2 / 3
第2話 許嫁と初デート①
しおりを挟む
「そういえば俺に何故、許嫁がいるんだ?」
これは、高坂《こうさか》さんが発した‴許嫁‴という言葉を聞いた時から思っていた素朴な疑問である。
学校での俺と高坂さんの話からすると、どうやら初めて会ったわけではなく、かなり前に知り合っている事がわかる。
その時に何があったのだろうか。
しかし当の俺は全く覚えてないため考えようが無い。
まず、あんなにも可愛い女の子が俺の許嫁で良いのだろうか。俺は高坂さんと釣り合うようなイケメンとは言い難い。
さて、どうしたものか……。
「ごめんごめん、暇だったでしょ」
今俺たちは一緒に学校を抜け出して映画館に向かう途中だったが、高坂さんがコンビニに寄りたいと言ってコンビニに来ていた。
「大丈夫だよ。考え事してたから」
そう俺が言った瞬間、高坂さんは何故か笑みを浮かべた。何か変な事でも思いついたのだろうか。
「もしかして、私の事でも考えてた?」
「な、そんなわけ……ごめん嘘。その通りだわ」
そんなわけないと否定しようと思ったが、高坂さんの事を考えていないわけではなかったので言い直すことにしたのだ。
すると、高坂さんは俺の答えに満足したのか満面の笑みを見せる。
「素直でよろしい!」
「そりゃどーも。ちょっと聞きたい事あるんだけど」
高坂さんは何?と首を傾げた。
「俺から聞くのもアレだけど、俺なんかが許嫁でいいの?」
「何よ今更、ずっと前から決まってたことでしょ。もしかして加賀《かが》くん私のこと嫌いになっちゃった?」
「それはないけど、高坂さんみたいな高嶺の花のような女の子じゃ俺なんかと釣り合わない気がして」
俺のその言葉を聞いた瞬間、高坂さんの深い溜息が耳に入ってくる。
そして高坂さんは手に持っていたビニール袋からパンを取り出し、女の子とは思えないくらいに大きく頬張った。
一瞬で食べていたパンはなくなり、それからというもの無言が続いている。
「……お腹、空いてたの?」
こちらから話しかけても無視される。意外に無視されるのは心が痛いな。
「……ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
怒ってるな。とは思ってたが、思ってたよりもかなり怒ってるみたいだ。
「えーと、なんか怒ってるみたいだったから」
「私が怒ってる理由わかる?」
そんなの女子と付き合ったこともない俺からしたら極めて難しい質問だ。
しかしここで違う答えを言えば、間違いなく今よりも怒り始めるだろう。
「俺が自己否定したから?」
合ってるか分からなかったため質問気味で答えてみると、今度はちょっと小さな溜息が聞こえる。
合ってると思ったけど、間違ってたのか……。
「……悔しいけど当たってるわ。間違えると思って揶揄う準備をしてたのに」
俺のことを揶揄うつもりだったなんて酷い話だ。
でも新鮮なんだよな。
幼馴染の香織《かおり》は子犬みたいに可愛く甘えてくるのに対して、高坂さんは真逆のタイプなのだ。
しかし、こんな街中で高校生男女が話し込んでいるのは目立つな。そろそろ映画館に向かうか。
「それは乙です。そんなことよりもそろそろ映画館向かおうか」
「そーだね、まだまだ話し足りないけどそれは映画の後でもいいよね!」
まだ話し足りないのか、と思ったがそれを言えば確実に雰囲気が悪くなるので、その言葉は心の中に秘めておいた。
「やっと着いたな」
そう言って俺はスマホを取り、時間を見た。
「おいおい、まじか」
寄り道せず映画館に向かえば大体二十分もすれば着くが、俺たちは寄り道をした挙句街中で話し込んでいたため一時間近く経っていた。
「かなり時間かかったねー、まあ時間なんてまだまだあるし気にせず映画見よ」
俺たちは始業式をサボって映画を見に来たため普通の生徒よりは時間が有り余っている。そのため一時間なんてどうってことないのだ。
でも男女で見る映画ってどれがいいんだ?
上映している映画は多種多様だった。
アクション映画やアニメーション映画、ホラー映画などがあって、俺はどれも興味がないわけではなかったので高坂さんに合わせることに決める。
「高坂さんはどれが見たい?」
「んー、夜なら見れなかったけど今は昼だからホラー映画とか見てみたいな。あ、でも加賀くんホラー映画とか見れないんだっけ」
「小さい頃は怖いの苦手だったけど、もう大丈夫だよ。でもこの映画かなり怖いらしいけどいいの?」
ここで一つ、何も覚えてない俺に疑問が湧いた。
俺と高坂さんは小さい頃に会っていることは明らか。そこで‴何か‴があって許嫁になった。
でも俺と香織が出会ったのが八歳の頃。それより前に何があったのか全く覚えていない。
まあ今はそんなことよりも映画に集中しよう。
「私怖いの平気だから大丈夫なはず」
本当に平気だろうか。
怖いのが好きな明琉《あくる》ですらめっちゃ怖いと言っていたし、俺は平気とは言い難いのだが。
「じゃあそろそろ行こっか」
※※※
映画は二時間経たないくらいで終わった。
しかし映画の内容全く入ってこなかったな。
その理由は、映画が上映している間ずっと高坂さんが俺の腕を抱いて見ていたからだ。
「えーと、大丈夫そう?」
後ろを向くと縮こまった高坂さんが付いて来ていて、映画を見る前とはまるで別人だった。
「大丈夫、多分……」
このように女の子が泣きそうになっていたりしたら大体の男は抱きしめたりするだろう。
その相手が好きな女の子限定の話だろうが。
俺の場合は、過程は知らないが相手が許嫁。許嫁なら将来結婚するんだよな。
それなら……
俺は高坂さんが居る後ろを向き、優しく抱きしめる。高坂さんは急で驚いていたが、どんどん表情が柔らかくなっていくのを感じた。
そして、少ししてからそっと身を離した。
「ありがとう、落ち着いたよ」
俺は頷き、二人でまた歩き始めた。
抱き合っているところを‴誰か‴に見られていたことを知らずに。
これは、高坂《こうさか》さんが発した‴許嫁‴という言葉を聞いた時から思っていた素朴な疑問である。
学校での俺と高坂さんの話からすると、どうやら初めて会ったわけではなく、かなり前に知り合っている事がわかる。
その時に何があったのだろうか。
しかし当の俺は全く覚えてないため考えようが無い。
まず、あんなにも可愛い女の子が俺の許嫁で良いのだろうか。俺は高坂さんと釣り合うようなイケメンとは言い難い。
さて、どうしたものか……。
「ごめんごめん、暇だったでしょ」
今俺たちは一緒に学校を抜け出して映画館に向かう途中だったが、高坂さんがコンビニに寄りたいと言ってコンビニに来ていた。
「大丈夫だよ。考え事してたから」
そう俺が言った瞬間、高坂さんは何故か笑みを浮かべた。何か変な事でも思いついたのだろうか。
「もしかして、私の事でも考えてた?」
「な、そんなわけ……ごめん嘘。その通りだわ」
そんなわけないと否定しようと思ったが、高坂さんの事を考えていないわけではなかったので言い直すことにしたのだ。
すると、高坂さんは俺の答えに満足したのか満面の笑みを見せる。
「素直でよろしい!」
「そりゃどーも。ちょっと聞きたい事あるんだけど」
高坂さんは何?と首を傾げた。
「俺から聞くのもアレだけど、俺なんかが許嫁でいいの?」
「何よ今更、ずっと前から決まってたことでしょ。もしかして加賀《かが》くん私のこと嫌いになっちゃった?」
「それはないけど、高坂さんみたいな高嶺の花のような女の子じゃ俺なんかと釣り合わない気がして」
俺のその言葉を聞いた瞬間、高坂さんの深い溜息が耳に入ってくる。
そして高坂さんは手に持っていたビニール袋からパンを取り出し、女の子とは思えないくらいに大きく頬張った。
一瞬で食べていたパンはなくなり、それからというもの無言が続いている。
「……お腹、空いてたの?」
こちらから話しかけても無視される。意外に無視されるのは心が痛いな。
「……ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
怒ってるな。とは思ってたが、思ってたよりもかなり怒ってるみたいだ。
「えーと、なんか怒ってるみたいだったから」
「私が怒ってる理由わかる?」
そんなの女子と付き合ったこともない俺からしたら極めて難しい質問だ。
しかしここで違う答えを言えば、間違いなく今よりも怒り始めるだろう。
「俺が自己否定したから?」
合ってるか分からなかったため質問気味で答えてみると、今度はちょっと小さな溜息が聞こえる。
合ってると思ったけど、間違ってたのか……。
「……悔しいけど当たってるわ。間違えると思って揶揄う準備をしてたのに」
俺のことを揶揄うつもりだったなんて酷い話だ。
でも新鮮なんだよな。
幼馴染の香織《かおり》は子犬みたいに可愛く甘えてくるのに対して、高坂さんは真逆のタイプなのだ。
しかし、こんな街中で高校生男女が話し込んでいるのは目立つな。そろそろ映画館に向かうか。
「それは乙です。そんなことよりもそろそろ映画館向かおうか」
「そーだね、まだまだ話し足りないけどそれは映画の後でもいいよね!」
まだ話し足りないのか、と思ったがそれを言えば確実に雰囲気が悪くなるので、その言葉は心の中に秘めておいた。
「やっと着いたな」
そう言って俺はスマホを取り、時間を見た。
「おいおい、まじか」
寄り道せず映画館に向かえば大体二十分もすれば着くが、俺たちは寄り道をした挙句街中で話し込んでいたため一時間近く経っていた。
「かなり時間かかったねー、まあ時間なんてまだまだあるし気にせず映画見よ」
俺たちは始業式をサボって映画を見に来たため普通の生徒よりは時間が有り余っている。そのため一時間なんてどうってことないのだ。
でも男女で見る映画ってどれがいいんだ?
上映している映画は多種多様だった。
アクション映画やアニメーション映画、ホラー映画などがあって、俺はどれも興味がないわけではなかったので高坂さんに合わせることに決める。
「高坂さんはどれが見たい?」
「んー、夜なら見れなかったけど今は昼だからホラー映画とか見てみたいな。あ、でも加賀くんホラー映画とか見れないんだっけ」
「小さい頃は怖いの苦手だったけど、もう大丈夫だよ。でもこの映画かなり怖いらしいけどいいの?」
ここで一つ、何も覚えてない俺に疑問が湧いた。
俺と高坂さんは小さい頃に会っていることは明らか。そこで‴何か‴があって許嫁になった。
でも俺と香織が出会ったのが八歳の頃。それより前に何があったのか全く覚えていない。
まあ今はそんなことよりも映画に集中しよう。
「私怖いの平気だから大丈夫なはず」
本当に平気だろうか。
怖いのが好きな明琉《あくる》ですらめっちゃ怖いと言っていたし、俺は平気とは言い難いのだが。
「じゃあそろそろ行こっか」
※※※
映画は二時間経たないくらいで終わった。
しかし映画の内容全く入ってこなかったな。
その理由は、映画が上映している間ずっと高坂さんが俺の腕を抱いて見ていたからだ。
「えーと、大丈夫そう?」
後ろを向くと縮こまった高坂さんが付いて来ていて、映画を見る前とはまるで別人だった。
「大丈夫、多分……」
このように女の子が泣きそうになっていたりしたら大体の男は抱きしめたりするだろう。
その相手が好きな女の子限定の話だろうが。
俺の場合は、過程は知らないが相手が許嫁。許嫁なら将来結婚するんだよな。
それなら……
俺は高坂さんが居る後ろを向き、優しく抱きしめる。高坂さんは急で驚いていたが、どんどん表情が柔らかくなっていくのを感じた。
そして、少ししてからそっと身を離した。
「ありがとう、落ち着いたよ」
俺は頷き、二人でまた歩き始めた。
抱き合っているところを‴誰か‴に見られていたことを知らずに。
0
あなたにおすすめの小説
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる