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【3】Astrophyllite
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「……わーい、お泊まりだー」
成親が、翔の腕に絡みつきながら、言った。
「…………」
絶対に喜んで照れてくれるハズ、と思ったのに。
やっぱり翔は微妙な微笑みを湛えて成親の頭を撫でるだけで。
「……しょーさん?」
「なる、アイス、もいっこ食べよっか?」
するり、と成親の腕を放して立ち上がるから。
「なんで? 俺、泊まるの嬉しくねーの?」
唇を尖らせて、拗ねて見せる。
「なんで? 嬉しいよ? 嬉しいに決まってんじゃん」
その言葉と裏腹に、翔の表情は硬くて。
「……嬉しいって顔、してないじゃん」
「え?」
まるで、そんなつもりなんて全然なかったと、成親の言葉に自分の感情に初めて気付いたような顔で翔が目を見開いた。
「しょーさん、何かあった?」
「え……?」
「俺、何か、した?」
不安になる。
いつだって凛としていて、二つや三つのことを同時にこなしてるから。
自分のことだって忙しいのに、いつだって成親のことを優先してくれて。
そんな翔だから、甘え過ぎていたのかもしれない。
「ごめんね。俺、しょーさんみたいに賢くないから、知らない間にしょーさんのこと、怒らせちゃってた?」
「なる?」
「しょーさん、特選科だからほんとはめっちゃ忙しいのわかってんのに、いつもしょーさん全然そんなの俺に見せないから、全然ヨユウなんだって俺、勝手に頼って困らせてたのかな」
「なる」
「俺のこと、嫌いになった? 俺いると、迷惑?」
「なんでそんなこと!」
「だってしょーさん、今日おかしいじゃん」
「俺?」
「ずっと、今日、俺んことちゃんと見て、ない」
引っかかっていた棘に、成親はやっと気付く。
そうだ。
目が、全然合わないのだ。
いつだって、成親が翔を見る時にはもの凄い優しい瞳が自分を捉えてて。
何か言おうとしたら、ちゃんとその先を読んでくれていて。
だからわざと成親がハズして遊んだら、ちゃんと付き合って楽しんでくれて。
そういう感覚は、だっていつも翔が自分を見てくれてるから味わえるのに。
今日は何も響かない。何も、噛み合わない。
「惰性で、一緒にいてくれてるの? 家庭教師、ご近所だからせざるを得ない? だったらもう、いいよ。俺、自分で勉強するし、しょーさんの邪魔、したくない」
「なる!」
ぎゅっと抱きしめられた。
「やめてくれ。なるがいないなんて、俺にはあり得ない」
耳元に、苦しそうな声が聞こえた。
「今、俺に全然余裕がないのは、事実だ。なるに、こんなこと言わせてしまうくらい、余裕ないの、今、気付いた。ほんとに、今言われて気付いたくらい、いっぱいいっぱいになってる」
「しょーさん?」
「だめだな、ほんとに俺、かなりのポンコツだよ」
抱きしめていた腕を解き、ちゃんと目を合わせてくれた。
苦笑しているのがわかるから、成親も半分泣きそうだった自分の力が抜ける。
「なるが邪魔とか、ほんとにあり得ないから。俺の全部の原動力はなるだから。だから、惰性とかそんな単語、使わせてしまった俺が悪いのはわかってんだけど、でも、頼むから、そんなこと言わないでくれ」
成親の腕を掴みながら、まるで縋るような目で翔が言った。
「どしたー? 喧嘩でもしたの?」
と、背後から玲子の呑気な声が聞こえてきて。
慌てて翔が腕を放した。
「あ……や、そんな……」
「うん、ちょっと。しょーさんが意地悪言うから、拗ねてた」
成親が笑いながら言って。
「やーねーもう。翔のがお兄ちゃんなんだから、なるくんに意地悪ゆわないの」
「言ってねーし……」
「んじゃ、仲直りするからしょーさんの部屋、泊まっていい?」
「うん、なるくんは翔のお部屋でいいかなーと思ってた。お布団持って行こうと思うけど、翔の部屋に敷けるかなあ?」
「いんじゃない? 翔くんのベッドで。こないだもなる、寝相悪いからベッドから落ちて翔くんと一緒に寝てたし」
玲子に言われ、見られていたのかと、成親がほんのり赤くなる。
「なるくん、それでもいい?」
「いいよー。ね、しょーさん」
成親が微笑むと、やっと翔が照れた表情を見せてくれ。
「……いんじゃね?」
の言葉に安心した。
成親が、翔の腕に絡みつきながら、言った。
「…………」
絶対に喜んで照れてくれるハズ、と思ったのに。
やっぱり翔は微妙な微笑みを湛えて成親の頭を撫でるだけで。
「……しょーさん?」
「なる、アイス、もいっこ食べよっか?」
するり、と成親の腕を放して立ち上がるから。
「なんで? 俺、泊まるの嬉しくねーの?」
唇を尖らせて、拗ねて見せる。
「なんで? 嬉しいよ? 嬉しいに決まってんじゃん」
その言葉と裏腹に、翔の表情は硬くて。
「……嬉しいって顔、してないじゃん」
「え?」
まるで、そんなつもりなんて全然なかったと、成親の言葉に自分の感情に初めて気付いたような顔で翔が目を見開いた。
「しょーさん、何かあった?」
「え……?」
「俺、何か、した?」
不安になる。
いつだって凛としていて、二つや三つのことを同時にこなしてるから。
自分のことだって忙しいのに、いつだって成親のことを優先してくれて。
そんな翔だから、甘え過ぎていたのかもしれない。
「ごめんね。俺、しょーさんみたいに賢くないから、知らない間にしょーさんのこと、怒らせちゃってた?」
「なる?」
「しょーさん、特選科だからほんとはめっちゃ忙しいのわかってんのに、いつもしょーさん全然そんなの俺に見せないから、全然ヨユウなんだって俺、勝手に頼って困らせてたのかな」
「なる」
「俺のこと、嫌いになった? 俺いると、迷惑?」
「なんでそんなこと!」
「だってしょーさん、今日おかしいじゃん」
「俺?」
「ずっと、今日、俺んことちゃんと見て、ない」
引っかかっていた棘に、成親はやっと気付く。
そうだ。
目が、全然合わないのだ。
いつだって、成親が翔を見る時にはもの凄い優しい瞳が自分を捉えてて。
何か言おうとしたら、ちゃんとその先を読んでくれていて。
だからわざと成親がハズして遊んだら、ちゃんと付き合って楽しんでくれて。
そういう感覚は、だっていつも翔が自分を見てくれてるから味わえるのに。
今日は何も響かない。何も、噛み合わない。
「惰性で、一緒にいてくれてるの? 家庭教師、ご近所だからせざるを得ない? だったらもう、いいよ。俺、自分で勉強するし、しょーさんの邪魔、したくない」
「なる!」
ぎゅっと抱きしめられた。
「やめてくれ。なるがいないなんて、俺にはあり得ない」
耳元に、苦しそうな声が聞こえた。
「今、俺に全然余裕がないのは、事実だ。なるに、こんなこと言わせてしまうくらい、余裕ないの、今、気付いた。ほんとに、今言われて気付いたくらい、いっぱいいっぱいになってる」
「しょーさん?」
「だめだな、ほんとに俺、かなりのポンコツだよ」
抱きしめていた腕を解き、ちゃんと目を合わせてくれた。
苦笑しているのがわかるから、成親も半分泣きそうだった自分の力が抜ける。
「なるが邪魔とか、ほんとにあり得ないから。俺の全部の原動力はなるだから。だから、惰性とかそんな単語、使わせてしまった俺が悪いのはわかってんだけど、でも、頼むから、そんなこと言わないでくれ」
成親の腕を掴みながら、まるで縋るような目で翔が言った。
「どしたー? 喧嘩でもしたの?」
と、背後から玲子の呑気な声が聞こえてきて。
慌てて翔が腕を放した。
「あ……や、そんな……」
「うん、ちょっと。しょーさんが意地悪言うから、拗ねてた」
成親が笑いながら言って。
「やーねーもう。翔のがお兄ちゃんなんだから、なるくんに意地悪ゆわないの」
「言ってねーし……」
「んじゃ、仲直りするからしょーさんの部屋、泊まっていい?」
「うん、なるくんは翔のお部屋でいいかなーと思ってた。お布団持って行こうと思うけど、翔の部屋に敷けるかなあ?」
「いんじゃない? 翔くんのベッドで。こないだもなる、寝相悪いからベッドから落ちて翔くんと一緒に寝てたし」
玲子に言われ、見られていたのかと、成親がほんのり赤くなる。
「なるくん、それでもいい?」
「いいよー。ね、しょーさん」
成親が微笑むと、やっと翔が照れた表情を見せてくれ。
「……いんじゃね?」
の言葉に安心した。
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