転生したら異世界最強ホストになってました〜お客様の“心”に寄り添う接客、始めます

中岡 始

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ホストデビュー戦! 緊張と不安

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 黒のスーツに腕を通し、鏡の前に立つ。  

 異世界でホストになるなんて、昨日の自分が聞いたら絶対に信じなかっただろう。  

 だが、目の前の鏡に映っているのは間違いなく自分だった。  

 レオン――それが、この世界での自分の名前。  

 漆黒の髪は肩まで滑らかに流れ、黒曜石のような瞳が鏡の中で静かに揺れる。  

 ホスト用のスーツは、想像していたよりも体に馴染んでいた。  

 裾のラインは細く、美しく仕立てられている。  

 ネクタイを締め直しながら、レオンはふと呟いた。  

「…思ったより様になってるか?」  

 ホストなんて自分には縁のない仕事だと思っていたが、こうして見ると、それなりに格好がついているようにも思える。  

 だが、問題は見た目ではない。  

「本当にやれるのか、俺…」  

 スーツ姿の自分を見ながら、内心の不安を押し殺した。  

 仕事は、やるしかない。  

 どんな職種であれ、働いて金を稼がなければ生きていけないのだから。  

 ルミナスの店内へと向かうと、そこには異世界とは思えないほど洗練された光景が広がっていた。  

 天井には巨大なシャンデリアが下がり、淡い光を放っている。  

 壁には魔法のランプが浮かび、幻想的な光を投げかけていた。  

 テーブルの上には高級そうなワイングラスが並び、柔らかな椅子が客を待ち受けている。  

 まるで王宮の一室のような豪華さだった。  

 そこへ、すでに店に集まっていたホストたちが目を向ける。  

 エルヴィスは、相変わらず冷ややかな表情を崩さなかった。  

「お前、本当に接客なんてできるのか?」  

 鋭い青い瞳が、まるで値踏みするかのようにレオンを見つめていた。  

「やってみないと分からないな」  

 レオンは正直に答えた。  

 それを聞いたエルヴィスは、鼻で笑う。  

「ふん、まあせいぜい失敗しないことだな」  

 軽く流されるような口調だった。  

「まあまあ、最初は誰だって緊張するもんだろ」  

 そう言って肩を叩いたのは、リカルドだった。  

「ま、まずは試してみるんだな!」  

 彼は陽気な笑みを浮かべながら、親しげにレオンを見つめる。  

 エルヴィスとは正反対のタイプのようだ。  

 その後、ホストの基本的なルールについて説明を受ける。  

「ホストは、基本的に『指名制』だ。一度客の指名を受ければ、その客はお前の固定客になる」  

 店長のギルバートが説明する。  

「指名がないホストは、『ヘルプ』として他のホストの席について接客する。客を楽しませるのが仕事だが、主役はあくまで指名ホストだからな」  

 レオンは頷いた。  

 ホストの役割は、客をもてなし、楽しませること。  

 しかし、指名をもらえなければ、ヘルプとして働くしかない。  

 当然、指名が多いホストほど売上が上がり、店での評価も高くなる。  

「分かった。でも…俺、本当に指名なんて取れるのか?」  

「それはお前次第だな」  

 ギルバートは意味ありげに笑う。  

 そのとき、店の扉が開いた。  

「そろそろ開店時間だ」  

 ホストたちが、それぞれの席へと散っていく。  

 客を迎える準備が整い、店内は徐々に熱気を帯び始めた。  

 レオンはスーツの袖を直し、深く息を吸い込む。  

「いきなり接客デビューか…社畜時代の営業経験、活かせるか?」  

 そう自分に言い聞かせながら、新たな仕事の世界へ足を踏み入れた。  
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