシも本番で皆の前で恥をかきたくないという気持ち位持ち合わせているわよ?」
「そういう事でしたら承知致しました。事前準備を入念にされるヴァイオレッタ様は流石でございます。では、英雄クロスロードのワルツを想定して、僭越ながら私がお相手をさせていただきます。準備を致しますので、暫くお待ちくださいませ」
ローザはそう言い残し、足早に部屋を出ていってしまった。これで当日迄にステップを確認しておけば、きっと大丈夫。ずっとヴァイオレッタ様が踊っている姿を見て来たのだから。
あ、皆さん気づかれましたか? そうなんです。モブメイドは、社交界なんて上流階級の皆様が踊る場で、踊った経験なんてある筈もないのです。
侯爵家のメイドとしての礼節やマナーなんかは、モブメイド時代、先程お話していたローザに叩き込まれて来た訳ですが、ダンスのステップとあれば別。
モブメイド同士で見様見真似で踊った事や、社交界やパーティの裏方として皆さんが踊っている姿はずっと見て来たのですが、今回わたしはヴァイオレッタ様。社交界を成功させるには王子とのダンスは必須。
わたし、この短期間でダンスを完璧に覚えなければいけない訳で……。
これ、ある意味ピンチなんですねー、あはははは。
「お待たせ致しました。ヴァイオレッタ様」
「ローザ、準備って何を……なっ!?」
――なんですとーーー!?
部屋へと入室した彼女は、いつものメイド服ではなく、黒いタキシードに蝶ネクタイ。いつもはヘッドドレスを身に着けている肩までかかる長さの美しい銀髪を、馬油で綺麗に整えた上で短くまとめ、短髪の麗人として男装して登場して来たのです。
「ヴァイオレッタ様のお相手をするならば、まずは形から入らねばと思った次第です」
わたしの前で片膝をつき、男装ローザがわたしの手の甲へと軽く口づけをします。そして、そのままわたしの手を引き寄せ、流れるような所作で踊りの体勢へと入るのです。
「さぁ、始めましょうか?」
「お、お願いするわ」
――ちょ、ちょっとローザ……イケメンすぎだからぁああああああ!
わたしの優しく手を取ってそのままステップをリードしてくれるローザはまるで、初めて社交界へ来たご令嬢をエスコートする紳士のようで。
わたしの足はローザに引き寄せられるがまま、自然とステップを踏んでいきます。不思議なんです。確かに過去、何度もヴァイオレッタ様の動きを見ていたとはいえ、自身で英雄のワルツを踊るのは初めての筈。ですが、まるで、幼い頃から何度も踊って来たかのように、足が腕が、身体が自然と動き出すんです。
そして、一曲踊り終え、一歩後ろに下がる形で互いに一礼するわたしとローザ。
「ヴァイオレッタ様。やはり、確認の必要はなかったようですね? 完璧でございます。私の出る幕は最早ないようです」
「そんな事はないわ。ローザのエスコートが完璧だったお陰よ?」
確かにローザのエスコートは完璧だった。でも、初心者であるわたしも初見でここまで踊れる事自体がおかしいのだ。だが、次のローザの発言に、腹落ちする事となる。
「きっと、いつも社交界や舞踏会で踊って来られたヴァイオレッタ様ですから、身体がステップを記憶しているのでしょう」
身体の記憶――
そう、精神はモブメイドであるわたしが入っているが、身体……つまり肉体はヴァイオレッタ様なのだ。
確かに踊りのステップは身体が覚えると聞いたことがある。もしかすると、ヴァイオレッタ様の肉体が、踊りの感覚やステップを記憶しているかもしれないのだ。
「ローザ、もう何曲か確認させてもらってもいいかしら?」
「え? ええ。私は構いませんが」
「ワタクシと踊りたくないの?」
「いえ、喜んでお相手させていただきます」
結果、このあとわたしとローザはたくさん踊ったのでした。どの曲のステップを踊っても、わたしは初見の曲でさえ完璧に踊れたのです。それは、ヴァイオレッタ様が踊っていた映像が頭の中へ流れて来るようでした。
もしかすると、ヴァイオレッタ様の魂は、この肉体に宿っているのでしょうか?
こうして、ステップアップを果たしたわたしは、社交界でも無事に踊る事が出来たのです。
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